中18〚目覚め〛パート08
中18〚目覚め〛パート08
古川怜奈(こがわ・れな)の作戦というのは拍子抜けするくらいに大した事はなかった。
村上一郎を怜奈の彼氏として妻の河村瑠璃子(るりこ)に紹介し、4人で一緒に酒を飲んでその間に一郎が言葉巧みに説得する。僕(河村澄夫)と怜奈は状況を見てフォローに入るという作戦らしい・・・これって作戦と呼べるのか?僕は心の中でこの作戦名を、“出たとこ勝負作戦”と名づけた。
翌週の土曜日の夕方に作戦は決行される。作戦通り、怜奈が新しく出来た彼氏である一郎の紹介を兼ねて僕達のマンションに遊びに来たという設定だ。4人でリビングの小さなテーブルを囲んで飲み会が始まった。
僕と一郎が向かい合って座り、僕の右に瑠璃子、左に怜奈が座る。これは怜奈から、一郎を瑠璃子の隣に座らす様にとの指示があった為だ。リビングの隣にある和室には、怜奈と一郎が泊まれる様に布団も準備している。僕は今日の飲み会の真の目的を知っているだけに二組の布団がなんだかイヤらしく見えた。
初めて会う一郎は、写メで見たイメージよりデカかった。ずっとラグビーをしていたという体育会系の彼は一番年下という事もあり、皆に気を使いまくっている。最初の方こそ、怜奈がどんな行動にでるのだろう?と緊張して飲んでいた僕だったが、あまりにも普通の飲み会だった為、正直、拍子抜けしていた。
村上一郎は怜奈からの命令があったのか、積極的に瑠璃子に話しかけていたが、大きな体からくる迫力と体育会系特有の大きな声に、瑠璃子は(好みは知的な雰囲気のヤセっぽち)見事なくらい引いていた。隣に座ったのも逆効果になっている様です。
さらに時間が経ってくると、追い討ちをかける様に、酔ってきた一郎が、瑠璃子の苦手な
下ネタを言い出し始めた。明らかに妻の瑠璃子は引いているが、一郎はそれに気付かないのか?一人で大笑いしながら、身振り手振りで下ネタを連発している。
古川怜奈の方に視線を移すと、一郎に対してイラついているのが手に取る様にわかった。怜奈は僕の視線に気づくと、少し悔しそうな顔をしながらも、諦めた様なため息をつく。その内、(いかりや長介風に)下唇を突き出しながらダミ声で〚だめだこりゃ!〛と言い出すに違いない。
飲み始めて3時間ほどが経った。僕がこの飲み会の目的をすっかり忘れて、酒と話に夢中
になっていた頃、一郎が急に、〔皆さん結構飲んでる様なので、コレ飲んでください。〕と手の平の上に小さな紙の包みを4つ置いて、瑠璃子から順番に1個ずつ取らせる。
包みの中身は茶色っぽい粉末で、一郎が言うには、〔二日酔いが軽くなる薬です。〕との事だった。僕はちょっと不安に思ったが、一郎の渡し方だと中身は全部同じ物の様だし、一郎が最初に飲んだので、変なモノでは無いだろうと判断し、僕はその粉を口に含み酒で流し込む。それを見て瑠璃子と怜奈も飲んたが、しばらくして、また一郎が急に〔皆さん、体が火照ってきていませんか?じつはさっきのアレ強力な媚薬なんスよ。あははは。〕と言い出しました。
僕は驚きのあまり、飲みかけた酒を口から吹くというベタなリアクションを取ってしまう。その酒が一郎の服にかかったので、瑠璃子がタオルを取りに席をたったスキに、僕と怜奈は小声で一郎に詰め寄った。
「一郎君!薬物はマズイよ!薬物はっ!」
〚そうよ!私も飲んじゃったじゃないの!〛
〔あっ、スイマセン。媚薬ってのはウソです。あれはどこにでも売っている体を温める効果のある漢方薬なんです。でも、媚薬って言うと暗示にかかってしまう娘とか結構いて、学生のときコンパとかでもお持ち帰りの成功率高かったんで、つい・・スイマセン。〕
そこまで聞いた所で、妻の瑠璃子が戻ってきたので、僕と怜奈は元の席に戻ったのだが、瑠璃子が一郎の服を拭いてあげている間、怜奈を盗み見ると、なにか悪い事を思いついた様な表情で笑っていた。(うーん、実に分かり易い・・・・)
2016/01/21
