長D「私の愛妻物語」(温泉編⑤)24
長D「私の愛妻物語」(温泉編⑤)24
夕食は広間で他の客に混じって食べたかったのですが、妻の望未(のぞみ)が希望するので部屋食になりました。どこにでもありそうな会席料理で、とりたててうまくもまずくもありません。ビールで乾杯した後、2人で日本酒の熱燗を数本飲みました。食べ終わった後は何もすることがありません。まだ宵の口なのに何だか寂しい気分になってきました。
望未も『やっぱり、別の温泉を探せばよかったね。』などとつまらなそうです。私(後藤賢一)は混浴を目当てにこの旅館を選んだのですが、望未は混浴に入るつもりはなさそうです。あのトイレを覗いた事件?で望未を激怒させていたこともあり、私も強気に出ることはできませんでした。
急に決まった旅行で、十分な“作戦”を練ってこなかったことを私は後悔しました。今回は失敗。あきらめ気分でぼんやりと窓の外の温泉街を眺めると、スナックのネオンが連なって、一見にぎやかそうですが、人通りはまばらでした。たまに浴衣を着た男性客が歩いていくのが見えます。男性の団体客なら少しは楽しい温泉街なのかもしれません。
そんなことを考えていると、その一角に大き目の派手な看板があるのが目にとまります。それはストリップ劇場の看板でした。「なあ、ちょっとその辺ぶらぶらしてみないか? まだ早いし、どんな街なのか見てみようよ。」ストリップ劇場の看板を見つけた私は、望未に提案をしました。『そうね。ここでテレビ見ていてもしょうがないし、ちょっと食べ過ぎたみたいだから、少し歩こうかしら。』
望未も退屈していたらしく、私の提案に素直に応じてくれました。私はミニスカートに着替えて散歩してほしかったのですが、そこまでは言えません。まだ肌寒い時期だったので、浴衣の上に半纏を羽織って温泉街に繰り出しました。
旅館の窓から眺めた時より人通りは多く感じましたが、やはり寂れた温泉街でした。スナックや居酒屋が何軒かは並んでいますが、あまり賑わってはいないようです。望未が『何だか、侘しくなるわね。』などと言いながら、物珍しそうに街を眺めていました。
10分ほど歩いたころ、ストリップ劇場の看板が見えてきます。「あれっ、ストリップ劇場があるじゃん。いかにもこの温泉らしいよな。どんな雰囲気なんだろう?」私は今気づいたようなふりをして、望未に言いました。『ホントだね。こういう温泉にはやっぱりあるんだね。』望未も少しは関心があるようです。「ちょっと近くまで行ってみようよ。」それで私は望未の手を引いて、ストリップ劇場のほうに向かいました。
『あなたもストリップって見たことあるの?どんな雰囲気なの?女でも見に行く人っているのかしら?』望未も好奇心にかられて、劇場に向かいながら、いろいろと私に質問してきました。私は「学生時代に男友達と何度か行ったことがあり、結構明るい雰囲気で女性客も1、2割はいた。」ことなどを説明しました。
劇場の前に着くと、浴衣姿の男性4、5人連れが中に入っていくのが見えます。古ぼけたビルに、けばけばしい黄色い看板。この温泉街にぴったりのたたずまいでした。「俺たちもちょっとのぞいてみない?俺、こんな温泉のストリップは見たことないから、社会勉強のために・・。」と誘うと、『そんな社会勉強なんて、私はいいわよ。あなたもそんな言い訳しないで、はっきり見たいって言えばいいのに。』って望未の顔は笑っていました。
「ごめん。俺、見てみたい。1人でもいいけど、できればきみも一緒に。」
『しょうがないわねえ。暇つぶしにちょっと入ってもいいけど、変な雰囲気だったら、すぐ帰るからね。』望未は私が旅館でつまらなそうにしているのを感じて、気を使ってくれたのかもしれません。私たちはチケットを買い、劇場の中に入りました。
2015/05/25
