中K〖歩美と剛司 第17話〗
中K〖歩美と剛司 第17話〗
〔遥人が帰ってくるかもよ?〕と剛司(たけし)の声。
『あ・・・やだ・・・・・・。』
〔あ、ちょっと待った、すぐ、すぐだから。〕
『もう・・・・・・。』
ガサゴソと衣擦れの音がした後、歩美の『あっ!』という声が聞こえ、微かに、でもゆっくりとベッドが軋む音も聞こえてきました。
興奮はマックスでしたが、何故か冷静に剛司が“早撃ち(早漏)野郎”だった事を思い出し、慌てて車の外へ出ました。「早く行かないと終わってしまう。」そう思って全力ダッシュです。でもドアの前に立つとやっぱり腰が引ける情けない僕・・・ゆっくりゆっくり、音を立てないようにドアを開ける時、心臓が喉付近まで上がっているような錯覚を覚えました。
廊下の先のリビングに入って右へ行くと僕の寝室、左へ行くと歩美の寝室でした。剛司が〔部屋を借りるぞ。〕と言っていたのを思い出し、迷わず右の僕の寝室へ向かおうとリビングのドアを開けると、左からあの時の声が聞こえてきます。
リビングは灯りが完全に消され、カーテン越しの月明かりのみ。目が慣れて始めてボンヤリ見える程度でしたが、歩美の部屋は薄暗いダウンライト(天井に埋め込んで取り付ける照明器具のうち、小型のもの。)が点いていて、その灯りが微かに開いたドアの隙間から零れていました。これも剛司が気を利かせたのでしょう。
その隙間からは絶え間無く歩美の苦しそうな声が聞こえました。苦しい、我慢するような声です。あと一歩踏み出せば二人がセックスしている所が見られる。そう思うと逆に尻込みをしてしまいます。ずっとそう願っていた事なのに・・・。
『あん、はっ、はっ、はっ!』と歩美の犬みたいな息遣いが大きくなり、もうすぐ逝きそうな感じです。僕は慌てて隙間から覗きました。窓際のベッドの上に、正常位で重なる二人の姿がはっきりと見えました。
歩美は大きく足を広げ、両手で枕の端を握りながら目をギュッと瞑(つむ)っています。何度も何度も妄想した光景が、現実のものとして僕の目に入ってきた瞬間です。馬鹿みたいな話ですが“念願が叶った”記念すべき瞬間だったはずです。
でも・・・・・・薄暗いシチュエーションも手伝ったのか、少し夢を見ている感覚というのか、現実感がありません。正直に言うと、歩美の声だけを聴いていた時の方が興奮度が高かったような気もしました。まあ、衝撃的過ぎて、免疫の全く無い僕には興奮する術が無かったのかもしれません。普段から妄想ばかりしていたので、現実を受け入れる度胸や準備が出来ていなかった。
しかし、そんな気持ちはある時を境に猛烈な嫉妬へと変わり、そしてそれがこの世の中でこれ以上の興奮があるのか?と思わせる程の、痛い程の興奮へと一気に変化してしまいました。歩美は眉間に皺を寄せながら、初めは控え目にしていた声を徐々に解放してゆきました。『あっ!あっ!あっ!あっ!いや・・・いや・・・・・・・・・あっ!』
剛司は“早撃ち野郎”どころか余裕があるようで、時折汗を拭いながら比較的ゆっくりと腰を動かしていました。何の前触れもなく歩美は背中を大きく仰け反らせると、息を引きつかせながら逝き始めました。
2015/03/22
〔遥人が帰ってくるかもよ?〕と剛司(たけし)の声。
『あ・・・やだ・・・・・・。』
〔あ、ちょっと待った、すぐ、すぐだから。〕
『もう・・・・・・。』
ガサゴソと衣擦れの音がした後、歩美の『あっ!』という声が聞こえ、微かに、でもゆっくりとベッドが軋む音も聞こえてきました。
興奮はマックスでしたが、何故か冷静に剛司が“早撃ち(早漏)野郎”だった事を思い出し、慌てて車の外へ出ました。「早く行かないと終わってしまう。」そう思って全力ダッシュです。でもドアの前に立つとやっぱり腰が引ける情けない僕・・・ゆっくりゆっくり、音を立てないようにドアを開ける時、心臓が喉付近まで上がっているような錯覚を覚えました。
廊下の先のリビングに入って右へ行くと僕の寝室、左へ行くと歩美の寝室でした。剛司が〔部屋を借りるぞ。〕と言っていたのを思い出し、迷わず右の僕の寝室へ向かおうとリビングのドアを開けると、左からあの時の声が聞こえてきます。
リビングは灯りが完全に消され、カーテン越しの月明かりのみ。目が慣れて始めてボンヤリ見える程度でしたが、歩美の部屋は薄暗いダウンライト(天井に埋め込んで取り付ける照明器具のうち、小型のもの。)が点いていて、その灯りが微かに開いたドアの隙間から零れていました。これも剛司が気を利かせたのでしょう。
その隙間からは絶え間無く歩美の苦しそうな声が聞こえました。苦しい、我慢するような声です。あと一歩踏み出せば二人がセックスしている所が見られる。そう思うと逆に尻込みをしてしまいます。ずっとそう願っていた事なのに・・・。
『あん、はっ、はっ、はっ!』と歩美の犬みたいな息遣いが大きくなり、もうすぐ逝きそうな感じです。僕は慌てて隙間から覗きました。窓際のベッドの上に、正常位で重なる二人の姿がはっきりと見えました。
歩美は大きく足を広げ、両手で枕の端を握りながら目をギュッと瞑(つむ)っています。何度も何度も妄想した光景が、現実のものとして僕の目に入ってきた瞬間です。馬鹿みたいな話ですが“念願が叶った”記念すべき瞬間だったはずです。
でも・・・・・・薄暗いシチュエーションも手伝ったのか、少し夢を見ている感覚というのか、現実感がありません。正直に言うと、歩美の声だけを聴いていた時の方が興奮度が高かったような気もしました。まあ、衝撃的過ぎて、免疫の全く無い僕には興奮する術が無かったのかもしれません。普段から妄想ばかりしていたので、現実を受け入れる度胸や準備が出来ていなかった。
しかし、そんな気持ちはある時を境に猛烈な嫉妬へと変わり、そしてそれがこの世の中でこれ以上の興奮があるのか?と思わせる程の、痛い程の興奮へと一気に変化してしまいました。歩美は眉間に皺を寄せながら、初めは控え目にしていた声を徐々に解放してゆきました。『あっ!あっ!あっ!あっ!いや・・・いや・・・・・・・・・あっ!』
剛司は“早撃ち野郎”どころか余裕があるようで、時折汗を拭いながら比較的ゆっくりと腰を動かしていました。何の前触れもなく歩美は背中を大きく仰け反らせると、息を引きつかせながら逝き始めました。
2015/03/22
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