長J『失くしたもの』第1章⑤
長J『失くしたもの』第1章⑤
4月9日(日)
今日は朝から同僚に会うと嘘を言い、電話帳で調べた興信所に行きました。1件目は、どうも胡散臭そうだったので説明だけ聞いて保留にし、2件目に行くと、最初に行った所より感じが良く料金も少し安いのですが、それでも結構な金額です。今週の月曜から日曜まで頼むつもりでしたが、余りに高額で、妻の菜月(なつき)に内緒ではどうにもなりません。男と会う日が特定出来れば小額で済むと言われ、結局、次の金曜日と土曜日の2日間だけお願いしました。勿論、日曜日までずれ込めば延長してもらいます。
「さっき携帯に電話が掛かって、何か仕事上のトラブルが有ったようなので、来週は帰れない。菜月に来て欲しいが、違う支社に出向く事になるだろうから来ても会えないと思う。新幹線代も勿体無いから来週は来なくていいぞ。電話を掛ける事も出来ないかも知れないから、何か有ったら携帯に電話してくれ。」
そう言い残して、赴任先に帰りました。これで妻は自由に行動出来るはずです。
4月15日(土)
夜7時に、「奥さんが男とラブホテルに入った。」と、興信所から携帯に電話が有りました。やっと証拠を掴める喜びと、本当に妻が浮気していたという失望感が入り乱れ、急いで新幹線に飛び乗って家に帰りましたが、当然、家は真っ暗で誰もいません。すぐにでもラブホテルに行って怒鳴り込みたい心境でしたが、「十分な証拠が取れないといけないので、我慢するよう。」に興信所から指示されていて動けません。今頃妻は・・・と思うと悔しさで、眠れぬ夜を過ごしました。
4月16日(日)
菜月は朝の8時に帰ってきました。
『えっ・・・。あなた・・・どうしたの?お仕事は?』
「ああ。昨日で片付いた。それよりまた朝帰りか?一晩楽しんできたのか?俺の知らない男に跨って、一晩中腰を振っていたのか?」
『あなた。何を言っているの?違います。そんな事はしていません。』
「分かった。分かった。もういい。こんな淫乱な母親だったと知ったら、晴樹(息子)もどう思うだろうな?可哀想に。お前達は絶対に許さんからな。徹底的にやってやる。一生怨んで、きっと後悔させてやる。」
『あなた。何を言っているの?勝手に勘違いをして、晴樹に変な事を言わないでくださいね。私はただ友達の家に・・・。いったいどうしたのですか?』
「ほう。お前の友達はラブホテルを経営しているのか?」
その時、私の携帯が鳴りました。
「はい。すぐにお伺いします。」
「興信所からだ。相手の男も分かったそうだ。夕べのお前達の行動も、全て写真に写せたとさ。」
「えっ・・・。興信所?」
妻は床に座り込み、泣き出しました。
「俺は今から興信所に行ってくる。お前の両親と晴樹を呼んでおけ。お前が何処に行って何をしていたのか、写真を見ながら聞こうじゃないか。相手の男も呼んでおけよ!」
興信所で報告書と写真を受け取り、説明を聞いて帰ると、玄関に男物の靴が脱いであります。急いで部屋に入ると若い男が私に気付き、土下座しました。怒りが頂点に達していた私は、いきなり顔を蹴り上げ、仰向けに倒れた男を更に蹴る。そして、泣きながら立っている妻の菜月の頬を平手で叩き、頬を押さえて座り込んだ妻と、顔を両手で覆って、声を出して泣いている男を見て、やっと私の興奮も少し収まった。
「晴樹とお前の両親には連絡したか?」
『お願いですから、晴樹と両親には・・・。お願いです。』
「駄目だ。こんな若い奴と・・・。子供達にも、親にも、会社の仲間にも、友達にも、近所にも、お前の本当の姿を教えてやる。俺は恥を掻いてもいい。散々コケにされたのだから、これ以上落ちる所は無い。お前はこうゆう淫乱な女だと、みんなに教えてやる。今朝
まで楽しんでいたラブホテルの部屋も、SMの部屋だそうだな?いつもそうなのか?お前達がそういう趣味なのも、全てみんなに教えてやる。」
『お願い。誰にも言わないで生きていけなくなる・・。』
「生きていられなければ死んでもいいぞ。例え死んでも、みんなにはどんな女だったか教えてやる。お前の両親にも、自分達が育てた娘がどんな女なのか分からせてやる!」
私の激しい口調に妻の菜月は激しく泣きながら。
『両親の事は言わないで。お願い。お願いします。』
そして今度は相手の男(よく見ると、色白でひ弱そうな、いかにも真面目そうな男)に、
「おい。お前の住所氏名と電話番号、車の車種もナンバーも分かっているから、もう逃げても無駄だぞ。」
〔・・・はい・・・逃げた・・り・・しません・・・今日は・・・お願いが・・・。〕と泣き声で頼んでくる。
「馬鹿かお前は。お願い?お詫びだろ?・・・泣くな、聞き取り難いだろ。名前は、鈴木健一と言うのか?お前の歳と、仕事と、家族構成を聞かせろ!」
〔歳は・・24歳・・・職業は・・・中学の・・・教師を・・・。家族は・・高校生の時・・・父が死に・・・それ以来・・・小学校の教師をしている・・・母と・・・2人暮らしで・・・。〕
「まだ若かろうと、母子家庭で育とうと、中学の教師だろうと、責任はきっちり取って貰うからな。一生償わせてやる。今日はもう帰ってくれ。お前を見ていると殴りたくなる。来週お前の家に行くから、後の事はその時話をしよう。」
それから赴任先に妻も連れて戻りました。
2015/05/10
4月9日(日)
