長J『失くしたもの』第1章①
長J『失くしたもの』第1章①
(原題:戦い 投稿者:MM 投稿日:2004/03/27)
私(平井慶介:ひらい・けいすけ:46歳)と妻(平井菜月:ひらい・なつき:43歳)は、結婚19年目を迎えた夫婦です。私は一昨年より地方の支社に単身赴任をしていますが、新幹線を利用すれば2時間程度で帰れるので、月に2度は家へ帰っていました。妻も仕事を持っているのですが、やはり土・日曜休みなので、月に1度は掃除を兼ねて赴任先へ来てくれています。
私には変な妄想癖が有り、会った事も無い菜月の会社の社長や上司、同僚などと彼女が浮気をして、私しか男を知らない妻が乱れる姿を想像しては、1人興奮していた事もありました。しかし、誠実で身持ちの固い妻に限って現実に起こる事は考えられません。また現実に起こってしまっては、興奮するどころか耐えられないと分かっていたので、あくまでも妄想だけのはずでした。しかし、また私の妄想癖が始まり、赴任先の暇な夜を埋めるために、日記の様な形式で小説風に書きながら、妻に対する嫉妬心を楽しんでいたのですが、それは妄想では無くなり、私の戦いが始まります。
2月25日(土)
妻の様子が変なので、今日からパソコンで日記を付ける事にしました。ただ、妻といる土曜、日曜は書けないので後日まとめて書く事にし、これも実際は27日に書いています。今朝、妻の菜月が朝一番の新幹線で来てくれて、掃除や溜まった洗濯物を片付けてくれました。いつもは月初めなので、今月は2回来てくれた事になります。私達は月に一度、妻が赴任先に来てくれた時にセックスをしていました。
夜、妻に迫ると。
『生理が来たから駄目なの。ごめんなさい。』
「今月初めに来た時は、急に頭が痛くなったと言って駄目で、今日は生理で駄目か?どうして生理になるのが分かっていて今日来たの? 今年になってまだ1回もしてないぞ。」
『ごめんなさい。来週は、勤め先の仲間が辞めたので、土曜日に気の合う者だけで送別会をするの。もうそんな歳でもないし我慢出来るでしょ?』
性欲も有りましたが、それよりも妻を抱いていると何とも言えない安心感が有り、この思いは単身赴任をしてから、一層強くなったような気がします。
2月26日(日)
昨夜、文句を言い過ぎたので、妻は怒って早くに帰ってしまいました。少し言い過ぎたかと思いますが、セックスが出来なかったからだけでは無いのです。今年になって、妻が何か変わったような気がしていました。何が違うのかと聞かれても答えられないのですが、長く夫婦をしている私には分かります。
妻の菜月も決してセックスが嫌いでは無く、むしろ好きな方でした。普段の清楚さからは想像が付かないほど激しく、上に跨った時の腰使いは誰が想像出来るでしょう。現に昨年末、子供がいない夜にした時は、菜月が3回目の絶頂を迎えた後に私も放出したのですが、妻はまだ許してくれず咥えてきて、もう一度させられたほどでした。
その菜月が、もう2カ月もセックスが無いのに平気な顔をしている。妻に限って浮気は考えられないと思いながらも、何か嫌な予感がして仕方が有りません。
3月4日(土)
妻の菜月は朝から、昨夜、私が持ち帰った1週間分の洗濯物を洗ってくれています。まだ先週の事を怒っているのか、昨夜帰ってから何となく不機嫌そうだったのですが、昼食を2人で食べている頃から笑顔も見せるようになり、少しほっとしました。妻の事を疑っているのに、知らぬ間に機嫌を取っている自分が情けなかった。
息子は友達と出掛けて、夕方まで帰らないので私は妻をベッドに誘いました。
『こんな昼間から何を考えているの?信じられない。』
あっさりと断られてしまいました。
夕方から妻は先週話していた送別会に出掛けて行き、一人になってしまったので暇を持て余した私は、(浮気をしていると下着が変わると聞いた事が有ったので・・)菜月の下着をチェックしようとタンスを調べます。自分の下着の入っている場所も知らないので、いくつか開けて調べていると、やっと妻の下着が入っている引き出しを見つける事が出来、もしやと思いましたが、普段見慣れた物しか無く安心しました。
まだ本気で疑っていなかった私は、探偵にでもなった気分で他のタンスの引き出しも、隅から隅まで調べる事にして、一番下の引き出しを開けると、昔着ていた衣類や普段あまり着ない物が入っています。一番奥に懐かしいセーターを見つけて出してみると、その下には隠すように綺麗な箱が有り、そこには見た事も無い下着が入っていました。
アダルトショップで売っているような物では無いのですが、ハイレグなど、色も形も普段見た事も無いような派手な物ばかりです。私は妻の菜月が本当に浮気をしているかも知れないと思い、下着の事を問い詰めたくて寝付かれなかったのですが、ベッドで横になり、色々な事を想像している内に眠ってしまいました。 第1章②へ続く
2015/03/30
(原題:戦い 投稿者:MM 投稿日:2004/03/27)
私(平井慶介:ひらい・けいすけ:46歳)と妻(平井菜月:ひらい・なつき:43歳)は、結婚19年目を迎えた夫婦です。私は一昨年より地方の支社に単身赴任をしていますが、新幹線を利用すれば2時間程度で帰れるので、月に2度は家へ帰っていました。妻も仕事を持っているのですが、やはり土・日曜休みなので、月に1度は掃除を兼ねて赴任先へ来てくれています。
私には変な妄想癖が有り、会った事も無い菜月の会社の社長や上司、同僚などと彼女が浮気をして、私しか男を知らない妻が乱れる姿を想像しては、1人興奮していた事もありました。しかし、誠実で身持ちの固い妻に限って現実に起こる事は考えられません。また現実に起こってしまっては、興奮するどころか耐えられないと分かっていたので、あくまでも妄想だけのはずでした。しかし、また私の妄想癖が始まり、赴任先の暇な夜を埋めるために、日記の様な形式で小説風に書きながら、妻に対する嫉妬心を楽しんでいたのですが、それは妄想では無くなり、私の戦いが始まります。
2月25日(土)
妻の様子が変なので、今日からパソコンで日記を付ける事にしました。ただ、妻といる土曜、日曜は書けないので後日まとめて書く事にし、これも実際は27日に書いています。今朝、妻の菜月が朝一番の新幹線で来てくれて、掃除や溜まった洗濯物を片付けてくれました。いつもは月初めなので、今月は2回来てくれた事になります。私達は月に一度、妻が赴任先に来てくれた時にセックスをしていました。
夜、妻に迫ると。
『生理が来たから駄目なの。ごめんなさい。』
「今月初めに来た時は、急に頭が痛くなったと言って駄目で、今日は生理で駄目か?どうして生理になるのが分かっていて今日来たの? 今年になってまだ1回もしてないぞ。」
『ごめんなさい。来週は、勤め先の仲間が辞めたので、土曜日に気の合う者だけで送別会をするの。もうそんな歳でもないし我慢出来るでしょ?』
性欲も有りましたが、それよりも妻を抱いていると何とも言えない安心感が有り、この思いは単身赴任をしてから、一層強くなったような気がします。
2月26日(日)
昨夜、文句を言い過ぎたので、妻は怒って早くに帰ってしまいました。少し言い過ぎたかと思いますが、セックスが出来なかったからだけでは無いのです。今年になって、妻が何か変わったような気がしていました。何が違うのかと聞かれても答えられないのですが、長く夫婦をしている私には分かります。
妻の菜月も決してセックスが嫌いでは無く、むしろ好きな方でした。普段の清楚さからは想像が付かないほど激しく、上に跨った時の腰使いは誰が想像出来るでしょう。現に昨年末、子供がいない夜にした時は、菜月が3回目の絶頂を迎えた後に私も放出したのですが、妻はまだ許してくれず咥えてきて、もう一度させられたほどでした。
その菜月が、もう2カ月もセックスが無いのに平気な顔をしている。妻に限って浮気は考えられないと思いながらも、何か嫌な予感がして仕方が有りません。
3月4日(土)
妻の菜月は朝から、昨夜、私が持ち帰った1週間分の洗濯物を洗ってくれています。まだ先週の事を怒っているのか、昨夜帰ってから何となく不機嫌そうだったのですが、昼食を2人で食べている頃から笑顔も見せるようになり、少しほっとしました。妻の事を疑っているのに、知らぬ間に機嫌を取っている自分が情けなかった。
息子は友達と出掛けて、夕方まで帰らないので私は妻をベッドに誘いました。
『こんな昼間から何を考えているの?信じられない。』
あっさりと断られてしまいました。
夕方から妻は先週話していた送別会に出掛けて行き、一人になってしまったので暇を持て余した私は、(浮気をしていると下着が変わると聞いた事が有ったので・・)菜月の下着をチェックしようとタンスを調べます。自分の下着の入っている場所も知らないので、いくつか開けて調べていると、やっと妻の下着が入っている引き出しを見つける事が出来、もしやと思いましたが、普段見慣れた物しか無く安心しました。
まだ本気で疑っていなかった私は、探偵にでもなった気分で他のタンスの引き出しも、隅から隅まで調べる事にして、一番下の引き出しを開けると、昔着ていた衣類や普段あまり着ない物が入っています。一番奥に懐かしいセーターを見つけて出してみると、その下には隠すように綺麗な箱が有り、そこには見た事も無い下着が入っていました。
アダルトショップで売っているような物では無いのですが、ハイレグなど、色も形も普段見た事も無いような派手な物ばかりです。私は妻の菜月が本当に浮気をしているかも知れないと思い、下着の事を問い詰めたくて寝付かれなかったのですが、ベッドで横になり、色々な事を想像している内に眠ってしまいました。 第1章②へ続く
2015/03/30
長J『失くしたもの』第1章②
長J『失くしたもの』第1章②
3月5日(日)
朝目覚めると、妻の菜月(なつき)は隣のベッドでまだ寝息を立てています。私は起こさないようにそっと寝室を出て、脱衣場に行って籠の中を調べると、先に脱いだ筈の私の衣類より下に、黒い小さな固まりを見付けて手に取って広げると、見た事も無いパンティーとブラジャーでした。それも、パンティーは洗ったらしく、まだ濡れています。居ても立ってもいられず、寝室に戻って妻を起こしました。
「夕べは何時に帰ってきた?」と詰問する。
『1時頃だと思うけど、遅くなってごめんなさい。名残惜しくて。』
「嘘をつけ。1時までは俺も覚えている。それより菜月に下着集めの趣味は有ったか?」
「ごめんなさい。私の勘違いかな?2時だったかも。それより何なの?朝から変な事ばかり聞いて。下着集め?そんな趣味は有りません。」
「それなら、タンスの一番下の引き出しに入っている箱の中は何だ?それと、この下着はどうして洗った。本当に送別会だったのか?」
濡れた黒い下着を投げ付けました。妻の菜月は一瞬驚きの表情をしましたが、その後泣き出し。
『酷い。私が浮気でもしていると言いたいの?私はあなただけを見て来たのに。下着も隠していたのじゃ無くて、予備に置いて有ったのです。1枚駄目になると、あそこから1枚出して使っていました。この下着を洗ったのは、帰りの車でトイレに行きたくなり、家までもつと思ったけど、少し・・・・・・・・。もういいでしょ。あなたは私の事をそういう目で見ていたの?』
下着の件も、予備にしては今までの物とは違い派手な物ばかりで到底納得出来ませんが、浮気の確証が有った訳では無く、また、女の涙には勝てずに、後ろ髪を引かれる思いで赴任先に戻りました。
3月9日(木)
会社から戻ると、毎晩菜月の事を考えてしまいます。妻が知らない男に抱かれている姿を想像してしまい、嫉妬で狂いそうになります。私しか知らない菜月の裸を、他の男も知ってしまったのか?と思うと、今迄のように嫉妬を楽しむ余裕など有りません。無性に菜月を抱きたくなり、菜月の声を聴きたくなり、電話をしました。
「年度末で、暫らく土日のどちらかしか休めそうも無いから、今月だけ土日は菜月が来てくれないか?」
『私そちらには行きません。あなたに疑われたまま会う気になれません。』
「来月の1日まで帰れないぞ。それまで1回も来ないと言うのか?」
『お互い頭を冷やすのに、丁度いいじゃないですか?』
こんな時に1カ月も会えない苦しさから逃れたくて、まだ浮気をしていると決まった訳では無いと、自分に言い聞かせました。変なもので、これを書き出した時は無理に妻を疑おうと自分に言い聞かせていましたが、本当に浮気している可能性がある今は、逆に妻の行動を浮気では無いと否定している自分がいます。
3月11日(土)
土日のどちらかは休めると思っていましたが、今週も、来週も休めそうも有りません。来週の3連休は大学が決まった息子の引越しですが、≪友達に手伝って貰うので心配要らない。≫とメールが来ました。夜10時頃に電話をすると息子が出たので、手伝いが出来ない事を謝り、妻に代わってくれるように言うと、「仕事仲間と食事に行くと言って出かけたまま、まだ帰っていない。」と告げられます。
午前0時にもう一度電話を掛けると誰も出ません。息子の部屋には電話が無いので、眠ってしまって聞こえないのだろうとでも携帯に掛けて起こすまでもないと思いました。私達の寝室には電話が置いてあるので、帰っていれば妻は起きるはずです。妻の携帯に掛けてみると、なかなか出ません。諦めて切ろうとした時に妻の声が聞こえました。
『なに?今頃電話してくるなんて。何か有ったの?』
「いや、別に。家に掛けたのだが誰も出なかったのでな。食事会だって?」
『そう。友達と居酒屋で食事していて遅くなっちゃった。もう帰ります。』
しかし居酒屋にしてはやけに静で、微かにBGMが聞こえます。それに、電話に出た時の菜月の息遣いは可也乱れているように感じました。私は動揺して、その後何も言わずに電話を切ってしまいました。
2015/04/05
3月5日(日)
