中Ⅱ17[自己犠牲と長続き]第二章その4(9)
中Ⅱ17[自己犠牲と長続き]第二章その4(9)
第二章その3(8)
そうだな、〔こんなこと繰り返していると、後ろめたさと言うか、罪の意識が薄らいでいって、私のことなど眼中にありません〕という黒沢雅之(くろさわ・まさゆき:45歳)さんの言葉には共感できた。多分、現在の妻(山下芳恵:やました・よしえ:45歳)の状態も同じなのだろう。それでも、妻が私(山下一雄:やました・かずお:49歳)の伴侶であって良かったと思うことがある。“最後の一線”なんて、普通はそこまで考えないものだ。
このようなことを繰り返しているうちに慣れきってしまう。罪の意識が麻痺してしまって、気を病むなんてことはこれっぽっちもなくなってしまうのが当たり前だ。自分の心に縛りをかけてまで、私に尽くしてくれる妻のことがとても健気(けなげ)に思える。そこまで私のことを思ってくれている妻に対して申し訳なく思いますが、せっかく、ここまで時間をかけ、繋げてきた計画をご破算にする気にはなれませんでした。
「実は、たってのお願いがあるのですが・・・。」
〔そろそろ、本題ですか? 貴方からのお願いとなると大体わかりますよ。〕
「すっかり、お見通しって訳ですね。どうせ、二つに一つって、言いたいんでしょ?」
〔ははは、それで、私に奥さんを抱いて欲しいのか、奥さんのお相手を紹介してほしいのか、どっちですか?〕
「それは・・・最初に言われた方を、お願いできないかなと思って・・・。」
〔でも、久しぶりにこんなお誘いを受けたとなると、何か山下さんの考えるところがあるんでしょ?〕
「こんなこと、黒沢さんにしか頼めなくて・・・正直に言えば、ゴムをつけずにお願いしたいんです。」
〔それは願ってもないことですが、芳恵さんは、どうなんですか?〕
「妻と話し合って、その点はお互い納得済みです。」
〔そうですか。でも、そこまで漕ぎつけるには、色々とご苦労されたでしょ?。〕
「どうも、彼女にとって、どうしても譲れないものがあったようで・・・『最後の一線』なんて言ってましたが、それを翻意させてしまったんですから、私も罪が深いですよね。」
〔それはそうですよ。何てたって、他人の精液を直に受け入れるんですから・・・貴方のことを思えば思うほど、芳恵さんも罪悪感に苛(さいな)まれますよ。一つ、お聞きしたいのですが、相手が私だってことはご存知なのですか?〕
「多分、黒沢さんだったら間違いはないと思って・・・順序が逆なのかも知れませんが、言い含めてはあります。」
〔そんな風に、私の名前が枕元を飛び交ったとなると、その時の芳恵さんの反応が気になりますね。ご夫婦のことに口出しするつもりはないのですが、山下さんの方から一方的に、私の名前を出されたんじゃないですか?〕
私には、こんなことを尋ねてくる黒沢さんの気持ちがよくわかります。仮に、私が黒沢さんと同じような立場だったとして、ある女性と一夜を過ごすことをその夫から懇願されたとすると、その女性のお相手をするのはやぶさかではありません。しかし当の本人(山下芳恵)が、どのような経緯でそのことを納得し、そして、どれくらい関心をもっているのか、やっぱり気になるだろうと思いました。 第二章その5(10)へ続く
2017/06/03
第二章その3(8)
そうだな、〔こんなこと繰り返していると、後ろめたさと言うか、罪の意識が薄らいでいって、私のことなど眼中にありません〕という黒沢雅之(くろさわ・まさゆき:45歳)さんの言葉には共感できた。多分、現在の妻(山下芳恵:やました・よしえ:45歳)の状態も同じなのだろう。それでも、妻が私(山下一雄:やました・かずお:49歳)の伴侶であって良かったと思うことがある。“最後の一線”なんて、普通はそこまで考えないものだ。
このようなことを繰り返しているうちに慣れきってしまう。罪の意識が麻痺してしまって、気を病むなんてことはこれっぽっちもなくなってしまうのが当たり前だ。自分の心に縛りをかけてまで、私に尽くしてくれる妻のことがとても健気(けなげ)に思える。そこまで私のことを思ってくれている妻に対して申し訳なく思いますが、せっかく、ここまで時間をかけ、繋げてきた計画をご破算にする気にはなれませんでした。
「実は、たってのお願いがあるのですが・・・。」
〔そろそろ、本題ですか? 貴方からのお願いとなると大体わかりますよ。〕
「すっかり、お見通しって訳ですね。どうせ、二つに一つって、言いたいんでしょ?」
〔ははは、それで、私に奥さんを抱いて欲しいのか、奥さんのお相手を紹介してほしいのか、どっちですか?〕
「それは・・・最初に言われた方を、お願いできないかなと思って・・・。」
〔でも、久しぶりにこんなお誘いを受けたとなると、何か山下さんの考えるところがあるんでしょ?〕
「こんなこと、黒沢さんにしか頼めなくて・・・正直に言えば、ゴムをつけずにお願いしたいんです。」
〔それは願ってもないことですが、芳恵さんは、どうなんですか?〕
「妻と話し合って、その点はお互い納得済みです。」
〔そうですか。でも、そこまで漕ぎつけるには、色々とご苦労されたでしょ?。〕
「どうも、彼女にとって、どうしても譲れないものがあったようで・・・『最後の一線』なんて言ってましたが、それを翻意させてしまったんですから、私も罪が深いですよね。」
〔それはそうですよ。何てたって、他人の精液を直に受け入れるんですから・・・貴方のことを思えば思うほど、芳恵さんも罪悪感に苛(さいな)まれますよ。一つ、お聞きしたいのですが、相手が私だってことはご存知なのですか?〕
「多分、黒沢さんだったら間違いはないと思って・・・順序が逆なのかも知れませんが、言い含めてはあります。」
〔そんな風に、私の名前が枕元を飛び交ったとなると、その時の芳恵さんの反応が気になりますね。ご夫婦のことに口出しするつもりはないのですが、山下さんの方から一方的に、私の名前を出されたんじゃないですか?〕
私には、こんなことを尋ねてくる黒沢さんの気持ちがよくわかります。仮に、私が黒沢さんと同じような立場だったとして、ある女性と一夜を過ごすことをその夫から懇願されたとすると、その女性のお相手をするのはやぶさかではありません。しかし当の本人(山下芳恵)が、どのような経緯でそのことを納得し、そして、どれくらい関心をもっているのか、やっぱり気になるだろうと思いました。 第二章その5(10)へ続く
2017/06/03
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