短Ⅲ5〖あなた。よく見ていてね!〗第2回
短Ⅲ5〖あなた。よく見ていてね!〗第2回
第1回
『どういうことなの?』
「い、いや・・・あの・・・。」
『この前もそんなこと言っていたよね?!』
妻(青葉沙織:さおり:28歳)が険(けわ)しい表情で僕(青葉博史:ひろし:29歳)に詰め寄ります。
『私のことどう思っているわけ!?』
「あ、愛しているよ! 愛しているからこそ・・・。」
『からこそ、何よ?』
沙織は仁王立ちしています。しかし、表情は既に崩れ今にも泣き出しそうです。
『わたし、信じて・・・いたのに・・・。』
「いや・・・だから・・・。」
僕はしどろもどろになっていました。
『博史くんなんて・・・もう、知らないっ!』
「あ! 待ってくれよ!」
沙織は僕の制止も聞かず、泣きながら家を飛び出して行きました。
僕が追いかけてマンションの外に出たが、既に沙織の姿はどこにも見えません。(とんでもないこと言っちゃったな・・・)僕は、不用心に発した一言を後悔していました。もちろん今までに些細なことで喧嘩になったことは何度もありましたが、沙織が家を飛び出していったのは今回が初めてです。(もう変な想像するのは止めよう。沙織が帰って来たら謝ろう)僕は自分にそう言い聞かせました。
愛する沙織を傷つけてまでも、変な妄想を膨らませることは出来ません。僕には沙織が居てくれることだけで、幸せなのだから・・・。しかし、すぐ帰って来ると思っていた沙織は、いつまで経っても戻って来ません。もう夜の0時を過ぎていました。
さすがに心配になった僕は、沙織の友達に片っ端から電話をかけました。
[沙織ちゃんですか? 来ていませんけど・・・どうしたんですか?]
「ちょっと喧嘩しちゃってさ。」
何人にかけても、同じやり取りの繰り返しです。僕はますます焦りました。(沙織・・・お願いだから戻って来いよ・・・。)そう祈るしかありませんでした。
空がうっすらと白みを帯びてきた頃、玄関のドアが開く音がします。テーブルに顔を伏せていつの間にか眠っていた僕は、その音にはっと気付くと、急いで玄関に向かいました。そこには、沙織が立っています。
僕は涙が出そうになるのを必死で堪えながら、沙織を叱りました。
「沙織・・・こんな時間まで・・・どれだけ心配したと思っているんだよ!」
『博史くんのお望みどおりにしてきたんだから、怒んなくていいでしょ?』
「!?」
僕は言葉を失いました。《僕の望みどおりとは・・・》つまり・・・! 第3回へ続く
2016/06/30
第1回
『どういうことなの?』
「い、いや・・・あの・・・。」
『この前もそんなこと言っていたよね?!』
妻(青葉沙織:さおり:28歳)が険(けわ)しい表情で僕(青葉博史:ひろし:29歳)に詰め寄ります。
『私のことどう思っているわけ!?』
「あ、愛しているよ! 愛しているからこそ・・・。」
『からこそ、何よ?』
沙織は仁王立ちしています。しかし、表情は既に崩れ今にも泣き出しそうです。
『わたし、信じて・・・いたのに・・・。』
「いや・・・だから・・・。」
僕はしどろもどろになっていました。
『博史くんなんて・・・もう、知らないっ!』
「あ! 待ってくれよ!」
沙織は僕の制止も聞かず、泣きながら家を飛び出して行きました。
僕が追いかけてマンションの外に出たが、既に沙織の姿はどこにも見えません。(とんでもないこと言っちゃったな・・・)僕は、不用心に発した一言を後悔していました。もちろん今までに些細なことで喧嘩になったことは何度もありましたが、沙織が家を飛び出していったのは今回が初めてです。(もう変な想像するのは止めよう。沙織が帰って来たら謝ろう)僕は自分にそう言い聞かせました。
愛する沙織を傷つけてまでも、変な妄想を膨らませることは出来ません。僕には沙織が居てくれることだけで、幸せなのだから・・・。しかし、すぐ帰って来ると思っていた沙織は、いつまで経っても戻って来ません。もう夜の0時を過ぎていました。
さすがに心配になった僕は、沙織の友達に片っ端から電話をかけました。
[沙織ちゃんですか? 来ていませんけど・・・どうしたんですか?]
「ちょっと喧嘩しちゃってさ。」
何人にかけても、同じやり取りの繰り返しです。僕はますます焦りました。(沙織・・・お願いだから戻って来いよ・・・。)そう祈るしかありませんでした。
空がうっすらと白みを帯びてきた頃、玄関のドアが開く音がします。テーブルに顔を伏せていつの間にか眠っていた僕は、その音にはっと気付くと、急いで玄関に向かいました。そこには、沙織が立っています。
僕は涙が出そうになるのを必死で堪えながら、沙織を叱りました。
「沙織・・・こんな時間まで・・・どれだけ心配したと思っているんだよ!」
『博史くんのお望みどおりにしてきたんだから、怒んなくていいでしょ?』
「!?」
僕は言葉を失いました。《僕の望みどおりとは・・・》つまり・・・! 第3回へ続く
2016/06/30
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