古川怜奈(こがわ・れな)の作戦というのは拍子抜けするくらいに大した事はなかった。
村上一郎を怜奈の彼氏として妻の河村瑠璃子(るりこ)に紹介し、4人で一緒に酒を飲んでその間に一郎が言葉巧みに説得する。僕(河村澄夫)と怜奈は状況を見てフォローに入るという作戦らしい・・・これって作戦と呼べるのか?僕は心の中でこの作戦名を、“出たとこ勝負作戦”と名づけた。
翌週の土曜日の夕方に作戦は決行される。作戦通り、怜奈が新しく出来た彼氏である一郎の紹介を兼ねて僕達のマンションに遊びに来たという設定だ。4人でリビングの小さなテーブルを囲んで飲み会が始まった。
僕と一郎が向かい合って座り、僕の右に瑠璃子、左に怜奈が座る。これは怜奈から、一郎を瑠璃子の隣に座らす様にとの指示があった為だ。リビングの隣にある和室には、怜奈と一郎が泊まれる様に布団も準備している。僕は今日の飲み会の真の目的を知っているだけに二組の布団がなんだかイヤらしく見えた。
初めて会う一郎は、写メで見たイメージよりデカかった。ずっとラグビーをしていたという体育会系の彼は一番年下という事もあり、皆に気を使いまくっている。最初の方こそ、怜奈がどんな行動にでるのだろう?と緊張して飲んでいた僕だったが、あまりにも普通の飲み会だった為、正直、拍子抜けしていた。
村上一郎は怜奈からの命令があったのか、積極的に瑠璃子に話しかけていたが、大きな体からくる迫力と体育会系特有の大きな声に、瑠璃子は(好みは知的な雰囲気のヤセっぽち)見事なくらい引いていた。隣に座ったのも逆効果になっている様です。
さらに時間が経ってくると、追い討ちをかける様に、酔ってきた一郎が、瑠璃子の苦手な
下ネタを言い出し始めた。明らかに妻の瑠璃子は引いているが、一郎はそれに気付かないのか?一人で大笑いしながら、身振り手振りで下ネタを連発している。
古川怜奈の方に視線を移すと、一郎に対してイラついているのが手に取る様にわかった。怜奈は僕の視線に気づくと、少し悔しそうな顔をしながらも、諦めた様なため息をつく。その内、(いかりや長介風に)下唇を突き出しながらダミ声で〚だめだこりゃ!〛と言い出すに違いない。
飲み始めて3時間ほどが経った。僕がこの飲み会の目的をすっかり忘れて、酒と話に夢中
になっていた頃、一郎が急に、〔皆さん結構飲んでる様なので、コレ飲んでください。〕と手の平の上に小さな紙の包みを4つ置いて、瑠璃子から順番に1個ずつ取らせる。
包みの中身は茶色っぽい粉末で、一郎が言うには、〔二日酔いが軽くなる薬です。〕との事だった。僕はちょっと不安に思ったが、一郎の渡し方だと中身は全部同じ物の様だし、一郎が最初に飲んだので、変なモノでは無いだろうと判断し、僕はその粉を口に含み酒で流し込む。それを見て瑠璃子と怜奈も飲んたが、しばらくして、また一郎が急に〔皆さん、体が火照ってきていませんか?じつはさっきのアレ強力な媚薬なんスよ。あははは。〕と言い出しました。
僕は驚きのあまり、飲みかけた酒を口から吹くというベタなリアクションを取ってしまう。その酒が一郎の服にかかったので、瑠璃子がタオルを取りに席をたったスキに、僕と怜奈は小声で一郎に詰め寄った。
「一郎君!薬物はマズイよ!薬物はっ!」
〚そうよ!私も飲んじゃったじゃないの!〛
〔あっ、スイマセン。媚薬ってのはウソです。あれはどこにでも売っている体を温める効果のある漢方薬なんです。でも、媚薬って言うと暗示にかかってしまう娘とか結構いて、学生のときコンパとかでもお持ち帰りの成功率高かったんで、つい・・スイマセン。〕
そこまで聞いた所で、妻の瑠璃子が戻ってきたので、僕と怜奈は元の席に戻ったのだが、瑠璃子が一郎の服を拭いてあげている間、怜奈を盗み見ると、なにか悪い事を思いついた様な表情で笑っていた。(うーん、実に分かり易い・・・・)
2016/01/21
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