中Z【満たされない想い】1回
(原題:出張先の妻は 投稿者:飯坂 投稿日:2010/04/01)
(中10〚新しい夫婦の形〛)
私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)と妻の恵梨香(えりか:33歳)が結婚してもう5年がたちます。当時、社内では美人で有名だった白藤(しらふじ)恵梨香を私が射止めて、大恋愛の末に結ばれた。新婚当初は毎日のように愛し合っていたが、最近はその回数もめっきり減ってしまう。夫婦仲が悪くなったわけではないが、何故だか最近話しをすることもなくなってきていた。
5年たっても子供ができない私たちは共働きを続けている。結婚後すぐに私は本社から異動になり都内の営業所に勤務となり、恵梨香は本社の企画部で相変わらず働いていた。ある日、所要があって本社を訪れた時である。仕事も終わり、妻の顔を見て帰ろうかと思い企画部のフロアーに向かう途中で、急に便意を催しトイレに駆け込んだ。便座に座ると、先ほどまでの腹痛が急になくなり排便の気配もなくなっている。もうしばらく座っていたらまた排便したくなるだろうと思い、しばらくそこに居ることにした。
すると外から誰かが入ってくる気配がする。[なあ、今回のプロジェクトで白藤(しらふじ)さんと組めたらいいなあ。]妻は社内では結婚後も旧姓を使っており、白藤というのが妻のことを意味しているとすぐにわかった。
〚なんで?〛
[白藤さんとプロジェクトを組んで、地方でのプレゼンの後にやらせてもらったことがある人が何人かいるらしいぜ。]
〚うそだろ? あの白藤さんが? 誰がそんなこと言ってたの?〛
[それは言えないけど、確からしいよ・・。]
〚お前それ誰かに騙されてんだよ。だって白藤さんなんて飲み会だってあまり出てこないし、それになんつたって人妻だろ。そんなおいしい話あるわけないじゃん。〛
[いや普段は絶対にあり得ないと思うけど、地方で白藤さんと二人っきりっていうシチュエーションだけでも萌えるでしょ。]
〚確かにな。白藤さんは30過ぎには見えないくらい魅力的だけど、そんなことってあるかな?〛
本社企画部の社員であろう男性二人はそう言うとトイレからいなくなり、声が聞こえなくなる。《妻が浮気を?》私はショックというより、にわかに信じられない話に心臓の鼓動が激しく脈打つのがわかった。たしかに恵梨香の仕事は地方での地元説明会などのプレゼンで出張に帯同することが年に数回ある。しかし、妻が帯同するようなプレゼンは大低大掛かりなもので、男性社員と二人っきりなんてなかったはずだ。 2回へ
2018/04/18
中Z【満たされない想い】2回
1回
私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)はそのままトイレの便座に座ったまま動けなかった。同時に自分のペニスの変化にとても不思議な違和感を覚えた。結局その時は妻(旧姓:白藤恵梨香:しらふじ・えりか:33歳)の顔を見ずに本社を出てしまう。そして、頭の中ではさっきトイレで聞いた話・・・ [白藤さんとプロジェクトを組んで、地方でのプレゼンの後にやらせて(・・・・・・)もらったことがある人が何人かいる] ・・・がうずを巻くようにこびりついて離れないでいた。
結婚後も共働きの生活、私は営業職なので付き合いなどから夜遅くなることもしばしばあるが、妻の恵梨香は仕事が終わればまっすぐに帰宅する。休日に私の知らない行動をとっているなどということもなかったので、恵梨香が不倫をするなどということはこの5年間考えもしなかったことであった。しかし冷静に考えてみたら、確かに恵梨香はまだ充分に若いし美しい。そのような女性社員と二人っきりで出張ともなれば、不道徳にも少なからず一夜限りの不倫を妄想してしまうこともあるかもしれない。
その日、私は営業所には戻らず、半日休暇を使って家に帰ることにした。普段の妻は午後6時に仕事を終えて7時には帰宅をする。それまでになんとか証拠を探したいと思ったが、証拠となるようなものは一切家にはなかった。午後7時になると妻の恵梨香が帰ってくる。
『あら、今日は早かったのね。』
「ああ、営業先が近くだったから半日休暇を使って直帰したんだ。」
『ご飯まだなんでしょ? 今から支度するから待っていて。』
妻はそういうといつもと同じように食事の支度をしてくれる。
「なあ、この前きみが出張した日っていつだったかな?」
『えっ、なに? 急に?』
食事中におもむろに恵梨香に聞いてみると、やはりこころなしか少し狼狽したような受け答えだった。《やっぱり何かある!》
「いや、別に、なんとなくいつだったろうかと思って・・・・。」
『もう出張にはいかないつもりよ・・・。』
「えっ、どうして?」
『わたしより若い子もだいぶ育ってきたし・・・・ ざわざ私が行かなくてもね・・・。』
