長U〖綾乃の想い〗第7章その6 44
長U〖綾乃の想い〗第7章その6 44
第7章その5 43
《そういえば・・・綾乃さん、最近智が昼間にご迷惑掛けてたりしませんか?》
『・・・え?』
智・・・それは篠原恭子(しのはら・きょうこ:30歳)の恋人であるあの三浦智(みうら・さとし:33歳)の事です。藤澤綾乃(ふじさわ・あやの:30歳)は急に恭子が三浦の話をふってきた事に動揺していた。
『あ・・・ え・・・ えっと三浦さん? ど、どうして?』
《最近智、私の部屋にずっといるんですよ。》
『そ、そうなんだ・・・。」
《え?綾乃さん知りませんでした?私の部屋にずっと智がいた事。》
『ぇ・・・あ・・・そ、そういえばエレベーターで1回いっしょになったっけ・・・そっかぁずっと居たんだね、それは知らなかったぁ・・・。』
この時の綾乃は明らかに動揺と嘘が顔に出ていて不自然だった。そう、綾乃が言っている事は嘘である。恭子の部屋に三浦が居座っていた事は知っていたし、それどころか綾乃は、恭子の部屋で昼間三浦が毎日何をしているのかまでよく知っているのだから。
《彼の仕事って基本的にどこでもできますから。》
『そ、そういえばそうだったね・・・。』
《だから昼間とか綾乃さんに迷惑とか掛けてないか心配で、あの人変わってるとこあるから。》
『べ、別に・・・そんな事は無かったけど・・・会ってないしね・・・。』
《そうですか、それなら良かった。何か智がご迷惑掛けるような事があったら直ぐに私に言ってくださいね、叱っておきますから。》
そう冗談っぽく笑いながら言われ、綾乃もそれに合わせるようにして笑顔を作っていた。恭子の電車の時間もあるので、2人はマンションの前で早々に別れる。恭子に手を振り終わった綾乃は、思わずその場で『・・・はぁ・・・。』って、ため息をついた。恭子の元気で幸せそうな顔を見ていたら、なんだか綾乃は気が重くなるような気分になる。
三浦が昼間にしている事、綾乃がそれを知った最初の頃は恭子にその事を伝えるべきか迷っていた。別の女性を部屋へ連れ込んでいる三浦に、1人の女として嫌悪感や憤りを感じていた。しかし今、毎日自分がしている事を考えたら、決して恭子にその事は言えない。
綾乃はゴミを出し終わり部屋へと戻る途中、ふと恭子の部屋のドアの前で立ち止まった。
(・・・ 今、この部屋に三浦さんがいるんだわ・・・。)
毎日毎日、あんな事をしているいい加減な男・・・普通に考えたら嫌悪感しか覚えない男。しかし、そんな男に綾乃は今、密かに振り回されている。欲求に負けてしまったあの日から、綾乃の昼間の生活は一変してしまった。家事の仕事も、近頃手抜きになってしまっている。こんな事ではいけないと思いながらもあのやめられない行為を毎日してしまっていた。 第8章その1 45へ続く
2018/01/17
第7章その5 43
《そういえば・・・綾乃さん、最近智が昼間にご迷惑掛けてたりしませんか?》
『・・・え?』
智・・・それは篠原恭子(しのはら・きょうこ:30歳)の恋人であるあの三浦智(みうら・さとし:33歳)の事です。藤澤綾乃(ふじさわ・あやの:30歳)は急に恭子が三浦の話をふってきた事に動揺していた。
『あ・・・ え・・・ えっと三浦さん? ど、どうして?』
《最近智、私の部屋にずっといるんですよ。》
『そ、そうなんだ・・・。」
《え?綾乃さん知りませんでした?私の部屋にずっと智がいた事。》
『ぇ・・・あ・・・そ、そういえばエレベーターで1回いっしょになったっけ・・・そっかぁずっと居たんだね、それは知らなかったぁ・・・。』
この時の綾乃は明らかに動揺と嘘が顔に出ていて不自然だった。そう、綾乃が言っている事は嘘である。恭子の部屋に三浦が居座っていた事は知っていたし、それどころか綾乃は、恭子の部屋で昼間三浦が毎日何をしているのかまでよく知っているのだから。
《彼の仕事って基本的にどこでもできますから。》
『そ、そういえばそうだったね・・・。』
《だから昼間とか綾乃さんに迷惑とか掛けてないか心配で、あの人変わってるとこあるから。》
『べ、別に・・・そんな事は無かったけど・・・会ってないしね・・・。』
《そうですか、それなら良かった。何か智がご迷惑掛けるような事があったら直ぐに私に言ってくださいね、叱っておきますから。》
そう冗談っぽく笑いながら言われ、綾乃もそれに合わせるようにして笑顔を作っていた。恭子の電車の時間もあるので、2人はマンションの前で早々に別れる。恭子に手を振り終わった綾乃は、思わずその場で『・・・はぁ・・・。』って、ため息をついた。恭子の元気で幸せそうな顔を見ていたら、なんだか綾乃は気が重くなるような気分になる。
三浦が昼間にしている事、綾乃がそれを知った最初の頃は恭子にその事を伝えるべきか迷っていた。別の女性を部屋へ連れ込んでいる三浦に、1人の女として嫌悪感や憤りを感じていた。しかし今、毎日自分がしている事を考えたら、決して恭子にその事は言えない。
綾乃はゴミを出し終わり部屋へと戻る途中、ふと恭子の部屋のドアの前で立ち止まった。
(・・・ 今、この部屋に三浦さんがいるんだわ・・・。)
毎日毎日、あんな事をしているいい加減な男・・・普通に考えたら嫌悪感しか覚えない男。しかし、そんな男に綾乃は今、密かに振り回されている。欲求に負けてしまったあの日から、綾乃の昼間の生活は一変してしまった。家事の仕事も、近頃手抜きになってしまっている。こんな事ではいけないと思いながらもあのやめられない行為を毎日してしまっていた。 第8章その1 45へ続く
2018/01/17
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