中U【本当は・・・】第3回 【夫視点②】&〖妻視点②〗
中U【本当は・・・】第3回 【夫視点②】&〖妻視点②〗
【夫視点】
仕事が終わって、家でのひととき。この歳で親父臭いかもしれないけど、このために生きていると実感できるひとときだ。今日は俺(南野芳隆)のほうが帰宅は早かったので晩ご飯は俺が作った。大したものは作れないけど、妻の恵梨香(えりか)は『おいしい。』と言って食べてくれる。
夕飯が済んだ後はテレビを見ながらゆったりとくつろいで、それぞれが風呂を済ませてから寝室へ入る。そうして始まる夜の営み。結婚してから2年になるけど、何かよっぽど体調が悪い(生理など)とかの理由があるとき以外は毎晩欠かしたことはない。
『電気、消してよ・・・。』
俺の粘りに対する、いつもの台詞。恥ずかしがりの恵梨香は、明かりを全部消してからじゃないとエッチさせてくれない。一緒に風呂に入ることもあるし、朝の着替えなんかは俺の見ているところでやっているのだけど、『それとこれとは別問題なの!』だとか。
《俺としては、そういうところもかわいいと思う。》
少し残念ではあるけど、恵梨香に嫌な思いはさせたくないので素直に従う。今日もコンドームはしっかりつけた。親父とお袋に初孫の顔を見せる日はもう少し先になりそうだ。
次の日。朝礼が終わってすぐに俺は課長のところへ呼び出された。
「・・・出張、ですか?・・明日から?」
それも1日ではなく、二泊三日だという。今日が水曜日だから木、金と向こうに泊まって土曜日に帰ってくることになる。まさに青天の霹靂だった。
〚すまんな、急で。お前のところもまだ新婚だし、出来れば気を遣ってやりたいところなんだが・・・。〛
人のいい中間管理職の課長は、申し訳なさそうに顔をしかめている。そんなのを見せられると俺は何も言えなくなってしまう。
〚何か特別な用事があるなら他の者に回すこともできるが、どうする?〛
「・・・いえ、特には・・。」
《恵梨香との時間はいつも特別です、なんて言えるはずもなく。》
しがないサラリーマンのサガとして、上からの命令には逆らえない俺だった。
〖妻視点〗
『え、出張?』
夜の食卓でいきなり夫の芳隆(よしたか)がそんなことを言い出したので、私は思わず驚いてしまった。
「ごめん、急に言われてさ・・・明日から土曜まで家をあけることになったよ。」
『そんな・・・土曜日?・・。』
あまりにも急なことだったので、とっさにそれ以上は言葉が出てこなかった。明日も明後日もこうして芳隆と夜の時間を過ごすものだとばかり思っていたのに・・・漸く、。
『帰りは土曜だったわね。何時くらいになりそうなの?』って夫に尋ねた。
「多分いつもと同じか・・・もしかするとそれより遅くなるかもしれないな・・・。」
芳隆は見るからに肩を落としてすっかりしょげている。一時でも芳隆と離れるのはひどく寂しいけど、この人も同じ気持ちで居てくれるのだと思うと少し嬉しい。“そうだ!”と思い直す。こんなとき良き妻がすべきことは、ワガママを言って夫を困らせることではないはずだ。
『そう。仕事だものね。しょうがないわ。』
「・・・ごめん。ありがとう・・。」
『いいのよ。さあ、それなら早くご飯を済ませて荷物を準備しなきゃね。』
意図的に明るい声を出して、気持ちとは反対のことを言う。明日からしばらく離れることになるなら、今夜はゆっくりと2人の時間を過ごしたいのだけど・・・・それは単なる私のワガママだ。そんなことで芳隆を困らせてはいけない。
2015/05/19
【夫視点】
仕事が終わって、家でのひととき。この歳で親父臭いかもしれないけど、このために生きていると実感できるひとときだ。今日は俺(南野芳隆)のほうが帰宅は早かったので晩ご飯は俺が作った。大したものは作れないけど、妻の恵梨香(えりか)は『おいしい。』と言って食べてくれる。
夕飯が済んだ後はテレビを見ながらゆったりとくつろいで、それぞれが風呂を済ませてから寝室へ入る。そうして始まる夜の営み。結婚してから2年になるけど、何かよっぽど体調が悪い(生理など)とかの理由があるとき以外は毎晩欠かしたことはない。
『電気、消してよ・・・。』
俺の粘りに対する、いつもの台詞。恥ずかしがりの恵梨香は、明かりを全部消してからじゃないとエッチさせてくれない。一緒に風呂に入ることもあるし、朝の着替えなんかは俺の見ているところでやっているのだけど、『それとこれとは別問題なの!』だとか。
《俺としては、そういうところもかわいいと思う。》
少し残念ではあるけど、恵梨香に嫌な思いはさせたくないので素直に従う。今日もコンドームはしっかりつけた。親父とお袋に初孫の顔を見せる日はもう少し先になりそうだ。
次の日。朝礼が終わってすぐに俺は課長のところへ呼び出された。
「・・・出張、ですか?・・明日から?」
それも1日ではなく、二泊三日だという。今日が水曜日だから木、金と向こうに泊まって土曜日に帰ってくることになる。まさに青天の霹靂だった。
〚すまんな、急で。お前のところもまだ新婚だし、出来れば気を遣ってやりたいところなんだが・・・。〛
人のいい中間管理職の課長は、申し訳なさそうに顔をしかめている。そんなのを見せられると俺は何も言えなくなってしまう。
〚何か特別な用事があるなら他の者に回すこともできるが、どうする?〛
「・・・いえ、特には・・。」
《恵梨香との時間はいつも特別です、なんて言えるはずもなく。》
しがないサラリーマンのサガとして、上からの命令には逆らえない俺だった。
〖妻視点〗
『え、出張?』
夜の食卓でいきなり夫の芳隆(よしたか)がそんなことを言い出したので、私は思わず驚いてしまった。
「ごめん、急に言われてさ・・・明日から土曜まで家をあけることになったよ。」
『そんな・・・土曜日?・・。』
あまりにも急なことだったので、とっさにそれ以上は言葉が出てこなかった。明日も明後日もこうして芳隆と夜の時間を過ごすものだとばかり思っていたのに・・・漸く、。
『帰りは土曜だったわね。何時くらいになりそうなの?』って夫に尋ねた。
「多分いつもと同じか・・・もしかするとそれより遅くなるかもしれないな・・・。」
芳隆は見るからに肩を落としてすっかりしょげている。一時でも芳隆と離れるのはひどく寂しいけど、この人も同じ気持ちで居てくれるのだと思うと少し嬉しい。“そうだ!”と思い直す。こんなとき良き妻がすべきことは、ワガママを言って夫を困らせることではないはずだ。
『そう。仕事だものね。しょうがないわ。』
「・・・ごめん。ありがとう・・。」
『いいのよ。さあ、それなら早くご飯を済ませて荷物を準備しなきゃね。』
意図的に明るい声を出して、気持ちとは反対のことを言う。明日からしばらく離れることになるなら、今夜はゆっくりと2人の時間を過ごしたいのだけど・・・・それは単なる私のワガママだ。そんなことで芳隆を困らせてはいけない。
2015/05/19
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