「きみのようなベテランの方が何かトラぶった時など対応が上手くいくんじゃ・・・。」
『今まで一度も私の仕事のことを聞かなかったあなたが、どうしてそんなことを?』
「いや、別に・・・。」
今度は逆にこっちの心を見透かされたようになり、この話はそこで終わりにする。
その晩、私は久しぶりに恵梨香を抱いた。《何年ぶりなんだろう? こんなに興奮して激しく妻を抱いたのは。》恵梨香の身体は新婚の時と変わりなくとても綺麗だ。不倫をされた怒り以上にこみ上げてくるこの興奮する思いに違和感を覚えつつ、私は妻の恵梨香を抱きながら頭の中で、《恵梨香・・・ きみは本当に出張中に同僚に抱かれたのか? その時きみはどんな表情をしていたのだ? 私と交わるよりも激しく悶えたのか? どんな風に・・・・。》妄想を繰り返していた。 3回へ
2018/05/04
中Z【満たされない想い】3回
2回
妻(西尾恵梨香:にしお・えりか:33歳)が出張先で同僚と不倫をしたという話は、私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)の心を激しくざわつかせたが結局その後は何も言い出すことができない。何度か妻に直接聞いてみようかと思ったが、そんなことを聞けば今まで二人で積み上げてきたものがいっきになくなってしまいそうで、とても直接聞くことなど出来なかった。
それでは周りの人間に確かめてみようと思い、それとなく本社の友人に電話もしてみたが、どんな風に聞き出したらよいのかわからないまま何日も経過していく。あの晩は妻と交わったが、その後はない。もともと恵梨香はセックスが好きなタイプではない。私と付き合う前に一人の男性と付き合ったがことがあったようだが、からだの関係はなかったらしい。つまり私が恵梨香の最初の男性だった。そして最後の男性でもあると信じて疑わない。頭の中から妻の不倫が離れないまま1カ月が経過したある日、彼女に出張の予定が入った。《よし、今度こそ決定的な証拠をつかんでやる。》
「出張っていったいどこへ行くの?」
『新潟よ。』
「何泊なの?」
『一泊よ、今回はエキジビション(展示会)だから簡単に終わる予定。』
「そうなんだ、仕事は何時くらに終わるんだ?」
『なんか、今日はやけに私の出張のことを聞いてくるのね。』
「い、いや別に・・・ほら、最近あまり話をしなくなったから・・・。」
《これ以上訊くと妻の出張に関して私が勘ぐっているのがバレてしまう。とにかく証拠をつかむことを優先することにしよう。だから出張の話題はしばらく避けておこう。》と思う。私はそれから先、出張に関する話は一切しないように努めた。
そして出張の前日になる。妻の恵梨香が『明日は前にも言っていた出張だから、何か食べて帰ってきてね。帰りは明後日土曜日のお昼過ぎになるわ。』私は平静を装って「あーそーだったんだ、わかった。」そう答えた。いよいよ出張当日になるが、その日私は朝から仕事が手につかない。妻は昼過ぎの新幹線で新潟に向かうと言っていた。《もうそろそろ会社を出たころだろうか?》私は午後1時過ぎに行動に出る。本社の企画部には知り合いがいないので、私が昔所属していた総務部へ電話をかけてみると、後輩の新海雄二(しんかい・ゆうじ:32歳)が出る。
「西尾だ、久しぶり。」
[先輩、こちらこそお久しぶりです。営業所でご活躍と聞いていますよ。]
「妻の恵梨香に用事があってさっき企画部に電話したのだけど、今日出張に行ったらしいのだ。あいつ、携帯も忘れていって連絡がつかなくて困っているのだ。総務には企画部から出張の申請が出ていると思うんだけど、恵梨香以外に企画部の人で行く人がわかれば教えてくれないか?」
[ちょっと待ってください・・・ 調べてみます。]
私はしばらく待ちました。
[先輩、わかりましたよ、藤原諒大(ふじわら・りょうた)です。]
「藤原諒大? はじめて聞く名前だな。入社何年目くらいの社員なの?」
[えーと、たしか6年目だったかと・・・。]
「わかった、ありがとう。」
入社6年目ということはまだ20代の後半で妻の恵梨香よりも年下になる。本当に妻は今日、藤原君に出張先で抱かれるのだろうか?さて、出張の相手が藤原君という若い社員ということはわかったものの、この先の手を全く考えていなかった。 4回へ
2018/05/05
中Z【満たされない想い】4回
3回
何日も前から、興信所に頼んで尾行をしてもらおうかと真剣に考えていましたが、結局なんにもしないままでいた。いよいよ夜になり家で一人悶々とした時間をすごします。私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)は何度も妻(西尾恵梨香:にしお・えりか:33歳)の携帯に電話をしようとしましたが踏みとどまった。《ここで私が電話をすれば、恵梨香は警戒してしまうだろう。まずは証拠をつかむことが先決。》と、そう自分自身に言い聞かせていた。しかし、不倫をしている妻の姿を想像すると、どうしようもなく身体がうずいてしまう。それを鎮めるように酒をあおるがなかなか酔うことも出来ない。悶々としたままその日は明け方まで深酒をしてそのままベッドで寝てしまった。
