名P〖彼女の恋(修正版)〗その36
その35 20190530
『久志くん大丈夫!?』
僕(周防久志:すおう・ひさし:25歳)を抱き起こして座らせた今野奈々(こんの・なな:22歳)は一度キッチンへ戻って、濡れたタオルを二枚持ってきました。そして、テキパキと一枚で僕の顔や胸などを、もう一枚で、床などを片づけて行きます。
すると、僕はさっきまでの怒りはどっかへ行ってしまう。
《奈々も酔っているはずなのにすごいなぁ・・・なんだか母親みたいだなぁ。》
などと呑気なことを考えていました。その後、僕を着替えさせてくれて、タオルを片づけた奈々はコップに水を持ってきてくれます。
『はい、綺麗になったよ♪ 気分はどう? 大丈夫?』
って聞きながら、換気のために窓を開けてくれました。
「・・・うん。・・・ありがと・・・。」
嫌な顔を一度もせずに僕の世話をしてくれた奈々に、改めて心を奪われます。
しかし、落ち着いて奈々を観るとサスペンダーは肩から落ち、パンツのチャックも途中まで降りていて、さっきまでの会話も思い出され、僕はムカムカして来ました。奈々は僕の視線に気づいたのか、部屋を片付けるフリをしながら、ジッパーを上げ、サスペンダーも肩に掛けてから僕の隣に座り、僕の背中に手を添えながらカラダを寄せて甘えて来ます。
《・・・でもそういえば、こんな感じ・・最近よくあるな・・・。》
奈々が甘えて来るのは・・逢えなかった日や連絡が取れなかった時の後でした。僕は居間にいる今成和巳(いまなり・かずみ:25歳)に視線を向け、厭な想像に行きそうな僕の意識を必死に抑えます・・・。今成がなぜか心配そうに僕を見ています。大塚雅一(おおつか・まさかず:25歳)は僕たちのドタバタをよそに気持ちよさそうに爆睡していました。
[大丈夫かよ・・・。あんなに飲むから・・・。寝ていた方がいいんじゃねぇ?]
今成が寝室まで来て言います。
「・・・・・・・・・。」
[周防、もう寝ろよ。顔色が悪いぞ・・・。]
「今成・・・お前も寝ろよ。もう遅いから今日はお開きにしよう。奈々、おいで。」
『・・・うん。』
僕は奈々を引っ張って布団にもぐり込みました。今成は何か言いたげでしたが、居間の方へ戻ります。テレビの音と大塚のいびきが聴こえまていました。そして奈々が僕に抱きつきます。
『久志くん。本当に大丈夫?』
「・・・うん。奈々が居るから気分良くなってきた。」
『クスクス。変なのぉ。』
奈々は、満面の笑顔で僕に顔を近づけました。僕の胸がキュッとなる良い笑顔です。しかし、僕は奈々の笑顔を見て、いたずら心が沸いてきました。 その37につづく
20190613
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