長2【“心”は私。“体”は他の男。(M男の告白)】第14話
長2【“心”は私。“体”は他の男。(M男の告白)】第14話
第13話 20190816
落ちついた和モダンの宿、私達夫婦は偽名で泊まりました。妻(黒川法子:くろかわ・のりこ:43歳)と私(黒川彰浩:くろかわ・あきひろ:45歳)は部屋で食事をしていても落ち着きません。これから始まることをお互い考えてしまいました。眞島(秀和:まじま・ひでかず:40歳)は午後8時過ぎに宿に入る予定。食事を終えて妻の法子が今日2度目の大浴場へと向かいます。
眞島から〔宿に着いた。〕というメール、あわただしい時間がはじまりました。〔風呂に入り浴衣姿で割烹のカウンターでお酒を飲んでいる。〕というメールが入ります。私は一階ロビー奥の割烹を覗くと眞島の後姿が見えました。私は部屋に戻ります。しばらくすると妻が大浴場から部屋に戻ってきました。
「今、眞島は下の割烹で飲んでいるそうだ・・。お前行って来るか?」
『えっ? どうしようかな・・。』
「まぁ覗いておいでよ。」
法子は浴衣姿で部屋を出ます。部屋を出る色っぽい浴衣姿の法子に今まで味わったことのない興奮をしたのでした。2人の関係を知るものが居ない場所、妻と眞島はどのような挨拶をして、また会話をするのかはわかりませんが、私のみ一人取り残される感覚です。
それで私はしばらくして割烹を覗いてみました。カウンターに座っている眞島と妻を確認し、また部屋に戻ります。30分ほど経って法子と眞島がこちらの部屋に入って来ました。
〔いや~ いきなり奥さんが後ろから声かけてきてびっくりですよ。眞島さん? どうし
たの? 俺は一瞬、何がなんだかわからなくなってあせりましたよ。〕
眞島が私に笑いながら言います。
〔でも浴衣姿の奥さんに酌されてたまりませんでした。〕
30分間2人がどんな会話をしたかはわかりません。
すでに2組の布団を敷かれた部屋、その布団だけがやけに栄えて見えます。
〔いい温泉ですね。飛行機も楽ですね、そしてここまでもタクシーですぐでした。〕
私は眞島にビールを勧めました。私も妻も緊張をほぐす為少しビールを飲みます。妙な空
間に置かれた3人は、三者三様の想いでいるはずでした。
仲居の話によると、[今日もそうなんですが、このところ温泉客が減りまして、本日もあまりお客が入っていないんですよ。]とのことです。そして、[ですからこの階の向うの端のお部屋に熟年夫婦の方がいるだけです。]と教えてもらいました。
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20200120
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