朝目覚めると、妻の菜月(なつき)は隣のベッドでまだ寝息を立てています。私は起こさないようにそっと寝室を出て、脱衣場に行って籠の中を調べると、先に脱いだ筈の私の衣類より下に、黒い小さな固まりを見付けて手に取って広げると、見た事も無いパンティーとブラジャーでした。それも、パンティーは洗ったらしく、まだ濡れています。居ても立ってもいられず、寝室に戻って妻を起こしました。
「夕べは何時に帰ってきた?」と詰問する。
『1時頃だと思うけど、遅くなってごめんなさい。名残惜しくて。』
「嘘をつけ。1時までは俺も覚えている。それより菜月に下着集めの趣味は有ったか?」
「ごめんなさい。私の勘違いかな?2時だったかも。それより何なの?朝から変な事ばかり聞いて。下着集め?そんな趣味は有りません。」
「それなら、タンスの一番下の引き出しに入っている箱の中は何だ?それと、この下着はどうして洗った。本当に送別会だったのか?」
濡れた黒い下着を投げ付けました。妻の菜月は一瞬驚きの表情をしましたが、その後泣き出し。
『酷い。私が浮気でもしていると言いたいの?私はあなただけを見て来たのに。下着も隠していたのじゃ無くて、予備に置いて有ったのです。1枚駄目になると、あそこから1枚出して使っていました。この下着を洗ったのは、帰りの車でトイレに行きたくなり、家までもつと思ったけど、少し・・・・・・・・。もういいでしょ。あなたは私の事をそういう目で見ていたの?』
下着の件も、予備にしては今までの物とは違い派手な物ばかりで到底納得出来ませんが、浮気の確証が有った訳では無く、また、女の涙には勝てずに、後ろ髪を引かれる思いで赴任先に戻りました。
3月9日(木)
会社から戻ると、毎晩菜月の事を考えてしまいます。妻が知らない男に抱かれている姿を想像してしまい、嫉妬で狂いそうになります。私しか知らない菜月の裸を、他の男も知ってしまったのか?と思うと、今迄のように嫉妬を楽しむ余裕など有りません。無性に菜月を抱きたくなり、菜月の声を聴きたくなり、電話をしました。
「年度末で、暫らく土日のどちらかしか休めそうも無いから、今月だけ土日は菜月が来てくれないか?」
『私そちらには行きません。あなたに疑われたまま会う気になれません。』
「来月の1日まで帰れないぞ。それまで1回も来ないと言うのか?」
『お互い頭を冷やすのに、丁度いいじゃないですか?』
こんな時に1カ月も会えない苦しさから逃れたくて、まだ浮気をしていると決まった訳では無いと、自分に言い聞かせました。変なもので、これを書き出した時は無理に妻を疑おうと自分に言い聞かせていましたが、本当に浮気している可能性がある今は、逆に妻の行動を浮気では無いと否定している自分がいます。
3月11日(土)
土日のどちらかは休めると思っていましたが、今週も、来週も休めそうも有りません。来週の3連休は大学が決まった息子の引越しですが、≪友達に手伝って貰うので心配要らない。≫とメールが来ました。夜10時頃に電話をすると息子が出たので、手伝いが出来ない事を謝り、妻に代わってくれるように言うと、「仕事仲間と食事に行くと言って出かけたまま、まだ帰っていない。」と告げられます。
午前0時にもう一度電話を掛けると誰も出ません。息子の部屋には電話が無いので、眠ってしまって聞こえないのだろうとでも携帯に掛けて起こすまでもないと思いました。私達の寝室には電話が置いてあるので、帰っていれば妻は起きるはずです。妻の携帯に掛けてみると、なかなか出ません。諦めて切ろうとした時に妻の声が聞こえました。
『なに?今頃電話してくるなんて。何か有ったの?』
「いや、別に。家に掛けたのだが誰も出なかったのでな。食事会だって?」
『そう。友達と居酒屋で食事していて遅くなっちゃった。もう帰ります。』
しかし居酒屋にしてはやけに静で、微かにBGMが聞こえます。それに、電話に出た時の菜月の息遣いは可也乱れているように感じました。私は動揺して、その後何も言わずに電話を切ってしまいました。
2015/04/05
長J『失くしたもの』第1章③
長J『失くしたもの』第1章③
3月25日(土)
31日まで掛かると思った仕事も、ようやく昨日で片付きました。あれからの私は地獄の日々で、仕事で疲れていても、マンションに帰ると菜月(なつき)の事を考えてしまい、深夜まで寝付けないのです。心身ともに疲労困憊していましたが、休みになった事を告げずに赴任先を発ち、家に着いたのは夜10時を過ぎていました。息子は既に1人暮らしをしていて、妻の菜月が1人で待っているはずの家は留守だったで、合鍵で開けて入ると、疲れから食事も摂らずに眠ってしまいました。
3月26日(日)
目が覚めたのは午前6時でした。しかし妻の菜月はまだ帰っておらず、コーヒーを煎れて、トーストと目玉焼きを食べていると、暫らくして帰って来た妻は私が居る事に驚き、何も言わない私に必死で言い訳を始めました。
『友達に、相談に乗って欲しい事が有るから家に来て欲しいと頼まれて、話が長くなってしまったので、帰っても誰もいないのなら泊まっていってと言われたので泊めてもらったの。帰れるのなら連絡してくれれば早く帰って来たのに。ごめんなさい。』
そう言い終ると返事もしない私を残して、慌ててシャワーを浴びに行きました。
私は気付かれないようにバスルームに行き、いきなりドアを開けると、物音に気付いた菜月は両手で前を隠した格好で、背を向けてしゃがみ込んでいて、真っ赤なパンティーだけがシャワーに打たれています。
『あなた。急に何なの?恥ずかしいから出て行って・・・。』
「下着を洗っていたのか?また少し漏らしたのか?それにしても見た事も無い派手なパンティーだな。」
妻は無言で俯いていました。キッチンに戻って冷めたコーヒーを温め直して飲んでいると、バスルームから戻ってきた菜月は、また一生懸命言い訳を始めました。
『あのね本当は、気分転換になるから時々色々な派手な下着を穿いていたのだけど、こんなのを着けている事を知られると、いくら夫婦でも恥ずかしいから隠してあったの。それで、あなたに見つからない内に洗濯して隠そうと思って。この前は嘘をついてごめんね。』
私は菜月の浮気を確信しました。嫉妬心は復讐心に変わり、意外と冷静な事が自分でも不思議でした。ただ、復讐しようにも、相手が分からず証拠も無いのでは誤魔化されるだけです。「もう分かった。菜月を信じるよ。それより2人だけだから今からどうだ?」その気にはなれないのに、妻の反応を見るために言うと。
『ごめんね。こんな日中は嫌なの。誰かお客さんが来るかも知れないし、落ち着かなくて。』想像どおりの答えです。『来週は私が行くからその時ね。』この前までは、もう行きたくないと怒っていたのに、やはり後ろめたいのか、優しい口調の妻に戻っていました。
2015/04/12
3月25日(土)
31日まで掛かると思った仕事も、ようやく昨日で片付きました。あれからの私は地獄の日々で、仕事で疲れていても、マンションに帰ると菜月(なつき)の事を考えてしまい、深夜まで寝付けないのです。心身ともに疲労困憊していましたが、休みになった事を告げずに赴任先を発ち、家に着いたのは夜10時を過ぎていました。息子は既に1人暮らしをしていて、妻の菜月が1人で待っているはずの家は留守だったで、合鍵で開けて入ると、疲れから食事も摂らずに眠ってしまいました。
3月26日(日)
目が覚めたのは午前6時でした。しかし妻の菜月はまだ帰っておらず、コーヒーを煎れて、トーストと目玉焼きを食べていると、暫らくして帰って来た妻は私が居る事に驚き、何も言わない私に必死で言い訳を始めました。
『友達に、相談に乗って欲しい事が有るから家に来て欲しいと頼まれて、話が長くなってしまったので、帰っても誰もいないのなら泊まっていってと言われたので泊めてもらったの。帰れるのなら連絡してくれれば早く帰って来たのに。ごめんなさい。』
そう言い終ると返事もしない私を残して、慌ててシャワーを浴びに行きました。
私は気付かれないようにバスルームに行き、いきなりドアを開けると、物音に気付いた菜月は両手で前を隠した格好で、背を向けてしゃがみ込んでいて、真っ赤なパンティーだけがシャワーに打たれています。
『あなた。急に何なの?恥ずかしいから出て行って・・・。』
「下着を洗っていたのか?また少し漏らしたのか?それにしても見た事も無い派手なパンティーだな。」
妻は無言で俯いていました。キッチンに戻って冷めたコーヒーを温め直して飲んでいると、バスルームから戻ってきた菜月は、また一生懸命言い訳を始めました。
『あのね本当は、気分転換になるから時々色々な派手な下着を穿いていたのだけど、こんなのを着けている事を知られると、いくら夫婦でも恥ずかしいから隠してあったの。それで、あなたに見つからない内に洗濯して隠そうと思って。この前は嘘をついてごめんね。』
私は菜月の浮気を確信しました。嫉妬心は復讐心に変わり、意外と冷静な事が自分でも不思議でした。ただ、復讐しようにも、相手が分からず証拠も無いのでは誤魔化されるだけです。「もう分かった。菜月を信じるよ。それより2人だけだから今からどうだ?」その気にはなれないのに、妻の反応を見るために言うと。
『ごめんね。こんな日中は嫌なの。誰かお客さんが来るかも知れないし、落ち着かなくて。』想像どおりの答えです。『来週は私が行くからその時ね。』この前までは、もう行きたくないと怒っていたのに、やはり後ろめたいのか、優しい口調の妻に戻っていました。
2015/04/12
長J『失くしたもの』第1章④
長J『失くしたもの』第1章④
4月1日(土)
今週はこちらに来るはずの妻の菜月(なつき)が、昼を過ぎても来ません。そして昼過ぎに電話が有り。
『あなた、ごめんなさい。行こうと思って準備していたけど、急に気分が悪くなってしまって。更年期障害かな?早い人はもう私の歳でも有るって聞くし・・。』
「そうか・・・。それより、もう子供もいないのだし、菜月もこちらで暮らさないか?離れて暮らさなくてもいいだろ?」
妻が仕事を辞めれば、今は子供達にお金が掛かるので、経済的に苦しくなるのは分かっていましたが、なぜか無性に寂しくなった私がそう言うと。
『ごめんね。それは出来ないわ。今の仕事が好きだし、今辞めると会社に迷惑も掛けてしまう。お願い、続けさせて。もう少しで、あなたも戻って来られるでしょ?』
その夜は7時に電話をしましたが、菜月は出ません。その後何回も電話しましたが、結局妻は出ず、携帯の方も電源を切られていて繋がりません。
私はどうしようもない気持ちを抱えながら、これからどうやって証拠を掴むか考えながらベッドに横になりましたが、浮かんでくるのは、菜月の白い裸体が他の男によって貫かれている姿です。妻の菜月が男に跨(またが)り、腰を振っている姿です。
4月2日(日)
やはり悔しさでとうとう眠れず、朝まで何回も電話し続けましたが、妻が電話に出たのは、もう朝の8時を過ぎていました。
「何処かに行っていたのか?夕べ9時頃に電話したが出なかったな。携帯も切られていたし。」
7時から朝まで、何回も電話した事を隠して聞くと。
『・・・ごめんなさい。あなただったの?ちょうどトイレに入っていて、電話が鳴っているので急いで出たけれど間に合わなくて。携帯が切れている?充電不足で電池が切れているのかな?見てみます。・・・それより何か急用でも有ったのですか?』
「いや。急に菜月の声が聞きたくなって・・・。」
『いい歳をして何を言っているの?変な人。』
あの誠実だった妻が、簡単に嘘を言える女になってしまった事へも、強い怒りを覚えました。
4月8日(土)
昼過ぎの新幹線で帰ってきました。夕食は久し振りに2人で外食をして、帰りに車を止めて、キスをしようとしましたが。
『ちょっと。こんな所でやめてよ。人に見られたらどうするの?私達そんなに若くないのに。』
家に帰って風呂に入り、妻の菜月を誘うと。
『あなた。本当にごめんなさい。あれが来ちゃったの・・。』
「いつもは22日前後のはずだろ。本当なのか?」
『ええ。やっぱり更年期かな?不規則になるって聞くし。本当にごめんね。』
私はキスだけでもと思い、強引に菜月に抱き付いてキスをしようとすると、彼女は私の顔を両手で押して、キスを拒みます。
『ごめんね。その気になってしまうから。今度ね・・。』
「もういい。もう寝る。」
私が怒鳴ると、菜月は涙を流しています。《叱ったくらいで泣くなんて!妻は浮気相手を愛してしまい、私とはキスさえも嫌なのだろうか?》と思うと、嫉妬、悔しさ、怒りで体が震えました。
2015/05/04
4月1日(土)
今週はこちらに来るはずの妻の菜月(なつき)が、昼を過ぎても来ません。そして昼過ぎに電話が有り。
『あなた、ごめんなさい。行こうと思って準備していたけど、急に気分が悪くなってしまって。更年期障害かな?早い人はもう私の歳でも有るって聞くし・・。』
「そうか・・・。それより、もう子供もいないのだし、菜月もこちらで暮らさないか?離れて暮らさなくてもいいだろ?」
妻が仕事を辞めれば、今は子供達にお金が掛かるので、経済的に苦しくなるのは分かっていましたが、なぜか無性に寂しくなった私がそう言うと。
『ごめんね。それは出来ないわ。今の仕事が好きだし、今辞めると会社に迷惑も掛けてしまう。お願い、続けさせて。もう少しで、あなたも戻って来られるでしょ?』
その夜は7時に電話をしましたが、菜月は出ません。その後何回も電話しましたが、結局妻は出ず、携帯の方も電源を切られていて繋がりません。
私はどうしようもない気持ちを抱えながら、これからどうやって証拠を掴むか考えながらベッドに横になりましたが、浮かんでくるのは、菜月の白い裸体が他の男によって貫かれている姿です。妻の菜月が男に跨(またが)り、腰を振っている姿です。
4月2日(日)
やはり悔しさでとうとう眠れず、朝まで何回も電話し続けましたが、妻が電話に出たのは、もう朝の8時を過ぎていました。
