長E〖妻が好き過ぎて〗第22回
長E〖妻が好き過ぎて〗第22回
第21回 2017/08/07
『何にもないけどいい?』
〔いいよいいよ、朝ごはんまで、作ってもらうつもり、なかったし・・・実優ちゃんに二度も作って貰えるなんて、感激だよ!〕
間も無く、妻(橋内実優:はしうち・みゆ:27歳)が栗原良純(くりはら・よしずみ:30歳)に食事を持ってきました。
『はい、正人がいつも食べるのと一緒だけど、いい?』
〔うわー、そりゃ感激だー!〕
トーストに雪印のバターを塗って、とろけるチーズを乗せて焼いた物、それに半熟の目玉焼き二個野菜サラダにベーコンにブラックコーヒー・・・。全く同じ・・・。何故か私(橋内正人:はしうち・まさと:30歳)は猛烈に嫉妬します。
〔実優ちゃんは食べないの? いつもは食べないの?〕
『ん~ん、いつも、正人に食べさせながら食べていくヨ!』
〔エー、正人さんは食べさせてもらってんの? いいなー!〕
『だってー、寝ぼけてて食べないんだもん。』
〔うわー! ご馳走様だな、こりゃー。〕
『キャハハ!』
無邪気に笑った実優でしたが、急に顔を両手で覆い、黙ってしまいました。みるみる涙が出てきます。〔どうしたの?〕と、栗原が慌てました。『ん~ん。』って実優は、首を振っています。〔大丈夫?〕と言って栗原は実優の肩に手をかけようとしました。すると、『もう、やめて!』そう言って実優は又寝室に入ってしまいます。
〔実優ちゃん!〕と、慌てて栗原が声をかけますが、寝室の襖は勢い良く閉められてしまいました。驚いた栗原が〔どうしたの?!〕と言いながら慌てて腰を上げ様とした時、『ウウゥ・・。』って、実優の押し殺す様な泣き声が聞こえてきます。
私たちは結婚前に、ある事情が有り、困難な場面も多かったために、何度も実優の泣く姿を見てきました。結婚を諦めかけた事もあり、それだけに、夜中に目が覚めて、隣に実優がいる事に信じられない程の感激を感じる事が有り、そんな時、不思議と実優も目が覚めます。そして、思いっきり抱きしめあう事が度々有りました。
それにしても、実優の、こんなに苦しむような泣き声は聞いた事がありません。栗原も青ざめて固まってしまいました。私は初めて自分の犯した罪に気付きます。私が止めなかった為に、実優をこんなに苦しめる事になってしまった事に、初めて気付きました。
実優の泣き声が一段と大きくなります。襖を突き破って実優を抱きしめてやりたい衝動にかられますが、どうしても襖を開ける勇気が出ません。《結婚の時、何が何でも実優を守り抜いていこうとの想いは、いったい何処へ行ってしまったんだろう・・・?》今行けば、昨夜からの狂乱の記憶が、少なくとも二人の間からは清算出来る様な気さえしました・・・。それでも、どうしても襖を開けることが出来ません。
《何を恐れているんだろう・・・。栗原か?》高校時代にある事があってから、私を正人サン、正人サンとサン付けで呼ぶようになり、私も弟みたいに可愛がってきた栗原を、恐れる筈もありません。《恥ずかしさか?》確かにこんな押入れの中に入っていて、出て行く格好悪さは、未体験ゾーンです。『正人サン、何やってるの?』・・・。想像するだけでも恐ろしい・・・。しかし、それでも《恥ずかしさで実優を救えないのか!》必死に自問自答を繰り返しました。 第23回に続く
2018/08/24
第21回 2017/08/07
『何にもないけどいい?』
〔いいよいいよ、朝ごはんまで、作ってもらうつもり、なかったし・・・実優ちゃんに二度も作って貰えるなんて、感激だよ!〕
間も無く、妻(橋内実優:はしうち・みゆ:27歳)が栗原良純(くりはら・よしずみ:30歳)に食事を持ってきました。
『はい、正人がいつも食べるのと一緒だけど、いい?』
〔うわー、そりゃ感激だー!〕
トーストに雪印のバターを塗って、とろけるチーズを乗せて焼いた物、それに半熟の目玉焼き二個野菜サラダにベーコンにブラックコーヒー・・・。全く同じ・・・。何故か私(橋内正人:はしうち・まさと:30歳)は猛烈に嫉妬します。
〔実優ちゃんは食べないの? いつもは食べないの?〕
『ん~ん、いつも、正人に食べさせながら食べていくヨ!』
〔エー、正人さんは食べさせてもらってんの? いいなー!〕
『だってー、寝ぼけてて食べないんだもん。』
〔うわー! ご馳走様だな、こりゃー。〕
『キャハハ!』
無邪気に笑った実優でしたが、急に顔を両手で覆い、黙ってしまいました。みるみる涙が出てきます。〔どうしたの?〕と、栗原が慌てました。『ん~ん。』って実優は、首を振っています。〔大丈夫?〕と言って栗原は実優の肩に手をかけようとしました。すると、『もう、やめて!』そう言って実優は又寝室に入ってしまいます。
〔実優ちゃん!〕と、慌てて栗原が声をかけますが、寝室の襖は勢い良く閉められてしまいました。驚いた栗原が〔どうしたの?!〕と言いながら慌てて腰を上げ様とした時、『ウウゥ・・。』って、実優の押し殺す様な泣き声が聞こえてきます。
私たちは結婚前に、ある事情が有り、困難な場面も多かったために、何度も実優の泣く姿を見てきました。結婚を諦めかけた事もあり、それだけに、夜中に目が覚めて、隣に実優がいる事に信じられない程の感激を感じる事が有り、そんな時、不思議と実優も目が覚めます。そして、思いっきり抱きしめあう事が度々有りました。
それにしても、実優の、こんなに苦しむような泣き声は聞いた事がありません。栗原も青ざめて固まってしまいました。私は初めて自分の犯した罪に気付きます。私が止めなかった為に、実優をこんなに苦しめる事になってしまった事に、初めて気付きました。
実優の泣き声が一段と大きくなります。襖を突き破って実優を抱きしめてやりたい衝動にかられますが、どうしても襖を開ける勇気が出ません。《結婚の時、何が何でも実優を守り抜いていこうとの想いは、いったい何処へ行ってしまったんだろう・・・?》今行けば、昨夜からの狂乱の記憶が、少なくとも二人の間からは清算出来る様な気さえしました・・・。それでも、どうしても襖を開けることが出来ません。
《何を恐れているんだろう・・・。栗原か?》高校時代にある事があってから、私を正人サン、正人サンとサン付けで呼ぶようになり、私も弟みたいに可愛がってきた栗原を、恐れる筈もありません。《恥ずかしさか?》確かにこんな押入れの中に入っていて、出て行く格好悪さは、未体験ゾーンです。『正人サン、何やってるの?』・・・。想像するだけでも恐ろしい・・・。しかし、それでも《恥ずかしさで実優を救えないのか!》必死に自問自答を繰り返しました。 第23回に続く
2018/08/24
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