短Ⅱ22《大好きっ!》2話
短Ⅱ22《大好きっ!》2話
峰岸忠介は俯きながら、〔でも・・・本気なんだ・・・。〕と呟いた。それで峰岸が言った事を要約すると・・・〔ウララとは結婚をしたい。本気で愛している。ウララもまた・・・ただウララは、娘である千春の存在を気にしている。〖ワタシ千春ちゃんの母親には、なれる気がしないの。だから、千春ちゃんがいるなら、結婚はしない。〗と。〕
「そんな女、やめちまえ!!」俺(篠田和臣40歳)は怒鳴った。
しかし、峰岸は、〔ウララと腹の子はどうなるよ?〕と聞いてくる。
「そんなもん・・勝手にするだろうよ!」
〔ウララはさ・・・俺がいないとダメなんだ。それに俺も・・・。〕
「じゃ何か?お前、千春ちゃんをどうするんだ??」
俺は呆れて尋ねた。
〔かわいそうだけど・・・養女にでも・・・。〕
それで俺が、峰岸にビールをぶちまける事になった。その後で俺と峰岸とは、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の言い争いになる。峰岸のだらしなさに、俺は情けなく、そしてかなり苛立っていた。
「分かったよ!お前は若い女と好き勝手したらいいさ。千春ちゃんは、俺が面倒見る!」
〔ホントなのか?〕峰岸の嬉しそうな顔を見て、俺は《しまった!・・・》と思った。
「いや・・・峰岸、ちょっと待て・・・今のはな・・・。」
〔口が滑ったのか?取り消すのか?武士に二言なしだろ。お前ならさ、安心して千春を任せられる。良かった・・・ありがとう篠田。頼んだからな。」
「いや・・・だから・・・あの・・・。」と、一気に形勢逆転。
〔お前から断られたらさ・・・千春はどうなるんだろ?どっかのエロじじいに囲われてさ・・・悲しい末路かな・・・。〕
《それって、誰のせいやねん!》
「だから・・・その・・・峰岸さ~話し合おう・・。」
〔頼む、篠田!この通りだ!千春もお前の事は慕っている。これで皆が丸く収まるんだ。だから・・・頼む!〕
必死に頭を下げ続ける峰岸に拍子抜けしたって言うか・・・俺は峰岸に、反論する気力がなくなった。
峰岸の行動は早かった。その週の土曜日の夕方に、千春ちゃんをウチに連れてきた。
〔ほらっ、千春。お前の新しいお父さんだ。ちゃんと挨拶して。〕
『こんばんは千春です。お久しぶりです。いつも父がお世話になっています。あの・・・よろしくお願いします。』
《それにしても、千春ちゃんが可哀想だ・・・。》
〔えっと、篠田。ちゃんとした父娘になるんだったら、養子縁組をした方がいいな。千春は14歳だから、俺が法廷代理人になってやるから。〕
〖誰でも成年に達していれば、たとえ独身であっても養子縁組することができます。また養子になるには、養子になる本人が15才以上なら、本人の意思があれば可能で、15才未満であっても、法定代理人が承諾すれば問題はない。〗
「あのな~峰岸・・・。」 勝手に話をすすめる友人に戸惑う。
〔えっと・・・ちゃんと家裁に行ってから・・・それから・・・家裁には、来週の・・・そうだな。水曜日はどうだ?〕
〖養子が未成年のときは、家庭裁判所が発行する、養子縁組許可審判書が必要。〗
「いや・・・だから・・・。」
〔篠田、水曜日だぞ!分かったか?じゃ、俺、色々と忙しくてな。結婚式の事もあるし・・・じゃ、千春をよろしくな。〕
そう言うと、さっさと帰ってしまう。取り残された、俺と千春ちゃん。
「ふーーーーっ」思わず俺は大きなため息をつく。
『あの・・・。』
千春ちゃんが口を開いた。
『わたし・・・迷惑ですよね・・・あの・・・帰りますから・・・。』
「帰るって?どこに?」
『いえ・・・あの・・・友達のウチとか・・・お婆ちゃんの家でも・・・。』
「友達のウチに、いつまでいるの?お婆ちゃん?入院しているだろ?」
峰岸の母親は認知症を発症し、今施設に入っている事は、峰岸から聞いて知っている。
『でも・・・篠田さん、迷惑でしょ?』
「いや・・・峰岸には腹を立てているけど、千春ちゃんには罪はないから・・・。」
『そうですよね・・・あの人には、怒って当然ですよね・・・。』
「ああ。」
俺は相槌を打った後、再度ため息をつく。そして千春ちゃんも同時に、大きな大きなため息をついた。それが何だかおかしくて、二人で笑い合った後にまた、ため息をつく。
2015/09/21
