長U〖綾乃の想い〗第4章その1 20
長U〖綾乃の想い〗第4章その1 20
『はぁ~・・・。』
リビングのソファの上に洗濯物を置くと、綾乃はため息と共にソファの空いている場所に腰を下ろした。
『はぁ~・・・なんか疲れたぁ・・・。』
久しぶりのお酒、そして先程の非日常的な体験。気疲れなのか、藤澤綾乃(あやの:30歳)はグッタリとソファの背にもたれた。(・・・すごいの…聞いちゃったなぁ・・・)篠原恭子(きょうこ:30歳)の喘ぎ声〚ンーー・・・アッアッイクッ・・・イクッ・・・ンァアアッ!!〛はまだ鮮明に綾乃の頭の中に残っている。
綾乃は頭を横に振りながら『あ~ダメダメ、忘れよっ。』そう呟くと、ソファから立ち上がり、汗を流すためにお風呂場へと向かった。(・・・他人の生活を盗み聞きするなんて…何やってるのよ私ったら…忘れないと・・・忘れないとダメだわ・・・)もう一度自分にそう言い聞かせる綾乃。しかし、人間は一度頭の中に入ってしまった刺激的な体験を、そう簡単には忘れる事はできない。そして今日のこの体験が、綾乃の中の何かを狂わせ始める事になるのであった・・・。
翌朝、徹夜の仕事から帰ってきた夫の藤澤良一(りょういち:37歳)は、綾乃が用意しておいた朝食を取りながら、
「それで?昨日はどうだったんだ?」
『・・・え?』
「昨日の食事会の事だよ、来たんだろ?恭子さんの彼氏も。」
そう聞いてきた。
『うん・・・まぁ、楽しかったわよ。』
「ん?なんだよ、楽しかったって言う割には浮かない顔しているなぁ。恭子さんの彼氏はどんな人だったんだ?」
『う~ん…それがねぇ、ちょっと想像と違ったんだよねぇ・・・。』
「へぇ、どう違ったわけ?」
『なんて言うかなぁ、こう真面目で堅そうな感じじゃなくて、どちらかと言うと活発でスポーツマンタイプ?みたいな感じだったのよ。。』
「ふーん・・・いいじゃないか、真面目な恭子さんの相手ならそういう人の方が結構お似合いなんじゃないか?」
『ん~でもなんかねぇ・・・。』
“活発でスポーツマンタイプ”というだけならそのイメージは良いはずなのだが、あのセクハラ紛いの言葉やイヤらしい視線を向けてくる男性としてのマイナスイメージがあるので綾乃は、三浦に対する印象は決して良くない。しかし、綾乃は自分が三浦にセクハラ紛いの言葉を掛けられた事を、なぜか良一には言えないでいた。
「仕事は?仕事は何してるって?」
『え?えーっと・・・確か株のトレーダーをしているって。』
「トレーダー?企業の資産運用とかの?」
『ううん、個人でやっているんですって。』
「はぁ?個人で株のトレーダーって、株で生活してるって事か?」
『う~ん、たぶんそういう事じゃないかなぁ。』
「それは珍しいなぁ・・・珍しいっていうか普通じゃないよな。そんなのギャンブルみたいなモノだろ?」
『私もそう思ったわ。だけど、それで暮らしていけるのかしらねぇ?』
「なんか意外だなぁ、恭子さんがそういう生活してる人と付き合ってるなんて。」
『うん、ほんと意外だよね・・・。』
仕事は何かと訊かれて〔株で生活している〕なんて、一般的にあまり良い印象はない。昨日は仕事の話をそれ程深くまで訊かなかったが、その事も藤澤綾乃(あやの:30歳)が三浦智(さとし:33歳)に対して疑念を抱く要因になっている事は確かだった。
『旦那さんに宜しくって言ってたわ。今度は4人で飲みましょうって。』
「あぁ、まぁ俺としては会って見ないとどんな人か分からないし。あ~でも俺仕事忙しくなりそうだからしばらくは無理かもなぁ。」
夫の藤澤良一(りょういち)の話では、職場で少し厄介な事が起きて、しばらく残業や出張が多くなりそうだという事だった。近頃責任ある役職についたばかりの良一はやっと仕事にも脂がのってきて、男としては忙しいけれども働き甲斐のある時期でもあった。
2016/01/16
『はぁ~・・・。』