『ずいぶん昨日は沢山飲んだのね?』
二日酔いのひどい頭痛の中、私は妻の声で起こされた。時計を見てみると午前の10時だった。
「あれ? まだ10時か。ずいぶんと早かったじゃない。」
『ええ、早く起きたから6時半発の新幹線で帰ってきたのよ。』
「一人でか?」
『そうよ。』
「会社の人は?」
『まだ新幹線の中じゃないかしら?』
《行きは藤原諒大(ふじわら・りょうた:28歳)君という男性社員と一緒に行ったはずなのに、帰りはバラバラで帰ってくるなんて、やはり昨日の夜に何かあったのか?》
私はひどい頭痛だったが頭の中を高速に回転させていろんなことを考えたが、結局答えを
見つけることができず、本能の方が思考能力を上回る。私はベッド脇に脱ぎ捨てた衣類を拾おうとした恵梨香の手をつかむと、そのままベッドに引きずり込み、激しく唇を奪った。
『い、いやっ・・・ なにっ・・・・ お酒くさっ・・・。』
なおも私はそのまま妻の恵梨香(えりか)に覆いかぶさる。
『ちょ、ちょっと・・・・ 待って・・・・ スーツがしわになっちゃう ・・・・いやっ・・・・。』
抵抗する妻のジャケットを脱がすと、その下のブラウスのボタンにも手をかけた。はだけたブラウスから妻の白い刺繍が施されたブラジャーが見える。すると妻の抵抗も次第に弱くなっていった。スカートのファスナーを下げてスカートを脱がすと、ストッキング越しに見えるピンクのパンティが普段家にいる妻とは想像もつかないなまめかしい女を認識させる。
恵梨香を下着姿にすると再び私は妻の身体に唇を這わせていった。それまでは恵梨香の下着など意識しなかったが、最近になって妻の下着を意識するようになった。普段恵梨香はベージュや白などで飾り気のない比較的シンプルな下着を身に着けていることが多かった。しかし、今日の下着はレースの刺繍が施されたセクシーなものだった。《藤原君に見せるためにわざわざ出張にこのような下着をもっていったのだろうか?》 5回へ
2018/05/11
中Z【満たされない想い】5回
4回
私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)は恵梨香の身体を愛撫しながら激しく嫉妬する。ブラジャーを取り豊満な胸の頂にある小粒大の乳首を口の中に入れると妻(西尾恵梨香:にしお・えりか:33歳)は軽く『はぁぁ・・・・・・んっ・・・・。』って吐息をもらすようになっていった。《昨日彼(藤原諒大:ふじわら・りょうた:28歳)にもこうやって乳首を吸われたのか?》
恵梨香の乳房の感触を充分に味わった私の手は徐々にその下半身へと移動しパンティの中に滑り込んだ。恥毛の感触を味わいながら、指先でクリトリスを刺激すると、はっきりと恵梨香は声も漏らすようになる。
『あっ・・・んっ・・・・はぁぁ・・・。』
《昨日の晩も藤原君に愛撫され、そうやって悶えたのか?》
膣内はすで愛液であふれていた。
《もうこんなに中が熱くなっているじゃないか。昨日のほてりがまだ冷めていないに違いない。》
『あんっ・・・・ いやっ・・・・ んっ・・・・ は、はやく・・・・ きて・・・・。』
私はいきり起ったペニスを膣口にあてがうと、ゆっくりとその中へ沈めていく。
《なんて温かいんだ・・・・ いや熱いくらいだ・・・・ き、気持ちいい・・・。》
すぐにペニスは恵梨香の温かいひだに包み込まれると、その体温を心地よく感じる。
《こうして昨日藤原君のペニスも受け入れたんだな。》
『あんっ・・・・んっ・・・・んっ・・・。』
「うっ・・・。」
《そ、それにしても今日はなんて気持ちいいんだ・・・・ ペニスを出し入れするたびに温かく絡みつくこの感触・・・・ 彼も昨夜この気持ちよさを何度も味わったのか?・・・・ ひょっとして今朝までしていたのでは?・・・・ そ、そうだ、そうに違いない!・・・・ だからこんなに早く帰ってきたのだ!・・・・ 一晩中一睡もしないで二人でこの快楽をむさぼっていたのか?・・・・・・・》
そう思うと、今までに味わったことのない快感が体中を駆け巡り、私は恵梨香の中で一気に果てる。
結局その後も私は妻が不倫をした確実な証拠をつかむことは出来なかった。ただ一人悶々と頭の中で妄想をめぐらせている日々が続くのである。これでは何も進展がないと思い、意を決して企画部の藤原君に直接電話をしてみた。
「東京第一営業所の西尾といいます。藤原さんに直接お会いしてお話したいことがあるのですが。」
[第一営業所の方が私に? 何のご用件でしょうか?]
