中22〚純情〛第4章① 17
中22〚純情〛第4章① 17
『・・・・佐々木さんと・・・・ごめん、ごめんなさい・・。』
でも、泣いている感じではありません。妻(村田由香:ゆか:26歳)は言葉で謝ってはい
ますが、許しを請うというより、事実を認めて欲しい・・そんな感じにしか聞こえません・・。
僕(村田卓司:たくじ:29歳)は後頭部をハンマーで殴られたような衝撃・・・(というのはまさにこういうことを言うのだろうな・・・)、さらに全身の血の気がサーと音を立てて引いていくのを感じました。佐々木理絵(りえ:28歳)さんの昨晩の口ぶりからある程度の覚悟、予想をしていたとはいえ、まさか・・・。
《いやいや、まさか由香に限って佐々木高志(たかし:33歳)さんとセックスまでするとは思えない・・いくら何でも・・・そう、キスした程度じゃないのか?そうだ、キスした位でも妻なら真面目に謝ってきそうだな・・・》そう思うと急に冷静な自分が現れました・・・
《妻の由香と佐々木さんとの間に“何か”あったことは間違いない・・・まさかセックスではないだろう・・・たぶんキスとか・・・それか、寝たときに触った、触られたとか、その程度・・・だけど、自分は理絵さんとセックスした・・・しかもナマで・・・ここで私が怒ったら後で倍返しどころか収拾がつかなくなる・・・。》僕は迷いに迷う。
《だが先に謝るのもいかがなものか・・・由香がキスすらしていなかったらどうする?・・・・ここは先に妻のしたことを聞いたうえで、後で自分のことを話して謝ろうか・・・。》
今思えば、卑怯な考えでした・・・。
「分かった・・・それ以上言わなくていいよ・・・ICレコーダ、聞かせてくれる?」
僕はあえて感情を表に出さずに訊きます・・・しかし妻には怒っているように聞こえたでしょう・・・。
『え?・・・うん・・聞いても怒ら、ない・・?・・・・』
「怒らないよ・・・初めから、そういう約束だったよね・・聞きたいだけ・・録音しているよね?・・・」
《・・・いつこの形勢が逆転するかもしれない・・・妻を責め過ぎて、逆に後で倍以上、自分が責められることのないよう、伏線を張りつつ慎重に・・》と僕は後々のことまで考えていました。
そのまま僕は寝室の鏡台のイスに座り、ICレコーダを聞き始めます・・それで妻はベッドに腰掛けどうやら一緒に聞くようです・・・向かい合ってはいませんが、由香の様子は視界の中でうかがい知ることができる距離です・・・。
ICレコーダの音は思ったよりも多くの音を拾っていました。鞄の中に入れ持ち歩いている時は雑音がひどく、ほとんど聞き取れませんが、どこかに置いた状態のときはクリアに音を拾っていました。佐々木さんの声は、どこかくぐもって(ゴモゴモといった感じ)聞こえ、時々聞き取りにくい箇所はありましたが・・・。
録音は食事の後片付け辺りから始まっていました(妻が録音するのを忘れ、この時に気が付いたようです)テレビの近くにICレコーダがあるのか、テレビの音が大きく入ってきますが、どうやら後片付けをしているのは佐々木高志さんのようです・・・(ここで早送りをします。)
次に普通に戻した。佐々木さんが妻にお風呂を勧めているようですが・・遠くで話しているので、何を言っているのかはよく聞こえません・・・お風呂のドアを開ける音が聞こえてきます。(おそらく、妻が入ったのでしょう・・・)もう一度お風呂のドアを開ける音がしました・・・(妻がお風呂から上がったようです・・・)それ以外はテレビの音しか聞こえません・・・。
僕は黙ってICレコーダを聞いていましたが、同じ状況が続いたのでまた早送りをしようかと思ったその時・・・由香が耐えられなくなった様子で話し始めます・・。
『ごめんなさい。実はおふろに一緒に入ったの・・・私が入っているところに、佐々木さんが入ってきて・・・。』
この時、妻はシャンプー中でいきなり風呂に入ってきた佐々木さんに驚き拒んだものの、〔いつもウチでは一緒に入っているからいいでしょ。〕と強引に押し切られたとのことです・・・2回目のドアが開く音は佐々木さんだったのです・・・。
《そういうことか・・・由香は裸を見られたのだな・・でも、それだけだったのか?》
2016/02/02