「何処かに行っていたのか?夕べ9時頃に電話したが出なかったな。携帯も切られていたし。」
7時から朝まで、何回も電話した事を隠して聞くと。
『・・・ごめんなさい。あなただったの?ちょうどトイレに入っていて、電話が鳴っているので急いで出たけれど間に合わなくて。携帯が切れている?充電不足で電池が切れているのかな?見てみます。・・・それより何か急用でも有ったのですか?』
「いや。急に菜月の声が聞きたくなって・・・。」
『いい歳をして何を言っているの?変な人。』
あの誠実だった妻が、簡単に嘘を言える女になってしまった事へも、強い怒りを覚えました。
4月8日(土)
昼過ぎの新幹線で帰ってきました。夕食は久し振りに2人で外食をして、帰りに車を止めて、キスをしようとしましたが。
『ちょっと。こんな所でやめてよ。人に見られたらどうするの?私達そんなに若くないのに。』
家に帰って風呂に入り、妻の菜月を誘うと。
『あなた。本当にごめんなさい。あれが来ちゃったの・・。』
「いつもは22日前後のはずだろ。本当なのか?」
『ええ。やっぱり更年期かな?不規則になるって聞くし。本当にごめんね。』
私はキスだけでもと思い、強引に菜月に抱き付いてキスをしようとすると、彼女は私の顔を両手で押して、キスを拒みます。
『ごめんね。その気になってしまうから。今度ね・・。』
「もういい。もう寝る。」
私が怒鳴ると、菜月は涙を流しています。《叱ったくらいで泣くなんて!妻は浮気相手を愛してしまい、私とはキスさえも嫌なのだろうか?》と思うと、嫉妬、悔しさ、怒りで体が震えました。
2015/05/04
長J『失くしたもの』第1章⑤
長J『失くしたもの』第1章⑤
4月9日(日)
今日は朝から同僚に会うと嘘を言い、電話帳で調べた興信所に行きました。1件目は、どうも胡散臭そうだったので説明だけ聞いて保留にし、2件目に行くと、最初に行った所より感じが良く料金も少し安いのですが、それでも結構な金額です。今週の月曜から日曜まで頼むつもりでしたが、余りに高額で、妻の菜月(なつき)に内緒ではどうにもなりません。男と会う日が特定出来れば小額で済むと言われ、結局、次の金曜日と土曜日の2日間だけお願いしました。勿論、日曜日までずれ込めば延長してもらいます。
「さっき携帯に電話が掛かって、何か仕事上のトラブルが有ったようなので、来週は帰れない。菜月に来て欲しいが、違う支社に出向く事になるだろうから来ても会えないと思う。新幹線代も勿体無いから来週は来なくていいぞ。電話を掛ける事も出来ないかも知れないから、何か有ったら携帯に電話してくれ。」
そう言い残して、赴任先に帰りました。これで妻は自由に行動出来るはずです。
4月15日(土)
夜7時に、「奥さんが男とラブホテルに入った。」と、興信所から携帯に電話が有りました。やっと証拠を掴める喜びと、本当に妻が浮気していたという失望感が入り乱れ、急いで新幹線に飛び乗って家に帰りましたが、当然、家は真っ暗で誰もいません。すぐにでもラブホテルに行って怒鳴り込みたい心境でしたが、「十分な証拠が取れないといけないので、我慢するよう。」に興信所から指示されていて動けません。今頃妻は・・・と思うと悔しさで、眠れぬ夜を過ごしました。
4月16日(日)
菜月は朝の8時に帰ってきました。
『えっ・・・。あなた・・・どうしたの?お仕事は?』
「ああ。昨日で片付いた。それよりまた朝帰りか?一晩楽しんできたのか?俺の知らない男に跨って、一晩中腰を振っていたのか?」
『あなた。何を言っているの?違います。そんな事はしていません。』
「分かった。分かった。もういい。こんな淫乱な母親だったと知ったら、晴樹(息子)もどう思うだろうな?可哀想に。お前達は絶対に許さんからな。徹底的にやってやる。一生怨んで、きっと後悔させてやる。」
『あなた。何を言っているの?勝手に勘違いをして、晴樹に変な事を言わないでくださいね。私はただ友達の家に・・・。いったいどうしたのですか?』
「ほう。お前の友達はラブホテルを経営しているのか?」
その時、私の携帯が鳴りました。
「はい。すぐにお伺いします。」
「興信所からだ。相手の男も分かったそうだ。夕べのお前達の行動も、全て写真に写せたとさ。」
「えっ・・・。興信所?」
妻は床に座り込み、泣き出しました。
「俺は今から興信所に行ってくる。お前の両親と晴樹を呼んでおけ。お前が何処に行って何をしていたのか、写真を見ながら聞こうじゃないか。相手の男も呼んでおけよ!」
興信所で報告書と写真を受け取り、説明を聞いて帰ると、玄関に男物の靴が脱いであります。急いで部屋に入ると若い男が私に気付き、土下座しました。怒りが頂点に達していた私は、いきなり顔を蹴り上げ、仰向けに倒れた男を更に蹴る。そして、泣きながら立っている妻の菜月の頬を平手で叩き、頬を押さえて座り込んだ妻と、顔を両手で覆って、声を出して泣いている男を見て、やっと私の興奮も少し収まった。
「晴樹とお前の両親には連絡したか?」
『お願いですから、晴樹と両親には・・・。お願いです。』
「駄目だ。こんな若い奴と・・・。子供達にも、親にも、会社の仲間にも、友達にも、近所にも、お前の本当の姿を教えてやる。俺は恥を掻いてもいい。散々コケにされたのだから、これ以上落ちる所は無い。お前はこうゆう淫乱な女だと、みんなに教えてやる。今朝
まで楽しんでいたラブホテルの部屋も、SMの部屋だそうだな?いつもそうなのか?お前達がそういう趣味なのも、全てみんなに教えてやる。」
『お願い。誰にも言わないで生きていけなくなる・・。』
「生きていられなければ死んでもいいぞ。例え死んでも、みんなにはどんな女だったか教えてやる。お前の両親にも、自分達が育てた娘がどんな女なのか分からせてやる!」
私の激しい口調に妻の菜月は激しく泣きながら。
『両親の事は言わないで。お願い。お願いします。』
そして今度は相手の男(よく見ると、色白でひ弱そうな、いかにも真面目そうな男)に、
「おい。お前の住所氏名と電話番号、車の車種もナンバーも分かっているから、もう逃げても無駄だぞ。」
〔・・・はい・・・逃げた・・り・・しません・・・今日は・・・お願いが・・・。〕と泣き声で頼んでくる。
「馬鹿かお前は。お願い?お詫びだろ?・・・泣くな、聞き取り難いだろ。名前は、鈴木健一と言うのか?お前の歳と、仕事と、家族構成を聞かせろ!」
〔歳は・・24歳・・・職業は・・・中学の・・・教師を・・・。家族は・・高校生の時・・・父が死に・・・それ以来・・・小学校の教師をしている・・・母と・・・2人暮らしで・・・。〕
「まだ若かろうと、母子家庭で育とうと、中学の教師だろうと、責任はきっちり取って貰うからな。一生償わせてやる。今日はもう帰ってくれ。お前を見ていると殴りたくなる。来週お前の家に行くから、後の事はその時話をしよう。」
それから赴任先に妻も連れて戻りました。
2015/05/10
4月9日(日)
今日は朝から同僚に会うと嘘を言い、電話帳で調べた興信所に行きました。1件目は、どうも胡散臭そうだったので説明だけ聞いて保留にし、2件目に行くと、最初に行った所より感じが良く料金も少し安いのですが、それでも結構な金額です。今週の月曜から日曜まで頼むつもりでしたが、余りに高額で、妻の菜月(なつき)に内緒ではどうにもなりません。男と会う日が特定出来れば小額で済むと言われ、結局、次の金曜日と土曜日の2日間だけお願いしました。勿論、日曜日までずれ込めば延長してもらいます。
「さっき携帯に電話が掛かって、何か仕事上のトラブルが有ったようなので、来週は帰れない。菜月に来て欲しいが、違う支社に出向く事になるだろうから来ても会えないと思う。新幹線代も勿体無いから来週は来なくていいぞ。電話を掛ける事も出来ないかも知れないから、何か有ったら携帯に電話してくれ。」
そう言い残して、赴任先に帰りました。これで妻は自由に行動出来るはずです。
4月15日(土)
夜7時に、「奥さんが男とラブホテルに入った。」と、興信所から携帯に電話が有りました。やっと証拠を掴める喜びと、本当に妻が浮気していたという失望感が入り乱れ、急いで新幹線に飛び乗って家に帰りましたが、当然、家は真っ暗で誰もいません。すぐにでもラブホテルに行って怒鳴り込みたい心境でしたが、「十分な証拠が取れないといけないので、我慢するよう。」に興信所から指示されていて動けません。今頃妻は・・・と思うと悔しさで、眠れぬ夜を過ごしました。
4月16日(日)
菜月は朝の8時に帰ってきました。
『えっ・・・。あなた・・・どうしたの?お仕事は?』
「ああ。昨日で片付いた。それよりまた朝帰りか?一晩楽しんできたのか?俺の知らない男に跨って、一晩中腰を振っていたのか?」
『あなた。何を言っているの?違います。そんな事はしていません。』
「分かった。分かった。もういい。こんな淫乱な母親だったと知ったら、晴樹(息子)もどう思うだろうな?可哀想に。お前達は絶対に許さんからな。徹底的にやってやる。一生怨んで、きっと後悔させてやる。」
『あなた。何を言っているの?勝手に勘違いをして、晴樹に変な事を言わないでくださいね。私はただ友達の家に・・・。いったいどうしたのですか?』
「ほう。お前の友達はラブホテルを経営しているのか?」
その時、私の携帯が鳴りました。
「はい。すぐにお伺いします。」
「興信所からだ。相手の男も分かったそうだ。夕べのお前達の行動も、全て写真に写せたとさ。」
「えっ・・・。興信所?」
妻は床に座り込み、泣き出しました。
「俺は今から興信所に行ってくる。お前の両親と晴樹を呼んでおけ。お前が何処に行って何をしていたのか、写真を見ながら聞こうじゃないか。相手の男も呼んでおけよ!」
興信所で報告書と写真を受け取り、説明を聞いて帰ると、玄関に男物の靴が脱いであります。急いで部屋に入ると若い男が私に気付き、土下座しました。怒りが頂点に達していた私は、いきなり顔を蹴り上げ、仰向けに倒れた男を更に蹴る。そして、泣きながら立っている妻の菜月の頬を平手で叩き、頬を押さえて座り込んだ妻と、顔を両手で覆って、声を出して泣いている男を見て、やっと私の興奮も少し収まった。
「晴樹とお前の両親には連絡したか?」
『お願いですから、晴樹と両親には・・・。お願いです。』
「駄目だ。こんな若い奴と・・・。子供達にも、親にも、会社の仲間にも、友達にも、近所にも、お前の本当の姿を教えてやる。俺は恥を掻いてもいい。散々コケにされたのだから、これ以上落ちる所は無い。お前はこうゆう淫乱な女だと、みんなに教えてやる。今朝
まで楽しんでいたラブホテルの部屋も、SMの部屋だそうだな?いつもそうなのか?お前達がそういう趣味なのも、全てみんなに教えてやる。」
『お願い。誰にも言わないで生きていけなくなる・・。』
「生きていられなければ死んでもいいぞ。例え死んでも、みんなにはどんな女だったか教えてやる。お前の両親にも、自分達が育てた娘がどんな女なのか分からせてやる!」
私の激しい口調に妻の菜月は激しく泣きながら。
『両親の事は言わないで。お願い。お願いします。』
そして今度は相手の男(よく見ると、色白でひ弱そうな、いかにも真面目そうな男)に、
「おい。お前の住所氏名と電話番号、車の車種もナンバーも分かっているから、もう逃げても無駄だぞ。」
〔・・・はい・・・逃げた・・り・・しません・・・今日は・・・お願いが・・・。〕と泣き声で頼んでくる。
「馬鹿かお前は。お願い?お詫びだろ?・・・泣くな、聞き取り難いだろ。名前は、鈴木健一と言うのか?お前の歳と、仕事と、家族構成を聞かせろ!」
〔歳は・・24歳・・・職業は・・・中学の・・・教師を・・・。家族は・・高校生の時・・・父が死に・・・それ以来・・・小学校の教師をしている・・・母と・・・2人暮らしで・・・。〕
「まだ若かろうと、母子家庭で育とうと、中学の教師だろうと、責任はきっちり取って貰うからな。一生償わせてやる。今日はもう帰ってくれ。お前を見ていると殴りたくなる。来週お前の家に行くから、後の事はその時話をしよう。」
それから赴任先に妻も連れて戻りました。
2015/05/10
長J『失くしたもの』第1章⑥
長J『失くしたもの』第1章⑥
4月17日(月)
私(平井慶介)は夕べ疲れて、何も聞かずに眠りましたが、妻の菜月(なつき)は眠れな
かった様子で目が真っ赤です。
「会社には辞めると電話しておけよ。」
『ごめんなさい。許して下さい。さっき同僚に電話して・・・親戚に不幸が出来たから・・・何日か休むと・・・。』
「君は平気で嘘がつける女になったな。まあいい。俺が帰って来るまで一歩もここから出るな。」
仕事が終わり急いで帰ると、菜月はまだ泣いていましたが、そんな妻に質問を浴びせました。
「あいつと何処で知り合った?」
『彼は大学生の時に、私の勤めている会社へアルバイトに来ていました。今年の新年会で偶然隣どうしの部屋になって、彼の宴会が先に終わり、みんなとも顔見知りだったので、彼だけ私達に合流したのです。お酒も飲めないし帰りが遅くなる事も考えて、一度家に戻り、車で行っていたので、帰る方向が一緒だった彼を乗せて帰り・・・。』
「運転という事は、君がホテルに誘ったのか?」
『違います。途中、彼が〚相談に乗って欲しい事が有る〛と言ったので、路肩に車を止めて話を聞きました。彼の悩みは、〚オチンチンが小さくて風俗にも行けず、ましてや女の子と付き合う事も出来ないので未だに童貞で、将来結婚も出来ない〛と言う悩みでした。最初私は、からかわれていると思っていたのですが、彼の顔を見ると真剣で、目には涙も溜まっていました。その後、彼は泣きながら、〚私(菜月)に憧れを持っていた〛事や、〚私ならこんな事を相談しても馬鹿にしないと思って打ち明けた〛事を話して、〚男として大丈夫なのか試させて欲しい〛と言いました。』
「それで淫乱な君は、待っていましたとばかりにホテルに連れ込んだ。」
