長G〖救いの手を〗第8回
長G〖救いの手を〗第8回
私はリクライニングチェアに腰を降ろし、ポケットの中からクシャクシャになった煙草の箱を出して、情けなく折れ曲がった煙草を一本取り出してくわえました。ライターで火を付けて、煙りをくゆらせながら、何から片づけて行かねばならないか思案しました。
恐らく…来週も妻の彩矢は浮気をするのだろう。またエロチックな下着を身に纏って…。ならば必ず妻は発情した牝の印しで汚した下着をあの洗濯ネットに入れて自分の寝室に隠すに違いない。
そして、あの南京鍵の掛かった大きな木製の化粧箱。あの箱の中には一体何が隠されているのだろうか? 鍵を掛けるぐらいなのだから見られては絶対困る物が仕舞われている事だけは間違いない…。何とか、あの南京鍵を開ける事は出来ないものか?妻に悟られず、気付かれる事無く…。
それと、ありきたりだが妻の携帯の中には確実な物証が隠されているに違いない。何とかそれを盗み見る事は出来ないだろうか? 私は感情を抑えながらそれらを攻略する為の綿密な計画を立て始めていました。
『あなた、お夕飯が出来ましたよ…あなた…。』と彩矢の夕飯を告げる声で、「う…ん…ん‥」どうやら私は眠ってしまっていたらしい。けだるさの中で机の上の時計を見ると時刻は19時を過ぎていました。キッチンからは食欲のそそる匂いが流れて来ています。私は寝室を出てリビングに向かいました。
テーブルの上には私の嘘の申告を信じた妻が色とりどりの胃に優しい消化に良い物が作り並べられています。【あららぁ…こりゃ参ったな…まぁ仕方ないか… 】この食卓に並べられた品々を見て若干の罪悪感を感じましたが、元を糾(ただ)せば妻の浮気疑惑から出た【腹痛】との嘘だった訳ですから。
彩矢は『どう、お腹の具合? これなら食べられそう?』と心配そうに私の顔を覗いています。この優しく気遣いの出来る妻が、私の知らない所で性に貪欲な牝と化しているのかと思うと、そのギャップと裏切られたとの思いに悔しさと情けなさが込み上げて来ました。 恐らくこの時、私はその思いを表情に出してしまったのでしょう。
私を見る彩矢が『まだ痛いの?病院に行く?』と心配そうに言います。はっと、我に返った私は精一杯の作り笑顔で 、「いや…違う…違うんだ‥痛くないよ‥そうじゃない…。」と、がぶりを振り、並べられた食事に箸を伸ばしました。
「美味しいよ…ありがとうな…元気出そうだよ‥。」私のこの言葉に妻はようやく安堵の表情を浮かべます。穏やかな食卓での中、突然に妻が言いました。『あなた、私ね来週の水曜日に会議で泊まりになってしまうの… 木曜日の20時ぐらいには帰れると思うけどお願いね‥。』私は内心ギョッとしながらも平静を装い、「お前も大変だな‥こんな世相だから全体で売り上げも落ちているのだろう?俺の事は気にしなくて良いから頑張っておいで。」
彩矢は私の言葉を聞き、嬉しそうに『あなた‥ありがとう‥。』と言います。それに対して私は怒りを抑えながら、妻の貞淑そうな仮面の裏側を暴く為の作戦を真剣に立て始めていました。
2015/03/22
私はリクライニングチェアに腰を降ろし、ポケットの中からクシャクシャになった煙草の箱を出して、情けなく折れ曲がった煙草を一本取り出してくわえました。ライターで火を付けて、煙りをくゆらせながら、何から片づけて行かねばならないか思案しました。
恐らく…来週も妻の彩矢は浮気をするのだろう。またエロチックな下着を身に纏って…。ならば必ず妻は発情した牝の印しで汚した下着をあの洗濯ネットに入れて自分の寝室に隠すに違いない。
そして、あの南京鍵の掛かった大きな木製の化粧箱。あの箱の中には一体何が隠されているのだろうか? 鍵を掛けるぐらいなのだから見られては絶対困る物が仕舞われている事だけは間違いない…。何とか、あの南京鍵を開ける事は出来ないものか?妻に悟られず、気付かれる事無く…。
それと、ありきたりだが妻の携帯の中には確実な物証が隠されているに違いない。何とかそれを盗み見る事は出来ないだろうか? 私は感情を抑えながらそれらを攻略する為の綿密な計画を立て始めていました。
『あなた、お夕飯が出来ましたよ…あなた…。』と彩矢の夕飯を告げる声で、「う…ん…ん‥」どうやら私は眠ってしまっていたらしい。けだるさの中で机の上の時計を見ると時刻は19時を過ぎていました。キッチンからは食欲のそそる匂いが流れて来ています。私は寝室を出てリビングに向かいました。
テーブルの上には私の嘘の申告を信じた妻が色とりどりの胃に優しい消化に良い物が作り並べられています。【あららぁ…こりゃ参ったな…まぁ仕方ないか… 】この食卓に並べられた品々を見て若干の罪悪感を感じましたが、元を糾(ただ)せば妻の浮気疑惑から出た【腹痛】との嘘だった訳ですから。
彩矢は『どう、お腹の具合? これなら食べられそう?』と心配そうに私の顔を覗いています。この優しく気遣いの出来る妻が、私の知らない所で性に貪欲な牝と化しているのかと思うと、そのギャップと裏切られたとの思いに悔しさと情けなさが込み上げて来ました。 恐らくこの時、私はその思いを表情に出してしまったのでしょう。
私を見る彩矢が『まだ痛いの?病院に行く?』と心配そうに言います。はっと、我に返った私は精一杯の作り笑顔で 、「いや…違う…違うんだ‥痛くないよ‥そうじゃない…。」と、がぶりを振り、並べられた食事に箸を伸ばしました。
「美味しいよ…ありがとうな…元気出そうだよ‥。」私のこの言葉に妻はようやく安堵の表情を浮かべます。穏やかな食卓での中、突然に妻が言いました。『あなた、私ね来週の水曜日に会議で泊まりになってしまうの… 木曜日の20時ぐらいには帰れると思うけどお願いね‥。』私は内心ギョッとしながらも平静を装い、「お前も大変だな‥こんな世相だから全体で売り上げも落ちているのだろう?俺の事は気にしなくて良いから頑張っておいで。」
彩矢は私の言葉を聞き、嬉しそうに『あなた‥ありがとう‥。』と言います。それに対して私は怒りを抑えながら、妻の貞淑そうな仮面の裏側を暴く為の作戦を真剣に立て始めていました。
2015/03/22
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