中Ⅱ8〖溺れる〗第8話
中Ⅱ8〖溺れる〗第8話
第7話
自分のベッドに戻った妻(木内翔子:きうち・しょうこ:46歳)は眠った私(木内啓吾:きうち・けいご:48歳)の横で冴え冴えとしていました。〚勝手な人ね・・・私を置いてけぼりにして・・・もう少しだったのに・・。〛考えずとも、妻は私と郷原俊夫(ごうはら・としお;52歳)の愛撫を比べてしまいます。
郷原には乳首を愛撫されただけで達してしまった。乳首がこんなに感じるとは思ってもいなかったのです。夫のそれは雀が啄ばむ程度にしか感じません。郷原の接吻はストレートグラス一杯にも余る量の唾液を流し込まれ、全身に疼きを走らせたのでした。舌と舌を絡み合わせ、痺れるほど思い切り吸われ、長い舌を差し込まれた時は脳を焼かれる思いです。郷原の唾液、長い舌は、その経験が無い妻にとっては、ペニスに匹敵、いやそれ以上のものだったのでした。夫とのそれはただ唇と唇を、舌と舌を合わせるだけです。勿論、唾液を飲んだ事もありませんでした。 愛する人との行為はそれでも快感をもたらします。しかし、郷原の行為は次元が違いました。妻のメスの本能を掘り起こすのでした。
夫に対し酷い事をしてしまった、すまないと言う思いはあります。しかし、まだ抱かれた訳ではありません。そんな思いより、郷原に植えつけられた快感の残滓(ざんし)の方がはるかに大きいのです。たった一度、口を吸われ、乳首を愛撫されただけでこんなにも変わってしまった。もし郷原に抱かれたら、またどう変わっていくのでしょうか?〚郷原に抱かれてみたい。〛郷原のまだ見ぬペニスに思いを馳せてしまうのです。
明くる朝、目覚めて暫くすると昨夜の事が蘇ってきました。あれが現実の事だとは信じられません。初めての食事で唇と乳房への愛撫を許してしまった、それも会社の上司にです。自分がそんな事をする女だったとはとても信じられません。今考えれば、代行の件にしても、何故断らずに郷原の車に同乗してしまったのか、普段の自分からは想像も出来ない事でした。夫に抱かれた後、郷原と比較してしまった事、郷原を思い描いてしまった事、そんな自分を恥じ入ります。
媚薬を使われたとは知る由もありません。何も知らない人が媚薬を使われても大した効果はない様でした。その状況と“媚薬を飲んだ”と言う本人の意識が効果を高めるのです。妻の場合は“媚薬を飲んだ”意識はなくとも、最高級の料亭の個室での食事、郷原による体へのタッチ、その後のリムジンでの帰宅、それも頼れる上司と二人きりでした。どんな女でも気分が高揚し何がしかの期待感も生まれるでしょう。郷原の接吻がトリガーになり後は頂まで駆け上るだけだったのです。
媚薬の体への効果は3時間程度のものでした。精神の高ぶりはもう少し続くようです。しかし、精神への影響も無くなった今、妻は激しく後悔し、夫の顔を見る事もできません。その日の朝食が終わった後、二人でコーヒーを飲んでいます。妻が淹れたコーヒーはいつもの休みの朝と同じ様に、変わらぬ朝の寛ぎを与えてくれます。 第9話に続く
2017/12/03
第7話
自分のベッドに戻った妻(木内翔子:きうち・しょうこ:46歳)は眠った私(木内啓吾:きうち・けいご:48歳)の横で冴え冴えとしていました。〚勝手な人ね・・・私を置いてけぼりにして・・・もう少しだったのに・・。〛考えずとも、妻は私と郷原俊夫(ごうはら・としお;52歳)の愛撫を比べてしまいます。
郷原には乳首を愛撫されただけで達してしまった。乳首がこんなに感じるとは思ってもいなかったのです。夫のそれは雀が啄ばむ程度にしか感じません。郷原の接吻はストレートグラス一杯にも余る量の唾液を流し込まれ、全身に疼きを走らせたのでした。舌と舌を絡み合わせ、痺れるほど思い切り吸われ、長い舌を差し込まれた時は脳を焼かれる思いです。郷原の唾液、長い舌は、その経験が無い妻にとっては、ペニスに匹敵、いやそれ以上のものだったのでした。夫とのそれはただ唇と唇を、舌と舌を合わせるだけです。勿論、唾液を飲んだ事もありませんでした。 愛する人との行為はそれでも快感をもたらします。しかし、郷原の行為は次元が違いました。妻のメスの本能を掘り起こすのでした。
夫に対し酷い事をしてしまった、すまないと言う思いはあります。しかし、まだ抱かれた訳ではありません。そんな思いより、郷原に植えつけられた快感の残滓(ざんし)の方がはるかに大きいのです。たった一度、口を吸われ、乳首を愛撫されただけでこんなにも変わってしまった。もし郷原に抱かれたら、またどう変わっていくのでしょうか?〚郷原に抱かれてみたい。〛郷原のまだ見ぬペニスに思いを馳せてしまうのです。
明くる朝、目覚めて暫くすると昨夜の事が蘇ってきました。あれが現実の事だとは信じられません。初めての食事で唇と乳房への愛撫を許してしまった、それも会社の上司にです。自分がそんな事をする女だったとはとても信じられません。今考えれば、代行の件にしても、何故断らずに郷原の車に同乗してしまったのか、普段の自分からは想像も出来ない事でした。夫に抱かれた後、郷原と比較してしまった事、郷原を思い描いてしまった事、そんな自分を恥じ入ります。
媚薬を使われたとは知る由もありません。何も知らない人が媚薬を使われても大した効果はない様でした。その状況と“媚薬を飲んだ”と言う本人の意識が効果を高めるのです。妻の場合は“媚薬を飲んだ”意識はなくとも、最高級の料亭の個室での食事、郷原による体へのタッチ、その後のリムジンでの帰宅、それも頼れる上司と二人きりでした。どんな女でも気分が高揚し何がしかの期待感も生まれるでしょう。郷原の接吻がトリガーになり後は頂まで駆け上るだけだったのです。
媚薬の体への効果は3時間程度のものでした。精神の高ぶりはもう少し続くようです。しかし、精神への影響も無くなった今、妻は激しく後悔し、夫の顔を見る事もできません。その日の朝食が終わった後、二人でコーヒーを飲んでいます。妻が淹れたコーヒーはいつもの休みの朝と同じ様に、変わらぬ朝の寛ぎを与えてくれます。 第9話に続く
2017/12/03
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