長G〖救いの手を〗第12回
長G〖救いの手を〗第12回
彩矢(あや)の携帯からの情報を探る事を断念した私は、どんな小さな可能性でもと、バッグの中を探しました。ビジネス手帳… 名刺入れ… 財布…。しかしそれらしいものは出て来ません。《何も出て来ないとは、一体どうゆう事なんだ…》
私は、頭に血が上り、額から首、更には背中までも気持ち悪い汗が吹き出てグッショリと濡れてしまいます。《もうダメか…徒労に終わったのか…》そんな風に考えて諦めかけた時、バッグの内側に隠しポケットのような物がある事を発見しました。私はそのポケットのファスナーを開き、中を確認します。
するとアルミニウム製と思われる銀色の名刺サイズより一回り大きい薄型のケース状の物を見つけました。《何なんだコレは?…》私はそれを取り出してケースを開けようとします。 しかし、どのような仕組みになっているのか上手く開ける事が出来ません。私は焦りから掌まで汗で濡れてしまいます。
ヌルヌルになった左右の手で、まるで揃える事の出来ないルービックキューブでも解いているように《あーでも無い… こうでも無い…》と弄っていると、ヌルヌルになった掌が滑り、どんな事になったか解らないままにその薄型のアルミニウム製のケースの蓋がスライドしてせり上がるような感じで開きました。
それと同時にバスルームから“ガタッ…ガタッ‥ッ…”と、物音が聞こえて来ました。《ヤバい!!彩矢がバスルームから出て来る!!》私は慌ててテーブルの上にあったダスターで妻のバッグから取り出した物を一つ一つ拭きながら、中に戻して行きました。携帯… 名刺入れ … 財布… そして今しがた見つけた薄型のアルミニウム製のケース。
私はバッグの内側の隠しポケットに薄型のアルミニウム製のケースを戻す為に、スライドして開いた蓋を再び元の状態に戻して、気付かれぬように丁寧に納めてファスナーを閉めました。その時にチラッっとケースの中身が見えたのですが、それは規則正しくシート状の物に並べられた、ピンク色の小さい錠剤のような物でした。慌てた私にはじっくりと、それが何なのかは、良く分かりませんでした。
『あなた…おはよう…遅刻しちゃうわよ…。 』
「ん…ん…あぁ…。」私は覚醒しない重たい頭で枕元の目覚まし時計を見ました。 《7時40分!!》 マズいな‥ 一応は出勤するふりはしないと‥私は気怠(けだる)い体に鞭を入れるようにしてベッドから跳び起きました。
昨夜は結局、寝付けなくて眠りについたのは外が白々と明るくなり始めた頃です。私の知らない彩矢‥明るさ、無邪気さとは無縁の淫靡でエロチックな妻‥。《一体、どのように感じ、どのように乱れ、悦びを覚えているのか?相手は本当に本部統括部長の望月氏なのか? 》
私は眠れぬ中で‥意識が虚う状況で妄想と現実の間の世界で苦悩していました。取り敢えずスーツに着替えた私は、急いで顔を洗い、最低限の身嗜(みだしな)みを整えて、妻の待つ食卓に向かいました。
普段より気合いの入っているようにも見える品々がテーブルに並んでいる。私が「今朝は何か気合い入ってるんじゃないか?こんなに栄養つけてどうするの?」と、作り笑顔で冷やかすと妻は‥『だって、お仕事とは言え、一晩留守にするから申し訳なくて‥ 冷蔵庫にシチューが入っていますから夜に温めて食べてね‥。』心無しか潤んだ瞳で言いました。
私は彩矢の表情を見て《確実に発情モードに突入しているなぁ‥ 必ず証拠を押さえてやる‥》と内心で舌打ちし、悔し紛れの嫌味を言ってやります。「しかし‥会議で出張の度に決めてるなぁ‥ 綺麗だよ‥。流石は俺自慢の美人妻だ‥。」彩矢は私の言葉に一瞬“ハッと”した表情を見せましたが、すぐに笑顔で、『昨日あなたがプレゼントしてくれたアレのせいじゃない?お肌の具合が全然違うんだから‥。』と軽く切り替えされました。
2015/04/17
