名K【矛盾】第1章4話 04
名K【矛盾】第1章4話 04
第1章3話 03
おそらく妻(渡部香澄:わたべ・かすみ:37歳)は寝ずに私(渡部篤史:わたべ・あつし:41歳)が眠るのを待って、家を出たのだと思います。携帯に電話しても繋がらず、妻の実家に電話すると義母(橋爪千恵子)が出た。[香澄? 何を言っているの、今日は土曜日よ。いつもの様に真理を預けて仕事に行ったわよ。あなた大丈夫?]義母は本当に何も知らないようです。
この様な時に会社に行っているはずは無いと思っていても、妻の携帯に繋がらないので探しようが無く、あの社長(河北玄一:かわきた・げんいち:66歳)の所へ行ったのか? とも思いましたが、自宅も分からないので、取り敢えずは妻の勤め先に行ってみるしか有りません。
会社(河北組)に行くと、何故か事務所は暗くて誰もいなかったので、外でトラックに重機を積んでいた二人組に尋ねる。「あの、社長にお会いしたいのですが・・。」、≪社長? 今日はたぶん来ないよ。土曜日は現場の者だけで事務は休みだから、部長に任せて社長はめったに来ないよ。部長ならもう来る頃だから、部長では駄目か? どうしても社長に急用なら自宅へ行きな。ただ土曜日は急に行くと機嫌が悪いから電話してからの方がいいぞ。≫
香澄は『土曜日も仕事よ。』って言って、毎週出社していたので不安は大きくなり、河北の自宅を聞いた後に、妻の事を何か聞き出せないかと思い、
「そういえば以前、飲み屋で意気投合した夫婦の奥さんの方が、ここに勤めていると聞いた覚えが有るのですが、元気にしていますか? たしか香澄さんという名前だったと思いますが・・。」
≪香澄? そんな人はいないな。≫
〈おい、あの人の事じゃないのか? 社長のさ・・・。〉
もう一人の男が小指を立てながら言うと。
≪そうだ。あの色が白くてオッパイのでかい奥さんの名前・・確か香澄とか言ったな。彼女なら最初ここの事務をしていたが、半年ぐらい前から社長の家のお手伝いさんをしているよ。事務をしているより給料がいいらしいぜ・・。≫
〈いや、給料と言うよりあれはお手当てだろ。お手伝いと言っても前から一人いるし、大きな家だと言っても、二人も必用なほど仕事も無いから、両手に花でいったい何のお手伝いをさせている事やら。社長は女癖が悪くて、それも人妻専門だからな。いけねー! 調子に乗って喋り過ぎた。社長に会っても今の話は内緒にしてくれよ!〉
私は妻の事を完全に信用していて、何も知らない間抜けな亭主でした。まさかと思っている事が、どんどん現実の物と成っていきます。
河北の家は会社から車で5分程の所に有り、高い塀で囲まれていて、大きく立派なアルミ製の門扉がある、寄棟作りの豪邸でした。あの二人組の言っていたとおり門が閉ざされていたので、インターホンを押しますが返事が有りません。諦めきれずに押し続けていると、ようやくあの社長の声がして、家の中から開ける事が出来るのか、次の瞬間ガチャッという鍵の開く音がしました。〔今開けたから入って来い! 家に入ったら玄関のすぐ右の部屋にいるから、勝手に上がって来い!〕私だと分かった事が不思議で上を見ると、そこには防犯カメラがこちらを見ていました。 第1章5話 05 に続く
2017/04/08
第1章3話 03
おそらく妻(渡部香澄:わたべ・かすみ:37歳)は寝ずに私(渡部篤史:わたべ・あつし:41歳)が眠るのを待って、家を出たのだと思います。携帯に電話しても繋がらず、妻の実家に電話すると義母(橋爪千恵子)が出た。[香澄? 何を言っているの、今日は土曜日よ。いつもの様に真理を預けて仕事に行ったわよ。あなた大丈夫?]義母は本当に何も知らないようです。
この様な時に会社に行っているはずは無いと思っていても、妻の携帯に繋がらないので探しようが無く、あの社長(河北玄一:かわきた・げんいち:66歳)の所へ行ったのか? とも思いましたが、自宅も分からないので、取り敢えずは妻の勤め先に行ってみるしか有りません。
会社(河北組)に行くと、何故か事務所は暗くて誰もいなかったので、外でトラックに重機を積んでいた二人組に尋ねる。「あの、社長にお会いしたいのですが・・。」、≪社長? 今日はたぶん来ないよ。土曜日は現場の者だけで事務は休みだから、部長に任せて社長はめったに来ないよ。部長ならもう来る頃だから、部長では駄目か? どうしても社長に急用なら自宅へ行きな。ただ土曜日は急に行くと機嫌が悪いから電話してからの方がいいぞ。≫
香澄は『土曜日も仕事よ。』って言って、毎週出社していたので不安は大きくなり、河北の自宅を聞いた後に、妻の事を何か聞き出せないかと思い、
「そういえば以前、飲み屋で意気投合した夫婦の奥さんの方が、ここに勤めていると聞いた覚えが有るのですが、元気にしていますか? たしか香澄さんという名前だったと思いますが・・。」
≪香澄? そんな人はいないな。≫
〈おい、あの人の事じゃないのか? 社長のさ・・・。〉
もう一人の男が小指を立てながら言うと。
≪そうだ。あの色が白くてオッパイのでかい奥さんの名前・・確か香澄とか言ったな。彼女なら最初ここの事務をしていたが、半年ぐらい前から社長の家のお手伝いさんをしているよ。事務をしているより給料がいいらしいぜ・・。≫
〈いや、給料と言うよりあれはお手当てだろ。お手伝いと言っても前から一人いるし、大きな家だと言っても、二人も必用なほど仕事も無いから、両手に花でいったい何のお手伝いをさせている事やら。社長は女癖が悪くて、それも人妻専門だからな。いけねー! 調子に乗って喋り過ぎた。社長に会っても今の話は内緒にしてくれよ!〉
私は妻の事を完全に信用していて、何も知らない間抜けな亭主でした。まさかと思っている事が、どんどん現実の物と成っていきます。
河北の家は会社から車で5分程の所に有り、高い塀で囲まれていて、大きく立派なアルミ製の門扉がある、寄棟作りの豪邸でした。あの二人組の言っていたとおり門が閉ざされていたので、インターホンを押しますが返事が有りません。諦めきれずに押し続けていると、ようやくあの社長の声がして、家の中から開ける事が出来るのか、次の瞬間ガチャッという鍵の開く音がしました。〔今開けたから入って来い! 家に入ったら玄関のすぐ右の部屋にいるから、勝手に上がって来い!〕私だと分かった事が不思議で上を見ると、そこには防犯カメラがこちらを見ていました。 第1章5話 05 に続く
2017/04/08
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