『あなた、お願い、そんな言い方しないで。当然私は強く断りました。でも、何度も何度も泣きながら、真剣に訴えてくる彼を見ている内に、何か母性本能のような物が出てきて、今ここで見せてくれて、話が本当なら考えてあげると言ってしまいました。』
「あいつは見せたのか?本当に悩むほど小さかったのか?」
『彼がズボンとパンツを一度に下げたので見てみると、あなたのしか知らない私でも、流石に他の人より小さい事が分かるぐらい、小さい事に唖然としましたが、硬くなった時はまた違うだろうから、もう元に戻すように言うと、〚試して下さい〛と言いながら私の手を掴んで、オチンチンを触らせました。性的な物からではなくて興味から、硬くなるように手でしてしまったのですが、緊張しているのか一向に硬くならないので、夢中になっていた私は彼に言われるまま、口も使ってしまい・・・。」
「口も使った?いくら母性本能からだとしても、よくそんな事が出来たな。本当は若い男としたかったのだろ?本当に小さかったのか?・・・それからどうした?」
『私、どうかしていました。ごめんなさい。ごめんなさい。・・・口でしていると硬くなって、ある程度大きくはなったのですが、それでも彼の話したとおり、硬さは有っても可也小さく、そんな事をしている内に、自分でも何をしているのか訳が分からなくなっていて、ラブホテルに行ってしまいました。部屋に入ってベッドを見た時、やはりこんな事は許される事では無いから、何もしないで出ようと思いましたが、彼を見ると〚これで大人になれる。それも、ずっと大好きだった菜月さんにしてもらえる〛と泣きながら喜んでいて、また可哀想になってしまい、関係を結んでしまいました。』
いくら可哀想でも、私にはこのような事が許せるものでは有りません。私しか知らない妻の中に入り、私しか知らない菜月の顔を、他の男に見られたのです。
2015/05/17
4月17日(月)
私(平井慶介)は夕べ疲れて、何も聞かずに眠りましたが、妻の菜月(なつき)は眠れな
かった様子で目が真っ赤です。
「会社には辞めると電話しておけよ。」
『ごめんなさい。許して下さい。さっき同僚に電話して・・・親戚に不幸が出来たから・・・何日か休むと・・・。』
「君は平気で嘘がつける女になったな。まあいい。俺が帰って来るまで一歩もここから出るな。」
仕事が終わり急いで帰ると、菜月はまだ泣いていましたが、そんな妻に質問を浴びせました。
「あいつと何処で知り合った?」
『彼は大学生の時に、私の勤めている会社へアルバイトに来ていました。今年の新年会で偶然隣どうしの部屋になって、彼の宴会が先に終わり、みんなとも顔見知りだったので、彼だけ私達に合流したのです。お酒も飲めないし帰りが遅くなる事も考えて、一度家に戻り、車で行っていたので、帰る方向が一緒だった彼を乗せて帰り・・・。』
「運転という事は、君がホテルに誘ったのか?」
『違います。途中、彼が〚相談に乗って欲しい事が有る〛と言ったので、路肩に車を止めて話を聞きました。彼の悩みは、〚オチンチンが小さくて風俗にも行けず、ましてや女の子と付き合う事も出来ないので未だに童貞で、将来結婚も出来ない〛と言う悩みでした。最初私は、からかわれていると思っていたのですが、彼の顔を見ると真剣で、目には涙も溜まっていました。その後、彼は泣きながら、〚私(菜月)に憧れを持っていた〛事や、〚私ならこんな事を相談しても馬鹿にしないと思って打ち明けた〛事を話して、〚男として大丈夫なのか試させて欲しい〛と言いました。』
「それで淫乱な君は、待っていましたとばかりにホテルに連れ込んだ。」
『あなた、お願い、そんな言い方しないで。当然私は強く断りました。でも、何度も何度も泣きながら、真剣に訴えてくる彼を見ている内に、何か母性本能のような物が出てきて、今ここで見せてくれて、話が本当なら考えてあげると言ってしまいました。』
「あいつは見せたのか?本当に悩むほど小さかったのか?」
『彼がズボンとパンツを一度に下げたので見てみると、あなたのしか知らない私でも、流石に他の人より小さい事が分かるぐらい、小さい事に唖然としましたが、硬くなった時はまた違うだろうから、もう元に戻すように言うと、〚試して下さい〛と言いながら私の手を掴んで、オチンチンを触らせました。性的な物からではなくて興味から、硬くなるように手でしてしまったのですが、緊張しているのか一向に硬くならないので、夢中になっていた私は彼に言われるまま、口も使ってしまい・・・。」
「口も使った?いくら母性本能からだとしても、よくそんな事が出来たな。本当は若い男としたかったのだろ?本当に小さかったのか?・・・それからどうした?」
『私、どうかしていました。ごめんなさい。ごめんなさい。・・・口でしていると硬くなって、ある程度大きくはなったのですが、それでも彼の話したとおり、硬さは有っても可也小さく、そんな事をしている内に、自分でも何をしているのか訳が分からなくなっていて、ラブホテルに行ってしまいました。部屋に入ってベッドを見た時、やはりこんな事は許される事では無いから、何もしないで出ようと思いましたが、彼を見ると〚これで大人になれる。それも、ずっと大好きだった菜月さんにしてもらえる〛と泣きながら喜んでいて、また可哀想になってしまい、関係を結んでしまいました。』
いくら可哀想でも、私にはこのような事が許せるものでは有りません。私しか知らない妻の中に入り、私しか知らない菜月の顔を、他の男に見られたのです。
2015/05/17
長J『失くしたもの』第1章⑦
長J『失くしたもの』第1章⑦
4月17日(月)
「そうか。君は可哀想な人なら、誰にでも股を開くのだな。可哀想な人間なんて世の中に沢山いる。今から連れて来たら、順番に相手をしてやるのか?君みたいな女と結婚した、俺が1番可哀想な人間だろ?」
妻の菜月(なつき)はただ泣くだけで何も答えません。
「本当に小さかったのか?そう言っているだけで、本当は気持ち良くて何回も達したのだろ?君の話は信用出来ないからな。」
『最初は彼(服部)に自信を付けさせようと思って、感じなくても演技するつもりでした。でも彼のアレが小さいので、スキンが緩くて外れないか気になっている間に、1人興奮していた彼は出してしまいました。私は達しませんでした。本当です。』
自分の物で私(妻)を感じさせる事が出来ずに、すぐに出してしまった彼の失望は相当なもので、〚もう1度だけ付き合って欲しい。〛と、泣きながら頼んでくる彼が可哀想になり、また会う約束をしてしまったそうです。
本当に母性本能からだったにしても、当然妻と相手の男(鈴木)を許す事は出来ません。まだ聞きたい事も山ほど有りましたが、菜月が裸で若い男に手ほどきをしている姿が浮かび、耐えられなくなったので、今日はここまでにしました。
4月18日(火)
この日も会社から帰ると私(平井慶介)は妻の菜月に質問責めでした。
「あいつと何回会った?会う度にしていたのか?」
『・・・20回以上は・・・でも、毎回ラブホテルに行っていた訳ではありません。ホテルに行っても悩みを聞いてあげたりするだけで、関係を持つ事はほとんど無かったのです。』
「朝帰りの時も?違うだろ。」
『・・・はい・・・その時はセックスもしました。でも、彼はすぐに出してしまって、10分程度の行為です。勿論私は達する事もありません。いい訳にはならないけれど本当です。ごめんなさい。許してください。』
「歳が可也上だと言っても、若い男が女と一晩一緒にいてそれで済むのか?言ってみろ。」
『・・・本当です。あとはほとんど話をしていて・・・ただ眠る時は、彼が安心出来るからと言うので、抱き締めてあげて寝た事もありましたが、それも裸ではありません。私も彼も下着を着けて、浴衣も着ていました。』
「本当か?SMの部屋で?信用出来ないな?」
『ごめんなさい。本当です。あの日はあの部屋しか開いて無くて・・・入ってみて、彼も私も驚きました。・・・私は彼の事を息子のように思って・・・彼には恋愛感情などありません。それだけは信じて下さい。もう二度と会いません。許して下さい。』
妻を許した訳ではありませんが、彼で達しなかった事やほとんどセックスもしていない事、また『恋愛感情も無かった』と聞いて、何故かほっとしている自分に気付きました。まだ妻を愛していて離婚は考えられなかった上に、今の話を聞いて怒りも少し収まり、心の中ではこの時点で、許さなければ仕方ないと思いました。
「最後に聞くが、菜月はこれから、俺との関係をどうするつもりだ?」
『もう二度と裏切りません。都合のいい考えだけれど、このまま夫婦でいたいです。一生を掛けて償わせて下さい。怨まれたままでもいいから、夫婦でいたいです。お願いします。』
「俺は一生この事を忘れないだろう。度々思い出して、色々な仕打ちもするだろう。それでもいいのか?」
『どんな事をされても、私が悪いのだから喜んで罰を受けます。どんな事をされても、どんなに怨まれてもいいから、お願いします。お願いします。』
妻の菜月を許す事にしても、彼に対する怒りは妻の比では無いので、後は相手との決着をどう付けるかという事で頭がいっぱいです。
2015/05/21
4月17日(月)
「そうか。君は可哀想な人なら、誰にでも股を開くのだな。可哀想な人間なんて世の中に沢山いる。今から連れて来たら、順番に相手をしてやるのか?君みたいな女と結婚した、俺が1番可哀想な人間だろ?」
妻の菜月(なつき)はただ泣くだけで何も答えません。
「本当に小さかったのか?そう言っているだけで、本当は気持ち良くて何回も達したのだろ?君の話は信用出来ないからな。」
『最初は彼(服部)に自信を付けさせようと思って、感じなくても演技するつもりでした。でも彼のアレが小さいので、スキンが緩くて外れないか気になっている間に、1人興奮していた彼は出してしまいました。私は達しませんでした。本当です。』
自分の物で私(妻)を感じさせる事が出来ずに、すぐに出してしまった彼の失望は相当なもので、〚もう1度だけ付き合って欲しい。〛と、泣きながら頼んでくる彼が可哀想になり、また会う約束をしてしまったそうです。
本当に母性本能からだったにしても、当然妻と相手の男(鈴木)を許す事は出来ません。まだ聞きたい事も山ほど有りましたが、菜月が裸で若い男に手ほどきをしている姿が浮かび、耐えられなくなったので、今日はここまでにしました。
4月18日(火)
この日も会社から帰ると私(平井慶介)は妻の菜月に質問責めでした。
「あいつと何回会った?会う度にしていたのか?」
『・・・20回以上は・・・でも、毎回ラブホテルに行っていた訳ではありません。ホテルに行っても悩みを聞いてあげたりするだけで、関係を持つ事はほとんど無かったのです。』
「朝帰りの時も?違うだろ。」
『・・・はい・・・その時はセックスもしました。でも、彼はすぐに出してしまって、10分程度の行為です。勿論私は達する事もありません。いい訳にはならないけれど本当です。ごめんなさい。許してください。』
「歳が可也上だと言っても、若い男が女と一晩一緒にいてそれで済むのか?言ってみろ。」
『・・・本当です。あとはほとんど話をしていて・・・ただ眠る時は、彼が安心出来るからと言うので、抱き締めてあげて寝た事もありましたが、それも裸ではありません。私も彼も下着を着けて、浴衣も着ていました。』
「本当か?SMの部屋で?信用出来ないな?」
『ごめんなさい。本当です。あの日はあの部屋しか開いて無くて・・・入ってみて、彼も私も驚きました。・・・私は彼の事を息子のように思って・・・彼には恋愛感情などありません。それだけは信じて下さい。もう二度と会いません。許して下さい。』
妻を許した訳ではありませんが、彼で達しなかった事やほとんどセックスもしていない事、また『恋愛感情も無かった』と聞いて、何故かほっとしている自分に気付きました。まだ妻を愛していて離婚は考えられなかった上に、今の話を聞いて怒りも少し収まり、心の中ではこの時点で、許さなければ仕方ないと思いました。
「最後に聞くが、菜月はこれから、俺との関係をどうするつもりだ?」
『もう二度と裏切りません。都合のいい考えだけれど、このまま夫婦でいたいです。一生を掛けて償わせて下さい。怨まれたままでもいいから、夫婦でいたいです。お願いします。』
「俺は一生この事を忘れないだろう。度々思い出して、色々な仕打ちもするだろう。それでもいいのか?」
『どんな事をされても、私が悪いのだから喜んで罰を受けます。どんな事をされても、どんなに怨まれてもいいから、お願いします。お願いします。』
妻の菜月を許す事にしても、彼に対する怒りは妻の比では無いので、後は相手との決着をどう付けるかという事で頭がいっぱいです。
2015/05/21
長J『失くしたもの』第1章⑧
長J『失くしたもの』第1章⑧
4月22日(土)
今日の午後、鈴木健一と話し合うために妻の菜月(なつき)と朝早く赴任先を発ち、午前中に家に着きました。妻を家に残して、私(平井慶介)1人で鈴木の家に行くつもりでしたが、彼から電話があって、〚謝罪に行きたい。〛と申し出がありました。私は彼が言うように、謝罪する方が来るのが礼儀だと思い、提案を受け入れました。
午後1時位に鈴木はやって来ましたが、私が上がるように言っても、土間で土下座をしたまま顔も上げません。どうにか部屋に通しても、妻の菜月とは目を合わせる事も無く、また土下座をして謝罪の言葉を繰り返しています。妻も彼と目を合わせる事も無いのですが、時々心配そうな目で、彼の方を見る事はありました。
私は彼が少しでも逆らったり、逆切れしたりした時は勤務している学校へも行き、徹底的にやるつもりでしたが、私がどんなに罵声を浴びせても、その度に謝罪する姿を見ていて、彼の事を許さなければ仕方が無いのかと思い始めていました。