「そうですね。第一営業所の西尾というより、本社企画部白藤(恵梨香:しらふじ・えりか)の亭主と言った方がわかりやすいかな。あなたにこの前の出張の件で聞きたいことがあるので会ってもらいたいんだが。」
私は意識をして藤原君に強い口調でそう言った。
[えっ、しら、白藤さんの・・・・ は、はい・・・ わかりました・・・。]
私が恵梨香の亭主だと口にすると藤原君はあっさりと会うことを了承するた。《やはり何かあったのだ!》その時私はそう直感した。しかし、何があったのかはわからない。同じ社内のこと、おおごとにしたら妻や私の進退問題にもなりかねない。とにかく事は慎重に運ばなければならない。相手の出方によって私はいくつものシミュレーション(対応)を考えていた。 6回に続く
2018/05/12
中Z【満たされない想い】6回
5回
営業の都合をつけて、午後6時半に本社から程近い恵比寿の喫茶店で藤原諒大(ふじわら・りょうた:28歳)君と会うことにする。簡単に初対面の拶を済ませた後、藤原君に「今回私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)と会うことを妻に話したかな?」と確認してみたところ、[話はしていません。]と言う。藤原君が私と会うことを妻(旧姓白藤:恵梨香:しらふじ・えりか:33歳)に話していたなら、私は藤彼の話を聞いて帰った後に腹をくくって恵梨香に今回の噂の真相を聞いてみる覚悟だった。
[いつも仕事では白藤さんにとてもお世話になっています。また、先日の出張の際には、白藤さんにとても失礼なことを申しまして反省しております。ご本人には次の週に何度もお詫びをしてお許しをいただいています。どうかご主人もお許しください。]
藤原君は私に頭を下げてそう言ってくる。
《失礼なこと? 次の週に許してもらった? いったいどういうことなのだ? 俺が知りたいのは、お前が妻を抱いたのかということだけなのだが・・・・。人の女房を寝取っておきながら、許してもらっただと?》
「別に許すも許さないもない、私は真実を知りたいだけなんだ。妻からはある程度話は聞いている。くい違いがないかを知りたい。出張の時のことを包み隠さずに全部話してほしい。」
私は経緯(いきさつ)を知ったふりをして藤原君の出方を待った。
[わかりました。知っておられるなら仕方がないですね。全部お話します。]
「ああ話してくれ。その日の朝から妻とどんな会話や行動をしたのか全部を。」
藤原君は出張の日の当日のことをすべて話し始める。
[・・・・・・それで、仕事がすべて終わったのが夜の8時でした。それまで二人とも何も食べていなかったので、とりあえずホテル近くの居酒屋に行きました。一時間半くらいお酒を飲みながら食事をしました。白藤さんがそろそろ休むと言い出したので、私たちは居酒屋の勘定を済ませてホテルにチェックインしました。当然部屋はフロアー違いの別々の部屋です。・・・・・・・・・ で、そのー・・・・。]
今までとても流暢に話していたのに、藤原君は急に口ごもりだした。
「で、どうしたんだ。」
[私がもう少し飲みたいと言い、白藤さんを自分の部屋に誘いました。]
「部屋に誘った? どういうことだね?」
[えっ、白藤さんから聞いたんでは?]
「ああ、聞いているよ。だから具体的にどんな風に誘ったかを聞いているんだよ。」
私は一瞬あせったが、再び冷静に戻り彼を問い質した。
[つまり・・・ 私の部屋でもう少し飲みませんか? と誘いました。]
「・・・・ それで?」
[白藤さんは『疲れたから早く休みたい。』って断ってきました。]
「・・・・で?」
[ちょっとだけだからと、無理やり白藤さんに頼み込みました・・・・・・。]
「・・・・・・じれったいな、いちいち話を止めないで全部言ってくれないかな?」
[わ、わかりました。私たちはホテルの自販機で缶ビールやおつまみなどを買って私の部屋へ行きました。でも30分くらいして白藤さんは自分の部屋に帰りました。本当にそれだけです。何もありませんでした。]
「おかしいじゃないか? 君は最初に失礼なことをしたと言ったのに、それだけで何が失礼なんだ。」
[す、すみません。最初に奥様から話を聞いていると西尾さんが言ったので、肝心な部分は言いませんでしたが、部屋に入ってから私は白藤さんを口説きました。酔っていたとはいえ、本当に申し訳ありませんでした。]
頭を深々と下げる藤原君の口からようやく核心部分を私は聞き出すことができた。 7回に
2018/05/13
中Z【満たされない想い】7回
6回
藤原諒大(ふじわら・りょうた:28歳)君は新潟でのプレゼンの後、妻(旧姓白藤:恵梨香:しらふじ・えりか:33歳)と居酒屋で酒を飲み、そのままホテルの自分の部屋へ連れ込んで関係を迫ったことを自白した。しかし、結果は私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)が杞憂していたものではなく、恵梨香はそれをしっかり断り何事もなく東京へ帰ってきたのである。妻から許しをもらった藤原君の行為は、私自身としては決して許せるものではなかった。だが、なんとなく釈然としないこの思いはいったい何故なのだろう?
《出張先で同僚に口説かれる・・・・ [一晩だけ思い出を作りたい。]と妻に言った藤原君の言葉は明らかに性交渉を意味している。そのような事がいつの間にか本社企画部ではまかり通るようになっていたのだろうか? 妻は何故このことを私に言わないのだ?・・・・ 言わないのではなく言えないのか?・・・・ やはり私に対して後ろめたい何らかの事情があって?・・・・・・》
やはりこれで終わりに出来るような問題ではないと思った。
「よし、これですべてがわかった。でも最後に一つだけ質問させてくれ。君はこの前の出張の時、なぜ妻を口説こうと思ったんだ?」
[そ、それは、さっきも言ったように酔っていまして・・・・ それにご主人の目の前で大変失礼ですが、白藤さんがとても魅力的だったので・・・・・・ つい・・・・・・ すみませんでした・・・・。]
そう言って藤原君は私に再度頭を下げる。
「それだけか?」
[えっ? それだけかって?]
「妻なら簡単に落とせると思っていたんじゃないのか?」
[そ、そんなことありませんよ。白藤さんは会社でもとても身持ちが堅くて有名ですし、それより人の奥さんですから・・・・・・ でも、何故そんな風に思うのですか?]
私はこれまで藤原君という男の声を聴いていて、あの時のトイレに入ってきた男の声と非常によく似ていると感じていた。ここで、一か八(ばち)かの賭けに出る。
「数カ月前に本社のトイレの中で、君が友人に[白藤さんは出張の時ならやれる。]と言っていたのを偶然そのトイレの個室の中で聞いてしまってね。」
[えっ・・・・・・。]
みるみる藤原君の顔色が変わっていった。(ビンゴ!)
