中6〖不倫の代償〗第1章2話
中6〖不倫の代償〗第1章2話
〚千遥(ちはる)さんと待ち合わせですか?〛突然の会話に、答えを用意していない私は多少狼狽していたことでしょうが仕事の関係上帳尻を合わせて会話するのは容易でした。
「たまたま近くに居て、仕事が早く終わったので女房を驚かしてみようかと思って。」
〚それで待っていたんですか?〛
「そんなでも無いですよ、今来たばかりです。」
〚そうなんだ、でも連絡すれば良かったのに、千遥さんもう帰られましたよ。〛
「そうなんですか。」
〚今、わたしと別れたばかりですよ。会社の前で。〛
新婚当時、妻の千遥がまだ正社員の頃は何時も夕方6時ごろに会社に迎えに行きデートをした記憶があった私は、固定観念のみで行動を起こしていた。
〚あの頃とは違うんですよ。千遥さんは派遣なんだから残業はあまりしないのよ。〛
「そうなんだ、昔の癖が抜けなくて。」
〚お熱いことで、ご馳走様。今追いかければ、駅で追いつくかも?〛
「良いんです。別に急に思いついたことなんで。」
多少の落胆を感じながらも、私は好期に恵まれたような気になって会話を続けた。
「三嶋さんはこれからどうするんですか?」
〚特に用事もないし、帰るところですけど・・。〛
「この前一緒に飲んだの何時(いつ)でしたっけ?」
〚大分前よね、2月(ふたつき)位前かな?武井君の結婚式の2次会以来だから。〛
私たち夫婦は、お互いの会社の同僚や部下の結婚式の二次会には、夫婦で招待を受けるこ
とが多く、その時も夫婦で参加し、三次会を私たち夫婦と三嶋さんや他に意気投合した数名で明け方まで飲んだ記憶が蘇(よみがえ)る。
「あの時は、凄かったね?」
〚千遥さん凄く酔っていたみたいだったし、私には記憶がないと言っていましたよ。〛
「凄かったね、何か俺に不満でもあるのかな?」
頃あいを見た私は、本題の妻の素行を探るべく、三嶋さんにこう切り出した。
「もし三嶋さんさえ良かったら、ちょっとその辺で飲まない?」
〚二人だけで?千遥さんに怒られないかな?〛
「大丈夫だよ。この間の女房のお詫びもかねて。」
〚それじゃ、少しだけね。〛
とはいえ私は妻帯者であり、あまり人目につく所で飲むのは、お互い仕事の関係から顔見知りの多い事もあり、暗黙の了解で、人目をはばかる様に落ち着ける場所を考えていた。
「三嶋さん、どこか落ち着ける場所を知らない?」
〔あそこはどうかな?千遥さんに前に連れてきて貰った所なんだけど。〕
「うん。そこに行きましょう。」
三嶋さんとともに歩を進めた。千遥の会社から10分程の所にその店があった。約2メートル幅の路地の両脇に小さな店が並ぶ飲み屋街の奥まった所にある店の名前は“蜩(ひぐらし)”、入り口のドアの脇には一間程の一枚板のガラスがはめ込んであり、少し色は付いているものの、中の様子が見えるようになっている。
店の中は、喫茶店ともスナックとも言いがたい雰囲気で、マスターの趣味がいたる所に散りばめられた店という感じで、私にはその趣味の一貫性の無さに理解の域を超えるものが
あったが、席に着くと変に落ち着くところが不思議だった。とりあえずビールであまり意味の無い乾杯から始まり、結婚式の二次会の話で盛り上がり、一時間程して酔いも回った頃です。私はおもむろに、女房の素行調査に入った。
「三嶋さん、タバコを吸ってもいい?」
〔かまわないですよ、どうぞ。わたしも吸っていいかな?〛
「どうぞ!どうぞ!遠慮しないで。そういえば、女房はガラムを吸っているよね?」
〚うん。でもね、ガラムは正直言ってわたしは好きじゃないのよね。〛
あっけなく妻の喫煙は裏づけが取れた。にわか探偵にしては上出来であろう結果に、一瞬満足をしていた。しかし、この後続く彼女の言葉に私の心は更なる妻に対する疑惑が深まっていった。
2015/02/22
〚千遥(ちはる)さんと待ち合わせですか?〛突然の会話に、答えを用意していない私は多少狼狽していたことでしょうが仕事の関係上帳尻を合わせて会話するのは容易でした。
「たまたま近くに居て、仕事が早く終わったので女房を驚かしてみようかと思って。」
〚それで待っていたんですか?〛
「そんなでも無いですよ、今来たばかりです。」
〚そうなんだ、でも連絡すれば良かったのに、千遥さんもう帰られましたよ。〛