リビングのソファの上に洗濯物を置くと、綾乃はため息と共にソファの空いている場所に腰を下ろした。
『はぁ~・・・なんか疲れたぁ・・・。』
久しぶりのお酒、そして先程の非日常的な体験。気疲れなのか、藤澤綾乃(あやの:30歳)はグッタリとソファの背にもたれた。(・・・すごいの…聞いちゃったなぁ・・・)篠原恭子(きょうこ:30歳)の喘ぎ声〚ンーー・・・アッアッイクッ・・・イクッ・・・ンァアアッ!!〛はまだ鮮明に綾乃の頭の中に残っている。
綾乃は頭を横に振りながら『あ~ダメダメ、忘れよっ。』そう呟くと、ソファから立ち上がり、汗を流すためにお風呂場へと向かった。(・・・他人の生活を盗み聞きするなんて…何やってるのよ私ったら…忘れないと・・・忘れないとダメだわ・・・)もう一度自分にそう言い聞かせる綾乃。しかし、人間は一度頭の中に入ってしまった刺激的な体験を、そう簡単には忘れる事はできない。そして今日のこの体験が、綾乃の中の何かを狂わせ始める事になるのであった・・・。
翌朝、徹夜の仕事から帰ってきた夫の藤澤良一(りょういち:37歳)は、綾乃が用意しておいた朝食を取りながら、
「それで?昨日はどうだったんだ?」
『・・・え?』
「昨日の食事会の事だよ、来たんだろ?恭子さんの彼氏も。」
そう聞いてきた。
『うん・・・まぁ、楽しかったわよ。』
「ん?なんだよ、楽しかったって言う割には浮かない顔しているなぁ。恭子さんの彼氏はどんな人だったんだ?」
『う~ん…それがねぇ、ちょっと想像と違ったんだよねぇ・・・。』
「へぇ、どう違ったわけ?」
『なんて言うかなぁ、こう真面目で堅そうな感じじゃなくて、どちらかと言うと活発でスポーツマンタイプ?みたいな感じだったのよ。。』
「ふーん・・・いいじゃないか、真面目な恭子さんの相手ならそういう人の方が結構お似合いなんじゃないか?」
『ん~でもなんかねぇ・・・。』
“活発でスポーツマンタイプ”というだけならそのイメージは良いはずなのだが、あのセクハラ紛いの言葉やイヤらしい視線を向けてくる男性としてのマイナスイメージがあるので綾乃は、三浦に対する印象は決して良くない。しかし、綾乃は自分が三浦にセクハラ紛いの言葉を掛けられた事を、なぜか良一には言えないでいた。
「仕事は?仕事は何してるって?」
『え?えーっと・・・確か株のトレーダーをしているって。』
「トレーダー?企業の資産運用とかの?」
『ううん、個人でやっているんですって。』
「はぁ?個人で株のトレーダーって、株で生活してるって事か?」
『う~ん、たぶんそういう事じゃないかなぁ。』
「それは珍しいなぁ・・・珍しいっていうか普通じゃないよな。そんなのギャンブルみたいなモノだろ?」
『私もそう思ったわ。だけど、それで暮らしていけるのかしらねぇ?』
「なんか意外だなぁ、恭子さんがそういう生活してる人と付き合ってるなんて。」
『うん、ほんと意外だよね・・・。』
仕事は何かと訊かれて〔株で生活している〕なんて、一般的にあまり良い印象はない。昨日は仕事の話をそれ程深くまで訊かなかったが、その事も藤澤綾乃(あやの:30歳)が三浦智(さとし:33歳)に対して疑念を抱く要因になっている事は確かだった。
『旦那さんに宜しくって言ってたわ。今度は4人で飲みましょうって。』
「あぁ、まぁ俺としては会って見ないとどんな人か分からないし。あ~でも俺仕事忙しくなりそうだからしばらくは無理かもなぁ。」
夫の藤澤良一(りょういち)の話では、職場で少し厄介な事が起きて、しばらく残業や出張が多くなりそうだという事だった。近頃責任ある役職についたばかりの良一はやっと仕事にも脂がのってきて、男としては忙しいけれども働き甲斐のある時期でもあった。
2016/01/16
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