「今回の君のセクハラ的行為は、妻も私も問題にするつもりは全くない。ただ、あの時の話の真相を私に話してくれることが条件だが・・・。」
[そ、それは・・・・・・・・・。]
藤原君はそのまま黙り込んでしまう。
私はここが核心のところと判断をした。
「・・・・君がそういう態度なら、今回の君のセクハラ的行為を社内のハラスメント調査委員会へ告発することになるけど、それでもいいのか?!。」
この時とばかりに強い口調で藤原君に言い放った。
[わ、わかりました・・・・ そのかわり、私が言ったということは誰にも言わないでください。]
「ああ、それは約束しよう。」
ことの始まりは本社企画部のフロアーにあるトイレの中で聞いた妻の出張先での不貞行為の噂話。ついに私はその噂話を吹聴した張本人の尻尾をつかむことにやっと成功する。 8回へ
2018/05/15
中Z【満たされない想い】8回
7回
[あの、すみません。お話する前に聞きたいのですが、その事を知って西尾さんはどうされるおつもりですか?]
逆に藤原君から私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)に質問してきた。
「そんなことは君の知ったことではないだろう?」
[でも、私の言ったことで白藤さんが不幸になるのは・・・・。]
(貴様がそんなことを言える立場か!)そこまで口に出かかる。
「妻と別れたら、君が責任とって結婚してやればいいだろう。」
私は思ってもいないことをつい口走ってしまう。
[結婚できればいいですけど・・・・ 白藤さんは僕を選んではくれなかったので・・・。]
《当たり前だ! この若造が! 誰がお前なんかに恵梨香を渡すものか!》
「心配しなくてもいい。妻と別れるつもりはない。ただ夫として真実を受け止めておきたいだけなんだ。」
私は自分の心を落ち着かせて藤原君に言った。
[わかりました。それでは正直にお話しますが、まだ本当かどうかもわからないので、どうか早まった結論をださないでください。]
「大丈夫、君に言われなくとも冷静に判断をするから。」
私はそう言うと、目の前にあるすっかり冷え切ったコーヒーをすする。
[西尾さんが立ち聞きされたトイレの中の話は、その一週間前に企画部の大久保さんから聞いたことを、口止めされていたのについ話してしまった時だったと思います。]
そう言って藤原君はことの真相を話し始めた。
話の内容は大体こうだ。[妻の恵梨香(えりか)は少なくとも企画部の男性社員三人と関係があって、そのすべては地方での出張の時だけということ。複数回関係がある人間もいるそうだが、どういういきさつでそのような関係になったのかは不明。関係はあくまでも二人の同意によるものということ。また時期に関してもおそらく3~4年くらい前からで、それ以前はなかったということ。最後に東京での妻は決してそのような不貞行為は皆無とのこと。]以上が、藤原君が大久保から聞いた内容だったが、大久保自身は妻と関係をもっていないらしい。
結局のところ藤原君自身も単に大久保からでまかせを聞かされたという可能性もある。つまるところ確証もなく、噂話の域を脱していないのだ。藤原君はそれでも本当かと思い、今回の出張を期待して出かけたようだったが、妻からの答えはノーだったということだ。
今回関係があったという企画部の3人の名前も藤原君から聞き出したが、そのうち二人は自分よりもずっと先輩社員であり、もう一人は私よりも一つ下だった。若い方はたしか去年仙台に転勤になっているはず。しかし、いずれの三人もとてもそのような不貞行為に及ぶようには見えない。いいかげんな噂でこれら三人に問いただすわけにもいかず、私はなんともはがゆい思いで藤原君と別れた。 9回へ
2018/06/22
中Z【満たされない想い】9回
8回 2018/06/22
結局藤原(諒大:ふじわら・りょうた:28歳)君からあの時のトイレの話の真相を聞きだすことはできたが、それが真実なのかということすらわからないまま数日が経過していった。妻(旧姓白藤:恵梨香:しらふじ・えりか:33歳)を見ると嫉妬と興奮が混在したなんとも官能的な感情を抱いていたが、時間が経過するうちに次第にそれらの感情も薄まっていき、また以前の日常が繰り返されるようになっていく。
私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)が《あの時の興奮はいったいなんだったのだろう?》ふとそんな風に思っている時に、藤原君から連絡が入った。企画部に大きな仕事が入ったらしく、大阪で会社のイベントがあり新製品のプレゼンも予定されていて、本社企画部からは妻を含めて4人の社員が現地入りするとのことです。藤原君はそのメンバーには入れなかったようだが、企画部リーダーの三宅とサブリーダーの高山(いずれも妻との関係を噂されている人間だ)それに若手で藤原君と同期入社の須藤と妻がプロジェクトメンバーとのことだ。
藤原君にはあの時に、今後妻の出張の予定があったらすぐに教えてもらうように頼んでおいたのです。今回の出張は複数人なので、恵梨香が不貞行為をするということは考えづらいが、メンバーに妻の恵梨香と関係があったと噂される人間がいるのがどうにも気になった。《恵梨香が出張中に複数の男に抱かれる・・・・?》そう思うと、何故だが急に胸が騒ぎ出し、それから、妻の出張の予定が1カ月後だということがわかります。前回の出張では結局私は何も行動することはなかった。
