長U〖綾乃の想い〗第2章その8 13
長U〖綾乃の想い〗第2章その8 13
〔ところで奥さんは、スポーツジムとかに通っているんですか?〕
『・・・え?いえ、特にそういうのは。』
〔へぇ~そうなんですかぁ・・・でも凄くスタイル良いですよねぇ、よく言われるでしょ?〕
そう言った三浦智(さとし:33歳)の目が、藤澤綾乃(あやの:30歳)の身体を下から舐める視線を送ってくる。
『ぇ・・・?』
女性なら多くの者が感じたことのある、男性からの胸や腰への視線を・・・。学生時代も社会人時代も、多くの女性がそうであるように、綾乃もよくそれを経験している。もちろん、時にそういった男性からの視線に嫌悪感を抱く時もあった。しかし三浦のそれからは不思議と全くそういったものを感じない。
それがなぜなのか、今の綾乃にはよく分からなかったが、とにかくその視線に反応しているのか、胸の鼓動が異常に速くなっている事だけは確かだった。『ま、またそんな事言って・・・いつも会う女性にそんな事言ってるんですか?』と綾乃は顔を赤くしたまま再び三浦の言葉をはぐらかすように、そう言い返す。
〔奥さんを見て素直にそう思ったから訊いたんですよ、ホントに旦那さんが羨ましい。でも興味あるなぁ・・・旦那さんはどんな方なんです?〕
2人きりになってからの三浦との会話に、驚くぐらいに緊張している自分がいる。それに
対して三浦は凄く冷静に見え、やはり女性との会話に慣れているのか。三浦の態度からは凄く余裕を感じられた。
『夫・・・ですか、うちの夫は・・・。』
綾乃がそう言いかけたところで、ガチャッ・・・、リビングのドアが開く。恭子が戻ってきたのだ。
《フフッ綾乃さん、智が変な事を話しをしていませんでした?》
篠原恭子(きょうこ:30歳)がソファに腰を下ろしながらそう言うと、素早く三浦がそれに反応する。
〔変な事なんて。ねぇ奥さん?旦那さんの話をしていたんだよね。〕
『え?えぇ・・・。』
三浦のちょっとした嘘に、綾乃はなぜか反射的に歩調を合わせてしまう。
《へぇ・・・あ、そういえば綾乃さん、良一さん遅いですね、もうこんな時間なのに。》
恭子にそう言われて時計を見ると、もう時計の針は午後10時を回っていた。
『あらホント、途中からでも参加できそうだったら連絡してって言っておいたんだけど・・・忙しいのかな。』
〔残念、旦那さんがどんな人なのか一目いいから見たかったなぁ。また今度紹介してくださいよ。〕
『・・・えぇ、またぜひ。』
綾乃が気付いた時には、三浦の表情は元に戻っていた。
恭子が帰ってくるまではまるで品定めでもされているかのような視線を送ってきていたのに。
《でも休日出勤というのに随分遅いですね、何かあったんですかね?》
『う~ん・・・電話してみようかな。ちょっと・・・うん。』
夫の良一は今日突然の出勤であったし、確かに休日の出勤でこんなに遅いのは珍しい。(どうしたんだろう?)と、少し気になった綾乃は、携帯片手に席を外し、リビングを出た。
2015/11/23
〔ところで奥さんは、スポーツジムとかに通っているんですか?〕
『・・・え?いえ、特にそういうのは。』
〔へぇ~そうなんですかぁ・・・でも凄くスタイル良いですよねぇ、よく言われるでしょ?〕
そう言った三浦智(さとし:33歳)の目が、藤澤綾乃(あやの:30歳)の身体を下から舐める視線を送ってくる。
『ぇ・・・?』
女性なら多くの者が感じたことのある、男性からの胸や腰への視線を・・・。学生時代も社会人時代も、多くの女性がそうであるように、綾乃もよくそれを経験している。もちろん、時にそういった男性からの視線に嫌悪感を抱く時もあった。しかし三浦のそれからは不思議と全くそういったものを感じない。
それがなぜなのか、今の綾乃にはよく分からなかったが、とにかくその視線に反応しているのか、胸の鼓動が異常に速くなっている事だけは確かだった。『ま、またそんな事言って・・・いつも会う女性にそんな事言ってるんですか?』と綾乃は顔を赤くしたまま再び三浦の言葉をはぐらかすように、そう言い返す。
〔奥さんを見て素直にそう思ったから訊いたんですよ、ホントに旦那さんが羨ましい。でも興味あるなぁ・・・旦那さんはどんな方なんです?〕
2人きりになってからの三浦との会話に、驚くぐらいに緊張している自分がいる。それに
対して三浦は凄く冷静に見え、やはり女性との会話に慣れているのか。三浦の態度からは凄く余裕を感じられた。
『夫・・・ですか、うちの夫は・・・。』
綾乃がそう言いかけたところで、ガチャッ・・・、リビングのドアが開く。恭子が戻ってきたのだ。
《フフッ綾乃さん、智が変な事を話しをしていませんでした?》
篠原恭子(きょうこ:30歳)がソファに腰を下ろしながらそう言うと、素早く三浦がそれに反応する。
〔変な事なんて。ねぇ奥さん?旦那さんの話をしていたんだよね。〕
『え?えぇ・・・。』
三浦のちょっとした嘘に、綾乃はなぜか反射的に歩調を合わせてしまう。
《へぇ・・・あ、そういえば綾乃さん、良一さん遅いですね、もうこんな時間なのに。》
恭子にそう言われて時計を見ると、もう時計の針は午後10時を回っていた。
『あらホント、途中からでも参加できそうだったら連絡してって言っておいたんだけど・・・忙しいのかな。』
〔残念、旦那さんがどんな人なのか一目いいから見たかったなぁ。また今度紹介してくださいよ。〕
『・・・えぇ、またぜひ。』
綾乃が気付いた時には、三浦の表情は元に戻っていた。
恭子が帰ってくるまではまるで品定めでもされているかのような視線を送ってきていたのに。
《でも休日出勤というのに随分遅いですね、何かあったんですかね?》
『う~ん・・・電話してみようかな。ちょっと・・・うん。』
夫の良一は今日突然の出勤であったし、確かに休日の出勤でこんなに遅いのは珍しい。(どうしたんだろう?)と、少し気になった綾乃は、携帯片手に席を外し、リビングを出た。
2015/11/23
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