長G〖救いの手を〗第10回
長G〖救いの手を〗第10回
土曜日に、あの出来事があって初めて、私は具体的に彩矢の携帯に何がどのような形で記録されているのかをこの目で確かめなくてはならない!居ても立っても居られない…そんな気持ちになったのです。 しかしながら土曜日、日曜日と妻の携帯を盗み見るチャンスは無く、昨日の月曜日もそのような場面は訪れる事がありませんでした。
今夜を逃せば、明日には妻の彩矢は会議の名を借りた逢瀬?に出掛けてしまうのです。結論から言えば、この夜意を決した私は妻の携帯を覗く事に成功しました。しかしそれは消化不良な益々深い疑念を抱かざる得ない結果となったのです。
この夜、妻の彩矢は20時をかなり回った頃に帰宅しました。私はこの三日間の失敗を踏まえて、最低でも1時間ぐらいは無いと、じっくり妻の携帯のチェックなど出来る訳が無い事を実感していました。
元来、小心者の私ですから、彩矢が家事をしている時にこっそりと妻の寝室に忍び入り携帯に触れるか触れないか…そんな所までは日曜日も月曜日も辿り着いたのですが、ちょっとした物音や気配を感じただけで、その先には進む事が出来なくなってしまっていたのです。
昨夜などは、妻の入浴中を狙ってと考えていたのですが、彩矢は『今夜はこの後、片付けなくてはならない仕事を持ち帰っているからシャワーで済ますわ… お湯に浸かると気持ち良くなって眠くなってしまうから…。』と私は携帯に近付く事すら出来ませんでした。
それならば、それならばです…私は高級化粧品を扱う知人に連絡を取り、私からすれば《阿保か!》と言いたくなるような高価な金額のシャンプー、トリートメント、洗顔用品、入浴剤の果てまでを購入し妻に用意したのです。
《おんな心を考えれば大好きな男に抱かれる前日に自分の体を磨きたい…綺麗でありたい…そんな風に考えるに違いない…》単純にそんな発想だったのです。これが見事なまでに嵌まりました。
その夜、帰宅した彩矢に私は、「遅くまでご苦労様。疲れただろ?明日から会議だっていうのに大変だよな…。」
妻は一瞬、困ったような顔になります。
『なぁに?どうしたの?珍しいわね…そんな事を言ってくれるなんて…。』
「ひどいな!いつも大変だなって思っているんだぜ。」
彩矢は悪戯っ子のように瞳をパチリとウインクをするようにして、
『ごめんなさい…分かっているわよ…。』と笑顔を返しました。
「なぁ…〇〇化粧品の谷崎さん知っているだろ? あそこが扱っているブランドって高いだろ? でも不景気で売り上げが落ちて大変らしくて、どうしても買ってくれって電話が来てさ。男の俺は要らないだろって言ったら、綺麗な奥さんの為にプレゼントしてやれば?ってさ…。以前お世話にもなっているし…まぁ、お前が綺麗でいてくれたら俺も嬉しいから…はい、プレゼント!」
『えっ…えっ?…いいの?…だってこれ本当に高かったでしょ?』
私は口を尖らせながら
『本当高かったよ… 無駄にされちゃかなわないからゆっくりお風呂に入っておいで…食事は後で良いからさ!』
私からの思わぬプレゼントと労いの言葉に、すっかり気を良くした彩矢は嬉しそうにバスタブにお湯を溜めに行きました。
彩矢は珍しくバッグをリビングに置いたまま、寝室にルームウェアに着替えに行き、
『じゃあ、あなた、使わせて貰います…』と笑顔で私のプレゼントを抱えるようにしてバスルームに向かいました。私は厭味も込めて、「綺麗に磨いておいで…。」と言葉を返しました。高くついた回りくどい作戦ではありましたが、彩矢はいつもよりは長風呂になるでしょう。
2015/04/09
土曜日に、あの出来事があって初めて、私は具体的に彩矢の携帯に何がどのような形で記録されているのかをこの目で確かめなくてはならない!居ても立っても居られない…そんな気持ちになったのです。 しかしながら土曜日、日曜日と妻の携帯を盗み見るチャンスは無く、昨日の月曜日もそのような場面は訪れる事がありませんでした。
今夜を逃せば、明日には妻の彩矢は会議の名を借りた逢瀬?に出掛けてしまうのです。結論から言えば、この夜意を決した私は妻の携帯を覗く事に成功しました。しかしそれは消化不良な益々深い疑念を抱かざる得ない結果となったのです。
この夜、妻の彩矢は20時をかなり回った頃に帰宅しました。私はこの三日間の失敗を踏まえて、最低でも1時間ぐらいは無いと、じっくり妻の携帯のチェックなど出来る訳が無い事を実感していました。
元来、小心者の私ですから、彩矢が家事をしている時にこっそりと妻の寝室に忍び入り携帯に触れるか触れないか…そんな所までは日曜日も月曜日も辿り着いたのですが、ちょっとした物音や気配を感じただけで、その先には進む事が出来なくなってしまっていたのです。
昨夜などは、妻の入浴中を狙ってと考えていたのですが、彩矢は『今夜はこの後、片付けなくてはならない仕事を持ち帰っているからシャワーで済ますわ… お湯に浸かると気持ち良くなって眠くなってしまうから…。』と私は携帯に近付く事すら出来ませんでした。
それならば、それならばです…私は高級化粧品を扱う知人に連絡を取り、私からすれば《阿保か!》と言いたくなるような高価な金額のシャンプー、トリートメント、洗顔用品、入浴剤の果てまでを購入し妻に用意したのです。
《おんな心を考えれば大好きな男に抱かれる前日に自分の体を磨きたい…綺麗でありたい…そんな風に考えるに違いない…》単純にそんな発想だったのです。これが見事なまでに嵌まりました。
その夜、帰宅した彩矢に私は、「遅くまでご苦労様。疲れただろ?明日から会議だっていうのに大変だよな…。」
妻は一瞬、困ったような顔になります。
『なぁに?どうしたの?珍しいわね…そんな事を言ってくれるなんて…。』
「ひどいな!いつも大変だなって思っているんだぜ。」
彩矢は悪戯っ子のように瞳をパチリとウインクをするようにして、
『ごめんなさい…分かっているわよ…。』と笑顔を返しました。
「なぁ…〇〇化粧品の谷崎さん知っているだろ? あそこが扱っているブランドって高いだろ? でも不景気で売り上げが落ちて大変らしくて、どうしても買ってくれって電話が来てさ。男の俺は要らないだろって言ったら、綺麗な奥さんの為にプレゼントしてやれば?ってさ…。以前お世話にもなっているし…まぁ、お前が綺麗でいてくれたら俺も嬉しいから…はい、プレゼント!」
『えっ…えっ?…いいの?…だってこれ本当に高かったでしょ?』
私は口を尖らせながら
『本当高かったよ… 無駄にされちゃかなわないからゆっくりお風呂に入っておいで…食事は後で良いからさ!』
私からの思わぬプレゼントと労いの言葉に、すっかり気を良くした彩矢は嬉しそうにバスタブにお湯を溜めに行きました。
彩矢は珍しくバッグをリビングに置いたまま、寝室にルームウェアに着替えに行き、
『じゃあ、あなた、使わせて貰います…』と笑顔で私のプレゼントを抱えるようにしてバスルームに向かいました。私は厭味も込めて、「綺麗に磨いておいで…。」と言葉を返しました。高くついた回りくどい作戦ではありましたが、彩矢はいつもよりは長風呂になるでしょう。
2015/04/09
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