中Ⅱ17[自己犠牲と長続き]第三章その2(12)
中Ⅱ17[自己犠牲と長続き]第三章その2(12)
第三章その1(11)
かって、体を重ねたことがある相手(黒沢雅之:くろさわ・まさゆき:45歳)と久しぶりに再会した喜び・・・妻(山下芳恵:やました・よしえ:45歳)の心がときめいていることは間違いないでしょうが、これまでの疎遠が故に、最初にどんなことを話そうか迷っている風に見えました。きっと何か、あの時の二人に戻れるきっかけになるような言葉を探しているのでしょう。
〔久しぶりです。こうやって、三人で話すのも・・・・。〕
『そうですね。黒沢さんも、お忙しいんでしょ?』
〔貧乏暇なしですから。たまには、あなたのような綺麗な女性の顏も見たくなりますよ。〕
『まっ! もっと若くてきれいな方が周りにいっぱいいらっしゃるんでしょう? でも、そんな言葉聞くの、何年ぶりかしら?』
〔何年ぶりってことは、ないでしょ? 時々、聞いてるんでしょう? 。〕
『うふっ、勝手に、そんなこと想像するのっておもしろいでしょ? しばらく、楽しめますものね。』
どきっとするようなことを言われて、顏に動揺の色が走るかと思ったら、さらっと受け流す妻・・・そのような受け答えができるということは、一度ならず関係を結んだ相手なればこその安堵があるのでしょう。
〔この前お会いしたのは、確か・・・梅の花が咲いている頃でしたから、あれからほぼ一年半ぶりですか? 長い間お会いしていないと、何だか体つきまで変わってきたような気がしますが・・・。〕
『そう思われても仕方ありませんね。いつまでも若くはないんですから・・。』
〔でも、色っぽさだけは変わっていませんよ。〕
『相変わらずお優しいんですね。まだ、そんな風に見てくださるなんて・・・・黒沢さんも、その後いろいろおありだったんでしょう
逢瀬も三度目ともなれば、次第に会話が滑らかになっていきました。互いの気心が通い合っているのを確かめ終えた二人の会話が、しっとりしたものに変わっていきます。
〔ご主人(山下一雄:やました・かずお:49歳)からお聞ききになっていると思いますが、今夜は三人一緒ってことで、だいじょうぶですか?〕
『はい、どんな風になるかは知れませんが、心に決めています。すべて、黒沢さんにお任せしようって思っています。』
〔そんなこと、おっしゃってはだめでしょう。ご主人の前なのに・・・。〕
『そうですが、この前、念を押されましたの。お部屋に入ったら、黒沢さんがわたしのご主人なんだって・・・だから、きっと、後悔なんてしていないと思いますわ。』
二人の話を聞いていても、私(山下一雄)が口を挟んだり、相槌を打ったりするような隙間がなくて、何だか、傍らに“おいてけぼり”にされている気分です。黒沢さんの前だからでしょうか、何だか妻は、遣う言葉の口調まで改まったように思え、耳に入ってくる言葉が、白々しく聞こえました。 第三章その3(13)へ
2017/11/06
第三章その1(11)
かって、体を重ねたことがある相手(黒沢雅之:くろさわ・まさゆき:45歳)と久しぶりに再会した喜び・・・妻(山下芳恵:やました・よしえ:45歳)の心がときめいていることは間違いないでしょうが、これまでの疎遠が故に、最初にどんなことを話そうか迷っている風に見えました。きっと何か、あの時の二人に戻れるきっかけになるような言葉を探しているのでしょう。
〔久しぶりです。こうやって、三人で話すのも・・・・。〕
『そうですね。黒沢さんも、お忙しいんでしょ?』
〔貧乏暇なしですから。たまには、あなたのような綺麗な女性の顏も見たくなりますよ。〕
『まっ! もっと若くてきれいな方が周りにいっぱいいらっしゃるんでしょう? でも、そんな言葉聞くの、何年ぶりかしら?』
〔何年ぶりってことは、ないでしょ? 時々、聞いてるんでしょう? 。〕
『うふっ、勝手に、そんなこと想像するのっておもしろいでしょ? しばらく、楽しめますものね。』
どきっとするようなことを言われて、顏に動揺の色が走るかと思ったら、さらっと受け流す妻・・・そのような受け答えができるということは、一度ならず関係を結んだ相手なればこその安堵があるのでしょう。
〔この前お会いしたのは、確か・・・梅の花が咲いている頃でしたから、あれからほぼ一年半ぶりですか? 長い間お会いしていないと、何だか体つきまで変わってきたような気がしますが・・・。〕
『そう思われても仕方ありませんね。いつまでも若くはないんですから・・。』
〔でも、色っぽさだけは変わっていませんよ。〕
『相変わらずお優しいんですね。まだ、そんな風に見てくださるなんて・・・・黒沢さんも、その後いろいろおありだったんでしょう
逢瀬も三度目ともなれば、次第に会話が滑らかになっていきました。互いの気心が通い合っているのを確かめ終えた二人の会話が、しっとりしたものに変わっていきます。
〔ご主人(山下一雄:やました・かずお:49歳)からお聞ききになっていると思いますが、今夜は三人一緒ってことで、だいじょうぶですか?〕
『はい、どんな風になるかは知れませんが、心に決めています。すべて、黒沢さんにお任せしようって思っています。』
〔そんなこと、おっしゃってはだめでしょう。ご主人の前なのに・・・。〕
『そうですが、この前、念を押されましたの。お部屋に入ったら、黒沢さんがわたしのご主人なんだって・・・だから、きっと、後悔なんてしていないと思いますわ。』
二人の話を聞いていても、私(山下一雄)が口を挟んだり、相槌を打ったりするような隙間がなくて、何だか、傍らに“おいてけぼり”にされている気分です。黒沢さんの前だからでしょうか、何だか妻は、遣う言葉の口調まで改まったように思え、耳に入ってくる言葉が、白々しく聞こえました。 第三章その3(13)へ
2017/11/06
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