今日は朝から同僚に会うと嘘を言い、電話帳で調べた興信所に行きました。1件目は、どうも胡散臭そうだったので説明だけ聞いて保留にし、2件目に行くと、最初に行った所より感じが良く料金も少し安いのですが、それでも結構な金額です。今週の月曜から日曜まで頼むつもりでしたが、余りに高額で、妻の菜月(なつき)に内緒ではどうにもなりません。男と会う日が特定出来れば小額で済むと言われ、結局、次の金曜日と土曜日の2日間だけお願いしました。勿論、日曜日までずれ込めば延長してもらいます。
「さっき携帯に電話が掛かって、何か仕事上のトラブルが有ったようなので、来週は帰れない。菜月に来て欲しいが、違う支社に出向く事になるだろうから来ても会えないと思う。新幹線代も勿体無いから来週は来なくていいぞ。電話を掛ける事も出来ないかも知れないから、何か有ったら携帯に電話してくれ。」
そう言い残して、赴任先に帰りました。これで妻は自由に行動出来るはずです。
4月15日(土)
夜7時に、「奥さんが男とラブホテルに入った。」と、興信所から携帯に電話が有りました。やっと証拠を掴める喜びと、本当に妻が浮気していたという失望感が入り乱れ、急いで新幹線に飛び乗って家に帰りましたが、当然、家は真っ暗で誰もいません。すぐにでもラブホテルに行って怒鳴り込みたい心境でしたが、「十分な証拠が取れないといけないので、我慢するよう。」に興信所から指示されていて動けません。今頃妻は・・・と思うと悔しさで、眠れぬ夜を過ごしました。
4月16日(日)
菜月は朝の8時に帰ってきました。
『えっ・・・。あなた・・・どうしたの?お仕事は?』
「ああ。昨日で片付いた。それよりまた朝帰りか?一晩楽しんできたのか?俺の知らない男に跨って、一晩中腰を振っていたのか?」
『あなた。何を言っているの?違います。そんな事はしていません。』
「分かった。分かった。もういい。こんな淫乱な母親だったと知ったら、晴樹(息子)もどう思うだろうな?可哀想に。お前達は絶対に許さんからな。徹底的にやってやる。一生怨んで、きっと後悔させてやる。」
『あなた。何を言っているの?勝手に勘違いをして、晴樹に変な事を言わないでくださいね。私はただ友達の家に・・・。いったいどうしたのですか?』
「ほう。お前の友達はラブホテルを経営しているのか?」
その時、私の携帯が鳴りました。
「はい。すぐにお伺いします。」
「興信所からだ。相手の男も分かったそうだ。夕べのお前達の行動も、全て写真に写せたとさ。」
「えっ・・・。興信所?」
妻は床に座り込み、泣き出しました。
「俺は今から興信所に行ってくる。お前の両親と晴樹を呼んでおけ。お前が何処に行って何をしていたのか、写真を見ながら聞こうじゃないか。相手の男も呼んでおけよ!」
興信所で報告書と写真を受け取り、説明を聞いて帰ると、玄関に男物の靴が脱いであります。急いで部屋に入ると若い男が私に気付き、土下座しました。怒りが頂点に達していた私は、いきなり顔を蹴り上げ、仰向けに倒れた男を更に蹴る。そして、泣きながら立っている妻の菜月の頬を平手で叩き、頬を押さえて座り込んだ妻と、顔を両手で覆って、声を出して泣いている男を見て、やっと私の興奮も少し収まった。
「晴樹とお前の両親には連絡したか?」
『お願いですから、晴樹と両親には・・・。お願いです。』
「駄目だ。こんな若い奴と・・・。子供達にも、親にも、会社の仲間にも、友達にも、近所にも、お前の本当の姿を教えてやる。俺は恥を掻いてもいい。散々コケにされたのだから、これ以上落ちる所は無い。お前はこうゆう淫乱な女だと、みんなに教えてやる。今朝
まで楽しんでいたラブホテルの部屋も、SMの部屋だそうだな?いつもそうなのか?お前達がそういう趣味なのも、全てみんなに教えてやる。」
『お願い。誰にも言わないで生きていけなくなる・・。』
「生きていられなければ死んでもいいぞ。例え死んでも、みんなにはどんな女だったか教えてやる。お前の両親にも、自分達が育てた娘がどんな女なのか分からせてやる!」
私の激しい口調に妻の菜月は激しく泣きながら。
『両親の事は言わないで。お願い。お願いします。』
そして今度は相手の男(よく見ると、色白でひ弱そうな、いかにも真面目そうな男)に、
「おい。お前の住所氏名と電話番号、車の車種もナンバーも分かっているから、もう逃げても無駄だぞ。」
〔・・・はい・・・逃げた・・り・・しません・・・今日は・・・お願いが・・・。〕と泣き声で頼んでくる。
「馬鹿かお前は。お願い?お詫びだろ?・・・泣くな、聞き取り難いだろ。名前は、鈴木健一と言うのか?お前の歳と、仕事と、家族構成を聞かせろ!」
〔歳は・・24歳・・・職業は・・・中学の・・・教師を・・・。家族は・・高校生の時・・・父が死に・・・それ以来・・・小学校の教師をしている・・・母と・・・2人暮らしで・・・。〕
「まだ若かろうと、母子家庭で育とうと、中学の教師だろうと、責任はきっちり取って貰うからな。一生償わせてやる。今日はもう帰ってくれ。お前を見ていると殴りたくなる。来週お前の家に行くから、後の事はその時話をしよう。」
それから赴任先に妻も連れて戻りました。
2015/05/10
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