夕食は広間で他の客に混じって食べたかったのですが、妻の望未(のぞみ)が希望するので部屋食になりました。どこにでもありそうな会席料理で、とりたててうまくもまずくもありません。ビールで乾杯した後、2人で日本酒の熱燗を数本飲みました。食べ終わった後は何もすることがありません。まだ宵の口なのに何だか寂しい気分になってきました。
望未も『やっぱり、別の温泉を探せばよかったね。』などとつまらなそうです。私(後藤賢一)は混浴を目当てにこの旅館を選んだのですが、望未は混浴に入るつもりはなさそうです。あのトイレを覗いた事件?で望未を激怒させていたこともあり、私も強気に出ることはできませんでした。
急に決まった旅行で、十分な“作戦”を練ってこなかったことを私は後悔しました。今回は失敗。あきらめ気分でぼんやりと窓の外の温泉街を眺めると、スナックのネオンが連なって、一見にぎやかそうですが、人通りはまばらでした。たまに浴衣を着た男性客が歩いていくのが見えます。男性の団体客なら少しは楽しい温泉街なのかもしれません。
そんなことを考えていると、その一角に大き目の派手な看板があるのが目にとまります。それはストリップ劇場の看板でした。「なあ、ちょっとその辺ぶらぶらしてみないか? まだ早いし、どんな街なのか見てみようよ。」ストリップ劇場の看板を見つけた私は、望未に提案をしました。『そうね。ここでテレビ見ていてもしょうがないし、ちょっと食べ過ぎたみたいだから、少し歩こうかしら。』
望未も退屈していたらしく、私の提案に素直に応じてくれました。私はミニスカートに着替えて散歩してほしかったのですが、そこまでは言えません。まだ肌寒い時期だったので、浴衣の上に半纏を羽織って温泉街に繰り出しました。
旅館の窓から眺めた時より人通りは多く感じましたが、やはり寂れた温泉街でした。スナックや居酒屋が何軒かは並んでいますが、あまり賑わってはいないようです。望未が『何だか、侘しくなるわね。』などと言いながら、物珍しそうに街を眺めていました。
10分ほど歩いたころ、ストリップ劇場の看板が見えてきます。「あれっ、ストリップ劇場があるじゃん。いかにもこの温泉らしいよな。どんな雰囲気なんだろう?」私は今気づいたようなふりをして、望未に言いました。『ホントだね。こういう温泉にはやっぱりあるんだね。』望未も少しは関心があるようです。「ちょっと近くまで行ってみようよ。」それで私は望未の手を引いて、ストリップ劇場のほうに向かいました。
『あなたもストリップって見たことあるの?どんな雰囲気なの?女でも見に行く人っているのかしら?』望未も好奇心にかられて、劇場に向かいながら、いろいろと私に質問してきました。私は「学生時代に男友達と何度か行ったことがあり、結構明るい雰囲気で女性客も1、2割はいた。」ことなどを説明しました。
劇場の前に着くと、浴衣姿の男性4、5人連れが中に入っていくのが見えます。古ぼけたビルに、けばけばしい黄色い看板。この温泉街にぴったりのたたずまいでした。「俺たちもちょっとのぞいてみない?俺、こんな温泉のストリップは見たことないから、社会勉強のために・・。」と誘うと、『そんな社会勉強なんて、私はいいわよ。あなたもそんな言い訳しないで、はっきり見たいって言えばいいのに。』って望未の顔は笑っていました。
「ごめん。俺、見てみたい。1人でもいいけど、できればきみも一緒に。」
『しょうがないわねえ。暇つぶしにちょっと入ってもいいけど、変な雰囲気だったら、すぐ帰るからね。』望未は私が旅館でつまらなそうにしているのを感じて、気を使ってくれたのかもしれません。私たちはチケットを買い、劇場の中に入りました。
2015/05/25
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