中18〚目覚め〛パート11
中18〚目覚め〛パート11
パート10
「怜奈ちゃんゴメン。僕は瑠璃子以外の女とそういう事はちょっと無理なんだ。ほら、席に戻って楽しく飲もうよ。」と僕(河村澄夫:すみお)は麒麟(お笑いコンビ)の川島明ばりの渋い声で困ったように言いながら古川怜奈(こがわ・れな)を引き離そうと、彼女の脇あたりを手で押し返した。
僕は感動で泣きそうだった。イイ女が僕にすがり付いてきて、それを興味が無い様に断るっていうシチュエーション、誰でも一度は想像した事があるハズだ! モテない僕には絶対無理だと思って諦めていたが、まさか実際に体験出来る日が来るとは・・・・今なら先輩女性社員の春田倫子(みちこ)さんにも素直に「ありがとう。」って言える気がする。ふと正面を見ると、村上一郎が笑いを堪えていた。
逆に、怜奈は相当カチンときていた様子です。僕の首の後ろに回した手でギュッとツネられたが、それでも怜奈は“芝居”を続けた。〚いやぁん、ちょっとだけでいいから、澄夫君貸してよぉ。瑠璃子には 一郎を貸してあげるから・・ねっ?〛と言いながら、あぐらをかいている僕に跨ってくる。さすがに恥ずかしいのか、怜奈はずっと顔を僕に押し付けたままだった。
『ちょっと怜奈ぁ、そんな事言っていると一郎君に嫌われちゃうよぉ。ほらぁ、一郎君が変な薬のませるから、怜奈がヘンになっちやったじゃないっ!』
〔スイマセン・・・まさか澄夫君に行くとは思ってなかったんですよ。〕
一郎は寂しそうに小さい声でつぶやきながら、河村瑠璃子(るりこ)に頭を下げた。その瞬間、瑠璃子はハッとした様に一郎を振り返る。
体と声が大きく、下ネタを連発する一郎が、別人の様に小さくなって瑠璃子に頭を下げていた。しかも、下を向きながら小刻みに肩が震えていた。おそらく、さっきの僕の態度を笑っているのだろうが、瑠璃子からはそれが泣いている様に見えているのでは無いだろうか? 僕も、直前に一郎が笑いを堪えている顔を見ていなければ、そう思ったに違いない。見かけによらず演技派の様だ。
そんなのを見れば、人一倍優しい妻の瑠璃子の事だ。放っておけるハズが無い。
『いやぁん! 一郎君、泣かないでぇ。ね?』
瑠璃子は両手で一郎の左手を取り、胸元で握り締めると、怜奈と僕の方を向いて、ちょっと強めに言った。
『怜奈! ちょっとイイ加減にしなさい!』
〔いえ、瑠璃子さんイイです。止めないで下さい。僕は全然平気ですから。〕
『で、でも・・・。』
〔媚薬を飲ませたのは僕だし、酒にも酔っているはずだし・・・そんな状態の怜奈さんが、澄夫君を求めているのって、好きとか愛してるとか、そんな気持ちとは別のものだと思うんですよ。僕メチャクチャ怜奈さんの事好きなんで、心が裏切ってなければ怜奈さんが何をしても平気なんです。〕
『へぇー、一郎君は凄いなぁ。私ちょっと感動しちゃった。〔心が裏切ってなければ〕、か。本当に怜奈の事、好きなんだね。私なんて・・しょっちゅうヤキモチ焼いちゃうのに・・・。』
2016/04/08
パート10
「怜奈ちゃんゴメン。僕は瑠璃子以外の女とそういう事はちょっと無理なんだ。ほら、席に戻って楽しく飲もうよ。」と僕(河村澄夫:すみお)は麒麟(お笑いコンビ)の川島明ばりの渋い声で困ったように言いながら古川怜奈(こがわ・れな)を引き離そうと、彼女の脇あたりを手で押し返した。
