長U〖綾乃の想い〗第2章その6 11
長U〖綾乃の想い〗第2章その6 11
皿に盛られた藤澤綾乃(あやの:30歳)の手料理が、三浦智(さとし:33歳)の口の中に勢い良く豪快に運ばれていく。見ていて気持ち良いくらいの食べっぷりだ。
〔ん~美味い美味い、いやぁ美人で料理もできる奥さんって最高ですね、完璧じゃないですか。〕
『フフッそんな事ないですけど、でもこれだけ美味しそうに食べてもらえると作った甲斐があります。』
〔恭子には絶対こんなの作れないよなぁ。〕
《もぅ・・・どうせ私は料理が下手ですよ。》
普段は真面目でスキの無さそうな篠原恭子(きょうこ:30歳)が三浦にからかわれ嬉しそうにしている。恭子は恋人の前では意外と甘えたがり屋さんなのかもしれないと綾乃は思った。
その日、三浦が話し上手だった事もあり、3人の食事会は大いに盛り上がった。恭子が用意した美味しいお酒もよく進んだ。夫の藤澤良一(りょういち:37歳)がアルコールは苦手だった事もあって、普段はあまり飲むことのなかった綾乃も、今日は頬をピンク色の染めながらお酒を楽しんでいる。
食事を終えた後も話題は途切れる事がなく、3人はダイニングからリビングへと移動をし、ソファでお酒を口にしながら色々な話をしていた。
〔あの時は若かったからなぁ、今はあんな事はできねぇわ。〕
『へぇ~随分と無茶していたんですねぇ。』
《フフッ・・どこまで本当の事やら、私はこの話もう何回も智から聞かされているんですよ。》
三浦の学生時代の武勇伝的な話や、趣味の話。それを調子よく三浦が話して女性2人はそれを聞く。おしゃべりな三浦相手にしばらくそんな一方的な状態が続いていたが、綾乃がふと思った事を何気なしに三浦に質問した。
『フフフッ、三浦さんって面白いですね。・・・あ、そういえば三浦さんってお仕事は何されているんですか?』
こんな質問、大人同士が知り合ったなら当然のように聞かれる事だ。だから綾乃は何に気を使う事もなく、ごく当たり前のように、自然にそれを三浦に聞いた。しかし綾乃のその言葉を聞いた瞬間、今まで快調に動いていた三浦の口は急にその動きを鈍くさせる。
〔え・・・?あぁ仕事?仕事ねぇ・・・。〕
『・・・?』
三浦の何か言い渋っているような様子に、綾乃はもしかして聞いてはいけない事を聞いてしまったのかと思った。もしかして世間では言いにくいような仕事をしているのか?と。
〔仕事はねぇ・・・一応トレーダーをやっているんですよ。〕
『・・・トレーダー?』
〔えぇ、株の・・。〕
『あ、え~っと・・・どこかの企業の資金運用とか・・・。』
〔いえ違います、個人でやっているんですよ。〕
『個人・・・へぇ、そうなんですか・・・。』
2015/11/06
皿に盛られた藤澤綾乃(あやの:30歳)の手料理が、三浦智(さとし:33歳)の口の中に勢い良く豪快に運ばれていく。見ていて気持ち良いくらいの食べっぷりだ。
〔ん~美味い美味い、いやぁ美人で料理もできる奥さんって最高ですね、完璧じゃないですか。〕
『フフッそんな事ないですけど、でもこれだけ美味しそうに食べてもらえると作った甲斐があります。』
〔恭子には絶対こんなの作れないよなぁ。〕
《もぅ・・・どうせ私は料理が下手ですよ。》
普段は真面目でスキの無さそうな篠原恭子(きょうこ:30歳)が三浦にからかわれ嬉しそうにしている。恭子は恋人の前では意外と甘えたがり屋さんなのかもしれないと綾乃は思った。
その日、三浦が話し上手だった事もあり、3人の食事会は大いに盛り上がった。恭子が用意した美味しいお酒もよく進んだ。夫の藤澤良一(りょういち:37歳)がアルコールは苦手だった事もあって、普段はあまり飲むことのなかった綾乃も、今日は頬をピンク色の染めながらお酒を楽しんでいる。
食事を終えた後も話題は途切れる事がなく、3人はダイニングからリビングへと移動をし、ソファでお酒を口にしながら色々な話をしていた。
〔あの時は若かったからなぁ、今はあんな事はできねぇわ。〕
『へぇ~随分と無茶していたんですねぇ。』
《フフッ・・どこまで本当の事やら、私はこの話もう何回も智から聞かされているんですよ。》
三浦の学生時代の武勇伝的な話や、趣味の話。それを調子よく三浦が話して女性2人はそれを聞く。おしゃべりな三浦相手にしばらくそんな一方的な状態が続いていたが、綾乃がふと思った事を何気なしに三浦に質問した。
『フフフッ、三浦さんって面白いですね。・・・あ、そういえば三浦さんってお仕事は何されているんですか?』
こんな質問、大人同士が知り合ったなら当然のように聞かれる事だ。だから綾乃は何に気を使う事もなく、ごく当たり前のように、自然にそれを三浦に聞いた。しかし綾乃のその言葉を聞いた瞬間、今まで快調に動いていた三浦の口は急にその動きを鈍くさせる。
〔え・・・?あぁ仕事?仕事ねぇ・・・。〕
『・・・?』
三浦の何か言い渋っているような様子に、綾乃はもしかして聞いてはいけない事を聞いてしまったのかと思った。もしかして世間では言いにくいような仕事をしているのか?と。
〔仕事はねぇ・・・一応トレーダーをやっているんですよ。〕
『・・・トレーダー?』
〔えぇ、株の・・。〕
『あ、え~っと・・・どこかの企業の資金運用とか・・・。』
〔いえ違います、個人でやっているんですよ。〕
『個人・・・へぇ、そうなんですか・・・。』
2015/11/06
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