〚お金で済む問題とは思っていませんが、ここに百万預かってきました。もう二度と連絡もとりません。会う事もしません。約束しますのでどうか今回の事はこれで許して下さい。お願いします。誓約書も書きます。お願いします。〛
「預かってきた?」
〚いいえ、違います。緊張していて言い間違いました。すみません。〛
教師になって1、2年で百万円は、楽な金額では無いと思い、誠実さも少し分かって、彼を許さなければ仕方ないと思いました。
4月23日(日)
許したと言っても、やはり妻と彼の事が気になり、今日も朝から質問ばかりしていました。
「どうして俺とはキスすら拒んだ?」
『ごめんなさい。どんな理由があっても私の身体は汚れてしまいました。こんな身体では申し訳なくて。あなたに悪くて・・・それで・・・。』
菜月は質問する度に泣いて謝りましたが、気になる事は全て聞いて、早く忘れるように努力しようと思います。
4月29日(土・祝)
今日は祭日(昭和の日)ですが、赴任先のマンションに1人でいます。自宅には連休後半の5月2日(火)の夜に戻るつもりです。結局、妻の菜月には、勤めを続けさせる事にしました。仕事を続けさせる事は、経済的な理由も有りましたが、妻の精神的な事も考えて、今までの生活に戻るのが1番良いと判断したからです。あの時は興奮して、「子供や両親に全て話す。」と言いましたが、それをしてしまっては妻の居場所が無くなり、本当に死んでしまい兼ねないのと思ったからです。
昼ごろ自宅へ電話をしましたが、妻は出なかったので携帯に電話すると、そこは浮気していた時に聞こえていたのと同じBGMが聞こえています。
「今何処にいる?また会っているのじゃ無いだろうな?」
『違います。連絡したとおり今日は仕事です。今昼休みで近くの喫茶店にみんなで来ています。本当です。信じてください。信用出来ないのなら、今課長と代わります。』
「いや。そこまではいい。」
自分が休みだったので、妻が休日出勤なのを忘れていました。それでも念の為に鈴木から聞いておいた携帯に電話すると、〚今日は子供達の部活を看ている。〛と言われ、確かに子供達の声も聞こえていました。妻を1人残してきても、妻の様子とあの男の態度を見る限り、接触を持つ事は無いと信じている積もりでしたが、まだ日が浅いせいか完全には信用出来ないでいます。
2015/05/25
4月22日(土)
今日の午後、鈴木健一と話し合うために妻の菜月(なつき)と朝早く赴任先を発ち、午前中に家に着きました。妻を家に残して、私(平井慶介)1人で鈴木の家に行くつもりでしたが、彼から電話があって、〚謝罪に行きたい。〛と申し出がありました。私は彼が言うように、謝罪する方が来るのが礼儀だと思い、提案を受け入れました。
午後1時位に鈴木はやって来ましたが、私が上がるように言っても、土間で土下座をしたまま顔も上げません。どうにか部屋に通しても、妻の菜月とは目を合わせる事も無く、また土下座をして謝罪の言葉を繰り返しています。妻も彼と目を合わせる事も無いのですが、時々心配そうな目で、彼の方を見る事はありました。
私は彼が少しでも逆らったり、逆切れしたりした時は勤務している学校へも行き、徹底的にやるつもりでしたが、私がどんなに罵声を浴びせても、その度に謝罪する姿を見ていて、彼の事を許さなければ仕方が無いのかと思い始めていました。
〚お金で済む問題とは思っていませんが、ここに百万預かってきました。もう二度と連絡もとりません。会う事もしません。約束しますのでどうか今回の事はこれで許して下さい。お願いします。誓約書も書きます。お願いします。〛
「預かってきた?」
〚いいえ、違います。緊張していて言い間違いました。すみません。〛
教師になって1、2年で百万円は、楽な金額では無いと思い、誠実さも少し分かって、彼を許さなければ仕方ないと思いました。
4月23日(日)
許したと言っても、やはり妻と彼の事が気になり、今日も朝から質問ばかりしていました。
「どうして俺とはキスすら拒んだ?」
『ごめんなさい。どんな理由があっても私の身体は汚れてしまいました。こんな身体では申し訳なくて。あなたに悪くて・・・それで・・・。』
菜月は質問する度に泣いて謝りましたが、気になる事は全て聞いて、早く忘れるように努力しようと思います。
4月29日(土・祝)
今日は祭日(昭和の日)ですが、赴任先のマンションに1人でいます。自宅には連休後半の5月2日(火)の夜に戻るつもりです。結局、妻の菜月には、勤めを続けさせる事にしました。仕事を続けさせる事は、経済的な理由も有りましたが、妻の精神的な事も考えて、今までの生活に戻るのが1番良いと判断したからです。あの時は興奮して、「子供や両親に全て話す。」と言いましたが、それをしてしまっては妻の居場所が無くなり、本当に死んでしまい兼ねないのと思ったからです。
昼ごろ自宅へ電話をしましたが、妻は出なかったので携帯に電話すると、そこは浮気していた時に聞こえていたのと同じBGMが聞こえています。
「今何処にいる?また会っているのじゃ無いだろうな?」
『違います。連絡したとおり今日は仕事です。今昼休みで近くの喫茶店にみんなで来ています。本当です。信じてください。信用出来ないのなら、今課長と代わります。』
「いや。そこまではいい。」
自分が休みだったので、妻が休日出勤なのを忘れていました。それでも念の為に鈴木から聞いておいた携帯に電話すると、〚今日は子供達の部活を看ている。〛と言われ、確かに子供達の声も聞こえていました。妻を1人残してきても、妻の様子とあの男の態度を見る限り、接触を持つ事は無いと信じている積もりでしたが、まだ日が浅いせいか完全には信用出来ないでいます。
2015/05/25
長J『失くしたもの』第1章⑨
長J『失くしたもの』第1章⑨
5月7日(日)
今年のゴールデンウイークは、カレンダーどおりの休みしか無かったので、いま赴任先のマンションに戻ってきました。2日の夜には息子も帰ってきて、久し振りに親子3人が揃い、妻(菜月)の一件も忘れて楽しい時をすごし、昨日(6日)、息子は戻って行ったので昼間から妻を誘うと、菜月(なつき)は泣き出しそうな顔で頷きましたが、そのような彼女を見て、結局私(平井慶介)がその気になりませんでした。妻に対して嫌悪感のような物があり、菜月を抱ける日が来るのかと少し不安です。
5月12日(金)
仕事から帰ると菜月から電話が有り。
『あなた、ごめんなさい。明日(土曜日)も仕事になってしまいました。明日帰ってきても留守にしていると思います。出来る限り早く帰りますので、お願いします。』
「また休日出勤か?ここのところ、いつ電話しても残業で帰りが遅いみたいだし、お前また変な事をしてないだろうな?」
『本当に仕事です。あなたが心配するような事ばかりでごめんなさい。今凄く忙しくて・・・。あの時に休んでしまって迷惑を掛けているので、断り難くて・・・。』
「仕事なら仕方ないが、俺はまだ完全に信用出来ないでいる。本当に反省しているなら、俺に疑いを持たせるような事は出来るだけはするな。明日の朝帰るから、仕事が終わり次第帰って来いよ。」
『ごめんなさい。早く帰ります。』
土曜日に妻がいないのなら、帰らないでおこうかと思いましたが、菜月を見ないと何か不安で、帰る事にしました。
5月13日(土)
昼前に家へ着いたので、途中のコンビニで買った弁当を食べていると、妻から電話が有り。
『あなた、お昼は何を食べています?コンビニのお弁当?ごめんなさいね。こちらに帰ってきてもそのような物を食べさせて。今課長に誘われて近くの喫茶店で食事しているのですが、残業や休日出勤の事を相談してみたら、あなたに話しがしたいと言うので代わります。』
〔ご主人ですか?課長の野田(真人)と申します。奥様には大変お世話になっております。実はここ数年、新規採用を抑えていたのでどの部署も人手不足になり、残業をしないとどうにも成らない状態でして、お恥ずかしいのですが特にうちの部署が遅れていて、休日出勤までお願いした次第です。ご主人には悪いと思いながらも、ついお願いしてしまいまし
た。ご主人の不満も分かりますが、どうかご無理を願えないかと・・・。ご主人の会社はど
うですか?〕
「私の所も同じで、サービス残業ばかりしております。お聞きとは思いますが、単身赴任をしておりますので、つい不満を言ってしまい恥ずかしい限りです。私もサラリーマンですので事情は分かります。妻のような者で良ければ、宜しくお願いします。わざわざ電話頂き、ありがとうございました。」
私が家に戻って来る時は菜月にいて欲しいのですが、妻の上司から言われれば、こう答える他ありません。菜月が本当に仕事だと分かり、少し気持ちが落ち着きました。妻は午後7時に帰って来たのですが、疲れているのか元気が無く、外食を勧めましたが、『夕食ぐらい手料理を食べてもらいます。』と言って、すぐにキッチンへ行ってしまいました。
2015/05/28
5月7日(日)
今年のゴールデンウイークは、カレンダーどおりの休みしか無かったので、いま赴任先のマンションに戻ってきました。2日の夜には息子も帰ってきて、久し振りに親子3人が揃い、妻(菜月)の一件も忘れて楽しい時をすごし、昨日(6日)、息子は戻って行ったので昼間から妻を誘うと、菜月(なつき)は泣き出しそうな顔で頷きましたが、そのような彼女を見て、結局私(平井慶介)がその気になりませんでした。妻に対して嫌悪感のような物があり、菜月を抱ける日が来るのかと少し不安です。
5月12日(金)
仕事から帰ると菜月から電話が有り。
『あなた、ごめんなさい。明日(土曜日)も仕事になってしまいました。明日帰ってきても留守にしていると思います。出来る限り早く帰りますので、お願いします。』
「また休日出勤か?ここのところ、いつ電話しても残業で帰りが遅いみたいだし、お前また変な事をしてないだろうな?」
『本当に仕事です。あなたが心配するような事ばかりでごめんなさい。今凄く忙しくて・・・。あの時に休んでしまって迷惑を掛けているので、断り難くて・・・。』
「仕事なら仕方ないが、俺はまだ完全に信用出来ないでいる。本当に反省しているなら、俺に疑いを持たせるような事は出来るだけはするな。明日の朝帰るから、仕事が終わり次第帰って来いよ。」
『ごめんなさい。早く帰ります。』
土曜日に妻がいないのなら、帰らないでおこうかと思いましたが、菜月を見ないと何か不安で、帰る事にしました。
5月13日(土)
昼前に家へ着いたので、途中のコンビニで買った弁当を食べていると、妻から電話が有り。
『あなた、お昼は何を食べています?コンビニのお弁当?ごめんなさいね。こちらに帰ってきてもそのような物を食べさせて。今課長に誘われて近くの喫茶店で食事しているのですが、残業や休日出勤の事を相談してみたら、あなたに話しがしたいと言うので代わります。』
〔ご主人ですか?課長の野田(真人)と申します。奥様には大変お世話になっております。実はここ数年、新規採用を抑えていたのでどの部署も人手不足になり、残業をしないとどうにも成らない状態でして、お恥ずかしいのですが特にうちの部署が遅れていて、休日出勤までお願いした次第です。ご主人には悪いと思いながらも、ついお願いしてしまいまし
た。ご主人の不満も分かりますが、どうかご無理を願えないかと・・・。ご主人の会社はど
うですか?〕
「私の所も同じで、サービス残業ばかりしております。お聞きとは思いますが、単身赴任をしておりますので、つい不満を言ってしまい恥ずかしい限りです。私もサラリーマンですので事情は分かります。妻のような者で良ければ、宜しくお願いします。わざわざ電話頂き、ありがとうございました。」
私が家に戻って来る時は菜月にいて欲しいのですが、妻の上司から言われれば、こう答える他ありません。菜月が本当に仕事だと分かり、少し気持ちが落ち着きました。妻は午後7時に帰って来たのですが、疲れているのか元気が無く、外食を勧めましたが、『夕食ぐらい手料理を食べてもらいます。』と言って、すぐにキッチンへ行ってしまいました。
2015/05/28
長J『失くしたもの』第2章① 10
長J『失くしたもの』第2章① 10
5月14日(日)
昨夜の妻(菜月)は夕食の片付けが終わると『今日は疲れた。』と言い、お風呂に入るとほとんど話らしい話もしないで、謝りながらベッドに入って寝てしまいました。今朝起きてからも、私(平井慶介)の持ち帰った衣類を洗濯したりしていて、私と同じ部屋には一緒にいないので、話どころか顔も見せません。
昼食の時、やっと菜月(なつき)と話が出来たのですが、私の話には上の空でやはり元気が有りません。
「大丈夫か?凄く疲れているみたいだな。」
『大丈夫です。少し疲れているだけですから。それよりも・・・あなたに・・・お話が・・。やはりいいです。ごめんなさい。』
「なんだ?言い掛けて気持ちの悪い。もう、大抵の事では驚かないから言ってみろ!」
『このような事をしてしまって言い辛かったので、諦めていたのですが、今度の土曜日に温泉で私の行っていた女子高のクラス会があるのです。このような事をしてしまい断ったのですが、昨日、紀子から電話があって、〚菜月が行かないなら面白く無いのでわたし(紀子)も行かないと言われて・・・まだ間に合うから一緒に行こう。〛と言われて・・・いいえ。ごめんなさい。今の私は行ける立場ではありませんでした。忘れてください。・・・ごめんなさい。』
そう言われると、私は逆に寛大なところを見せてしまい。
「俺も知っている親友の紀子さんだろ?行ってくればいいじゃないか。菜月も疲れているようだし、気分転換になるだろ?行って来いよ。」
『いいの?ありがとう。ごめんんなさい。』菜月は一瞬だけほっとした顔になります。
妻はこの事が気になっていて、気持ちが沈んでいたのだと思いましたが、本当に疲れているのか、私が行く事を許してもなお元気がありませんでした。その後も、私と目を合わさない事が気になりました。
