中Z【満たされない想い】3回
中Z【満たされない想い】3回
2回
妻(西尾恵梨香:にしお・えりか:33歳)が出張先で同僚と不倫をしたという話は、私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)の心を激しくざわつかせたが結局その後は何も言い出すことができない。何度か妻に直接聞いてみようかと思ったが、そんなことを聞けば今まで二人で積み上げてきたものがいっきになくなってしまいそうで、とても直接聞くことなど出来なかった。
それでは周りの人間に確かめてみようと思い、それとなく本社の友人に電話もしてみたが、どんな風に聞き出したらよいのかわからないまま何日も経過していく。あの晩は妻と交わったが、その後はない。もともと恵梨香はセックスが好きなタイプではない。私と付き合う前に一人の男性と付き合ったがことがあったようだが、からだの関係はなかったらしい。つまり私が恵梨香の最初の男性だった。そして最後の男性でもあると信じて疑わない。頭の中から妻の不倫が離れないまま1カ月が経過したある日、彼女に出張の予定が入った。《よし、今度こそ決定的な証拠をつかんでやる。》
「出張っていったいどこへ行くの?」
『新潟よ。』
「何泊なの?」
『一泊よ、今回はエキジビション(展示会)だから簡単に終わる予定。』
「そうなんだ、仕事は何時くらに終わるんだ?」
『なんか、今日はやけに私の出張のことを聞いてくるのね。』
「い、いや別に・・・ほら、最近あまり話をしなくなったから・・・。」
《これ以上訊くと妻の出張に関して私が勘ぐっているのがバレてしまう。とにかく証拠をつかむことを優先することにしよう。だから出張の話題はしばらく避けておこう。》と思う。私はそれから先、出張に関する話は一切しないように努めた。
そして出張の前日になる。妻の恵梨香が『明日は前にも言っていた出張だから、何か食べて帰ってきてね。帰りは明後日土曜日のお昼過ぎになるわ。』私は平静を装って「あーそーだったんだ、わかった。」そう答えた。いよいよ出張当日になるが、その日私は朝から仕事が手につかない。妻は昼過ぎの新幹線で新潟に向かうと言っていた。《もうそろそろ会社を出たころだろうか?》私は午後1時過ぎに行動に出る。本社の企画部には知り合いがいないので、私が昔所属していた総務部へ電話をかけてみると、後輩の新海雄二(しんかい・ゆうじ:32歳)が出る。
「西尾だ、久しぶり。」
[先輩、こちらこそお久しぶりです。営業所でご活躍と聞いていますよ。]
「妻の恵梨香に用事があってさっき企画部に電話したのだけど、今日出張に行ったらしいのだ。あいつ、携帯も忘れていって連絡がつかなくて困っているのだ。総務には企画部から出張の申請が出ていると思うんだけど、恵梨香以外に企画部の人で行く人がわかれば教えてくれないか?」
[ちょっと待ってください・・・ 調べてみます。]
私はしばらく待ちました。
[先輩、わかりましたよ、藤原諒大(ふじわら・りょうた)です。]
「藤原諒大? はじめて聞く名前だな。入社何年目くらいの社員なの?」
[えーと、たしか6年目だったかと・・・。]
「わかった、ありがとう。」
入社6年目ということはまだ20代の後半で妻の恵梨香よりも年下になる。本当に妻は今日、藤原君に出張先で抱かれるのだろうか?さて、出張の相手が藤原君という若い社員ということはわかったものの、この先の手を全く考えていなかった。 4回へ
2018/05/05
2回
妻(西尾恵梨香:にしお・えりか:33歳)が出張先で同僚と不倫をしたという話は、私(西尾和正:にしお・かずまさ:35歳)の心を激しくざわつかせたが結局その後は何も言い出すことができない。何度か妻に直接聞いてみようかと思ったが、そんなことを聞けば今まで二人で積み上げてきたものがいっきになくなってしまいそうで、とても直接聞くことなど出来なかった。
それでは周りの人間に確かめてみようと思い、それとなく本社の友人に電話もしてみたが、どんな風に聞き出したらよいのかわからないまま何日も経過していく。あの晩は妻と交わったが、その後はない。もともと恵梨香はセックスが好きなタイプではない。私と付き合う前に一人の男性と付き合ったがことがあったようだが、からだの関係はなかったらしい。つまり私が恵梨香の最初の男性だった。そして最後の男性でもあると信じて疑わない。頭の中から妻の不倫が離れないまま1カ月が経過したある日、彼女に出張の予定が入った。《よし、今度こそ決定的な証拠をつかんでやる。》
「出張っていったいどこへ行くの?」
『新潟よ。』
「何泊なの?」
『一泊よ、今回はエキジビション(展示会)だから簡単に終わる予定。』
「そうなんだ、仕事は何時くらに終わるんだ?」
『なんか、今日はやけに私の出張のことを聞いてくるのね。』
「い、いや別に・・・ほら、最近あまり話をしなくなったから・・・。」
《これ以上訊くと妻の出張に関して私が勘ぐっているのがバレてしまう。とにかく証拠をつかむことを優先することにしよう。だから出張の話題はしばらく避けておこう。》と思う。私はそれから先、出張に関する話は一切しないように努めた。
そして出張の前日になる。妻の恵梨香が『明日は前にも言っていた出張だから、何か食べて帰ってきてね。帰りは明後日土曜日のお昼過ぎになるわ。』私は平静を装って「あーそーだったんだ、わかった。」そう答えた。いよいよ出張当日になるが、その日私は朝から仕事が手につかない。妻は昼過ぎの新幹線で新潟に向かうと言っていた。《もうそろそろ会社を出たころだろうか?》私は午後1時過ぎに行動に出る。本社の企画部には知り合いがいないので、私が昔所属していた総務部へ電話をかけてみると、後輩の新海雄二(しんかい・ゆうじ:32歳)が出る。
「西尾だ、久しぶり。」
[先輩、こちらこそお久しぶりです。営業所でご活躍と聞いていますよ。]
「妻の恵梨香に用事があってさっき企画部に電話したのだけど、今日出張に行ったらしいのだ。あいつ、携帯も忘れていって連絡がつかなくて困っているのだ。総務には企画部から出張の申請が出ていると思うんだけど、恵梨香以外に企画部の人で行く人がわかれば教えてくれないか?」
[ちょっと待ってください・・・ 調べてみます。]
私はしばらく待ちました。
[先輩、わかりましたよ、藤原諒大(ふじわら・りょうた)です。]
「藤原諒大? はじめて聞く名前だな。入社何年目くらいの社員なの?」
[えーと、たしか6年目だったかと・・・。]
「わかった、ありがとう。」
入社6年目ということはまだ20代の後半で妻の恵梨香よりも年下になる。本当に妻は今日、藤原君に出張先で抱かれるのだろうか?さて、出張の相手が藤原君という若い社員ということはわかったものの、この先の手を全く考えていなかった。 4回へ
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