中Ⅱ10〖離婚の理由〗 第5回
中Ⅱ10〖離婚の理由〗 第5回
第4回
月曜日、俺(大澤宗介:そうすけ:46歳)は本社の総務に報告書を出すと、半日有給休暇を取って指定されたホテルに入った。午後1時少し前、調査会社の樺山さんと一緒に清水汐里(しおり)さんが来ます。それで樺山さんは汐里さんを俺に紹介すると席を外しました。
俺は軽く挨拶をし、汐里さんの前に座ります。そして汐里さんに確認をしました。
「単刀直入に聞きますが、二人の事をどこまで把握しています?」
〚不倫をしているのかどうかも解らないのです。〛
俺は汐里さんに対して全てを話すことに決め、言葉を選びながら話始めます。「これは状況証拠で確証はありませんが多分間違いないと思います。」と前置きをした上で、二年前のことから話し始めました。
それで一枚のプリントを渡し説明をします。仕事の性質で細かい行動を記載する必要があったので、俺の行動と日記代わりの箇条書きを元に説明をします。□二年前の九月、妻の南美、課の連中と清水君の歓迎会に行く。帰宅が午前様と記載されています。(多分この日が不倫に走った最初の日でしょう。)以来、南美の残業・出張・休日出勤が数多く見られるようになりました。(週に一、二回は会っている計算になります。)
ふと、汐里さんを見ると唇を噛んで震えています。俺は横に座り、目を見ながら静かに諭すように言いました。
「思い切り泣きたいなら、俺は席を外そうか? 泣き顔は見られたくないだろうから。」
〚いえ、ここに居てください。〛
そう言うと、汐里さんは大泣きを始めた。俺が彼女の肩に手を置いて抱き寄せると、見ず知らずの俺の胸で恥も外聞もなく泣き続ける。そこには妙な連帯感が二人を包んでいた。
暫くして、汐里さんは泣き出した理由を語ってくれる。
〚四年前、合コンで知り合い交際を始めたこと。〛
〚三年前の六月に結婚をしたこと。〛
〚二年前の八月に本社に欠員が出て、急遽本社勤務になったこと。そして本社勤務になってから、清水は汐里さんを抱かなくなったこと。〛
〚こっちに来て知り合いも誰も居なく、一人さびしかったこと。〛
〚今始めて抱かれなくなった理由を知り、自分が惨めだったこと。〛
等を矢継ぎ早に語った。
汐里さんは二年間、頼る人の無いここで一人頑張って来たのだと思うと、俺はなぜか愛しさがこみ上げてくる。少し落ち着いた汐里さんの顔をまじまじと見たが、美人で可愛い部類に入るだろう。体つきだって人並み以上出ているとこは出てる。《清水の馬鹿たれ! 勿体無い事をする!》そう思うと興奮してきた。抱きしめた手に力が入るが、汐里さんは拒否をしない。
俺は何故九月に、調査依頼をしたのかを訊いてみた。汐里さんは夫が不倫をしているのではと疑っていたが確証が無い。八月にあった二泊三日の出張の後暫くして、汐里さんがマイカーを運転していて、偶然、後部座席に女性の下着が挟まっていたのを発見したという。端を摘んでみたが、〚これでアソコが被いさるの?〛と思うほど小さく派手な下着であった。すぐゴミ箱に捨てたそうだ。
九月の出張が来たとき、汐里さん自身の疑問を晴らそうと、夫(清水祐樹:ゆうき:32歳)
の不倫調査を依頼する。そして、その結果が最悪の結果となりました。俺は確認をします。
「今までの話は実際不倫の証拠は何も出てきていない。しかし、これからは実際現物の証拠を見ることになる、辛い現実と向き合うことになるけどどうする?」
彼女(清水汐里:しおり:29歳)はそれを見る覚悟を決めたようですが、緊張のあまり顔面蒼白になっていました。 第6回へ続く
2016/06/13
第4回
月曜日、俺(大澤宗介:そうすけ:46歳)は本社の総務に報告書を出すと、半日有給休暇を取って指定されたホテルに入った。午後1時少し前、調査会社の樺山さんと一緒に清水汐里(しおり)さんが来ます。それで樺山さんは汐里さんを俺に紹介すると席を外しました。
俺は軽く挨拶をし、汐里さんの前に座ります。そして汐里さんに確認をしました。
「単刀直入に聞きますが、二人の事をどこまで把握しています?」
〚不倫をしているのかどうかも解らないのです。〛
俺は汐里さんに対して全てを話すことに決め、言葉を選びながら話始めます。「これは状況証拠で確証はありませんが多分間違いないと思います。」と前置きをした上で、二年前のことから話し始めました。
それで一枚のプリントを渡し説明をします。仕事の性質で細かい行動を記載する必要があったので、俺の行動と日記代わりの箇条書きを元に説明をします。□二年前の九月、妻の南美、課の連中と清水君の歓迎会に行く。帰宅が午前様と記載されています。(多分この日が不倫に走った最初の日でしょう。)以来、南美の残業・出張・休日出勤が数多く見られるようになりました。(週に一、二回は会っている計算になります。)
ふと、汐里さんを見ると唇を噛んで震えています。俺は横に座り、目を見ながら静かに諭すように言いました。
「思い切り泣きたいなら、俺は席を外そうか? 泣き顔は見られたくないだろうから。」
〚いえ、ここに居てください。〛
そう言うと、汐里さんは大泣きを始めた。俺が彼女の肩に手を置いて抱き寄せると、見ず知らずの俺の胸で恥も外聞もなく泣き続ける。そこには妙な連帯感が二人を包んでいた。
暫くして、汐里さんは泣き出した理由を語ってくれる。
〚四年前、合コンで知り合い交際を始めたこと。〛
〚三年前の六月に結婚をしたこと。〛
〚二年前の八月に本社に欠員が出て、急遽本社勤務になったこと。そして本社勤務になってから、清水は汐里さんを抱かなくなったこと。〛
〚こっちに来て知り合いも誰も居なく、一人さびしかったこと。〛
〚今始めて抱かれなくなった理由を知り、自分が惨めだったこと。〛
等を矢継ぎ早に語った。
汐里さんは二年間、頼る人の無いここで一人頑張って来たのだと思うと、俺はなぜか愛しさがこみ上げてくる。少し落ち着いた汐里さんの顔をまじまじと見たが、美人で可愛い部類に入るだろう。体つきだって人並み以上出ているとこは出てる。《清水の馬鹿たれ! 勿体無い事をする!》そう思うと興奮してきた。抱きしめた手に力が入るが、汐里さんは拒否をしない。
俺は何故九月に、調査依頼をしたのかを訊いてみた。汐里さんは夫が不倫をしているのではと疑っていたが確証が無い。八月にあった二泊三日の出張の後暫くして、汐里さんがマイカーを運転していて、偶然、後部座席に女性の下着が挟まっていたのを発見したという。端を摘んでみたが、〚これでアソコが被いさるの?〛と思うほど小さく派手な下着であった。すぐゴミ箱に捨てたそうだ。
九月の出張が来たとき、汐里さん自身の疑問を晴らそうと、夫(清水祐樹:ゆうき:32歳)
の不倫調査を依頼する。そして、その結果が最悪の結果となりました。俺は確認をします。
「今までの話は実際不倫の証拠は何も出てきていない。しかし、これからは実際現物の証拠を見ることになる、辛い現実と向き合うことになるけどどうする?」
彼女(清水汐里:しおり:29歳)はそれを見る覚悟を決めたようですが、緊張のあまり顔面蒼白になっていました。 第6回へ続く
2016/06/13
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