長D「私の愛妻物語」(温泉編④)23
長D「私の愛妻物語」(温泉編④)23
レジで支払いを済ませ、駐車場に出て行くと、妻の望未(のぞみ)が車の前で待っていました。懼(おそ)れていた通り、望未はカンカンです。車には乗ってくれましたが、話しかけても一言も答えてくれません。目的地の旅館に着くまで、重たい空気が続きました。
目的地の旅館に着くまでの車中、私(後藤賢一)はひたすら望未に謝り続けました。しかし、望未は一言もしゃべらず、旅館に着いても車から降りようとしませんでしたが、しばらくしてようやく口を開きました。
『もう変なことしないって約束する?最近、旅行のたびに変なことばかりするんだから。私、そんな女じゃないからね!』仕事の話題で議論する時のような厳しい口調でした。私が神妙な顔でうなずくと、あきれたような顔をしました。
『私だって、せっかくの旅行を台無しにしたくないから。もういいから行こう。時間がもったいないわよ。』どうにか望未の怒りが収まって、私はほっとする一方、望未に釘を刺されたようで、複雑な気分でした。
旅館は2階建ての古い木造でした。あまり大きな旅館ではありませんが、土曜日だというのに空室が多いようです。フロントには主人らしきかなり年配の男性がいて、いかにも寂(さび)れた温泉地の旅館といった雰囲気でした。私たちの部屋は温泉街が見渡せる2階の6畳2間。建物の外観に比べると、割ときれいな部屋でした。部屋まで案内してくれた仲居さんが、「内風呂は男女で分かれているが、露天風呂は混浴です。」と説明してくれました。
望未には混浴の事はしばらく内緒にしておきたかったのですが、仕方ありません。望未は仲居さんが出て行くと、『混浴なのか。露天には入れないわね。』と不満そうに漏らしました。私は何も言えず、黙って聞いていました。
昼食がそばだけだったので、夕食を早めに食べることにして、その前に風呂に入ることにしました。《私は望未を混浴に誘うことで頭がいっぱいです。》「お前も露天に来なよ。俺が先に入って待っているから。せっかくだから一緒に入ろう。」内湯の入り口の前で望未に声をかけましたが、望未は『誰もいなかったらね。』と気のない返事です。
「誰も来ないって!それに、もし誰かいたとしても混浴なんだから当たり前だよ。恥ずかしがることないって!」そう力説する私に返事もせず、望未は女湯に入っていきました。
私が男湯に入ると、入り口にスリッパが2足ありました。先客がいたようです。私は浴衣を脱いで内風呂で汗だけ流し、奥にある露天風呂に向かいました。年配の男性客が2人。女性客はいませんでした。《この男性2人に望未の裸をさらすことができるかもしれない。》そう考えるだけで、また興奮してきました。
ところが、望未はいっこうに露天風呂に入ってきません。男性2人もやがて内湯に戻って行きます。私は1人で30分ほど望未を待ちましたが、結局、望未は露天風呂には入ってきませんでした。
2015/05/20
レジで支払いを済ませ、駐車場に出て行くと、妻の望未(のぞみ)が車の前で待っていました。懼(おそ)れていた通り、望未はカンカンです。車には乗ってくれましたが、話しかけても一言も答えてくれません。目的地の旅館に着くまで、重たい空気が続きました。
目的地の旅館に着くまでの車中、私(後藤賢一)はひたすら望未に謝り続けました。しかし、望未は一言もしゃべらず、旅館に着いても車から降りようとしませんでしたが、しばらくしてようやく口を開きました。
『もう変なことしないって約束する?最近、旅行のたびに変なことばかりするんだから。私、そんな女じゃないからね!』仕事の話題で議論する時のような厳しい口調でした。私が神妙な顔でうなずくと、あきれたような顔をしました。
『私だって、せっかくの旅行を台無しにしたくないから。もういいから行こう。時間がもったいないわよ。』どうにか望未の怒りが収まって、私はほっとする一方、望未に釘を刺されたようで、複雑な気分でした。
旅館は2階建ての古い木造でした。あまり大きな旅館ではありませんが、土曜日だというのに空室が多いようです。フロントには主人らしきかなり年配の男性がいて、いかにも寂(さび)れた温泉地の旅館といった雰囲気でした。私たちの部屋は温泉街が見渡せる2階の6畳2間。建物の外観に比べると、割ときれいな部屋でした。部屋まで案内してくれた仲居さんが、「内風呂は男女で分かれているが、露天風呂は混浴です。」と説明してくれました。
望未には混浴の事はしばらく内緒にしておきたかったのですが、仕方ありません。望未は仲居さんが出て行くと、『混浴なのか。露天には入れないわね。』と不満そうに漏らしました。私は何も言えず、黙って聞いていました。
昼食がそばだけだったので、夕食を早めに食べることにして、その前に風呂に入ることにしました。《私は望未を混浴に誘うことで頭がいっぱいです。》「お前も露天に来なよ。俺が先に入って待っているから。せっかくだから一緒に入ろう。」内湯の入り口の前で望未に声をかけましたが、望未は『誰もいなかったらね。』と気のない返事です。
「誰も来ないって!それに、もし誰かいたとしても混浴なんだから当たり前だよ。恥ずかしがることないって!」そう力説する私に返事もせず、望未は女湯に入っていきました。
私が男湯に入ると、入り口にスリッパが2足ありました。先客がいたようです。私は浴衣を脱いで内風呂で汗だけ流し、奥にある露天風呂に向かいました。年配の男性客が2人。女性客はいませんでした。《この男性2人に望未の裸をさらすことができるかもしれない。》そう考えるだけで、また興奮してきました。
ところが、望未はいっこうに露天風呂に入ってきません。男性2人もやがて内湯に戻って行きます。私は1人で30分ほど望未を待ちましたが、結局、望未は露天風呂には入ってきませんでした。
2015/05/20
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