長U〖綾乃の想い〗第2章その4 09
長U〖綾乃の想い〗第2章その4 09
篠原恭子(きょうこ:30歳)と藤澤綾乃(あやの:30歳)がそんな会話をしていると、インターホンの音が鳴る。それを聞いた瞬間、2人の表情は笑顔になった。
《あっ、きっと(三浦)智です。》
恭子はそう言って玄関へ向かう。
『う、うん・・・。』
綾乃は嬉しそうでもあったが、やはり少し緊張気味でもあった。
別に初対面とはいえそれ程は緊張するような事ではないと綾乃自身思っているのだが、それでも何故か心臓の鼓動は速くなっていたのだった。その理由は自分自身でも分からない。でも、もしかしてそれは結婚してからは新しい出会い、それも男性との新しい出会いというのを綾乃が経験していなかったからかもしれない。
綾乃には特に親しい男友達はいない。夫以外の男性との新たな出会いに対して、無意識の内に過剰に気を使ってしまっているのかもしれない。もちろんそれは、独身の時のような異姓に対する感情とは違う。綾乃はもう結婚しており、良一の妻であるのだから・・・。
『・・・ふぅ・・・。』
一度深呼吸をする・・・緊張なんてする事ないわよ・・・そう綾乃は無意味な程に緊張をしている自分自身に言い聞かせて、恭子の彼氏に笑顔で挨拶をできるように集中した。
〔おいおい恭子お前、こんな良いマンションに住んでいるのか!〕
リビングで1人立ち竦んでいる綾乃に、玄関の方から恭子の彼氏と思われる男性の大きな声が聞こえてくる。
〔さすがGDM(世界でも有数の大企業)で働いているだけあるなぁ!・・・で?もう来てるのかな?お前の友だちの隣の人妻は。〕
『・・・。』
玄関の方から聞こえてきた・・・〖人妻〗・・・その言葉は・・・きっと私の事を言っているのだろうと綾乃は思ったが、同時に自分が〖人妻〗と呼ばれている事に違和感を覚えた。いや、結婚していて人妻である事には違いはないのだが、何となく他人から自分がそんな代名詞で呼ばれた事なんて今までないから、それで違和感を覚えたのだ。
〔ハハッ!お?なんかすごく美味そうな匂いがするな。〕
そんな男性の声と、廊下を歩く足音が徐々に近づいてくる。それに比例するように、綾乃の鼓動も速くなって行く。・・・ドキドキドキドキ・・・そして・・・ガチャッ!リビングのドアが開き、そしてその男(三浦智)が入ってきた。
〔あ!どうも。三浦です。〕
『え?あ・・・こ、こんばんは・・・藤澤です。』
綾乃は目の前の男の容姿を見て意外に思った。礼儀正しく優しい恭子の彼氏という事で、真面目で爽やかな男性の姿を勝手に想像していたのだが・・・。今目の前にいる男性は、程よく焼けた小麦肌で体格も大きく、良く言えば男らしい感じもするが、綾乃が想像していた真面目な会社員風の男性とは全く違う。どちらかといえば活発な印象というか、悪く言うと若干チャラチャラしてそうな感じがする。
顔も整っているし、こういうタイプが好きな人には人気があるだろうなぁと綾乃は思ったが、あの恭子がこういったタイプを好んでいたとは少々驚きである。話し方も良く言えば社交的、悪く言えば軽そうな印象である。しかし決して綾乃の中で三浦の第一印象が凄く悪い訳ではない。人を見た目で判断してはいけないという事を、綾乃は心得ているつもりだった。
2015/10/24
篠原恭子(きょうこ:30歳)と藤澤綾乃(あやの:30歳)がそんな会話をしていると、インターホンの音が鳴る。それを聞いた瞬間、2人の表情は笑顔になった。
《あっ、きっと(三浦)智です。》
恭子はそう言って玄関へ向かう。
『う、うん・・・。』
綾乃は嬉しそうでもあったが、やはり少し緊張気味でもあった。
別に初対面とはいえそれ程は緊張するような事ではないと綾乃自身思っているのだが、それでも何故か心臓の鼓動は速くなっていたのだった。その理由は自分自身でも分からない。でも、もしかしてそれは結婚してからは新しい出会い、それも男性との新しい出会いというのを綾乃が経験していなかったからかもしれない。
綾乃には特に親しい男友達はいない。夫以外の男性との新たな出会いに対して、無意識の内に過剰に気を使ってしまっているのかもしれない。もちろんそれは、独身の時のような異姓に対する感情とは違う。綾乃はもう結婚しており、良一の妻であるのだから・・・。
『・・・ふぅ・・・。』
一度深呼吸をする・・・緊張なんてする事ないわよ・・・そう綾乃は無意味な程に緊張をしている自分自身に言い聞かせて、恭子の彼氏に笑顔で挨拶をできるように集中した。
〔おいおい恭子お前、こんな良いマンションに住んでいるのか!〕
リビングで1人立ち竦んでいる綾乃に、玄関の方から恭子の彼氏と思われる男性の大きな声が聞こえてくる。
〔さすがGDM(世界でも有数の大企業)で働いているだけあるなぁ!・・・で?もう来てるのかな?お前の友だちの隣の人妻は。〕
『・・・。』
玄関の方から聞こえてきた・・・〖人妻〗・・・その言葉は・・・きっと私の事を言っているのだろうと綾乃は思ったが、同時に自分が〖人妻〗と呼ばれている事に違和感を覚えた。いや、結婚していて人妻である事には違いはないのだが、何となく他人から自分がそんな代名詞で呼ばれた事なんて今までないから、それで違和感を覚えたのだ。
〔ハハッ!お?なんかすごく美味そうな匂いがするな。〕
そんな男性の声と、廊下を歩く足音が徐々に近づいてくる。それに比例するように、綾乃の鼓動も速くなって行く。・・・ドキドキドキドキ・・・そして・・・ガチャッ!リビングのドアが開き、そしてその男(三浦智)が入ってきた。
〔あ!どうも。三浦です。〕
『え?あ・・・こ、こんばんは・・・藤澤です。』
綾乃は目の前の男の容姿を見て意外に思った。礼儀正しく優しい恭子の彼氏という事で、真面目で爽やかな男性の姿を勝手に想像していたのだが・・・。今目の前にいる男性は、程よく焼けた小麦肌で体格も大きく、良く言えば男らしい感じもするが、綾乃が想像していた真面目な会社員風の男性とは全く違う。どちらかといえば活発な印象というか、悪く言うと若干チャラチャラしてそうな感じがする。
顔も整っているし、こういうタイプが好きな人には人気があるだろうなぁと綾乃は思ったが、あの恭子がこういったタイプを好んでいたとは少々驚きである。話し方も良く言えば社交的、悪く言えば軽そうな印象である。しかし決して綾乃の中で三浦の第一印象が凄く悪い訳ではない。人を見た目で判断してはいけないという事を、綾乃は心得ているつもりだった。
2015/10/24
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