5月17日(水)
今日は少し早く帰れたので妻に電話をしましたが、やはり菜月は元気が無く。
「どうした?一度医者にでも見てもらった方が良くないか?」
『大丈夫です。仕事の事で少し悩みがあって・・・それで少し・・・ごめんなさい。』
「それならいいが、クラス会は大丈夫か?行けるのか?」
『はい・・・行けます・・・身体はどうもありません。ありがとう・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・心配掛けて・・・ごめんなさい・・・。』と最後は涙声。
「なんだ?泣いているのか?」
『あなたが優しいから・・・ご、ごめんなさい・・・。』
妻の菜月が泣いた訳は本当に優しくされたからでは無くて、何か私に隠し事をしている罪悪感から泣いたような気がしてなりません。電話をして余計に心配になりました。
5月19日(金)
まさかとは思いましたが、鈴木健一君の携帯に電話してしまいました。
「君に聞きたい事があるので明日の夜会えないか?」
〚その節はすみませんでした。何か・・・。〛
「いや。今回の事とは関係が無いのだが、君の勤めている中学に偶然知人の子供が通っていて、その子の事で相談したい事が・・・。」
〚虐めか何かですか?それなら明日でも明後日でもいつでもご都合の良い時間を言って下さい。〛
「・・・いや、やめておく。まだ知人に頼まれた訳ではないので、はっきりしてからにするよ。」
鈴木君に話した事は勿論全部嘘です。また妻の菜月を疑い出していた私は、もしかすると彼と温泉に行くのでは無いかと思い、鈴木君の反応を見たかっただけですが、彼の返答から、明日妻と会う事は無いと確信をしました。
2015/06/02
5月14日(日)
昨夜の妻(菜月)は夕食の片付けが終わると『今日は疲れた。』と言い、お風呂に入るとほとんど話らしい話もしないで、謝りながらベッドに入って寝てしまいました。今朝起きてからも、私(平井慶介)の持ち帰った衣類を洗濯したりしていて、私と同じ部屋には一緒にいないので、話どころか顔も見せません。
昼食の時、やっと菜月(なつき)と話が出来たのですが、私の話には上の空でやはり元気が有りません。
「大丈夫か?凄く疲れているみたいだな。」
『大丈夫です。少し疲れているだけですから。それよりも・・・あなたに・・・お話が・・。やはりいいです。ごめんなさい。』
「なんだ?言い掛けて気持ちの悪い。もう、大抵の事では驚かないから言ってみろ!」
『このような事をしてしまって言い辛かったので、諦めていたのですが、今度の土曜日に温泉で私の行っていた女子高のクラス会があるのです。このような事をしてしまい断ったのですが、昨日、紀子から電話があって、〚菜月が行かないなら面白く無いのでわたし(紀子)も行かないと言われて・・・まだ間に合うから一緒に行こう。〛と言われて・・・いいえ。ごめんなさい。今の私は行ける立場ではありませんでした。忘れてください。・・・ごめんなさい。』
そう言われると、私は逆に寛大なところを見せてしまい。
「俺も知っている親友の紀子さんだろ?行ってくればいいじゃないか。菜月も疲れているようだし、気分転換になるだろ?行って来いよ。」
『いいの?ありがとう。ごめんんなさい。』菜月は一瞬だけほっとした顔になります。
妻はこの事が気になっていて、気持ちが沈んでいたのだと思いましたが、本当に疲れているのか、私が行く事を許してもなお元気がありませんでした。その後も、私と目を合わさない事が気になりました。
5月17日(水)
今日は少し早く帰れたので妻に電話をしましたが、やはり菜月は元気が無く。
「どうした?一度医者にでも見てもらった方が良くないか?」
『大丈夫です。仕事の事で少し悩みがあって・・・それで少し・・・ごめんなさい。』
「それならいいが、クラス会は大丈夫か?行けるのか?」
『はい・・・行けます・・・身体はどうもありません。ありがとう・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・心配掛けて・・・ごめんなさい・・・。』と最後は涙声。
「なんだ?泣いているのか?」
『あなたが優しいから・・・ご、ごめんなさい・・・。』
妻の菜月が泣いた訳は本当に優しくされたからでは無くて、何か私に隠し事をしている罪悪感から泣いたような気がしてなりません。電話をして余計に心配になりました。
5月19日(金)
まさかとは思いましたが、鈴木健一君の携帯に電話してしまいました。
「君に聞きたい事があるので明日の夜会えないか?」
〚その節はすみませんでした。何か・・・。〛
「いや。今回の事とは関係が無いのだが、君の勤めている中学に偶然知人の子供が通っていて、その子の事で相談したい事が・・・。」
〚虐めか何かですか?それなら明日でも明後日でもいつでもご都合の良い時間を言って下さい。〛
「・・・いや、やめておく。まだ知人に頼まれた訳ではないので、はっきりしてからにするよ。」
鈴木君に話した事は勿論全部嘘です。また妻の菜月を疑い出していた私は、もしかすると彼と温泉に行くのでは無いかと思い、鈴木君の反応を見たかっただけですが、彼の返答から、明日妻と会う事は無いと確信をしました。
2015/06/02
長J『失くしたもの』第2章② 11
長J『失くしたもの』第2章② 11
5月20日(土)
私(平井慶介)は、あれからずっと妻の菜月(なつき)の事を考えていましたが、考えれば考えるほど悪い方に考えてしまいます。妻のプライベートな関係では、いい歳をして嫉妬深い男と思われないかと、ほとんど詮索した事は有りませんでしたが、今はそのような事を言っていられる心境ではなく、夜、菜月に電話を掛けました。
「身体の調子はどうだ?楽しくやっているか?紀子さんとはもう何年も会っていないから変わっただろうな。携帯で写真を撮って送ってくれないか?菜月のもカメラ付きだったよな?」
『・・・はい?・・・写真ですか?・・・分かり・・ました。』
菜月の声は相変わらず沈んでいました。数分して写メが送られてきましたが、それは、旅館の部屋らしい所で写っている、浴衣を着た妻一人の物です。浴衣姿の菜月は私が見ても色っぽく、しばらく見入っていましたが、やはり妻1人なのは納得出来ずに電話しました。
『ごめんなさい。みんなで撮ろうと思ったのですが、温泉に入ってみんなスッピンなので断られてしまって・・・ごめんなさい。』
電話を切ってからもう一度菜月の写真を見ると、画像が良く無くはっきりは見えませんが、妻は化粧をしているようです。一層不信感が募り、明日日帰りで帰る事にしました。
5月21日(日)
朝1番の新幹線で帰り、東京駅から鈴木健一君に電話をして、「先日の件で相談に乗って欲しい。」と嘘をついて来てもらう事にしました。家に着くと鈴木君は既に来ていて、車の中で待っていました。妻が彼と一緒で無い事は分かりましたが、妻が塞ぎ込んでいる訳を知っているのでは無いかと、家の中に入ってもらいました。
あの誠実だった妻が浮気をした事は今でも信じられません。その菜月が鈴木君と別れてすぐに、違う相手と浮気する事は無いと思っていましたが、色々質問しても彼の返答は弱弱しく、俯いたままなので、何か隠していると思い。私は勝負に出た。
「何か隠しているな?そうか、分かった。今までの事を教育委員会に行って話して来る。」
〚それだけは止めてください。お願いします。女手1つで育ててくれた母を失望させたくありません。お願いします。それだけは・・・。〛
「それなら話せ。妻の事で隠している事があるだろ?話してくれればそのような事はしない。」
鈴木君は泣き出してしまいます。
〚すみません。嘘をついていました。・・・私は奥さんと浮気していません。〛
「浮気していない?どういう事だ?訳が分からん。正直に話せ。」
〚実はある人に頼まれて・・・。たぶん奥さんは今その人と・・・。〛
「でもお前と妻がラブホテルに入るところも、出てくるところも興信所が写真に・・・?」
〚その人に頼まれて奥さんを迎えに行き、少ししてから私はその人の車で帰り、また朝に迎えに行って送り、その人は後から自分の車で帰りました。〛
「本当か?まだ信用出来ない。部屋のキーも受け取り、一緒にエレベーターに乗って行ったと、興信所から聞いている。」
〚奥さん1人では恥ずかしいだろうから部屋まで送って、その人が来るまで待つように言われていました。〛
「どうしてその様に手の込んだ事を?」
〚ご主人が疑い出したと奥さんが言われたそうで、探偵でも付けられていると困るからと
言って。もしもの時自分は助かるようにしたのだと思います。奥さんは、私が送り迎えをしていた本当の理由は知らないはずです。〛
「その男は誰だ?どうして教師のお前がそこまでした?」
〚その人の名前と、理由は言えません。ごめんなさい。母を悲しませてしまう。私の口から、それだけは言えません。ごめんなさい。許して下さい。〛
鈴木君が走って出て行った後、1人残された私は失望と悲しみで声を出して泣きましたが、やがて悲しみは怒りに変わりました。
2015/06/10
5月20日(土)
私(平井慶介)は、あれからずっと妻の菜月(なつき)の事を考えていましたが、考えれば考えるほど悪い方に考えてしまいます。妻のプライベートな関係では、いい歳をして嫉妬深い男と思われないかと、ほとんど詮索した事は有りませんでしたが、今はそのような事を言っていられる心境ではなく、夜、菜月に電話を掛けました。
「身体の調子はどうだ?楽しくやっているか?紀子さんとはもう何年も会っていないから変わっただろうな。携帯で写真を撮って送ってくれないか?菜月のもカメラ付きだったよな?」
『・・・はい?・・・写真ですか?・・・分かり・・ました。』
菜月の声は相変わらず沈んでいました。数分して写メが送られてきましたが、それは、旅館の部屋らしい所で写っている、浴衣を着た妻一人の物です。浴衣姿の菜月は私が見ても色っぽく、しばらく見入っていましたが、やはり妻1人なのは納得出来ずに電話しました。
『ごめんなさい。みんなで撮ろうと思ったのですが、温泉に入ってみんなスッピンなので断られてしまって・・・ごめんなさい。』
電話を切ってからもう一度菜月の写真を見ると、画像が良く無くはっきりは見えませんが、妻は化粧をしているようです。一層不信感が募り、明日日帰りで帰る事にしました。
5月21日(日)
朝1番の新幹線で帰り、東京駅から鈴木健一君に電話をして、「先日の件で相談に乗って欲しい。」と嘘をついて来てもらう事にしました。家に着くと鈴木君は既に来ていて、車の中で待っていました。妻が彼と一緒で無い事は分かりましたが、妻が塞ぎ込んでいる訳を知っているのでは無いかと、家の中に入ってもらいました。
あの誠実だった妻が浮気をした事は今でも信じられません。その菜月が鈴木君と別れてすぐに、違う相手と浮気する事は無いと思っていましたが、色々質問しても彼の返答は弱弱しく、俯いたままなので、何か隠していると思い。私は勝負に出た。
「何か隠しているな?そうか、分かった。今までの事を教育委員会に行って話して来る。」
〚それだけは止めてください。お願いします。女手1つで育ててくれた母を失望させたくありません。お願いします。それだけは・・・。〛
「それなら話せ。妻の事で隠している事があるだろ?話してくれればそのような事はしない。」
鈴木君は泣き出してしまいます。
〚すみません。嘘をついていました。・・・私は奥さんと浮気していません。〛
「浮気していない?どういう事だ?訳が分からん。正直に話せ。」
〚実はある人に頼まれて・・・。たぶん奥さんは今その人と・・・。〛
「でもお前と妻がラブホテルに入るところも、出てくるところも興信所が写真に・・・?」
〚その人に頼まれて奥さんを迎えに行き、少ししてから私はその人の車で帰り、また朝に迎えに行って送り、その人は後から自分の車で帰りました。〛
「本当か?まだ信用出来ない。部屋のキーも受け取り、一緒にエレベーターに乗って行ったと、興信所から聞いている。」
〚奥さん1人では恥ずかしいだろうから部屋まで送って、その人が来るまで待つように言われていました。〛
「どうしてその様に手の込んだ事を?」
〚ご主人が疑い出したと奥さんが言われたそうで、探偵でも付けられていると困るからと
言って。もしもの時自分は助かるようにしたのだと思います。奥さんは、私が送り迎えをしていた本当の理由は知らないはずです。〛
「その男は誰だ?どうして教師のお前がそこまでした?」
〚その人の名前と、理由は言えません。ごめんなさい。母を悲しませてしまう。私の口から、それだけは言えません。ごめんなさい。許して下さい。〛
鈴木君が走って出て行った後、1人残された私は失望と悲しみで声を出して泣きましたが、やがて悲しみは怒りに変わりました。
2015/06/10
長J『失くしたもの』第2章③ 12
長J『失くしたもの』第2章③ 12
5月21日(日)
妻の菜月(なつき)は夜10時に帰ってきて私に驚き、何か言い掛けましたが私(平井慶介)が思い切り頬を張ると、全てがばれた事を悟ったのか泣き崩れましたが、更に服を剥ぎ取ろうとすると、狂ったように泣きながらそれを拒みました。
「誰と温泉に行っていた?!お前がその様な女だったとは。嘘で固めて裏切り続けやがって!汚れた身体を見せてみろ!クソー!」そう言いつつ、ブラウスと黒いブラジャーを剥
ぎ取ると、乳房に何箇所かキスマークや噛まれた痕のような物が赤く残っています。さら
によく見ると、手首や足首も微かに赤くなっていたので、私の脳裏には、温泉旅館の部屋で、菜月が縛られた格好で顔も分からない男に責められている姿が浮かび、悔しくて、また妻を平手で殴りました。
5月22日(月)
2時間以上も私は妻の菜月に罵声を浴びせ続けていて、正気に戻ったのは0時を過ぎていました。菜月の顔を見ると当然に腫れていて、口の中を切って唇から血が垂れています。少し落ち着いた私はハンカチを出して血を拭き取るように言い、問い正しました。