僕は感動で泣きそうだった。イイ女が僕にすがり付いてきて、それを興味が無い様に断るっていうシチュエーション、誰でも一度は想像した事があるハズだ! モテない僕には絶対無理だと思って諦めていたが、まさか実際に体験出来る日が来るとは・・・・今なら先輩女性社員の春田倫子(みちこ)さんにも素直に「ありがとう。」って言える気がする。ふと正面を見ると、村上一郎が笑いを堪えていた。
逆に、怜奈は相当カチンときていた様子です。僕の首の後ろに回した手でギュッとツネられたが、それでも怜奈は“芝居”を続けた。〚いやぁん、ちょっとだけでいいから、澄夫君貸してよぉ。瑠璃子には 一郎を貸してあげるから・・ねっ?〛と言いながら、あぐらをかいている僕に跨ってくる。さすがに恥ずかしいのか、怜奈はずっと顔を僕に押し付けたままだった。
『ちょっと怜奈ぁ、そんな事言っていると一郎君に嫌われちゃうよぉ。ほらぁ、一郎君が変な薬のませるから、怜奈がヘンになっちやったじゃないっ!』
〔スイマセン・・・まさか澄夫君に行くとは思ってなかったんですよ。〕
一郎は寂しそうに小さい声でつぶやきながら、河村瑠璃子(るりこ)に頭を下げた。その瞬間、瑠璃子はハッとした様に一郎を振り返る。
体と声が大きく、下ネタを連発する一郎が、別人の様に小さくなって瑠璃子に頭を下げていた。しかも、下を向きながら小刻みに肩が震えていた。おそらく、さっきの僕の態度を笑っているのだろうが、瑠璃子からはそれが泣いている様に見えているのでは無いだろうか? 僕も、直前に一郎が笑いを堪えている顔を見ていなければ、そう思ったに違いない。見かけによらず演技派の様だ。
そんなのを見れば、人一倍優しい妻の瑠璃子の事だ。放っておけるハズが無い。
『いやぁん! 一郎君、泣かないでぇ。ね?』
瑠璃子は両手で一郎の左手を取り、胸元で握り締めると、怜奈と僕の方を向いて、ちょっと強めに言った。
『怜奈! ちょっとイイ加減にしなさい!』
〔いえ、瑠璃子さんイイです。止めないで下さい。僕は全然平気ですから。〕
『で、でも・・・。』
〔媚薬を飲ませたのは僕だし、酒にも酔っているはずだし・・・そんな状態の怜奈さんが、澄夫君を求めているのって、好きとか愛してるとか、そんな気持ちとは別のものだと思うんですよ。僕メチャクチャ怜奈さんの事好きなんで、心が裏切ってなければ怜奈さんが何をしても平気なんです。〕
『へぇー、一郎君は凄いなぁ。私ちょっと感動しちゃった。〔心が裏切ってなければ〕、か。本当に怜奈の事、好きなんだね。私なんて・・しょっちゅうヤキモチ焼いちゃうのに・・・。』
2016/04/08
- 関連記事
-
- 中18〚目覚め〛パート09 (2016/03/06)
- 中22〚純情〛第4章④ 20 (2016/03/11)
- 中18〚目覚め〛パート10 (2016/03/16)
- 中22〚純情〛第4章⑤ 21 (2016/03/16)
- 中22〚純情〛第4章⑥ 22 (2016/03/27)
- 中22〚純情〛第5章① 23 (2016/04/07)
- 中3〚三角関数〛11話 (2016/04/07)
- 中18〚目覚め〛パート11 (2016/04/08)
- 中18〚目覚め〛パート12 (2016/05/01)
- 中22〚純情〛第5章② 24 (2016/05/01)
- 中22〚純情〛第5章③ 25 (2016/07/14)
- 中24『愛の絆(きずな)』 第9回 (2016/09/05)
- 中24『愛の絆(きずな)』 第10回 (2016/09/30)
- 中22〚純情〛第5章④ 26 (2016/10/16)
- 中22〚純情〛第5章⑤ 27 (2016/10/17)
コメント
コメントの投稿