長I 【裏切り 第1節5章】
長I 【裏切り 第1節5章】
暫らくして、トイレから出て来た妻の智子(ともこ)はサングラスをしていました。妻が私の方に向かって歩いてきたので、慌てて私は柱に隠れてやり過ごしたのですが、歩く度に片方ずつお尻がスカートに張り付いた様な状態に成り、穿いているパンティーが、男子の水泳選手が穿く水着の様な、超ビキニの物だと分かりました。
妻がトイレで穿き替えて来たのかとも思いましたが、階段を上がって行く時に、はっきりと下着の形が分かったと言うのは私の思い違いで、私の距離からでは下のラインしか分からず、私が知る限りではこの様な下着は持っていなかった為に、勝手に上のラインを想像して、頭の中で作ってしまったのかも知れません。
どちらにしても、これでは前の黒い翳りは隠し切れずに、パンティーから、はみ出てしまっている事でしょう。この様なパンティーを穿いている事からも、智子に何か有ると確信した私は絶望感を覚えましたが、何とか尾行を続行すると、やはり妻は銀行には向かわずに、駅を挟んで銀行とは逆方向に歩き出し、私は隠れながら後をつけたのですが、他人から見れば、ストーカーと間違えられないか心配でした。
暫らく後を付けて行くと、妻は4階建ての部屋数が16ほどの小さなマンションに入って行ったので、私も入って行こうとしたのですが、入り口がオートロックになっていて入る事が出来ません。ここまで不審な行動が重なると、否が応でも事実を受け止めなければならなくなった私は、貧血をおこしそうになり、その場に座り込んでしまいました。
すると、サングラスをかけてヘッドフォンをした坊主頭の若者が、頭でリズムをとりながら出て来て。〚おっさん、大丈夫か?救急車がいる?〛言葉使いは無茶苦茶ですが、それでもしゃがんで私と同じ目線で話してくれ、親切な若者だと感じた。それで「ありがとう。それよりも今入って行った女の事を知らないか?今日初めて会ったとか、よく見掛けるとか、どこの部屋に行ったとか。」と夢中で尋ねる。
若者は〚おっさんは刑事か?そんな訳ないよな。張り込みで蒼い顔をして座り込んでしまう刑事なんて聞いた事がねえ。それとも探偵?その顔だとそれも無いな。どっちにしても俺は他人のごたごたに巻き込まれるのは嫌だから。じゃあな。〛と邪魔くさそうに言うと私に背を向けて、手を何度か振って去って行こうとする。
咄嗟に私は財布から若者に、1万円札を出した。「これで何とか頼む。」振り向いた若者は、〚ウワー。そんな必殺技を出されたら断れないな。ここでは話し辛いから向かいの喫茶店にでも行こうか?」喫茶店に入って話を聞くと、智子とは以前からよく階段ですれ違うと教えてくれました。
私が「どこの部屋に入って行くか分からないか?」と訊くと、〚俺の丁度真下に住んでいる、1人暮らしの親父の所さ。ここから見えるだろ?2階の一番右端の部屋さ。俺が301だから201。」って答える。「いくつ位の男かな?」若者は〚親父の歳って分かり難いからな。おっさんの少し上ぐらいじゃ無いのか?普段あの女が来る時は、きちんと7、3分けにしているが、あの女が来ない休みの時は髪もぼさぼさで、昼間でもパジャマのまま新聞を取りに来る、冴えない親父さ。〛
若者が指差した郵便受けをみると、201号室の所に篠原と貼って有りました。建物から見ても、おそらく独身の1人暮らしか単身赴任者が借りるマンションの様で、部屋番号の所に名前が貼ってあるのは篠原だけです。
〚あの親父は見栄っ張りなのか、高い車に乗ってやがる。俺ならそんな金が有ったら、もっと広いマンションに引っ越すぜ。どちらにしてもあの女と親父は普通の関係では無いな。女はいつもサングラスをしていて、俺とすれ違う時は必ず俯いているし、2人で出掛ける時は決まって親父が先に出て、あたりをキョロキョロ見渡してから女が出てくる。女もそうだが、あの親父も女と一緒の時は夜でも必ずサングラスをしていて、車に乗り込むまでは外さない。まあ、よく有る不倫の関係というやつだな。〛
それを聞いた途端に私の顔が見る見る蒼ざめて行くのが自分でも分かりました。
2015/04/22
