中14〖恋に恋した妻〗PART26
中14〖恋に恋した妻〗PART26
PART25
「なんかすごく下世話な話なんだけどね。」
『うん。』
「清水さんのところ、やっぱり早い段階で夜とかが無かったみたいでさ。」
これは僕(波戸真一:はと・しんいち:29歳)が勝手に作ったストーリー。清水さんには申し訳ないと心の中で謝罪。
『そうなんだ・・。』
「こないだ飲みに行った時にさ、それも原因の一つだったんじゃないかって凹んでいた。」
『そっかぁ。まぁ色々あるよね。しょうがないわよ。』
覚悟はしていたけど、少し気まずい空気が流れる。
「あのさ、こんなの改めて聞くのもあれなんだけど・・。」
『なになに?』
「咲希は不満じゃないの?」
『え?』
「ああだから、その・・・夜のとか。まぁそれに限らず、他にも色々とさ・・。」
『え! あ、ああ。ないない。ないよ。あたしはない。ないよ!』
妻(波戸咲希:はと・さき:29歳)は慌てた様子で、胸の前で小さく両手を振る。本音を知っているから、それが嘘であるのは明白だったのだけど・・・まぁ僕への気遣いなんだろうと好意的に解釈。
「いや案外付き合い長いとさ、そういうのって言いづらいこともあるじゃん?」
『うんうん。』
「でもほら。これからもさ、ずっと、その、二人でうまくやっていきたいしさ。」
『うん。そうだね。』
「ちゃんと話し合って解決できるならさ、しといた方がいいと思って。」
『あー、うん。本当にそうだね。でもそんなの本当ないよ。わたしは。うん。全然大丈夫。』
その後も、わりとしつこく聞いたのだけど、結局咲希が本音を言ってくれることはなかった。『これからもよろしくね。』ってニコニコモジモジしながら言われただけである。
相性なんかに問題があろうと、ちゃんと話し合えば、色々と多少は良くなると思ったのだけど、咲希は罪悪感からか、それとも倫理観からなのか、とにかく頑(かたく)なに僕で満足していると言い張ってしまう。夫としているのに、欲求不満になっているなどと、本人に向かって意地でも認めたくないのかもしれない。それは咲希の優しさなのだろうけど。かといって、僕から「知っているんだぞ!」なんて問い詰めることも出来なかった。
その日から咲希は、セックス中に少し演技をするようになる。わざとらしいとまではいかない。でも、そういえば、いつもより少し声が大きいかなとかその程度。(これについては気のせいではなく、後述の部分で確認が取れている)かといって、それで萎えたりはしない。むしろどちらかといえば、そんな咲希の姿に興奮してしまう。でも《咲希に対して申し訳ないな。》という気持ちの方が、徐々に強くなってきてしまった。 PART27へ続く
2017/02/24
PART25
「なんかすごく下世話な話なんだけどね。」
『うん。』
「清水さんのところ、やっぱり早い段階で夜とかが無かったみたいでさ。」
これは僕(波戸真一:はと・しんいち:29歳)が勝手に作ったストーリー。清水さんには申し訳ないと心の中で謝罪。
『そうなんだ・・。』
「こないだ飲みに行った時にさ、それも原因の一つだったんじゃないかって凹んでいた。」
『そっかぁ。まぁ色々あるよね。しょうがないわよ。』
覚悟はしていたけど、少し気まずい空気が流れる。
「あのさ、こんなの改めて聞くのもあれなんだけど・・。」
『なになに?』
「咲希は不満じゃないの?」
『え?』
「ああだから、その・・・夜のとか。まぁそれに限らず、他にも色々とさ・・。」
『え! あ、ああ。ないない。ないよ。あたしはない。ないよ!』
妻(波戸咲希:はと・さき:29歳)は慌てた様子で、胸の前で小さく両手を振る。本音を知っているから、それが嘘であるのは明白だったのだけど・・・まぁ僕への気遣いなんだろうと好意的に解釈。
「いや案外付き合い長いとさ、そういうのって言いづらいこともあるじゃん?」
『うんうん。』
「でもほら。これからもさ、ずっと、その、二人でうまくやっていきたいしさ。」
『うん。そうだね。』
「ちゃんと話し合って解決できるならさ、しといた方がいいと思って。」
『あー、うん。本当にそうだね。でもそんなの本当ないよ。わたしは。うん。全然大丈夫。』
その後も、わりとしつこく聞いたのだけど、結局咲希が本音を言ってくれることはなかった。『これからもよろしくね。』ってニコニコモジモジしながら言われただけである。
相性なんかに問題があろうと、ちゃんと話し合えば、色々と多少は良くなると思ったのだけど、咲希は罪悪感からか、それとも倫理観からなのか、とにかく頑(かたく)なに僕で満足していると言い張ってしまう。夫としているのに、欲求不満になっているなどと、本人に向かって意地でも認めたくないのかもしれない。それは咲希の優しさなのだろうけど。かといって、僕から「知っているんだぞ!」なんて問い詰めることも出来なかった。
その日から咲希は、セックス中に少し演技をするようになる。わざとらしいとまではいかない。でも、そういえば、いつもより少し声が大きいかなとかその程度。(これについては気のせいではなく、後述の部分で確認が取れている)かといって、それで萎えたりはしない。むしろどちらかといえば、そんな咲希の姿に興奮してしまう。でも《咲希に対して申し訳ないな。》という気持ちの方が、徐々に強くなってきてしまった。 PART27へ続く
2017/02/24
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