名P〖彼女の恋(修正版)〗その41
名P〖彼女の恋(修正版)〗その41
その40 20200101
慌てて切られた電話にイラっとして、今野奈々(こんの・なな:22歳)のスマホにかけ直しました。しかし・・・電源が・・・入っていない・・・のコール・・・。
《・・・なんだよ?・・・これ・・・。》
僕(周防久志:すおう・ひさし:25歳)は明け方までよく眠れずウトウトした時です。ガチャガチャっ、玄関のドアを開ける音で目が覚めました。時計を見ると朝の6時前です。僕には誰だかすぐわかりましたが、わざと寝たフリをします。
その誰かは僕の頭のところにしゃがんで僕の顔を覗き込んでいるようでした。そして、彼女のいつもの香りが僕にも届きます。
『・・・ごめんね・・・。』
小さな声が聴こえ、遠ざかる気配がしました。奈々のことは判っていたつもりだったのですが・・・後から思うと彼女もこの時が一番辛かったようです。
しばらくして僕はそっと隣の部屋を覗こうと体を起こしました。今野奈々は暗い部屋の中、一人掛けの簡易ソファに座っています。僕に気づいた奈々は、スッと立ち上がってピンと立ち不安気な顔で僕を見つめていました。
『あっ・・・久志くん・・・おはよぅ・・・。』
「おはよう・・・。」
『・・・勝手に入ってごめんね・・・。』
「そんなことはいい・・・・理由(わけ)は? なに?」
『・・・・・・・・・。』
「理由は話してくれないの?」
『あの・・・ ごめんなさい・・・。』
僕は昔、自分の嫉妬から奈々を疑い、それで一度は別れ、傷つけたというのが心にあるので我慢してきたのですが・・・今朝は限界でした。
「話してくれないと、奈々のこと信じられなくなる。」
『・・・・・・・・・。』
それでも奈々は無言で佇(たたず)んでいます。
「旅行中がリミットだよ。最近のおかしな行動をちゃんと説明してくれなかったら・・・・・・。」
『・・・・・・なかったら?』
「・・・別れる。」
奈々は顔をぐしゃぐしゃにして座り込んでしまいました。僕はそんな奈々を見つめるしか
ありませんでした。
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20200126
名P〖彼女の恋(修正版)〗その42
名P〖彼女の恋(修正版)〗その42
その41 20200126
僕(周防久志:すおう・ひさし:25歳)も今野奈々(こんの・なな:22歳)も無言です。そして部屋には奈々のしゃくりあげる声だけ・・・僕は《迎えの車(村瀬健次と住谷杏奈)が来るのにはまだ少し時間があるなぁ。》なんて考えていた・・・。
『・・・・ごめんなさい・・・私、久志くんに言ってないことが・・・あるの・・・。』
しゃくりあげながら奈々が話し始めます。僕は奈々の話しをしっかり聞かなくちゃいけないと思いました。
『・・・私・・・・・・前に・・・子供できたの・・・・・・。』
「・・・えっ!?」
奈々は目を真っ赤にして、真っ直ぐ僕を見ながら少しずつ過去の事を話してくれます。
大学生の時に僕と別れた後、とても親身に話しを聞いてくれて励ましてくれる人(熊野健次:くまの・けんじ)がいて、自然な流れで付き合ったとのこと・・・・でも、その熊野が本性を出すのに時間はかかりません。そのうちに奈々を性奴隷のように扱い、だんだんエスカレートして複数でのセックスや酒の席で男の知り合いに奉仕させられたりした。
その頃には僕と別れた傷どころか、何も考えられないようになり、その結果が妊娠でした・・・・。それを熊野に話したところ、“俺の子供かもわからない”と言われ離れて行った。
奈々は一人ぼっちになり、怖くなってしまい・・・精神的に弱った為か子供を流産してしまったのです。
奈々は泣きながら、話しを続けました。その後、このことが両親にも知られ、大学を辞めて実家に帰ってしばらく休みます。しばらくして、いくつか短期のバイトから始めて、住谷杏奈(すみたに・あんな)ちゃんと知り合い、人生再スタートのつもりで生きようとやっと考えられるようになった時に僕と再会した。
そして僕や健次達と4人で海に行った日・・・あの熊野に再会してしまったことで・・・また、地獄の日々が始まったと・・・。奈々の涙ながらの告白を僕は黙って聴いていました。というか・・・あまりの内容に動揺してしまい、言葉が出てきませんでした。
