『妻の貸し出し2章』第3話
創A『妻の貸し出し2章』第3話
第2話
朝食の時、美玖が神妙な顔つきで『ねぇ・・・今日のお昼にあの契約書を高橋主任に渡すことにしたの・・・いいかな?』と訊ねてくる。メールで連絡し合ったそうで『後で要のスマホに転送するね。』と付け足した。「夜にすると思っていたけど・・・。」と言うと、『・・・うん、何となく明るい昼間の方が良いかなって・・・。』って微笑む。「そうだね。」と僕も頷く。
『それとね・・・』って言ったきりで沈黙が続く。僕(伊藤要:いとう・かなめ:29歳)が「なんだい?」と尋ねる。すると妻(伊藤美玖:いとう・みく:27歳)はA4の用紙を差し出す。「えっ・・なにこれ?」って渡された紙に〚今後どのような事があっても二人は別れません。ここに連名で誓約します。〛あと年月日が印字され、署名欄が空けてあった。『要君の署名がほしいの・・。』ってお願いをされる。「いいよ。2枚ともするの・・・?」、『そう。それぞれが持っているの。』
僕は、美玖の“覚悟”を感じた。それと同時に“不安と弱気”も垣間見えた。それは僕だって同じだ。最後の到達点は【妻の貸し出し】なのだから、こんな非日常的なことを初めてしようとするのだから、覚悟がいるだろう。この署名は所謂“血判状”なのだ。僕は署名を2通にした。それぞれが署名を終えて、1通を美玖がもう1通は僕が所持する。
僕は傍らの美玖を強く抱きしめて「ごめんな。僕の我儘に附きあわせて・・・。」と行った。『私は要の妻だし、夫が望むことはしてあげたいの。でもこんなふうにいつも抱きしめていてね。それだけで安心するから。』と僕の目を美玖はじっと見た。
午前中は仕事に集中できないまま過ごす。正午に≪これから昼食を兼ねて高橋主任と出かけます。≫とメールが届いた。≪行ってらっしゃい。≫とだけ返信をする。僕は外に出かける気力もなく、出社前に買っておいたサンドイッチを食べた。なんだか味を全く感じない。スマホを注視していたが全然振動する気配がなかった。あと5分で休憩が終わるタイミングでスマホにメールが・・・それは早く見てみたい気持ちと運命が決まってしまうので見たくないという半分半分だった。
『高橋:憲吾(たかはし・けんご: 31歳)主任は驚いていたけど、要君が作成した契約書にサインをしてくれました。詳しい報告は家でします。それと主任が要君によろしくと伝えてください。とのことです。』僕は途端に心臓がぎゅっと縮まる。ルビコン川を渡る(後戻りはできないという覚悟のもと、重大な決断や行動を起こすこと)日になった。 第4話へ続く
2014/09/18
第2話
朝食の時、美玖が神妙な顔つきで『ねぇ・・・今日のお昼にあの契約書を高橋主任に渡すことにしたの・・・いいかな?』と訊ねてくる。メールで連絡し合ったそうで『後で要のスマホに転送するね。』と付け足した。「夜にすると思っていたけど・・・。」と言うと、『・・・うん、何となく明るい昼間の方が良いかなって・・・。』って微笑む。「そうだね。」と僕も頷く。
『それとね・・・』って言ったきりで沈黙が続く。僕(伊藤要:いとう・かなめ:29歳)が「なんだい?」と尋ねる。すると妻(伊藤美玖:いとう・みく:27歳)はA4の用紙を差し出す。「えっ・・なにこれ?」って渡された紙に〚今後どのような事があっても二人は別れません。ここに連名で誓約します。〛あと年月日が印字され、署名欄が空けてあった。『要君の署名がほしいの・・。』ってお願いをされる。「いいよ。2枚ともするの・・・?」、『そう。それぞれが持っているの。』
僕は、美玖の“覚悟”を感じた。それと同時に“不安と弱気”も垣間見えた。それは僕だって同じだ。最後の到達点は【妻の貸し出し】なのだから、こんな非日常的なことを初めてしようとするのだから、覚悟がいるだろう。この署名は所謂“血判状”なのだ。僕は署名を2通にした。それぞれが署名を終えて、1通を美玖がもう1通は僕が所持する。
僕は傍らの美玖を強く抱きしめて「ごめんな。僕の我儘に附きあわせて・・・。」と行った。『私は要の妻だし、夫が望むことはしてあげたいの。でもこんなふうにいつも抱きしめていてね。それだけで安心するから。』と僕の目を美玖はじっと見た。
午前中は仕事に集中できないまま過ごす。正午に≪これから昼食を兼ねて高橋主任と出かけます。≫とメールが届いた。≪行ってらっしゃい。≫とだけ返信をする。僕は外に出かける気力もなく、出社前に買っておいたサンドイッチを食べた。なんだか味を全く感じない。スマホを注視していたが全然振動する気配がなかった。あと5分で休憩が終わるタイミングでスマホにメールが・・・それは早く見てみたい気持ちと運命が決まってしまうので見たくないという半分半分だった。
『高橋:憲吾(たかはし・けんご: 31歳)主任は驚いていたけど、要君が作成した契約書にサインをしてくれました。詳しい報告は家でします。それと主任が要君によろしくと伝えてください。とのことです。』僕は途端に心臓がぎゅっと縮まる。ルビコン川を渡る(後戻りはできないという覚悟のもと、重大な決断や行動を起こすこと)日になった。 第4話へ続く
2014/09/18
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