峰岸忠介は俯きながら、〔でも・・・本気なんだ・・・。〕と呟いた。それで峰岸が言った事を要約すると・・・〔ウララとは結婚をしたい。本気で愛している。ウララもまた・・・ただウララは、娘である千春の存在を気にしている。〖ワタシ千春ちゃんの母親には、なれる気がしないの。だから、千春ちゃんがいるなら、結婚はしない。〗と。〕
「そんな女、やめちまえ!!」俺(篠田和臣40歳)は怒鳴った。
しかし、峰岸は、〔ウララと腹の子はどうなるよ?〕と聞いてくる。
「そんなもん・・勝手にするだろうよ!」
〔ウララはさ・・・俺がいないとダメなんだ。それに俺も・・・。〕
「じゃ何か?お前、千春ちゃんをどうするんだ??」
俺は呆れて尋ねた。
〔かわいそうだけど・・・養女にでも・・・。〕
それで俺が、峰岸にビールをぶちまける事になった。その後で俺と峰岸とは、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の言い争いになる。峰岸のだらしなさに、俺は情けなく、そしてかなり苛立っていた。
「分かったよ!お前は若い女と好き勝手したらいいさ。千春ちゃんは、俺が面倒見る!」
〔ホントなのか?〕峰岸の嬉しそうな顔を見て、俺は《しまった!・・・》と思った。
「いや・・・峰岸、ちょっと待て・・・今のはな・・・。」
〔口が滑ったのか?取り消すのか?武士に二言なしだろ。お前ならさ、安心して千春を任せられる。良かった・・・ありがとう篠田。頼んだからな。」
「いや・・・だから・・・あの・・・。」と、一気に形勢逆転。
〔お前から断られたらさ・・・千春はどうなるんだろ?どっかのエロじじいに囲われてさ・・・悲しい末路かな・・・。〕
《それって、誰のせいやねん!》
「だから・・・その・・・峰岸さ~話し合おう・・。」
〔頼む、篠田!この通りだ!千春もお前の事は慕っている。これで皆が丸く収まるんだ。だから・・・頼む!〕
必死に頭を下げ続ける峰岸に拍子抜けしたって言うか・・・俺は峰岸に、反論する気力がなくなった。
峰岸の行動は早かった。その週の土曜日の夕方に、千春ちゃんをウチに連れてきた。
〔ほらっ、千春。お前の新しいお父さんだ。ちゃんと挨拶して。〕
『こんばんは千春です。お久しぶりです。いつも父がお世話になっています。あの・・・よろしくお願いします。』
《それにしても、千春ちゃんが可哀想だ・・・。》
〔えっと、篠田。ちゃんとした父娘になるんだったら、養子縁組をした方がいいな。千春は14歳だから、俺が法廷代理人になってやるから。〕
〖誰でも成年に達していれば、たとえ独身であっても養子縁組することができます。また養子になるには、養子になる本人が15才以上なら、本人の意思があれば可能で、15才未満であっても、法定代理人が承諾すれば問題はない。〗
「あのな~峰岸・・・。」 勝手に話をすすめる友人に戸惑う。
〔えっと・・・ちゃんと家裁に行ってから・・・それから・・・家裁には、来週の・・・そうだな。水曜日はどうだ?〕
〖養子が未成年のときは、家庭裁判所が発行する、養子縁組許可審判書が必要。〗
「いや・・・だから・・・。」
〔篠田、水曜日だぞ!分かったか?じゃ、俺、色々と忙しくてな。結婚式の事もあるし・・・じゃ、千春をよろしくな。〕
そう言うと、さっさと帰ってしまう。取り残された、俺と千春ちゃん。
「ふーーーーっ」思わず俺は大きなため息をつく。
『あの・・・。』
千春ちゃんが口を開いた。
『わたし・・・迷惑ですよね・・・あの・・・帰りますから・・・。』
「帰るって?どこに?」
『いえ・・・あの・・・友達のウチとか・・・お婆ちゃんの家でも・・・。』
「友達のウチに、いつまでいるの?お婆ちゃん?入院しているだろ?」
峰岸の母親は認知症を発症し、今施設に入っている事は、峰岸から聞いて知っている。
『でも・・・篠田さん、迷惑でしょ?』
「いや・・・峰岸には腹を立てているけど、千春ちゃんには罪はないから・・・。」
『そうですよね・・・あの人には、怒って当然ですよね・・・。』
「ああ。」
俺は相槌を打った後、再度ため息をつく。そして千春ちゃんも同時に、大きな大きなため息をついた。それが何だかおかしくて、二人で笑い合った後にまた、ため息をつく。
2015/09/21
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