長U〖綾乃の想い〗第6章その1 33
長U〖綾乃の想い〗第6章その1 33
「・・・綾乃? お~い綾乃!」
『・・・えっ!?』
「え?じゃないだろ。さっきからどうしたんだよ、ボーっとしちゃってよ。」
『べ、別に、何でもないけど・・・。』
夜遅くに帰ってきた夫(藤澤良一:ふじさわ・りょういち:37歳)の遅い晩御飯になる。こういう時は先に食べた妻の藤澤綾乃(ふじさわ・あやの:30歳)もテーブルに付いて、良一と会話をしながら食事に付き合う。
しかし、いつもなら楽しく色々な話を綾乃からしてくるのだが、今日の綾乃は何やら様子が違っていって、どことなく上の空といった感じだ。
「何か悩み事でもあるのか?」
『ううん、そんなの無いけど・・・。』
本当は三浦の事について良一に相談したかった。『篠原恭子(しのはら・きょうこ:30歳)の彼氏である三浦智(みうら・さとし:33歳)が怖い。』って、でも綾乃にはなぜかそれを良一に話す事ができない。きっと言っても気のせいだとか言われるかもしれないし、良
一に話した事で何かトラブルになって恭子との友人関係が崩れてしまうかもしれない。だから、綾乃はまだ言えなかった。もう少し様子を見てみようと・・・。
「さて・・・風呂入って寝るかぁ、明日も忙しくてね。」
『あなた明日も遅いの?』
「あぁたぶんな。この忙しさはしばらく続きそうだよ。」
『そっかぁ・・・。』
今は良一に余計な気を使わせたくない。こんなに仕事を頑張ってくているのだから。
次の日、いつも通り仕事へ行く夫の良一を見送った綾乃は、洗濯や掃除などの家事を始める。しかし家事といっても今はまだ良一と2人暮らしなので、それほど量が多い訳ではない。もちろん忙しい日もあるのだが、今日に限っては昼前にやるべき事はやり終えてしまった。
主婦のやるべき仕事を終え、紅茶を飲みながら一息ついた綾乃は、パソコンへと向かう。
実は綾乃はネット上に個人ブログを開設していて、そこで毎日自分が作った手料理の写真と日記を掲載している。なんとなく自分が作った料理を誰かに見てほしいなぁと思い気軽に始めたブログだったのだが、今では1日のアクセス数が百単位であり、結構な人気になってしまった。そのためある種のやり甲斐も感じ始めていた綾乃は、いつの間にかブログを更新する事が日課になっている。
『さてと・・・。』
綾乃はいつも通りパソコンを立ち上げ、ブログの記事を書き始める。と、その時だった。
〔・・・だろ・・・・・・いいじゃないか・・・。〕
[・・・え~・・・でもさぁ・・・。]
微かに聞こえる男女の話声。
『・・・えっ?・・・これって・・・!』
思わず驚いたようにそう呟いた。またも綾乃の耳に届いてしまった隣の部屋からの声である。男の声は明らかにあの三浦のものだった。
《・・・今日も・・・なの・・・?》 第6章その2 34に続く
2017/01/04
「・・・綾乃? お~い綾乃!」
『・・・えっ!?』
「え?じゃないだろ。さっきからどうしたんだよ、ボーっとしちゃってよ。」
『べ、別に、何でもないけど・・・。』
夜遅くに帰ってきた夫(藤澤良一:ふじさわ・りょういち:37歳)の遅い晩御飯になる。こういう時は先に食べた妻の藤澤綾乃(ふじさわ・あやの:30歳)もテーブルに付いて、良一と会話をしながら食事に付き合う。
しかし、いつもなら楽しく色々な話を綾乃からしてくるのだが、今日の綾乃は何やら様子が違っていって、どことなく上の空といった感じだ。
「何か悩み事でもあるのか?」
『ううん、そんなの無いけど・・・。』
本当は三浦の事について良一に相談したかった。『篠原恭子(しのはら・きょうこ:30歳)の彼氏である三浦智(みうら・さとし:33歳)が怖い。』って、でも綾乃にはなぜかそれを良一に話す事ができない。きっと言っても気のせいだとか言われるかもしれないし、良
一に話した事で何かトラブルになって恭子との友人関係が崩れてしまうかもしれない。だから、綾乃はまだ言えなかった。もう少し様子を見てみようと・・・。
「さて・・・風呂入って寝るかぁ、明日も忙しくてね。」
『あなた明日も遅いの?』
「あぁたぶんな。この忙しさはしばらく続きそうだよ。」
『そっかぁ・・・。』
今は良一に余計な気を使わせたくない。こんなに仕事を頑張ってくているのだから。
次の日、いつも通り仕事へ行く夫の良一を見送った綾乃は、洗濯や掃除などの家事を始める。しかし家事といっても今はまだ良一と2人暮らしなので、それほど量が多い訳ではない。もちろん忙しい日もあるのだが、今日に限っては昼前にやるべき事はやり終えてしまった。
主婦のやるべき仕事を終え、紅茶を飲みながら一息ついた綾乃は、パソコンへと向かう。
実は綾乃はネット上に個人ブログを開設していて、そこで毎日自分が作った手料理の写真と日記を掲載している。なんとなく自分が作った料理を誰かに見てほしいなぁと思い気軽に始めたブログだったのだが、今では1日のアクセス数が百単位であり、結構な人気になってしまった。そのためある種のやり甲斐も感じ始めていた綾乃は、いつの間にかブログを更新する事が日課になっている。
『さてと・・・。』
綾乃はいつも通りパソコンを立ち上げ、ブログの記事を書き始める。と、その時だった。
〔・・・だろ・・・・・・いいじゃないか・・・。〕
[・・・え~・・・でもさぁ・・・。]
微かに聞こえる男女の話声。
『・・・えっ?・・・これって・・・!』
思わず驚いたようにそう呟いた。またも綾乃の耳に届いてしまった隣の部屋からの声である。男の声は明らかにあの三浦のものだった。
《・・・今日も・・・なの・・・?》 第6章その2 34に続く
2017/01/04
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