長Ⅱ9《手紙》第5回
長Ⅱ9《手紙》第5回
第4回 2017/06/26
私(佐藤和臣:さとう・かずおみ)と桝田尚子(ますだ・しょうこ)はその後いわゆる遠距離恋愛を続け、お互いに大学を卒業し、就職してから2年目の秋に結婚しました。私と尚子が24歳の時です。甘い新婚気分に浸る間は短く、翌年に長男が、そのまた翌年に次男が生まれました。それで妻は2人の子育てに追われ、私は私で商社マンとして忙しい日々を送ります。
転勤の多い生活の中で子供を育てていきながら妻がずっと続けていたのがフルートでした。下の子が小学校に入学した頃から本格的に再開し、地域のオーケストラに参加したり、ボランティアで室内楽の演奏会に出るようになります。レッスンもずっと続けて受けており、次男が大学に入った頃にはある大手の音楽スクールの講師の仕事を始めるまでになりました。
昨年の3月には次男の就職が決まり、入社前研修のため会社の寮に入ったことから、自宅は私と妻の二人暮らしになりました。2人の息子を大学を卒業させ、私はようやく親としての勤めを果たしたという満足感を味わっていましたが、妻はむしろと子供が巣立ったことによる寂しさを感じているようでした。
私は5年前に商社はやめており、取引先の社長にスカウトされてある通信販売会社の役員になっていました。仕事の責任は重いですが、商社マン時代ほどの激烈な忙しさはありません。また、基本的に転勤はありませんし比較的時間も自由に使えます。
「5月の連休に2人で温泉にでも行かないか?」
『いいわね。』
私は寂しげな妻を気遣って提案します。妻は微笑して頷きますが、やはりあまり元気はなさそうでした。
『あなた、お願いがあるんですが・・・。』
妻(佐藤尚子:さとう・しょうこ:50歳)が遠慮がちに口を開きます。
「なんだい?」
『今講師をやっている教室の生徒さんに、自宅でレッスンをしたいんです。』
「自宅でか?」
私は意外な申し出に聞き返しました。
『子供たちも家を出ましたし、あなたにも迷惑をかけませんから・・・。』
「僕は迷惑なんて思わないが、スクールのほうはそれでかまわないの?」
『はい、お金はいただくつもりはありませんし、来ていただく方もスクールのほうも続けることになっています。』
「何人なの?」
『2人です。男の子と女の子。同じ大学のオーケストラで吹いているんですが、私の生徒の中では一番熱心なんです。もう2年も続けています。』
「そうか・・・。」
私(佐藤和臣:さとう・かずおみ:50歳)は少し考えます。
「近所迷惑にならないかな?」
『私もレッスンをするのでリビングには防音処理がされていますから・・・。回数も週一回だけですので・・。』
「お隣とお向かいには事前にきちんと挨拶しておけよ。」
『じゃあ、いいんですね?』
「尚子はやりたいんだろう。かまわないよ。」
妻が嬉しそうに頷きました。 第6回へ続く
2018/07/11
第4回 2017/06/26
私(佐藤和臣:さとう・かずおみ)と桝田尚子(ますだ・しょうこ)はその後いわゆる遠距離恋愛を続け、お互いに大学を卒業し、就職してから2年目の秋に結婚しました。私と尚子が24歳の時です。甘い新婚気分に浸る間は短く、翌年に長男が、そのまた翌年に次男が生まれました。それで妻は2人の子育てに追われ、私は私で商社マンとして忙しい日々を送ります。
転勤の多い生活の中で子供を育てていきながら妻がずっと続けていたのがフルートでした。下の子が小学校に入学した頃から本格的に再開し、地域のオーケストラに参加したり、ボランティアで室内楽の演奏会に出るようになります。レッスンもずっと続けて受けており、次男が大学に入った頃にはある大手の音楽スクールの講師の仕事を始めるまでになりました。
昨年の3月には次男の就職が決まり、入社前研修のため会社の寮に入ったことから、自宅は私と妻の二人暮らしになりました。2人の息子を大学を卒業させ、私はようやく親としての勤めを果たしたという満足感を味わっていましたが、妻はむしろと子供が巣立ったことによる寂しさを感じているようでした。
私は5年前に商社はやめており、取引先の社長にスカウトされてある通信販売会社の役員になっていました。仕事の責任は重いですが、商社マン時代ほどの激烈な忙しさはありません。また、基本的に転勤はありませんし比較的時間も自由に使えます。
「5月の連休に2人で温泉にでも行かないか?」
『いいわね。』
私は寂しげな妻を気遣って提案します。妻は微笑して頷きますが、やはりあまり元気はなさそうでした。
『あなた、お願いがあるんですが・・・。』
妻(佐藤尚子:さとう・しょうこ:50歳)が遠慮がちに口を開きます。
「なんだい?」
『今講師をやっている教室の生徒さんに、自宅でレッスンをしたいんです。』
「自宅でか?」
私は意外な申し出に聞き返しました。
『子供たちも家を出ましたし、あなたにも迷惑をかけませんから・・・。』
「僕は迷惑なんて思わないが、スクールのほうはそれでかまわないの?」
『はい、お金はいただくつもりはありませんし、来ていただく方もスクールのほうも続けることになっています。』
「何人なの?」
『2人です。男の子と女の子。同じ大学のオーケストラで吹いているんですが、私の生徒の中では一番熱心なんです。もう2年も続けています。』
「そうか・・・。」
私(佐藤和臣:さとう・かずおみ:50歳)は少し考えます。
「近所迷惑にならないかな?」
『私もレッスンをするのでリビングには防音処理がされていますから・・・。回数も週一回だけですので・・。』
「お隣とお向かいには事前にきちんと挨拶しておけよ。」
『じゃあ、いいんですね?』
「尚子はやりたいんだろう。かまわないよ。」
妻が嬉しそうに頷きました。 第6回へ続く
2018/07/11
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