中14〖恋に恋した妻〗PART25
中14〖恋に恋した妻〗PART25
しばらくは夜の生活そのものが無かった。しかし、最近は、哲平に抱かせる以前のような、まったりとしてセックスに戻っている。この夜は、僕(波戸真一:はと・しんいち:29歳)の目を覗き込み、妻(波戸咲希:はと・さき:29歳)からキスをねだってきた。
僕と咲希の関係は、少なくとも表面的には何の問題も見えないまま、以前と同じような円満な夫婦生活を送っている。一緒にTV番組に突っ込みを入れあって笑ったり、週末も大体咲希が計画して遠出デートをした。夜の方も最低週イチ。自分で言うのもなんだが、理想の夫婦といっても過言では無いと思っている。
一方後輩の河野哲平(こうの・てっぺい:27歳)の方も、前回の報告直後に例の彼女と無事付き合い始めていた。ただ後述する理由で、現在ではもう別れる寸前らしい。付き合った直後に僕と飲みに行ったら、〔咲希さんのが全然良いおんなですよね。〕なんて冗談交じり?(真剣かも)に言われて、少しは優越感に浸った。
偽哲平メールについては、送ってはいたのだけれど、それはもう完全にシカト(無視)されている。別に≪会いたい≫というメールじゃなくて、普通に世間話なのに、それももう一カ月以上完全に相手にされなくなっていた。流石にもう無理かと思って送るのを一度やめる。
ただ咲希が僕との性生活に満足していないということは懸念事項だったから、その部分に対しては正攻法で、ちゃんと正面から話し合ってみることにした。咲希が性的に不満を持っているというのは、普通の夫なら屈辱を感じる人が多いのかもしれないが、どうも僕には結構な被虐嗜好があるようで、その状況すら興奮出来る。
ただそれは僕自身の話であって、咲希が結婚生活の一部に不満を持っているという事実は、やはり申し訳ないと思うので、そこについてはなんとか解消したいと思った。離婚の心配
はしていないが、かといって咲希の気持ちをないがしろにするなんて事はもっての外だと考えている。
僕は話をするきっかけとして清水さんという、最近離婚した同僚を利用させてもらった。
「咲希、清水さんって憶えてる?」
『んー、なんとなく・・。』
「あの人が離婚しちゃってさ。」
『えーそうなんだ。』
おそらくは本当に記憶の片隅にいるかどうかくらいの存在の清水さんの離婚に、思った以上に気落ちした様子の咲希の表情。
気のせいかもしれないが、哲平との一件以来、咲希は離婚とか浮気といった言葉に敏感になっている気がする。そういった相談を受ける法律のTV番組なんかは、以前は別に積極的に見るわけではなく、たまたま映っていたら、なんとはなしにそのまま観る、といった感じだったのに、今ではさっさとチャンネルを変えて観ようとしない。浮気がテーマのドラマや映画も同様。まぁそれはただの考えすぎなのかもしれない。 PART26へ続く
2017/02/01
しばらくは夜の生活そのものが無かった。しかし、最近は、哲平に抱かせる以前のような、まったりとしてセックスに戻っている。この夜は、僕(波戸真一:はと・しんいち:29歳)の目を覗き込み、妻(波戸咲希:はと・さき:29歳)からキスをねだってきた。
僕と咲希の関係は、少なくとも表面的には何の問題も見えないまま、以前と同じような円満な夫婦生活を送っている。一緒にTV番組に突っ込みを入れあって笑ったり、週末も大体咲希が計画して遠出デートをした。夜の方も最低週イチ。自分で言うのもなんだが、理想の夫婦といっても過言では無いと思っている。
一方後輩の河野哲平(こうの・てっぺい:27歳)の方も、前回の報告直後に例の彼女と無事付き合い始めていた。ただ後述する理由で、現在ではもう別れる寸前らしい。付き合った直後に僕と飲みに行ったら、〔咲希さんのが全然良いおんなですよね。〕なんて冗談交じり?(真剣かも)に言われて、少しは優越感に浸った。
偽哲平メールについては、送ってはいたのだけれど、それはもう完全にシカト(無視)されている。別に≪会いたい≫というメールじゃなくて、普通に世間話なのに、それももう一カ月以上完全に相手にされなくなっていた。流石にもう無理かと思って送るのを一度やめる。
ただ咲希が僕との性生活に満足していないということは懸念事項だったから、その部分に対しては正攻法で、ちゃんと正面から話し合ってみることにした。咲希が性的に不満を持っているというのは、普通の夫なら屈辱を感じる人が多いのかもしれないが、どうも僕には結構な被虐嗜好があるようで、その状況すら興奮出来る。
ただそれは僕自身の話であって、咲希が結婚生活の一部に不満を持っているという事実は、やはり申し訳ないと思うので、そこについてはなんとか解消したいと思った。離婚の心配
はしていないが、かといって咲希の気持ちをないがしろにするなんて事はもっての外だと考えている。
僕は話をするきっかけとして清水さんという、最近離婚した同僚を利用させてもらった。
「咲希、清水さんって憶えてる?」
『んー、なんとなく・・。』
「あの人が離婚しちゃってさ。」
『えーそうなんだ。』
おそらくは本当に記憶の片隅にいるかどうかくらいの存在の清水さんの離婚に、思った以上に気落ちした様子の咲希の表情。
気のせいかもしれないが、哲平との一件以来、咲希は離婚とか浮気といった言葉に敏感になっている気がする。そういった相談を受ける法律のTV番組なんかは、以前は別に積極的に見るわけではなく、たまたま映っていたら、なんとはなしにそのまま観る、といった感じだったのに、今ではさっさとチャンネルを変えて観ようとしない。浮気がテーマのドラマや映画も同様。まぁそれはただの考えすぎなのかもしれない。 PART26へ続く
2017/02/01
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