彩矢(あや)の携帯からの情報を探る事を断念した私は、どんな小さな可能性でもと、バッグの中を探しました。ビジネス手帳… 名刺入れ… 財布…。しかしそれらしいものは出て来ません。《何も出て来ないとは、一体どうゆう事なんだ…》
私は、頭に血が上り、額から首、更には背中までも気持ち悪い汗が吹き出てグッショリと濡れてしまいます。《もうダメか…徒労に終わったのか…》そんな風に考えて諦めかけた時、バッグの内側に隠しポケットのような物がある事を発見しました。私はそのポケットのファスナーを開き、中を確認します。
するとアルミニウム製と思われる銀色の名刺サイズより一回り大きい薄型のケース状の物を見つけました。《何なんだコレは?…》私はそれを取り出してケースを開けようとします。 しかし、どのような仕組みになっているのか上手く開ける事が出来ません。私は焦りから掌まで汗で濡れてしまいます。
ヌルヌルになった左右の手で、まるで揃える事の出来ないルービックキューブでも解いているように《あーでも無い… こうでも無い…》と弄っていると、ヌルヌルになった掌が滑り、どんな事になったか解らないままにその薄型のアルミニウム製のケースの蓋がスライドしてせり上がるような感じで開きました。
それと同時にバスルームから“ガタッ…ガタッ‥ッ…”と、物音が聞こえて来ました。《ヤバい!!彩矢がバスルームから出て来る!!》私は慌ててテーブルの上にあったダスターで妻のバッグから取り出した物を一つ一つ拭きながら、中に戻して行きました。携帯… 名刺入れ … 財布… そして今しがた見つけた薄型のアルミニウム製のケース。
私はバッグの内側の隠しポケットに薄型のアルミニウム製のケースを戻す為に、スライドして開いた蓋を再び元の状態に戻して、気付かれぬように丁寧に納めてファスナーを閉めました。その時にチラッっとケースの中身が見えたのですが、それは規則正しくシート状の物に並べられた、ピンク色の小さい錠剤のような物でした。慌てた私にはじっくりと、それが何なのかは、良く分かりませんでした。
『あなた…おはよう…遅刻しちゃうわよ…。 』
「ん…ん…あぁ…。」私は覚醒しない重たい頭で枕元の目覚まし時計を見ました。 《7時40分!!》 マズいな‥ 一応は出勤するふりはしないと‥私は気怠(けだる)い体に鞭を入れるようにしてベッドから跳び起きました。
昨夜は結局、寝付けなくて眠りについたのは外が白々と明るくなり始めた頃です。私の知らない彩矢‥明るさ、無邪気さとは無縁の淫靡でエロチックな妻‥。《一体、どのように感じ、どのように乱れ、悦びを覚えているのか?相手は本当に本部統括部長の望月氏なのか? 》
私は眠れぬ中で‥意識が虚う状況で妄想と現実の間の世界で苦悩していました。取り敢えずスーツに着替えた私は、急いで顔を洗い、最低限の身嗜(みだしな)みを整えて、妻の待つ食卓に向かいました。
普段より気合いの入っているようにも見える品々がテーブルに並んでいる。私が「今朝は何か気合い入ってるんじゃないか?こんなに栄養つけてどうするの?」と、作り笑顔で冷やかすと妻は‥『だって、お仕事とは言え、一晩留守にするから申し訳なくて‥ 冷蔵庫にシチューが入っていますから夜に温めて食べてね‥。』心無しか潤んだ瞳で言いました。
私は彩矢の表情を見て《確実に発情モードに突入しているなぁ‥ 必ず証拠を押さえてやる‥》と内心で舌打ちし、悔し紛れの嫌味を言ってやります。「しかし‥会議で出張の度に決めてるなぁ‥ 綺麗だよ‥。流石は俺自慢の美人妻だ‥。」彩矢は私の言葉に一瞬“ハッと”した表情を見せましたが、すぐに笑顔で、『昨日あなたがプレゼントしてくれたアレのせいじゃない?お肌の具合が全然違うんだから‥。』と軽く切り替えされました。
2015/04/17
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