長U〖綾乃の想い〗第5章その1 27
長U〖綾乃の想い〗第5章その1 27
朝の洗濯という仕事を終えた藤澤綾乃(あやの:30歳)は少し仮眠を取る事にする。昼間から寝てしまうような主婦にはなりたくないと思っていた綾乃だったが、今日は別だ。少しでも睡眠をとらないと晩御飯の仕度にも支障がでそうだし、今日は食材の買出しや夫の藤澤良一(りょういち:37歳)に頼まれている銀行の手続きにも行かないといけない。
こうやってまた家事に集中できる生活が戻ればあんな事はきっとすぐに忘れられる。綾乃はそう考えて気持ちを切り替える事にした。お隣でせっかく友達になれた恭子だったが、もし次に三浦智(さとし:33歳)が来るような機会にはしばらく参加しないでおこうと思った。
三浦という男をそんな風に変に意識する事自体間違っているような気もしたが、よくよく考えてみればみる程、やはり綾乃は元々あんな風にセクハラ紛いの言葉を女性に対して平気で掛けてくる男性が好きではなかった。
良一もしばらく仕事で忙しいと言っていたし、恭子だって同じように忙しいだろう。どうせそんな機会しばらく無いとは思うが、もし誘われてもやんわり断ればいい。そんな風に自分の中で考えをまとめ、ある程度気持ちを落ち着かせる事に成功した綾乃は、目覚まし時計をセットして仮眠のためベッドに入った。
《・・・大丈夫、すぐに忘れられるわ・・・ううん、もう気にしてないんだから・・・元に戻ろう・・・》
ベッドの中で目を閉じ、そう何度も自分に言い聞かせる事で安心できたのか、綾乃はすぐに眠りの世界へと落ちていった。安心という感情は良質な睡眠のために絶対に必要なもの。大きな後悔から、なんとかある種の安心を生み出す事ができた綾乃は、気持ちよく眠りの世界に浸っていた。しかしこの後、綾乃は思わぬ形で眼を覚ます事になる。
[え~スゴ~イ!ホントにいい部屋じゃん!]
〔だろ?ここ昼間は俺の自由に使えるからよ。〕
微かに聞こえる、男女の声。せっかくよく眠っていたのに、どうしてこんなに小さな声が耳に入ってきてしまうのだろう。
[いいなぁ私もこんな部屋に住んでみた~い。]
〔ハハッだったら金持っている男でも捕まえるんだな。〕
どこかで聞いた事のある声。まだ半分眠りの中、ボンヤリとした頭で綾乃はその声が誰のものかを思い出そうとしていた。
《・・・良一・・・じゃない・・・良一の声はもっと安心できる声だもの・・・・・・じゃあ誰なの?・・・
何・・・この感じ・・・》
綾乃はなぜかこの微かに聞こえる声に集中してしまう。
『・・・ん・・・。』
そして綾乃はその気に掛かる声のせいでついに目を覚ましてしまう。そっと目を開け、ベッドから顔を上げる。時計を見るとまだ昼前、あと1時間くらいは眠っている予定だったのに・・・。
[へぇ~ここの人GDMで働いてるんだぁ、じゃあエリート? よくそんな人をゲットできたね。]
〔そういう女程普段から色々と我慢して溜め込んでいるからな。金持っているだけじゃなくてそいつ結構いい身体しているしよ、最近の女の中じゃ1番だな。〕
[え~じゃあ私はぁ? ていうか智って最低な男ね、フフッ・・・。]
声は微かに窓の外の方から聞こえる。
『・・・三浦さんの・・・声・・・?』
隣のベランダで話をしているのか、それとも窓を開けたまま大声で話しているのか。このマンションはそんなに壁が薄くはないのだから・・・声は三浦ともう1人、女性の声が聞こえるが、それは声質からして明らかに恭子のものではないように思えた。
《・・・恭子さんは仕事のはずなのに・・・どうして三浦さんがいるの?・・・》
綾乃はそんな事を考えながらゆっくりとベッドから起きて寝室からリビングの窓の近くまで歩いていく。無意識の内にもっとその声がハッキリと聞こえる場所へと向かってしまう。
《・・・この女性の声・・・誰なの?》
初めて聞く声だし、それにその言葉使いなどから考えると随分と若い女性なのではないかと綾乃は思った。
2016/03/09