暫らくして、トイレから出て来た妻の智子(ともこ)はサングラスをしていました。妻が私の方に向かって歩いてきたので、慌てて私は柱に隠れてやり過ごしたのですが、歩く度に片方ずつお尻がスカートに張り付いた様な状態に成り、穿いているパンティーが、男子の水泳選手が穿く水着の様な、超ビキニの物だと分かりました。
妻がトイレで穿き替えて来たのかとも思いましたが、階段を上がって行く時に、はっきりと下着の形が分かったと言うのは私の思い違いで、私の距離からでは下のラインしか分からず、私が知る限りではこの様な下着は持っていなかった為に、勝手に上のラインを想像して、頭の中で作ってしまったのかも知れません。
どちらにしても、これでは前の黒い翳りは隠し切れずに、パンティーから、はみ出てしまっている事でしょう。この様なパンティーを穿いている事からも、智子に何か有ると確信した私は絶望感を覚えましたが、何とか尾行を続行すると、やはり妻は銀行には向かわずに、駅を挟んで銀行とは逆方向に歩き出し、私は隠れながら後をつけたのですが、他人から見れば、ストーカーと間違えられないか心配でした。
暫らく後を付けて行くと、妻は4階建ての部屋数が16ほどの小さなマンションに入って行ったので、私も入って行こうとしたのですが、入り口がオートロックになっていて入る事が出来ません。ここまで不審な行動が重なると、否が応でも事実を受け止めなければならなくなった私は、貧血をおこしそうになり、その場に座り込んでしまいました。
すると、サングラスをかけてヘッドフォンをした坊主頭の若者が、頭でリズムをとりながら出て来て。〚おっさん、大丈夫か?救急車がいる?〛言葉使いは無茶苦茶ですが、それでもしゃがんで私と同じ目線で話してくれ、親切な若者だと感じた。それで「ありがとう。それよりも今入って行った女の事を知らないか?今日初めて会ったとか、よく見掛けるとか、どこの部屋に行ったとか。」と夢中で尋ねる。
若者は〚おっさんは刑事か?そんな訳ないよな。張り込みで蒼い顔をして座り込んでしまう刑事なんて聞いた事がねえ。それとも探偵?その顔だとそれも無いな。どっちにしても俺は他人のごたごたに巻き込まれるのは嫌だから。じゃあな。〛と邪魔くさそうに言うと私に背を向けて、手を何度か振って去って行こうとする。
咄嗟に私は財布から若者に、1万円札を出した。「これで何とか頼む。」振り向いた若者は、〚ウワー。そんな必殺技を出されたら断れないな。ここでは話し辛いから向かいの喫茶店にでも行こうか?」喫茶店に入って話を聞くと、智子とは以前からよく階段ですれ違うと教えてくれました。
私が「どこの部屋に入って行くか分からないか?」と訊くと、〚俺の丁度真下に住んでいる、1人暮らしの親父の所さ。ここから見えるだろ?2階の一番右端の部屋さ。俺が301だから201。」って答える。「いくつ位の男かな?」若者は〚親父の歳って分かり難いからな。おっさんの少し上ぐらいじゃ無いのか?普段あの女が来る時は、きちんと7、3分けにしているが、あの女が来ない休みの時は髪もぼさぼさで、昼間でもパジャマのまま新聞を取りに来る、冴えない親父さ。〛
若者が指差した郵便受けをみると、201号室の所に篠原と貼って有りました。建物から見ても、おそらく独身の1人暮らしか単身赴任者が借りるマンションの様で、部屋番号の所に名前が貼ってあるのは篠原だけです。
〚あの親父は見栄っ張りなのか、高い車に乗ってやがる。俺ならそんな金が有ったら、もっと広いマンションに引っ越すぜ。どちらにしてもあの女と親父は普通の関係では無いな。女はいつもサングラスをしていて、俺とすれ違う時は必ず俯いているし、2人で出掛ける時は決まって親父が先に出て、あたりをキョロキョロ見渡してから女が出てくる。女もそうだが、あの親父も女と一緒の時は夜でも必ずサングラスをしていて、車に乗り込むまでは外さない。まあ、よく有る不倫の関係というやつだな。〛
それを聞いた途端に私の顔が見る見る蒼ざめて行くのが自分でも分かりました。
2015/04/22
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