長U〖綾乃の想い〗第2章その3 08
長U〖綾乃の想い〗第2章その3 08
『あ~なんか、わたし緊張してきた・・・。』
《そんな緊張するような相手じゃないですよ、智(さとし)は。」
食事会を翌日に控えた夜、藤澤綾乃(あやの:30歳)は明日来る篠原恭子(きょうこ:30歳)の恋人について話をしていた。
『ねぇ、どんな人なの?その三浦(智)さんって方。』
《ん~・・・きっと綾乃さんが思っているような人ではないですよ(笑)。》
『そうかな?私の想像だとやっぱり恭子さんの恋人なんだから、頭が良くて仕事ができて、紳士で・・・。』
《フフッ、全然そんなんじゃ無いですよ。本当の智を見たら綾乃さんビックリするかも。》
『え~そうなんだぁ・・・ねぇねぇ、じゃあ一言で言えばどんな人なの?』
《ん~・・・そうね元気な人・・・かな。》
『え~それじゃちょっと抽象的すぎるよぉ。』
《フフッ、まぁ明日会ってみれば分かりますよ。それまでのお楽しみね。》
少しの緊張を感じながらも、綾乃は明日の新たな出会いへの期待に胸を高鳴らせる。また1人仲の良い友人ができるかもしれないと思うと、嬉しくて仕方なかった。仲良しになっても未だに言葉の中に敬語を交えて話すような真面目な恭子。その恭子の恋人なのだからきっと真面目な男性なのだろうと、綾乃はそう思った。恭子がいくら《そんなんじゃないですよ。》と否定しても、きっと結局は『真面目な人なんだろうなぁ。』と綾乃は予想をしていた。しかし、その綾乃の予想が良い意味でも悪い意味でも裏切られる事になる。
食事会当日、予定外の出来事が1つ起こる。夫の藤澤良一(りょういち:37歳)が突然の仕事がはいり食事会に参加できなくなったのだ。
「仕方ないだろ?なんか現場でトラブルがあったらしいからさ、とりあえず行って来るよ。」
『ん~・・・残念ね。ねぇ良一、何時頃に帰って来れそうなの?』
「どうかな?今は何とも言えないよ。現場に行って直接状況を確認しないとな。」
『そっかぁ・・・気をつけて行ってきてね。』
「あぁ、恭子さんとその彼氏さんにも宜しく言っておいてくれ。」
玄関で仕事に出る夫の良一を見送り、綾乃はキッチンに戻る。食事会で持っていく料理を綾乃は作っていた。今日のは特別に力を入れていたのだ。『良一ったら、よりによってこんな日に仕事が入るなんて…。』料理の中には良一の大好物である唐揚げの南蛮風もある。
『良一が来られないなら絶対作り過ぎだよね。これ…。』そうため息混じりに呟いた綾乃だが、料理の出来栄えには満足していた。夫の良一が参加出来ないのは残念だが、夜の食事会が楽しみである事には変りはなかった。
《あっ綾乃さん、こんばんは。どうぞ上がってください。》
夕方、料理の準備を終えた綾乃が、服を着替え、身形(みなり)を整えてから隣の恭子の部屋を訪れた。隣人の部屋とはいえ、あまりラフ過ぎる格好では行けない。特に今日は恭子の彼氏とも初めて顔を会わせる訳なのだから少し気合をいれた。
『うん、料理を作ったからテーブルに運んでいいかな?』
《わぁありがとうございます。私も運ぶの手伝います。》
三往復した綾乃の手料理が次々に恭子の部屋のテーブルに並べられていく。
《やっぱり綾乃さんの料理ってプロ級ですね。どれも本当に美味しそう。それに色彩が方ね感心しちゃいます。》
『フフッそんな事はないけど、今日はいつもより張り切っちゃった。』
《智がさっきメールで≪もうすぐ着く》って送ってきましたから、きっとこんな豪華な料理を見たら絶対に驚きます。》
恭子のその言葉を聞いて、綾乃は良一の事を思い出した。
『あ、そうだ!実はね恭子さん。うちの良一が急な仕事で来られなくなっちゃったのよぉ。』
《え?そうなんですか?それは残念ですね・・・。》
そう言って本当に残念そうな顔をする恭子。そんな恭子の表情を見て、綾乃はそれをフォローするように口を開く。
『でもまぁお隣だしね。またいつでも出来るわ。それより、恭子さんも何か作っていたの?美味しそうな匂いがするわね。』
《えっとぉ・・・簡単なおつまみを。わたし料理はあまり得意ではないので、そのかわりに美味しいお酒用意しました。綾乃さんも今日は大いに飲みましょうね。》
『え~そうなんだぁありがとう。じゃあ今日は良一もいないし、久しぶりにしっかり飲んじゃおうかなぁ、フフッ。』
2015/10/20