「そうなんですか。」
〚今、わたしと別れたばかりですよ。会社の前で。〛
新婚当時、妻の千遥がまだ正社員の頃は何時も夕方6時ごろに会社に迎えに行きデートをした記憶があった私は、固定観念のみで行動を起こしていた。
〚あの頃とは違うんですよ。千遥さんは派遣なんだから残業はあまりしないのよ。〛
「そうなんだ、昔の癖が抜けなくて。」
〚お熱いことで、ご馳走様。今追いかければ、駅で追いつくかも?〛
「良いんです。別に急に思いついたことなんで。」
多少の落胆を感じながらも、私は好期に恵まれたような気になって会話を続けた。
「三嶋さんはこれからどうするんですか?」
〚特に用事もないし、帰るところですけど・・。〛
「この前一緒に飲んだの何時(いつ)でしたっけ?」
〚大分前よね、2月(ふたつき)位前かな?武井君の結婚式の2次会以来だから。〛
私たち夫婦は、お互いの会社の同僚や部下の結婚式の二次会には、夫婦で招待を受けるこ
とが多く、その時も夫婦で参加し、三次会を私たち夫婦と三嶋さんや他に意気投合した数名で明け方まで飲んだ記憶が蘇(よみがえ)る。
「あの時は、凄かったね?」
〚千遥さん凄く酔っていたみたいだったし、私には記憶がないと言っていましたよ。〛
「凄かったね、何か俺に不満でもあるのかな?」
頃あいを見た私は、本題の妻の素行を探るべく、三嶋さんにこう切り出した。
「もし三嶋さんさえ良かったら、ちょっとその辺で飲まない?」
〚二人だけで?千遥さんに怒られないかな?〛
「大丈夫だよ。この間の女房のお詫びもかねて。」
〚それじゃ、少しだけね。〛
とはいえ私は妻帯者であり、あまり人目につく所で飲むのは、お互い仕事の関係から顔見知りの多い事もあり、暗黙の了解で、人目をはばかる様に落ち着ける場所を考えていた。
「三嶋さん、どこか落ち着ける場所を知らない?」
〔あそこはどうかな?千遥さんに前に連れてきて貰った所なんだけど。〕
「うん。そこに行きましょう。」
三嶋さんとともに歩を進めた。千遥の会社から10分程の所にその店があった。約2メートル幅の路地の両脇に小さな店が並ぶ飲み屋街の奥まった所にある店の名前は“蜩(ひぐらし)”、入り口のドアの脇には一間程の一枚板のガラスがはめ込んであり、少し色は付いているものの、中の様子が見えるようになっている。
店の中は、喫茶店ともスナックとも言いがたい雰囲気で、マスターの趣味がいたる所に散りばめられた店という感じで、私にはその趣味の一貫性の無さに理解の域を超えるものが
あったが、席に着くと変に落ち着くところが不思議だった。とりあえずビールであまり意味の無い乾杯から始まり、結婚式の二次会の話で盛り上がり、一時間程して酔いも回った頃です。私はおもむろに、女房の素行調査に入った。
「三嶋さん、タバコを吸ってもいい?」
〔かまわないですよ、どうぞ。わたしも吸っていいかな?〛
「どうぞ!どうぞ!遠慮しないで。そういえば、女房はガラムを吸っているよね?」
〚うん。でもね、ガラムは正直言ってわたしは好きじゃないのよね。〛
あっけなく妻の喫煙は裏づけが取れた。にわか探偵にしては上出来であろう結果に、一瞬満足をしていた。しかし、この後続く彼女の言葉に私の心は更なる妻に対する疑惑が深まっていった。
2015/02/22
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このNTRB『寝取らせ文学』が何故 寝取らせ かと言えば 実は『俺君とAさんとBちゃん』が寝取らせの秀作だったからにほかなりません。しかし、1年前に発表させてもらったのは『壊れかけた二人』(「達也と美咲」より改訂)もちろんこれも寝取らせの秀作です。
本当は、第一作は〖興奮と嫉妬と不安の狭間で〗にしたかったのですが、(ここに掲載するのは、独自の判断ですが完結あるいは休止して復活がない。作品)原作者の方が人知れずに掲載を復活させたので、また1年待ったためです。
旧暦のお正月はMR.JEONGさんはのんびりされましたか?日本では中国の富裕層の方がブランド品などを大量購入する「爆買(ばくがい)」が話題です。
さて、1年ヤッテキマシタガ、MR.JEONGさんのコメントは凄く励ましになります。ありがとうございます。