「相手は誰だ?そいつも徹底的にやってやる!相手の名前を言え!」
妻も2時間泣き続けたので少し落ち着いたのか、涙は流していますが割と冷静な口調で。
『ごめんなさい。彼の名前だけは言えません。ごめんなさい!ごめんなさい!』
「まだ、そいつを庇うのか?頭に来た!」
また手は上げましたが腫れた顔を見て、もう殴れませんでした。
『それだけは言えません。どのような罰も受けます。許して下さい。彼の事だけは言えません。』
「そうか。それならどの様な手を使っても必ず調べて、そいつを地獄に落としてやる。」
私は聞きたい事がまだ沢山あったのですが、妻の菜月がまた激しく泣き出したので、落ち着くのを待ち、質問を再開する。
「相手の事は置いておいて、どうしてあの先生と浮気したと嘘をついた?どうしてあのようにスラスラと嘘をつけた?正直に話せ。」
『それは・・・彼が・・・。』
「話を聞いても聞かなくても、もう菜月とは終わりかもしれない。でも知りたい。」
『別れるのは嫌です。許して下さい。離婚は嫌です。ごめんなさい!ごめんなさい!』
「それなら尚の事、正直に話してくれ。」
菜月はぽつりぽつりと語りだす。『彼は・・以前奥様に浮気された事があって、奥様が相手を愛してしまった事、相手とのセックスが気持ち良かった事、会う度に何度も関係を持った事を聞き出し、凄くショックを受けた。』
『あなたが興信所に行っている間、先生(鈴木健一)のが小さくて感じなかった事や、同情からで相手を愛していない事、会ってもあまり関係を持たなかった事にすれば、あなたは必ず許してくれる。その上歳が離れているので、別れて相手と結婚する心配もしないだろう。』
「相手を庇い、ばれる心配があっても続けていたと言う事は、相手が好きなのか?俺の事を嫌いになったのか?」
『違います。あなたを愛しています。こんな事をしておいて・・・でも家庭も壊したく無かった。あなたに不満はありません。本当です。あなたが好きです。』
「では何故こんな事に?どうして俺を裏切る?」
『ごめんなさい。わたしにも分かりません。あなたを愛しているのに・・・どうしてだか分からないです。あなたを好きなのに・・・彼の事も・・・。ごめんなさい。ごめんなさい。』
妻が『彼の事も好きだ』と言い掛けたと思い、言いようの無い寂しさに襲われました。こ
の後何度も菜月を問い詰めましたが、結局相手の事は言わずに朝を迎えます。私は会社に嘘をついて何日か休む事を電話し、少し休もうと横になった時に妻の携帯が鳴り、それは妻の上司からのようで、『今日は休みますので。』とお願いしていました。菜月の顔は腫れて少し青あざになってきたので、しばらくは行けないなと思いました。
私は横になると疲れからかすぐに眠ってしまい、目が覚めたのは夕方でした。妻は腫れた顔をタオルで冷やしながら泣いていて、寝ていないようです。鈴木健一君に連絡を取ると、私と会うことを意外とあっさり承諾してくれ、妻を家に残して会いに行った。
2015/06/15
5月21日(日)
妻の菜月(なつき)は夜10時に帰ってきて私に驚き、何か言い掛けましたが私(平井慶介)が思い切り頬を張ると、全てがばれた事を悟ったのか泣き崩れましたが、更に服を剥ぎ取ろうとすると、狂ったように泣きながらそれを拒みました。
「誰と温泉に行っていた?!お前がその様な女だったとは。嘘で固めて裏切り続けやがって!汚れた身体を見せてみろ!クソー!」そう言いつつ、ブラウスと黒いブラジャーを剥
ぎ取ると、乳房に何箇所かキスマークや噛まれた痕のような物が赤く残っています。さら
によく見ると、手首や足首も微かに赤くなっていたので、私の脳裏には、温泉旅館の部屋で、菜月が縛られた格好で顔も分からない男に責められている姿が浮かび、悔しくて、また妻を平手で殴りました。
5月22日(月)
2時間以上も私は妻の菜月に罵声を浴びせ続けていて、正気に戻ったのは0時を過ぎていました。菜月の顔を見ると当然に腫れていて、口の中を切って唇から血が垂れています。少し落ち着いた私はハンカチを出して血を拭き取るように言い、問い正しました。
「相手は誰だ?そいつも徹底的にやってやる!相手の名前を言え!」
妻も2時間泣き続けたので少し落ち着いたのか、涙は流していますが割と冷静な口調で。
『ごめんなさい。彼の名前だけは言えません。ごめんなさい!ごめんなさい!』
「まだ、そいつを庇うのか?頭に来た!」
また手は上げましたが腫れた顔を見て、もう殴れませんでした。
『それだけは言えません。どのような罰も受けます。許して下さい。彼の事だけは言えません。』
「そうか。それならどの様な手を使っても必ず調べて、そいつを地獄に落としてやる。」
私は聞きたい事がまだ沢山あったのですが、妻の菜月がまた激しく泣き出したので、落ち着くのを待ち、質問を再開する。
「相手の事は置いておいて、どうしてあの先生と浮気したと嘘をついた?どうしてあのようにスラスラと嘘をつけた?正直に話せ。」
『それは・・・彼が・・・。』
「話を聞いても聞かなくても、もう菜月とは終わりかもしれない。でも知りたい。」
『別れるのは嫌です。許して下さい。離婚は嫌です。ごめんなさい!ごめんなさい!』
「それなら尚の事、正直に話してくれ。」
菜月はぽつりぽつりと語りだす。『彼は・・以前奥様に浮気された事があって、奥様が相手を愛してしまった事、相手とのセックスが気持ち良かった事、会う度に何度も関係を持った事を聞き出し、凄くショックを受けた。』
『あなたが興信所に行っている間、先生(鈴木健一)のが小さくて感じなかった事や、同情からで相手を愛していない事、会ってもあまり関係を持たなかった事にすれば、あなたは必ず許してくれる。その上歳が離れているので、別れて相手と結婚する心配もしないだろう。』
「相手を庇い、ばれる心配があっても続けていたと言う事は、相手が好きなのか?俺の事を嫌いになったのか?」
『違います。あなたを愛しています。こんな事をしておいて・・・でも家庭も壊したく無かった。あなたに不満はありません。本当です。あなたが好きです。』
「では何故こんな事に?どうして俺を裏切る?」
『ごめんなさい。わたしにも分かりません。あなたを愛しているのに・・・どうしてだか分からないです。あなたを好きなのに・・・彼の事も・・・。ごめんなさい。ごめんなさい。』
妻が『彼の事も好きだ』と言い掛けたと思い、言いようの無い寂しさに襲われました。こ
の後何度も菜月を問い詰めましたが、結局相手の事は言わずに朝を迎えます。私は会社に嘘をついて何日か休む事を電話し、少し休もうと横になった時に妻の携帯が鳴り、それは妻の上司からのようで、『今日は休みますので。』とお願いしていました。菜月の顔は腫れて少し青あざになってきたので、しばらくは行けないなと思いました。
私は横になると疲れからかすぐに眠ってしまい、目が覚めたのは夕方でした。妻は腫れた顔をタオルで冷やしながら泣いていて、寝ていないようです。鈴木健一君に連絡を取ると、私と会うことを意外とあっさり承諾してくれ、妻を家に残して会いに行った。
2015/06/15
長J『失くしたもの』第2章④ 13
長J『失くしたもの』第2章④ 13
5月22日(月)
待ち合わせ場所で私(平井慶介)が鈴木健一君の車に乗り込むと。
〚ご主人がまた連絡してくると思っていました。今度お会いしたら全て話そうと覚悟していました。〛
「そうか。実は今日、脅迫してでも聞き出そうと思っていたのだが・・・。」
〚自分の蒔いた種です。もう逃げない事にしました。奥さんの相手は野田和人です。たしか奥さんの上司だと思います。〛
〚僕は昨年、新任の教師としてこの学校へ赴任して来ました。新任なのにすぐにPTAの係にさせられ、何も分からない僕はお母さん達と上手く付き合う事ができずに悩んでいました。その時役員の1人だった野田の奥さんに優しくされ、誘われるままに関係を持ってしまいました。女の人が初めてだった僕は、彼女の身体に溺れてしまい、やがて探偵を付けられて発覚し、慰謝料も分割ですが払い終わりました。〛
〚ところが先月の初め野田に呼び出され、〔今不倫をしていて、ばれるかもしれない。俺が不倫したのもお前達のせいだ。ばれないように協力しろ。もしばれた時はお前が身代わりになれ。そうしないと学校、教育委員会、PTAに生徒の母親と不倫した教師を処分しろと言いに行く。〕そう脅されました。〛
「そうか。妻の菜月(なつき)から聞いた事にして、君の名前は出さない。ありがとう。」
私は急いで家に帰ります。
「お前の相手が分かったぞ。課長の野田だそうだな。あんなもっともらしい電話までして来やがって。なんて悪賢いやつだ。分かったからにはキッチリ責任は取ってもらう。」
『いいえ、違います。野田課長ではありません。違います。』
「まだ庇うのか?そんなにあいつが好きか?それなら明日会社に行って確かめてやる。」
『それだけは・・・お願い、それだけは止めて下さい。お願いします。お願いします。』
私は妻の泣き声を聞きながら、どう決着を付けるか考えました。
5月23日(火)
朝9時に妻の携帯から電話すると。
〔菜月どうした?不都合な事でも起こったのか?〕
「菜月?不都合な事?平井だ今から家に来い。話がある。用件は分かっているはずだ。」
〔あっ、ご主人。いえ。今から仕事で。今からは無理かと。今からは・・・。〕
「仕事?人の家庭を無茶苦茶にしておいて、仕事だと?そ、それならいい、今から俺がそちらに行く。」
誰か近くに来たのか、野田の口調が変わりました。
〔わかりました。今から御社にお伺い致します。〕
「御社?会社に行かれたらまずいのなら、すぐに来い。」
野田が来たのは午前11時を過ぎていました。部屋に入り腫れた妻の顔を見て全てを悟り、立ったまま頭を下げて謝罪しています。
「大きな会社の課長までしていて、謝り方も知らんのか?」
野田が慌てて土下座したのを見て近くに行き、蹴り倒して馬乗りになり、妻の時とは違い拳で2発殴りました。次に拳を振り上げた時、その腕に妻が両手で縋(すが)り付きます。
『あなた、もう止めて。許して下さい。どんな償いもします。何でもします。お願い、許して・・。』
野田は私が離れると、ハンカチで鼻血を拭きながら、ゆっくりと起き上がって正座しました。
「どうしてこうなった?妻が好きなのか?遊びか?」
〔私の家は家庭内別居しているようなもので、最初は相談に乗って貰っていましたが、その内に・・・。〕
「好きになったのか?お互いに好きという訳か。いいぞ、離婚してやる。今から連れて行け。ただ俺も長年親しんだ身体だ、名残惜しいので最後に1度だけさせろ。」
菜月の着衣を荒々しく剥ぎ取ろうとすると、妻は泣きながら抵抗します。それでも下着だけの格好にして野田を見ると、俯いたまま黙っていて顔を上げません。
「お前も見慣れた裸なので、あまり興奮しないかも知れないが、どうだ?いい身体だろ?40歳を過ぎているとは思えないだろ?この身体を譲るのだから安くは無いぞ。菜月、身体の中まで散々見せた間柄だろ?恥ずかしがらずに、いくらで買って貰えるか立ってよく見てもらえ!」
妻は膝を抱えて泣いています。野田も泣きそうな顔をして、
〔申しわけ御座いませんでした。許して下さい。離婚などは望んでいません。もう二度としませんので、許して下さい。〕
『あなた、ごめんなさい。もうしません。ごめんなさい。』
野田は、〔明日また来ますので、今日はもう許して欲しい。〕と言い残し帰っていきました。
「俺も明日までに考えておくから、お前もよく考えろ!それと、離婚するつもりでいるが、もし離婚しない時でも、家政婦として置くつもりは無い。家政婦を抱く訳にもいかないから、女を抱きたくなったら金が掛かる。だから慰謝料は多い目に頼むな。」
私はこんな妻でも、情けない事にまだ未練があって、別れられないと思っていても、汚い言葉で強がりを言ってしまいます。別れる気は無くても、「別れる」と言って二人に対して強がる事だけが、妻を寝取られた私に残されたプライドでした。
2015/07/25
5月22日(月)
待ち合わせ場所で私(平井慶介)が鈴木健一君の車に乗り込むと。
〚ご主人がまた連絡してくると思っていました。今度お会いしたら全て話そうと覚悟していました。〛
「そうか。実は今日、脅迫してでも聞き出そうと思っていたのだが・・・。」
〚自分の蒔いた種です。もう逃げない事にしました。奥さんの相手は野田和人です。たしか奥さんの上司だと思います。〛
〚僕は昨年、新任の教師としてこの学校へ赴任して来ました。新任なのにすぐにPTAの係にさせられ、何も分からない僕はお母さん達と上手く付き合う事ができずに悩んでいました。その時役員の1人だった野田の奥さんに優しくされ、誘われるままに関係を持ってしまいました。女の人が初めてだった僕は、彼女の身体に溺れてしまい、やがて探偵を付けられて発覚し、慰謝料も分割ですが払い終わりました。〛
〚ところが先月の初め野田に呼び出され、〔今不倫をしていて、ばれるかもしれない。俺が不倫したのもお前達のせいだ。ばれないように協力しろ。もしばれた時はお前が身代わりになれ。そうしないと学校、教育委員会、PTAに生徒の母親と不倫した教師を処分しろと言いに行く。〕そう脅されました。〛
「そうか。妻の菜月(なつき)から聞いた事にして、君の名前は出さない。ありがとう。」
私は急いで家に帰ります。
「お前の相手が分かったぞ。課長の野田だそうだな。あんなもっともらしい電話までして来やがって。なんて悪賢いやつだ。分かったからにはキッチリ責任は取ってもらう。」
『いいえ、違います。野田課長ではありません。違います。』
「まだ庇うのか?そんなにあいつが好きか?それなら明日会社に行って確かめてやる。」