『あ~なんか、わたし緊張してきた・・・。』
《そんな緊張するような相手じゃないですよ、智(さとし)は。」
食事会を翌日に控えた夜、藤澤綾乃(あやの:30歳)は明日来る篠原恭子(きょうこ:30歳)の恋人について話をしていた。
『ねぇ、どんな人なの?その三浦(智)さんって方。』
《ん~・・・きっと綾乃さんが思っているような人ではないですよ(笑)。》
『そうかな?私の想像だとやっぱり恭子さんの恋人なんだから、頭が良くて仕事ができて、紳士で・・・。』
《フフッ、全然そんなんじゃ無いですよ。本当の智を見たら綾乃さんビックリするかも。》
『え~そうなんだぁ・・・ねぇねぇ、じゃあ一言で言えばどんな人なの?』
《ん~・・・そうね元気な人・・・かな。》
『え~それじゃちょっと抽象的すぎるよぉ。』
《フフッ、まぁ明日会ってみれば分かりますよ。それまでのお楽しみね。》
少しの緊張を感じながらも、綾乃は明日の新たな出会いへの期待に胸を高鳴らせる。また1人仲の良い友人ができるかもしれないと思うと、嬉しくて仕方なかった。仲良しになっても未だに言葉の中に敬語を交えて話すような真面目な恭子。その恭子の恋人なのだからきっと真面目な男性なのだろうと、綾乃はそう思った。恭子がいくら《そんなんじゃないですよ。》と否定しても、きっと結局は『真面目な人なんだろうなぁ。』と綾乃は予想をしていた。しかし、その綾乃の予想が良い意味でも悪い意味でも裏切られる事になる。
食事会当日、予定外の出来事が1つ起こる。夫の藤澤良一(りょういち:37歳)が突然の仕事がはいり食事会に参加できなくなったのだ。
「仕方ないだろ?なんか現場でトラブルがあったらしいからさ、とりあえず行って来るよ。」
『ん~・・・残念ね。ねぇ良一、何時頃に帰って来れそうなの?』
「どうかな?今は何とも言えないよ。現場に行って直接状況を確認しないとな。」
『そっかぁ・・・気をつけて行ってきてね。』
「あぁ、恭子さんとその彼氏さんにも宜しく言っておいてくれ。」
玄関で仕事に出る夫の良一を見送り、綾乃はキッチンに戻る。食事会で持っていく料理を綾乃は作っていた。今日のは特別に力を入れていたのだ。『良一ったら、よりによってこんな日に仕事が入るなんて…。』料理の中には良一の大好物である唐揚げの南蛮風もある。
『良一が来られないなら絶対作り過ぎだよね。これ…。』そうため息混じりに呟いた綾乃だが、料理の出来栄えには満足していた。夫の良一が参加出来ないのは残念だが、夜の食事会が楽しみである事には変りはなかった。
《あっ綾乃さん、こんばんは。どうぞ上がってください。》
夕方、料理の準備を終えた綾乃が、服を着替え、身形(みなり)を整えてから隣の恭子の部屋を訪れた。隣人の部屋とはいえ、あまりラフ過ぎる格好では行けない。特に今日は恭子の彼氏とも初めて顔を会わせる訳なのだから少し気合をいれた。
『うん、料理を作ったからテーブルに運んでいいかな?』
《わぁありがとうございます。私も運ぶの手伝います。》
三往復した綾乃の手料理が次々に恭子の部屋のテーブルに並べられていく。
《やっぱり綾乃さんの料理ってプロ級ですね。どれも本当に美味しそう。それに色彩が方ね感心しちゃいます。》
『フフッそんな事はないけど、今日はいつもより張り切っちゃった。』
《智がさっきメールで≪もうすぐ着く》って送ってきましたから、きっとこんな豪華な料理を見たら絶対に驚きます。》
恭子のその言葉を聞いて、綾乃は良一の事を思い出した。
『あ、そうだ!実はね恭子さん。うちの良一が急な仕事で来られなくなっちゃったのよぉ。』
《え?そうなんですか?それは残念ですね・・・。》
そう言って本当に残念そうな顔をする恭子。そんな恭子の表情を見て、綾乃はそれをフォローするように口を開く。
『でもまぁお隣だしね。またいつでも出来るわ。それより、恭子さんも何か作っていたの?美味しそうな匂いがするわね。』
《えっとぉ・・・簡単なおつまみを。わたし料理はあまり得意ではないので、そのかわりに美味しいお酒用意しました。綾乃さんも今日は大いに飲みましょうね。》
『え~そうなんだぁありがとう。じゃあ今日は良一もいないし、久しぶりにしっかり飲んじゃおうかなぁ、フフッ。』
2015/10/20
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