『・・・・佐々木さんと・・・・ごめん、ごめんなさい・・。』
でも、泣いている感じではありません。妻(村田由香:ゆか:26歳)は言葉で謝ってはい
ますが、許しを請うというより、事実を認めて欲しい・・そんな感じにしか聞こえません・・。
僕(村田卓司:たくじ:29歳)は後頭部をハンマーで殴られたような衝撃・・・(というのはまさにこういうことを言うのだろうな・・・)、さらに全身の血の気がサーと音を立てて引いていくのを感じました。佐々木理絵(りえ:28歳)さんの昨晩の口ぶりからある程度の覚悟、予想をしていたとはいえ、まさか・・・。
《いやいや、まさか由香に限って佐々木高志(たかし:33歳)さんとセックスまでするとは思えない・・いくら何でも・・・そう、キスした程度じゃないのか?そうだ、キスした位でも妻なら真面目に謝ってきそうだな・・・》そう思うと急に冷静な自分が現れました・・・
《妻の由香と佐々木さんとの間に“何か”あったことは間違いない・・・まさかセックスではないだろう・・・たぶんキスとか・・・それか、寝たときに触った、触られたとか、その程度・・・だけど、自分は理絵さんとセックスした・・・しかもナマで・・・ここで私が怒ったら後で倍返しどころか収拾がつかなくなる・・・。》僕は迷いに迷う。
《だが先に謝るのもいかがなものか・・・由香がキスすらしていなかったらどうする?・・・・ここは先に妻のしたことを聞いたうえで、後で自分のことを話して謝ろうか・・・。》
今思えば、卑怯な考えでした・・・。
「分かった・・・それ以上言わなくていいよ・・・ICレコーダ、聞かせてくれる?」
僕はあえて感情を表に出さずに訊きます・・・しかし妻には怒っているように聞こえたでしょう・・・。
『え?・・・うん・・聞いても怒ら、ない・・?・・・・』
「怒らないよ・・・初めから、そういう約束だったよね・・聞きたいだけ・・録音しているよね?・・・」
《・・・いつこの形勢が逆転するかもしれない・・・妻を責め過ぎて、逆に後で倍以上、自分が責められることのないよう、伏線を張りつつ慎重に・・》と僕は後々のことまで考えていました。
そのまま僕は寝室の鏡台のイスに座り、ICレコーダを聞き始めます・・それで妻はベッドに腰掛けどうやら一緒に聞くようです・・・向かい合ってはいませんが、由香の様子は視界の中でうかがい知ることができる距離です・・・。
ICレコーダの音は思ったよりも多くの音を拾っていました。鞄の中に入れ持ち歩いている時は雑音がひどく、ほとんど聞き取れませんが、どこかに置いた状態のときはクリアに音を拾っていました。佐々木さんの声は、どこかくぐもって(ゴモゴモといった感じ)聞こえ、時々聞き取りにくい箇所はありましたが・・・。
録音は食事の後片付け辺りから始まっていました(妻が録音するのを忘れ、この時に気が付いたようです)テレビの近くにICレコーダがあるのか、テレビの音が大きく入ってきますが、どうやら後片付けをしているのは佐々木高志さんのようです・・・(ここで早送りをします。)
次に普通に戻した。佐々木さんが妻にお風呂を勧めているようですが・・遠くで話しているので、何を言っているのかはよく聞こえません・・・お風呂のドアを開ける音が聞こえてきます。(おそらく、妻が入ったのでしょう・・・)もう一度お風呂のドアを開ける音がしました・・・(妻がお風呂から上がったようです・・・)それ以外はテレビの音しか聞こえません・・・。
僕は黙ってICレコーダを聞いていましたが、同じ状況が続いたのでまた早送りをしようかと思ったその時・・・由香が耐えられなくなった様子で話し始めます・・。
『ごめんなさい。実はおふろに一緒に入ったの・・・私が入っているところに、佐々木さんが入ってきて・・・。』
この時、妻はシャンプー中でいきなり風呂に入ってきた佐々木さんに驚き拒んだものの、〔いつもウチでは一緒に入っているからいいでしょ。〕と強引に押し切られたとのことです・・・2回目のドアが開く音は佐々木さんだったのです・・・。
《そういうことか・・・由香は裸を見られたのだな・・でも、それだけだったのか?》
2016/02/02
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