『それだけは・・・お願い、それだけは止めて下さい。お願いします。お願いします。』
私は妻の泣き声を聞きながら、どう決着を付けるか考えました。
5月23日(火)
朝9時に妻の携帯から電話すると。
〔菜月どうした?不都合な事でも起こったのか?〕
「菜月?不都合な事?平井だ今から家に来い。話がある。用件は分かっているはずだ。」
〔あっ、ご主人。いえ。今から仕事で。今からは無理かと。今からは・・・。〕
「仕事?人の家庭を無茶苦茶にしておいて、仕事だと?そ、それならいい、今から俺がそちらに行く。」
誰か近くに来たのか、野田の口調が変わりました。
〔わかりました。今から御社にお伺い致します。〕
「御社?会社に行かれたらまずいのなら、すぐに来い。」
野田が来たのは午前11時を過ぎていました。部屋に入り腫れた妻の顔を見て全てを悟り、立ったまま頭を下げて謝罪しています。
「大きな会社の課長までしていて、謝り方も知らんのか?」
野田が慌てて土下座したのを見て近くに行き、蹴り倒して馬乗りになり、妻の時とは違い拳で2発殴りました。次に拳を振り上げた時、その腕に妻が両手で縋(すが)り付きます。
『あなた、もう止めて。許して下さい。どんな償いもします。何でもします。お願い、許して・・。』
野田は私が離れると、ハンカチで鼻血を拭きながら、ゆっくりと起き上がって正座しました。
「どうしてこうなった?妻が好きなのか?遊びか?」
〔私の家は家庭内別居しているようなもので、最初は相談に乗って貰っていましたが、その内に・・・。〕
「好きになったのか?お互いに好きという訳か。いいぞ、離婚してやる。今から連れて行け。ただ俺も長年親しんだ身体だ、名残惜しいので最後に1度だけさせろ。」
菜月の着衣を荒々しく剥ぎ取ろうとすると、妻は泣きながら抵抗します。それでも下着だけの格好にして野田を見ると、俯いたまま黙っていて顔を上げません。
「お前も見慣れた裸なので、あまり興奮しないかも知れないが、どうだ?いい身体だろ?40歳を過ぎているとは思えないだろ?この身体を譲るのだから安くは無いぞ。菜月、身体の中まで散々見せた間柄だろ?恥ずかしがらずに、いくらで買って貰えるか立ってよく見てもらえ!」
妻は膝を抱えて泣いています。野田も泣きそうな顔をして、
〔申しわけ御座いませんでした。許して下さい。離婚などは望んでいません。もう二度としませんので、許して下さい。〕
『あなた、ごめんなさい。もうしません。ごめんなさい。』
野田は、〔明日また来ますので、今日はもう許して欲しい。〕と言い残し帰っていきました。
「俺も明日までに考えておくから、お前もよく考えろ!それと、離婚するつもりでいるが、もし離婚しない時でも、家政婦として置くつもりは無い。家政婦を抱く訳にもいかないから、女を抱きたくなったら金が掛かる。だから慰謝料は多い目に頼むな。」
私はこんな妻でも、情けない事にまだ未練があって、別れられないと思っていても、汚い言葉で強がりを言ってしまいます。別れる気は無くても、「別れる」と言って二人に対して強がる事だけが、妻を寝取られた私に残されたプライドでした。
2015/07/25
長J『失くしたもの』第2章⑤ 14
長J『失くしたもの』第2章⑤ 14
第2章④ 13
5月23日(火)
「菜月(なつき)、これからどうしたい? 俺は別れたいが、お前はどうだ? お前にお願いがある。もし別れたら子供達には出来るだけ会わないで欲しい。お前のような人間にはしたく無いからな。」
私(平井慶介)は女々しいと分かっていても、子供の事まで持ち出して暗に夫婦関係を繋ぎ止めようとしました。別れたくないのは未練だけでなく、自分だけが不幸になり、また妻(菜月:なつき)が野田真人と付き合い、最悪再婚でもして幸せになる事が許せない思いもあり、本当に女々しい男です。
『離婚だけは許して下さい。家政婦でもいい、ここにいたいです。あなたが好きです。お願いします。離婚だけは・・・彼とは別れます。忘れるように努力をします。』
「忘れるように努力する? 何だそれは。もういい。」
『ごめんなさい。あなたに悪いと思いながらも、正直に話しました。もう二人では絶対に会いません。ごめんなさい。ごめんなさい。』
「お前はあいつ(野田)のどこに惹かれた? セックスか? あいつは上手いのか?」
『違います。最初、昨年の忘年会が終わってから、聞いて欲しい事があると言われて、二人で喫茶店に行きました。彼は奥様が浮気してから奥様を許せない事、それでもまだ愛していて別れる事が出来ない事を打ち明けてくれました。彼は仕事も出来、人望もあって強い人間だと思っていました。決して人前では弱みをみせません。その彼が私の前では涙まで流し、気がおかしく成ってしまいそうだから助けてくれとまで言いました。・・・その後何度か仕事が終わってから、悩みを聞いてあげる様になり、次第に関係も持つようになってしまいました。彼には以前から憧れの感情は持っていました。でもそれは愛情とは違い仕事が出来る強い男への憧れでした。でも私だけに弱みを見せてくれる彼を助けてあげたい、心がいっぱいになった時は、少しでも楽にしてあげたいと思って会っている内に・・・・。ごめんなさい。』
「それが愛情だろ?愛してしまったのだろ?そうでないと俺を裏切ってまで旅行に行くか?」
『いいえ、愛しているのはあなた1人です。旅行に誘われてから、あなたに優しくされて、自分が嫌で仕方がありませんでした。もうこの様な関係は止めなければと思いながらも、彼に会いたい誘惑に勝てず、あなたに申し訳ないと思いながらも・・・。』
妻の言う意味が私には理解出来ません。二人の男を好きになったと言うことなのか?
「会いたいという事は好きという事だろ。俺との関係はそのままで恋人にも会いたい。それが許せると思うか? あいつを助けるために俺をあいつと同じ目に合わせたと言う事は、俺より好きなんだろ? 野田とはセックスをして、俺にはさせなかったと言う事は、そういう事だろ?」
『ごめんなさい。ごめんなさい。彼を嫌いではありません。いえ、好きです。でも愛情とは違います。愛しているのはあなただけです。あなたを拒んだのも罪悪感からです。彼に抱かれた身体であなたに抱かれる事は、あなたに悪くて出来ませんでした。あなたに誘われる度に罪悪感でおかしく成りそうでした。ごめんなさい。ごめんなさい。』
「お前の話は到底理解ができん。あいつに抱かれる時に罪悪感を持つのが普通だろ。言い訳しても、結局は野田に抱かれたかっただけだろ? このまま安定した生活を送りたいが、好きな人にも抱かれたい。好きな人に抱かれた身体を、好きでも無い俺に触られたくない。そうだろ? そんなに俺を苦しめて楽しいか? 面白いか? 離婚してもお前とあいつだけは、絶対に幸せにはしない。幸せになりそうな時は、あいつを殺してでもお前を後悔させてやる。俺は絶対に許さん。」
『そんな事言わないで。ごめんなさい。殺すなんて、そんな怖い事言わないで。離婚なんて言わないでください。ごめんなさい。ごめんなさい。』
その後泣き続けていた妻(菜月)は簡単な夕食を作りますが、自分は食べませんでした。二人を別れさせる事は出来ても、気持ちまでは縛れない事に苛立ちます。
話を聞けば余計辛くなっても、私(平井慶介)は妻と話していないと本当におかしく成ってしまいそうで、少し落ち着いた妻に話し続ける。
「野田は離婚をして、お前と一緒になるつもりだったのか?」
『いえ、それはありません。私の事を好きだと言ってくれましたが、彼も愛しているのは奥様だと思います。最近になって〔妻に裏切られ悩んだが、俺も他に好きな人が出来た事で、妻との関係も良くなってきた〕と言っていましたから。』
「俺をこんな目に合わせて、自分は楽になったのか? そんな事は許さない。ぶち壊してやる。」
『お願いですから止めて下さい。私はどの様な罰も受けます。一生懸命償います。ですから・・・お願いします。お願いします。』
まだ野田を庇う妻に怒りが増しました。
「お前、あいつの事を知っているのか? 今度の事もお前と先生(鈴木健一)に罪を被せて、自分だけ助かろうとしていた卑怯な奴だぞ! そんな奴と俺を比較されるだけでも頭にくる。」
『ごめんなさい。それは知っていました。鈴木先生をまだ憎んでいて許せず利用した事も、自分は逃げようとした事も。そこが彼の弱さです。でも卑怯だと分かっていても・・・。』
妻(平井菜月:なつき)が何か熱病にでも罹っているように野田を庇い続けることに、私は理解に苦しみました。
2016/05/05
第2章④ 13
5月23日(火)
「菜月(なつき)、これからどうしたい? 俺は別れたいが、お前はどうだ? お前にお願いがある。もし別れたら子供達には出来るだけ会わないで欲しい。お前のような人間にはしたく無いからな。」
私(平井慶介)は女々しいと分かっていても、子供の事まで持ち出して暗に夫婦関係を繋ぎ止めようとしました。別れたくないのは未練だけでなく、自分だけが不幸になり、また妻(菜月:なつき)が野田真人と付き合い、最悪再婚でもして幸せになる事が許せない思いもあり、本当に女々しい男です。
『離婚だけは許して下さい。家政婦でもいい、ここにいたいです。あなたが好きです。お願いします。離婚だけは・・・彼とは別れます。忘れるように努力をします。』
「忘れるように努力する? 何だそれは。もういい。」
『ごめんなさい。あなたに悪いと思いながらも、正直に話しました。もう二人では絶対に会いません。ごめんなさい。ごめんなさい。』
「お前はあいつ(野田)のどこに惹かれた? セックスか? あいつは上手いのか?」
『違います。最初、昨年の忘年会が終わってから、聞いて欲しい事があると言われて、二人で喫茶店に行きました。彼は奥様が浮気してから奥様を許せない事、それでもまだ愛していて別れる事が出来ない事を打ち明けてくれました。彼は仕事も出来、人望もあって強い人間だと思っていました。決して人前では弱みをみせません。その彼が私の前では涙まで流し、気がおかしく成ってしまいそうだから助けてくれとまで言いました。・・・その後何度か仕事が終わってから、悩みを聞いてあげる様になり、次第に関係も持つようになってしまいました。彼には以前から憧れの感情は持っていました。でもそれは愛情とは違い仕事が出来る強い男への憧れでした。でも私だけに弱みを見せてくれる彼を助けてあげたい、心がいっぱいになった時は、少しでも楽にしてあげたいと思って会っている内に・・・・。ごめんなさい。』
「それが愛情だろ?愛してしまったのだろ?そうでないと俺を裏切ってまで旅行に行くか?」
『いいえ、愛しているのはあなた1人です。旅行に誘われてから、あなたに優しくされて、自分が嫌で仕方がありませんでした。もうこの様な関係は止めなければと思いながらも、彼に会いたい誘惑に勝てず、あなたに申し訳ないと思いながらも・・・。』
妻の言う意味が私には理解出来ません。二人の男を好きになったと言うことなのか?
「会いたいという事は好きという事だろ。俺との関係はそのままで恋人にも会いたい。それが許せると思うか? あいつを助けるために俺をあいつと同じ目に合わせたと言う事は、俺より好きなんだろ? 野田とはセックスをして、俺にはさせなかったと言う事は、そういう事だろ?」
『ごめんなさい。ごめんなさい。彼を嫌いではありません。いえ、好きです。でも愛情とは違います。愛しているのはあなただけです。あなたを拒んだのも罪悪感からです。彼に抱かれた身体であなたに抱かれる事は、あなたに悪くて出来ませんでした。あなたに誘われる度に罪悪感でおかしく成りそうでした。ごめんなさい。ごめんなさい。』
「お前の話は到底理解ができん。あいつに抱かれる時に罪悪感を持つのが普通だろ。言い訳しても、結局は野田に抱かれたかっただけだろ? このまま安定した生活を送りたいが、好きな人にも抱かれたい。好きな人に抱かれた身体を、好きでも無い俺に触られたくない。そうだろ? そんなに俺を苦しめて楽しいか? 面白いか? 離婚してもお前とあいつだけは、絶対に幸せにはしない。幸せになりそうな時は、あいつを殺してでもお前を後悔させてやる。俺は絶対に許さん。」
『そんな事言わないで。ごめんなさい。殺すなんて、そんな怖い事言わないで。離婚なんて言わないでください。ごめんなさい。ごめんなさい。』
その後泣き続けていた妻(菜月)は簡単な夕食を作りますが、自分は食べませんでした。二人を別れさせる事は出来ても、気持ちまでは縛れない事に苛立ちます。
話を聞けば余計辛くなっても、私(平井慶介)は妻と話していないと本当におかしく成ってしまいそうで、少し落ち着いた妻に話し続ける。
「野田は離婚をして、お前と一緒になるつもりだったのか?」
『いえ、それはありません。私の事を好きだと言ってくれましたが、彼も愛しているのは奥様だと思います。最近になって〔妻に裏切られ悩んだが、俺も他に好きな人が出来た事で、妻との関係も良くなってきた〕と言っていましたから。』
「俺をこんな目に合わせて、自分は楽になったのか? そんな事は許さない。ぶち壊してやる。」
『お願いですから止めて下さい。私はどの様な罰も受けます。一生懸命償います。ですから・・・お願いします。お願いします。』
まだ野田を庇う妻に怒りが増しました。
「お前、あいつの事を知っているのか? 今度の事もお前と先生(鈴木健一)に罪を被せて、自分だけ助かろうとしていた卑怯な奴だぞ! そんな奴と俺を比較されるだけでも頭にくる。」
『ごめんなさい。それは知っていました。鈴木先生をまだ憎んでいて許せず利用した事も、自分は逃げようとした事も。そこが彼の弱さです。でも卑怯だと分かっていても・・・。』
妻(平井菜月:なつき)が何か熱病にでも罹っているように野田を庇い続けることに、私は理解に苦しみました。
2016/05/05
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