朝の洗濯という仕事を終えた藤澤綾乃(あやの:30歳)は少し仮眠を取る事にする。昼間から寝てしまうような主婦にはなりたくないと思っていた綾乃だったが、今日は別だ。少しでも睡眠をとらないと晩御飯の仕度にも支障がでそうだし、今日は食材の買出しや夫の藤澤良一(りょういち:37歳)に頼まれている銀行の手続きにも行かないといけない。
こうやってまた家事に集中できる生活が戻ればあんな事はきっとすぐに忘れられる。綾乃はそう考えて気持ちを切り替える事にした。お隣でせっかく友達になれた恭子だったが、もし次に三浦智(さとし:33歳)が来るような機会にはしばらく参加しないでおこうと思った。
三浦という男をそんな風に変に意識する事自体間違っているような気もしたが、よくよく考えてみればみる程、やはり綾乃は元々あんな風にセクハラ紛いの言葉を女性に対して平気で掛けてくる男性が好きではなかった。
良一もしばらく仕事で忙しいと言っていたし、恭子だって同じように忙しいだろう。どうせそんな機会しばらく無いとは思うが、もし誘われてもやんわり断ればいい。そんな風に自分の中で考えをまとめ、ある程度気持ちを落ち着かせる事に成功した綾乃は、目覚まし時計をセットして仮眠のためベッドに入った。
《・・・大丈夫、すぐに忘れられるわ・・・ううん、もう気にしてないんだから・・・元に戻ろう・・・》
ベッドの中で目を閉じ、そう何度も自分に言い聞かせる事で安心できたのか、綾乃はすぐに眠りの世界へと落ちていった。安心という感情は良質な睡眠のために絶対に必要なもの。大きな後悔から、なんとかある種の安心を生み出す事ができた綾乃は、気持ちよく眠りの世界に浸っていた。しかしこの後、綾乃は思わぬ形で眼を覚ます事になる。
[え~スゴ~イ!ホントにいい部屋じゃん!]
〔だろ?ここ昼間は俺の自由に使えるからよ。〕
微かに聞こえる、男女の声。せっかくよく眠っていたのに、どうしてこんなに小さな声が耳に入ってきてしまうのだろう。
[いいなぁ私もこんな部屋に住んでみた~い。]
〔ハハッだったら金持っている男でも捕まえるんだな。〕
どこかで聞いた事のある声。まだ半分眠りの中、ボンヤリとした頭で綾乃はその声が誰のものかを思い出そうとしていた。
《・・・良一・・・じゃない・・・良一の声はもっと安心できる声だもの・・・・・・じゃあ誰なの?・・・
何・・・この感じ・・・》
綾乃はなぜかこの微かに聞こえる声に集中してしまう。
『・・・ん・・・。』
そして綾乃はその気に掛かる声のせいでついに目を覚ましてしまう。そっと目を開け、ベッドから顔を上げる。時計を見るとまだ昼前、あと1時間くらいは眠っている予定だったのに・・・。
[へぇ~ここの人GDMで働いてるんだぁ、じゃあエリート? よくそんな人をゲットできたね。]
〔そういう女程普段から色々と我慢して溜め込んでいるからな。金持っているだけじゃなくてそいつ結構いい身体しているしよ、最近の女の中じゃ1番だな。〕
[え~じゃあ私はぁ? ていうか智って最低な男ね、フフッ・・・。]
声は微かに窓の外の方から聞こえる。
『・・・三浦さんの・・・声・・・?』
隣のベランダで話をしているのか、それとも窓を開けたまま大声で話しているのか。このマンションはそんなに壁が薄くはないのだから・・・声は三浦ともう1人、女性の声が聞こえるが、それは声質からして明らかに恭子のものではないように思えた。
《・・・恭子さんは仕事のはずなのに・・・どうして三浦さんがいるの?・・・》
綾乃はそんな事を考えながらゆっくりとベッドから起きて寝室からリビングの窓の近くまで歩いていく。無意識の内にもっとその声がハッキリと聞こえる場所へと向かってしまう。
《・・・この女性の声・・・誰なの?》
初めて聞く声だし、それにその言葉使いなどから考えると随分と若い女性なのではないかと綾乃は思った。
2016/03/09
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