今回は恵梨香が不倫をする可能性はかなり低いので、費用をかけて興信所などに調べてもらっても無駄になってしまうかもしれない。イベントが土日に行われるので、ならば自分が出張先の大阪まで乗り込むか?しかし確実な証拠のないままホテルなどに乗り込んでも、上手くいくわけがない。しばらくの間どうするか一人悩むだけだった。
『ねえ、聞いてる?』
「えっ何が?」
夕食の時間、一人妄想を膨らませている時に妻が大きな声で私に尋ねてきます。
『この前の出張の時はいろいろ訊いてきたくせに、今度はぜんぜん興味なしって感じなのね。』
「し、出張?」
私は出張という言葉に思わずびっくりして身体を反応させた。
『やっぱり全然聞いてなかったんだ。だからさっき言ったけど、来月の中旬の土日で大阪に出張があるからね。』
「あっそ・・・・。」
『もういいわ・・・ 出張が近くなったらまた言うわ。』
恵梨香はそういうとさっさと夕食の後片付けをはじめます。
《しめた!今回の出張に関しては、前回と違い今までのように私は妻の仕事に興味ないと思われたに違いない。幸いまだ私が藤原君から恵梨香に関しての連絡をもらっていることも知らないようだ。だとしたら今回の出張で恵梨香は不貞行為におよぶかも・・・。》
そう思うと、何故だか私は急にやる気がみなぎってきます。 10回に続く
2018/10/31
中Z【満たされない想い】10回
中Z【満たされない想い】10回
9回 20181031
《幸い、まだ私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)が藤原(諒大:ふじわら・りょうた:28歳)君から恵梨香に関しての連絡をもらっていることも知らないようだ。だとしたら今回の出張で恵梨香は不貞行為におよぶかも・・・。》
そう思うと、何故だか私は急にやる気がみなぎってきました。
『なに? 思い出し笑いなんかして・・・・ あなた・・・ 変よ・・・。』
妻(旧姓白藤:恵梨香:しらふじ・えりか:33歳)はキッチンの中で私の顔を怪訝そうにうかがってそう言ってきます。
「別になんでもないよ。」
私はそう言うと残ったご飯をかきこみました。
恵梨香(えりか)の噂を聞いてから二度目の出張です。さて、今回はどのようにして出張の様子を伺うべきか?いろいろ考えをめぐらせたが、なかなかこれという名案が浮かばないでいました。そこで出張に同行する藤原君の同期入社の須藤和久(すどう・かずひさ:29歳)に妻の監視をお願いできないか藤原君に頼んでみます。
須藤はあの時トイレで藤原君から妻の噂にを聞いていた。必要以上に噂話を広げたくはないので、その点でも須藤が一番好都合です。しかし、その後藤原君から[須藤からは監視役などしたくないと言われた。]との返事が来ました。藤原君は須藤には私のことを、まだ話をしていないので、この際私から直接須藤に頼んでみることにします。
「はじめまして、東京第一営業所の西尾といいます。」
〚は?〛
私は藤原君に須藤を飲みに誘い出して欲しいと頼んだ。その席に突然私が割り込んだので
した。須藤の席の前に私の名刺を置いて挨拶をしたが、突然の来客にただ戸惑うばかりです。すぐに私が「企画部白藤恵梨香の亭主である。」ことを須藤に告げると、須藤は藤原君をにらみつけた。
〚お前が仕組んだんだろ?〛
[ごめん須藤、でも西尾さんの話を聞いてあげてくれ!]
私は今までの経緯を正直に須藤に伝えます。
「別に監視してくれっていうわけではないんだ。ただ、妻の行動でおかしいなと思うことがあったら、私に教えて欲しいんだ。」
〚西尾さんもマジでコイツ(藤原)の言うことを信じているんですか?〛
「別に信じているとか信じていないとかではなく、どうしても妻のことが気になるだけなんだよ。あの時偶然にも君たちの話を聞いてしまってから。他に頼めることも出来ないので、恥を忍んでこうやって君にお願いにきたんだ。頼む。」
そう言って私は年下の須藤に深々と頭を下げた。 11回に続く
20190413
中Z【満たされない想い】11回
中Z【満たされない想い】11回
「どうしても妻(旧姓白藤:恵梨香:しらふじ・えりか:33歳)のことが気になるだけなんだよ。あの時偶然にも君たちの話を聞いてしまってから。他に頼めることも出来ないので、恥を忍んでこうやって君にお願いにきたんだ。頼む。」
そう言って私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)は年下の須藤(和久)すどう・かずひさ:29歳)に深々と頭を下げます。
〚わかりました、西尾さんがそこまで言うなら・・でも本当に白藤さんはそういうタイプじゃないですよ、何もないと思いますけど・・・。〛
「ありがとう。何もなければ、何もなかったと教えてくれればそれでいいんだ。」
こうやって私は、次の出張の時に妻の監視役を一人確保することが出来た。ただ、須藤君自身“ミイラ取りがミイラになる”と言う可能性も考えたが、それならばそれでもいいと腹をくくっていた。
いよいよ出張の日の朝になります。イベントは土日だが、現地入りは金曜日の夜、所謂前乗り)当日予定のある場所の周辺に、前日から宿泊することで前泊となっていた。また最終日の日曜は打ち上げがあるとのことで、結局今回は3泊4日の出張になります。
『じゃあ今日からしばらくいないけど、あまり飲みすぎないでね。』
金曜日の朝、妻の恵梨香は出かける支度を終えた後に私にそう言った。
その日彼女は淡いクリーム色のスーツを着ています。普段の恵梨香はパンツスタイルで出勤することが多いが、プレゼンテーションなどで社外の人間の前に立つ場合などはスカートを穿きました。スカート丈も品を損なわない程度に短く、妻のほっそりとした足が魅力的に見えます。《夫である私がそう思うのだから、他の男性たちもたまに見る恵梨香のスカート姿を楽しみにしているに違いないだろう。》と私は思った。
