中6〖不倫の代償〗第1章3話
中6〖不倫の代償〗第1章3話
「最近まで俺もガラム吸ってたけど。」
〚ごめんなさい。タバコは良いのだけど、それを吸っている在る人が嫌いって言ったほうが正解かな。〛
「誰なの?」
〚あなたも知っている人だから、いい難いな。〛
「なおさら話して別に喋らないから。」
〚國弘水産の勝谷専務さん。〛
「勝谷専務なら私も知ってる。」
國弘水産は、私たちの市では中堅の水産会社で、勝谷専務とは私も営業で何度か会社を訪問していて面識はあった。
「どうして嫌いなの?」
〚勝谷さんは自分好みの女性を見ると見境が無いのよね。私もしばらくしつこくされたけど、奥さんが復帰してからバトンタッチ。〛
「そうなんだ。そんなに凄いの?」
〚凄いの!そのとき私もあのタバコ勧められたんだけど、それで嫌いになったのかな、あのタバコ。〛
「女房も彼に薦められて、吸うようになったのかな?」
〚あなたじゃないとすれば、多分そうでしょうね。千遥(ちはる)さんはもともと吸わない人だったから。会社に復帰してからですもんね。この店も勝谷さんに教えてもらったらしいですよ。〛
そんな会話をしている内に、夜も10時を過ぎ、どちらからとも無く今日はおひらきとなり、割り勘と主張する彼女を制止し、会計を済ませた私は店の外で彼女の出て来るのを待つ間、一枚ガラスの向こう側に見えない何かを探しているようでした。
その後の私は、仕事も極力速めに切り上げるようにした。かといって家に早く帰るわけでもなく、探偵の続きをしていたのです。毎日はできませんが、できる限り妻の会社の出入り口を見張り、千遥の退社後の行動を掴もうと躍起でした。この頃になると、喫煙の有無は問題ではなくなっていました。妻の千遥がもしや浮気をしているのではないか、私の気持ちは一気に飛躍していました。だがそれが現実のものとなって自分に押し迫ってくるのに、さほどの時間はかかりませんでした。
長男が生まれた頃から、私は妻の千遥に対して新婚当時ほどの興味を示さなかったのは事実でしょう。それは妻のほうにも言えることだと思います。ですが、あのタバコの一件以来、私は千遥の言動の細部に渡って、観察集中するようになっていました。今まで何気なく聞き流していた、言葉が気になってしょうがありませんでした。
妻の行動が気になり始めて、1月程経った頃でしょうか。それは突然やってきました。
『あなた、今度の日曜休めない?』
「仕事か?」
『うん、私日帰りの添乗の仕事入ったから子供見ていてほしいの。無理かな?』
「何とかしてみる。」
私はとっさに承諾に近い返事をしていました。
私の仕事は、日曜がかきいれどきの仕事ですが、月に1度は、土日の休みがシフトで回ってきます。千遥の日帰り添乗という日は、後輩にシフトを交代してもらい、休みを取ることが出来た。そこで私はひとつの行動に出ました。帰宅した私は、妻に「予定の日休めない。」と伝えました。
「昨日の話だけど、日曜はやっぱり無理だ、ごめん。」
『そうわかったわ。お母さんに頼んでみる。』
「すまないな。ところでどこに行くんだ?」
『福島の方よ!』
「誰と、何時から?」
いつもはしない私の質問に、妻の千遥は少し怪訝そうに答えました。
『取引先の役員さん達と、社員旅行の下見。』
これ以上の質問を回避するかのように、千遥は続けた。
『9時頃に会社を出て、夕方までには戻れると思うよ。』
私もこれ以上の質問は、墓穴を掘りかねないと判断し、「気をつけて行って来い。」って言うと会話を打ち切った。
2015/03/02
「最近まで俺もガラム吸ってたけど。」
〚ごめんなさい。タバコは良いのだけど、それを吸っている在る人が嫌いって言ったほうが正解かな。〛
「誰なの?」
〚あなたも知っている人だから、いい難いな。〛
「なおさら話して別に喋らないから。」
〚國弘水産の勝谷専務さん。〛
「勝谷専務なら私も知ってる。」
國弘水産は、私たちの市では中堅の水産会社で、勝谷専務とは私も営業で何度か会社を訪問していて面識はあった。
「どうして嫌いなの?」
〚勝谷さんは自分好みの女性を見ると見境が無いのよね。私もしばらくしつこくされたけど、奥さんが復帰してからバトンタッチ。〛
「そうなんだ。そんなに凄いの?」
〚凄いの!そのとき私もあのタバコ勧められたんだけど、それで嫌いになったのかな、あのタバコ。〛
「女房も彼に薦められて、吸うようになったのかな?」
〚あなたじゃないとすれば、多分そうでしょうね。千遥(ちはる)さんはもともと吸わない人だったから。会社に復帰してからですもんね。この店も勝谷さんに教えてもらったらしいですよ。〛
そんな会話をしている内に、夜も10時を過ぎ、どちらからとも無く今日はおひらきとなり、割り勘と主張する彼女を制止し、会計を済ませた私は店の外で彼女の出て来るのを待つ間、一枚ガラスの向こう側に見えない何かを探しているようでした。
その後の私は、仕事も極力速めに切り上げるようにした。かといって家に早く帰るわけでもなく、探偵の続きをしていたのです。毎日はできませんが、できる限り妻の会社の出入り口を見張り、千遥の退社後の行動を掴もうと躍起でした。この頃になると、喫煙の有無は問題ではなくなっていました。妻の千遥がもしや浮気をしているのではないか、私の気持ちは一気に飛躍していました。だがそれが現実のものとなって自分に押し迫ってくるのに、さほどの時間はかかりませんでした。
長男が生まれた頃から、私は妻の千遥に対して新婚当時ほどの興味を示さなかったのは事実でしょう。それは妻のほうにも言えることだと思います。ですが、あのタバコの一件以来、私は千遥の言動の細部に渡って、観察集中するようになっていました。今まで何気なく聞き流していた、言葉が気になってしょうがありませんでした。
妻の行動が気になり始めて、1月程経った頃でしょうか。それは突然やってきました。
『あなた、今度の日曜休めない?』
「仕事か?」
『うん、私日帰りの添乗の仕事入ったから子供見ていてほしいの。無理かな?』
「何とかしてみる。」
私はとっさに承諾に近い返事をしていました。
私の仕事は、日曜がかきいれどきの仕事ですが、月に1度は、土日の休みがシフトで回ってきます。千遥の日帰り添乗という日は、後輩にシフトを交代してもらい、休みを取ることが出来た。そこで私はひとつの行動に出ました。帰宅した私は、妻に「予定の日休めない。」と伝えました。
「昨日の話だけど、日曜はやっぱり無理だ、ごめん。」
『そうわかったわ。お母さんに頼んでみる。』
「すまないな。ところでどこに行くんだ?」
『福島の方よ!』
「誰と、何時から?」
いつもはしない私の質問に、妻の千遥は少し怪訝そうに答えました。
『取引先の役員さん達と、社員旅行の下見。』
これ以上の質問を回避するかのように、千遥は続けた。
『9時頃に会社を出て、夕方までには戻れると思うよ。』
私もこれ以上の質問は、墓穴を掘りかねないと判断し、「気をつけて行って来い。」って言うと会話を打ち切った。
2015/03/02
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