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20200206
名P〖彼女の恋(修正版)〗その43
その42← 20200206
僕(周防久志:すおう・ひさし:25歳) 僕の恋人(今野奈々:こんの・なな:22歳)
僕は、奈々の言う『地獄の日々が始まった。』っていう言葉に納得できず、どういうことな
のか問い質します。海へ行った日に熊野健次(くまの・けんじ)に偶然会ってしまった。あの色の黒い、見事な腹筋をしていた男のことでした。熊野との事、子供の事、乱れていた性生活の事・・・。いろんなことが頭の中に浮かびあがったそうです。
子供のことや、大学中退のことは時期をみて僕に話すつもりだったようですが、この頃は僕に再会したばかりだったので、僕が空白の2年のことを知って奈々を嫌悪し、また捨てられるのが怖かったようでした。それから数日後のことです。奈々のスマホに知らない番号から電話が・・最初は出なかったのですが、何度となくかかって来ると番号を変えた友人や、かなり大事な用事のある知り合いかもという気になり、出てしまうと、それは熊野からでした。
熊野健次はもう数少なくなった大学の時代の友人を通じて奈々の電話番号を知ったそうです。熊野からの電話の内容は、久しぶりに見た奈々が綺麗だったとまず誉め、その後に当時の思い出という形で奈々との痴態の数々を言って来た。その後、海で見た僕のことに触れ、名前で奈々の元カレと気づいて[また付き合っているのか?]と聞かれます。早く電話を終わらせたい奈々は『(僕が)好きだ。』ってハッキリ伝えた。すると熊野は、[芝崎って奴は奈々の妊娠のこと知ってるの?]
奈々はこの言葉に固まった。[でもあんな気弱そうな奴じゃあ、ビックリすんだろな。また、フラれちゃうんじゃない? 黙っててやるから・・時間作れよ!]これで心がガタガタと崩れた奈々は住んでいる駅を教えてしまい、駅まで来た熊野に奈々のアパートで犯されました。この奈々の話しを聞いた時、僕はかなり動揺をしました。すぐには受け入れることが出来ずにいて、実際は、時間をかけて飲み込んだ感じです。そうしないといけないほど、奈々に惚れていたのでした。
アパートで犯された奈々は、その日のことは忘れようと思ったそうです。しかし、熊野はそれから何かにつけ奈々に連絡をしてきました。最初は駅やアパートで待ち伏せ、[周防が知ったら・・・。]と言われ、カラダの関係を迫られます。
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20200728
名P〖彼女の恋(修正版)〗その44
その43←
- 僕(周防久志:すおう・ひさし:25歳) 僕の恋人(今野奈々:こんの・なな:22歳)
奈々は僕と逢う度に、秘密があるのが苦しかったと言います。そんな中、あの夜のことがありました。熊野はよく目隠しをしてセックスするのですが、その日も目隠しされて厭らしい言葉をかけながら挿入されます。・・・・いつものことだった・・・・ことが終わり、目隠しを取ると熊野が自分のスマホで誰かと話していました。
僕が奈々と熊野のセックス実況を聴かされた日のことです。(その15参照)奈々は熊野の行動が最初は理解できず、頭がハッキリしてから急いで自分のスマホを見ました。その時には電話は切れていて、履歴を見たら久志くんの名前。本当に目の前が真っ暗になります。
《・・・なんのために熊野の言うことに従っていたのか・・・久志くんに捨てられる・・・久志くんに逢えなくなる・・・ 久志くんと・・・》狂ったように泣き出した今野奈々に熊野健次は、[オレのモノだったのに、他の奴にしっぽ振っているからだ。お前はまたオレのモノになればいいんだよアイツといたら苦しいだけだろ。]と、笑いながら言った。
『あの時・・・、久志くんに捨てられなくて・・本当に嬉しかった・・・。汚い私を・・大好きって
言ってくれて嬉しかった・・・。本当にごめんなさい。』
今野奈々は泣きじゃくりながら僕に何度も謝りました。
「最近、ドタキャンだったり、連絡とれなかったりした時はアイツ(熊野健次)といたの?」
僕の質問に奈々は無言で頷きます。
「昨日、電話の向こうで男の声がしたけど、あれはアイツの声?」
やはり無言で頷く奈々・・・。
「昨日の夜は・・・セックスをしたの?・・・」
『・・久志くん・・・。』
「・・したの? アイツと・・・。」
その45へ
20200729