長G〖救いの手を〗第14回
長G〖救いの手を〗第14回
怒りそして惨めな失望感の中、自宅に戻った私はソファに倒れ込むように身を沈め、うなだれてしまいます。《これはキツいよなぁ…》この先、物証がいくつも出て来たら…妻の浮気が…彩矢(あや)の浮気相手が望月統括部長であるという揺るぎない証拠が出てしまえば…果たして私は自分の精神のコントロールを出来るのだろうか?
私の脳裏に高級外車を運転する望月統括部長の、いけ好かない二枚目面が思い出されていました。悔しい…。一体いつからなのだ?私の脳裏に望月統括部長が彩矢を貫き、よがり狂わせる情景が思い浮かび、胸を掻きむしりたくなる程の嫉妬心が私を襲った。
私の中に熱く込み上げてくる怒りが、落ち込み凹(へこ)む気持ちを上回り、この体を突き動かします。《しかし、いくら何でも私を舐め過ぎだろう…。こうなったらどんな結果になろうと、とことん調べてやる!!》
浮気相手と思われる、望月統括部長に対しての怒りよりも、彩矢のあの優しい笑顔の裏に隠された【本性という仮面】に大きな失望を感じていました。リアルな浮気現場を押さえた訳では無いにせよ、心情的には限りなくクロと疑わざる得ない現実がある。
私は自分自身の心に、じわじわと広がる弱気の虫を封印し、己の心を鼓舞するようにして、妻の寝室に向かいました。“カチャッ‥ッ‥”ドアを開けた瞬間に化粧品と女性特有の体臭が入り混じる独特の匂い…。相変わらず雑然とした彩矢の寝室です。
妻のベッドに染み付いているこの匂い…は、昨夜、脱衣籠に入れられていた彩矢のショーツに付着していた匂いと同じ、甘酸っぱい発情した牝のフェロモン臭…。こんなにも…彼女の肉体から発する体臭は変化するものなのでしょうか?
私が知りうる妻の体臭は…あの薄い恥毛に隠れた桃色の割れ目から匂ったあの香りは、このベッドに染み込んでいるような濃密な物ではなかったのに…。これは彩矢の肉体があの望月統括部長によって開花させられたからなのでしょうか?
私は土曜日の衝撃(第2回)をあらためて思い出して、ベッドの掛け布団を捲り上げて、あの洗濯ネットを再び探して見たが見つかりませんでした。
私は数多(あまた)の疑問や、疑惑、嫉妬心、そしてキリキリと胸をえぐるような屈辱感を力ずくで払拭するが如く、南京錠で閉ざされた木製の化粧箱(第4回)を妻のベッドの引き出しから取り出しました。
土曜日に見た時と同じように南京錠で固く閉ざされた木製の化粧箱…。《意外に重たい… この中には何が隠されているのだろう?…》私はこの南京錠で閉ざされた木製の化粧箱を抱えるようにしてリビングに運びました。
テーブルの上に置いた南京錠で固く閉ざされた化粧箱。おもちゃの南京錠であるならば、まだ可愛気があります…。しかし目の前の化粧箱を固く閉ざしている南京錠は、素人目にも頑強な造りである事が分かる物なのです。
そこからは目に見えない妻の強い意志までが伝わって来るように思えました。《これを開けたら只じゃ済まないのよと…》この時、不思議な緊張感で張り詰めていたリビングに“ピンポーン…ピンポーン…ピンポーン…” と、インターホンの呼び出し音が鳴り響きます。
南京錠に触れていた私の指が、鳴り響くインターホンの呼び出し音に驚き、パチッっと電流でも流された如くに瞬時に離れされました。慌てて腕時計を確認すると、時計の針は午前10時を指しています。私はインターホン越しに来訪者の確認をしました。そう私が呼んだ錠の業者の到着です。
2015/04/29
怒りそして惨めな失望感の中、自宅に戻った私はソファに倒れ込むように身を沈め、うなだれてしまいます。《これはキツいよなぁ…》この先、物証がいくつも出て来たら…妻の浮気が…彩矢(あや)の浮気相手が望月統括部長であるという揺るぎない証拠が出てしまえば…果たして私は自分の精神のコントロールを出来るのだろうか?
私の脳裏に高級外車を運転する望月統括部長の、いけ好かない二枚目面が思い出されていました。悔しい…。一体いつからなのだ?私の脳裏に望月統括部長が彩矢を貫き、よがり狂わせる情景が思い浮かび、胸を掻きむしりたくなる程の嫉妬心が私を襲った。
私の中に熱く込み上げてくる怒りが、落ち込み凹(へこ)む気持ちを上回り、この体を突き動かします。《しかし、いくら何でも私を舐め過ぎだろう…。こうなったらどんな結果になろうと、とことん調べてやる!!》
浮気相手と思われる、望月統括部長に対しての怒りよりも、彩矢のあの優しい笑顔の裏に隠された【本性という仮面】に大きな失望を感じていました。リアルな浮気現場を押さえた訳では無いにせよ、心情的には限りなくクロと疑わざる得ない現実がある。
私は自分自身の心に、じわじわと広がる弱気の虫を封印し、己の心を鼓舞するようにして、妻の寝室に向かいました。“カチャッ‥ッ‥”ドアを開けた瞬間に化粧品と女性特有の体臭が入り混じる独特の匂い…。相変わらず雑然とした彩矢の寝室です。
妻のベッドに染み付いているこの匂い…は、昨夜、脱衣籠に入れられていた彩矢のショーツに付着していた匂いと同じ、甘酸っぱい発情した牝のフェロモン臭…。こんなにも…彼女の肉体から発する体臭は変化するものなのでしょうか?
私が知りうる妻の体臭は…あの薄い恥毛に隠れた桃色の割れ目から匂ったあの香りは、このベッドに染み込んでいるような濃密な物ではなかったのに…。これは彩矢の肉体があの望月統括部長によって開花させられたからなのでしょうか?
私は土曜日の衝撃(第2回)をあらためて思い出して、ベッドの掛け布団を捲り上げて、あの洗濯ネットを再び探して見たが見つかりませんでした。
私は数多(あまた)の疑問や、疑惑、嫉妬心、そしてキリキリと胸をえぐるような屈辱感を力ずくで払拭するが如く、南京錠で閉ざされた木製の化粧箱(第4回)を妻のベッドの引き出しから取り出しました。
土曜日に見た時と同じように南京錠で固く閉ざされた木製の化粧箱…。《意外に重たい… この中には何が隠されているのだろう?…》私はこの南京錠で閉ざされた木製の化粧箱を抱えるようにしてリビングに運びました。
テーブルの上に置いた南京錠で固く閉ざされた化粧箱。おもちゃの南京錠であるならば、まだ可愛気があります…。しかし目の前の化粧箱を固く閉ざしている南京錠は、素人目にも頑強な造りである事が分かる物なのです。
そこからは目に見えない妻の強い意志までが伝わって来るように思えました。《これを開けたら只じゃ済まないのよと…》この時、不思議な緊張感で張り詰めていたリビングに“ピンポーン…ピンポーン…ピンポーン…” と、インターホンの呼び出し音が鳴り響きます。
南京錠に触れていた私の指が、鳴り響くインターホンの呼び出し音に驚き、パチッっと電流でも流された如くに瞬時に離れされました。慌てて腕時計を確認すると、時計の針は午前10時を指しています。私はインターホン越しに来訪者の確認をしました。そう私が呼んだ錠の業者の到着です。
2015/04/29
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