《不貞行為をするなら、移動日で仕事のない今日か?・・・・ それとも最終日の打ち上げ後か?・・・・ いや、怪しまれないように土曜の深夜とか・・・・。》私は妻の姿を見ながらそんなことを考えます。その日の夜に須藤君からメールで報告がありました。
〚お疲れ様です。初日の報告をします。午後7時にホテルに到着しチェックインしました。部屋は男性陣が5階で白藤さんだけ8階です。ホテル1階の中華レストランで食事をして9時には解散しました。白藤さんにも他の男性陣にもあやしいところはありませんでした。〛
メールが来たのが9時15分、まだまだ夜はこれからです。
「ありがとう。引き続き何か不思議な行動があれば教えてください。」
とりあえず、私は須藤君に引き続き監視をしてもらうように返信をしました。
12回に続く
20190415
中Z【満たされない想い】12回
11回 20190415
須藤(和久:すどう・かずひさ:29歳)君のメールが来たのが午後9時15分、まだまだ夜
はこれからでした。
「ありがとう。何か不思議な行動があれば教えてください。」
とりあえず、私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)は須藤君に引き続き妻(旧姓白藤:恵梨香:しらふじ・えりか:33歳)を監視をしてもらうように返信をします。
次の日も午後9時過ぎに須藤からメールが来ました。
〚お疲れ様です。今日はイベントの初日です。みんなとても緊張しましたが、なんとかクライアントの評判は得られたと感触があります。また、白藤さんのプレゼンもいつも通り冴えていました。怪しい行動などありませんでした。〛
結局最終日も夜の10時前に同じようなメールが須藤から届きます。《彼は監視するっていう意味がわかっているのか?》私は須藤君に監視役を頼んだことをとても後悔しました。《はじめから自分が行けばよかった。こうしているうちにも恵梨香は二人の男にかわるがわるやられているのでは?》頭の中から妻の恵梨香と二人の男との情事の姿が離れないのです。結局今回の妻の出張も私は何も出来ず、この休みは家で一人悶々と過ごすだけで終わってしまいました。
次の日の月曜日は外回りの営業もなく、私は朝から営業所で内勤業務で昼過ぎに恵梨香からメールが来ます。
『今東京に着いたよ。一度会社に寄ってから今日は帰るわ。』
土日に仕事があったので、今日は休みだそうだ。
《出張した連中は今日は移動だけでお休みか・・はっ! やるなら今日これから出来るじゃないか! そ、そうだ、家になど帰らず今からホテルに行くのじゃないか? 会社に行く
ふりをしてそのままラブホテルに行ってるんじゃ?》
私はそう思うと居ても立ってもいられなくなります。とてもデスクに座って仕事などしていられる心境ではなくなった。私は「気分がすぐれない。」と言って会社を早退することにします。
《今やっているのか? どこでだ? どこのホテルなんだ!?》
頭の中では恵梨香が同僚たちに激しく突かれていた。焦っても東京にいくつもあるホテルを探し出すなんて到底不可能。私は恵梨香が本当に家に帰ったのかを確かめるために自宅へ向かいます。家に着くと妻はシャワーを浴びた後らしく髪を乾かしていました。
《同僚と寝た痕跡を流すためにこんな時間にシャワーを浴びたのか?》 13回に続く
20190417
中Z【満たされない想い】13回
中Z【満たされない想い】13回
12回 20190417
私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)は妻(旧姓白藤:恵梨香:しらふじ・えりか:33歳)が本当に家に帰ったのかを確かめるために自宅へ向かいました。家に着くと恵梨香はシャワーを浴びた後らしく髪を乾かしています。
《同僚と寝た痕跡を流すためにこんな時間にシャワーを浴びたのか?》
その時の私の形相にびっくりして妻が尋ねてきました。
『あなた・・・・どうしたの?こんな時間に?・・・・仕事は?』
「仕事どころじゃないんだよ!!・・・・君が出張のたびに同僚に抱かれていると思うと!!」
私はいつの間にか大きな声でそう叫んでいた。
妻の恵梨香は絶句してそのまま私を見つめています。しばらくの間沈黙が続いた。
『・・・・ごめんなさい・・・・。』
静寂を破るように恵梨香がいきなりそうつぶやいた。
「いや、こっちもごめん・・・・。えっ? ご、ごめんなさい・・・・って?」
『いつかあなたに知られるって覚悟していました・・・・。』
思いがけない妻の言葉に私は何も考えられなくなっています。
「出張先で同僚に抱かれてたっていうのは、本当なのか?」
妻の恵梨香は無言のままコクリとうなずきました。私は何か言おうかと思って必死に言葉を探したが、何も言葉が出てきません。再び長い沈黙が続いた。
「ちょっと・・・・出てくるわ・・・。」
私はこの長い沈黙に耐え切れず、妻にそう告げます。
『ちょ、ちょっと待って! 出て行くなら、出て行くのは私の方よ、あなたは家にいて!』
「いや、頭を冷やしたいから外に行くだけだ。」
そう言い残すと私は家から出て行くことにした。
《恵梨香が出張の時に同僚に抱かれていた・・・・やっぱり同僚に抱かれていたんだ・・・・出張中に・・・・抱かれていた・・・・・・ 本当だったんだ・・・・・・。》
頭の中で繰り返し、繰り返し何度もつぶやきます。その後、私はあてもなく2時間近く歩き回っていた。
妻からの突然の告白に私は自分を見失って東京の街を徘徊します。歩きながら恵梨香がどんな風に抱かれていたのかをずっと想像した。ふと気がつくと私は学生時代に住んでいた街に来ます。何度も通った定食屋はいつの間にかなくなり、焼き鳥のチェーン店に変わっていた。開店の準備中だったその店に入ってみると、店主は快く迎え入れてくれます。カウンター席に座り生ビールを注文した。 14回へ続く
20190426
中Z【満たされない想い】14回
13回 20190426
『あなた、本当にごめんなさい。今どこにいるの? 出て行くなら私が出て行きます。だ
から、あなたは帰ってきてください。』
妻(旧姓白藤:恵梨香:しらふじ・えりか:33歳)から私の携帯にメールが届く
「いや君は家に居てくれ。」
恵梨香にそうメールを返信すると、私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)は焼き鳥店のビールを一気に飲み干した。
家に帰っても妻が居ない生活は私には考えられず、とても耐えられるものではなく、しかし頭の中では他人に抱かれて悶えている妻を想像している。それを打ち消そうとしてもダメで、時間がたてばたつほど、私の頭の中で恵梨香は嫌らしく男に抱かれていくのだ。そして、私の中からは次第に別の興味と興奮が沸いてくる。
しばらくした後、私は我慢が出来なくなり恵梨香に「何人の男と寝たんだ?」と、メールをしていた。しばらくして返信がある。
『5人です。』
《妻は私の知らない間に5人もの男に抱かれていたのか!》
激しい嫉妬心と同時に私は異常な興奮を感じてきた。
《5人もの男といったいどんなセックスをしていたんだ?》
「いつから?」
2杯目のビールを飲み干すころ、私はまた妻にメールする。しばらくするとまた恵梨香から返信がある。
『4年前からです。』
《4年も前から5人もの男に抱かれてきたのか・・・。》
恵梨香と結婚後すぐに私は本社から畑違いの営業所に移り、がむしゃらに働いた。4年前と言えば、ちょうど部下もでき、益々忙しくなっていた時期で、確かにその頃は私と妻との関係もほとんどなくなる。企画部の3人の名前はもうすでに情報が入っていた。それ以外にも2人もいるのか?企画部の男性社員なんて10人もいないはずである。ならばほとんどの男に抱かれたのか?
「だれと?」
私はたまらず妻の恵梨香にメールを出すが、返信が来るまでしばらく時間がかかった。
『会社の人が4人とクライアントの人が1人です。』
頭の中では5人の男にまわされている恵梨香が喘いでいる。もう私は自分の嫉妬心を抑えることが出来なくなっていた。それとは別に異常な感情が芽生える。 15回に続く
20190427
中Z【満たされない想い】15回
14回 20190427
「だれと?」
私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)はたまらず妻(旧姓白藤:恵梨香:しらふじ・えりか:33歳)にメールを出すが、返信が来るまでしばらく時間がかかる。
『会社の人が4人とクライアントの人が1人です・・。』
私の頭の中では5人の男にまわされている恵梨香が喘いでいた。
「どんな風に抱かれた?」
私は我慢が出来ずメールをしてしまったが妻からの返信はありません。ビールを何杯飲んだのか、わからないが、全く酔いがまわらなかった。むしろ頭は冴えてきて、興奮してきている。開店した店の中もだいぶお客さんが入ってきて騒がしくなってきた。
ようやく恵梨香から返信がくる。
『ごめんなさい、私の方が出て行きます。』
《妻がいなくなってしまう・・・・私の妻が・・・・。》
妻を傷つけてしまった後悔と、恵梨香を失ってしまう恐怖心が同時に押し寄せてきて、私はたまらず勘定を済ませるとタクシーをつかまえて家に向かった。
2時間近く歩いたのに車なら20分で家に着く。しかし、私にとっては死ぬほど長く感じられる20分だった。家に入ると妻は身支度を整えて家を出て行くところである。
「出て行かないでくれ恵梨香! 頼む! 頼む!」
私は頭を下げて妻に嘆願した。
『やめて、あなたが頭を下げるなんて・・・・。悪いのは・・・ わたしです。』
恵梨香があわてて私の肩を抱く。
『あなた、わたしが・・・・。』
「いいんだ・・・・と、とにかく、君は何も言わなくて・・・・そ、そうだ・・・腹減ったな・・・・今日は私が作るから・・・君はそこに座っていればいい・・・・えーと、何を作ろうかな? おっ、焼きそばがあった・・・・よし、焼きそばを作ろう・・・・上手いぞ・・・・俺の作った焼きそばは・・・・。」
私は涙を流す恵梨香をなんとかリビングのソファに座らせると、必死になってしゃべり続けた。途中で手伝おうとする妻を制して、何度も失敗し黒くこげた焼きそばを作り、恵梨香と二人で食べる。その後も私はしゃべり続けた。とにかく沈黙が怖かった。
『あなたは、わたしを許すことが出来るの?』
さすがに1時間もしゃべり続けると、話すこともなくなり、沈黙の時間が長くなり始めた時に恵梨香が私へ質問をしてくる。
「許せるかどうかなんてまだわからない。今日はまだ結論を出したくない。それより私はそれもこれも全部ひっくるめて、恵梨香のことがより一層愛おしくてたまらないんだ。」
そう言うと私は妻の手を引きベッドルームへ行った。 16回につづく
20190603
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