長Y〖彼女の恋〗パート54
長Y〖彼女の恋〗パート54
パート53 2017/12/22
そんな時、彼女(新島七海:にいじま・ななみ)が、『・・そろそろ、向かっとく?・・待ち合わせ、遅れちゃうよ。』って、・・もう動き始めた時計は止められないようです。僕(柴崎孝信:しばさき・たかのぶ)と七海は松嶋晃司(まつしま・こうじ:46歳)さんとの待ち合わせ場所である都内の駅へ向かいました。約束の時間より少し前に着いたのですが、松嶋さんはすでに待ってくれています。
「・・す、すみません・・・。あの・・松嶋さんですか?〕
挙動不審な僕にニッコリ笑顔を向けて、
〔おぉぉ、柴崎さんですか? 初めまして松嶋です。〕
とても爽やかな声と動作で挨拶を返してきてくれました。写メや電話での印象とほぼ一緒でしたが、一つ意外だったのは背が僕より低かったことです。
〔わぁぁ、七海さん・・綺麗ですねぇ。今日はよろしくお願いします。〕
『・・あっ、はい! 頑張ります!!』
慌てて応える七海の返答に、僕と松嶋さんは思わず笑ってしまった。僕らは軽い挨拶のあと、松嶋さんが知っている、早い時間から営業している居酒屋へ3人で向かいます。
居酒屋での松嶋さんは本当に愉快な方でした。話し方がおもしろく、いろいろな所に気を使ってくださいます。僕は何もせず、ただただ楽しく飲んで話していました。七海も最初こそ緊張からぎこちなかったのですが、時計が進むにつれて笑顔が増えていきます。
松嶋さんの人柄に僕は、《なんか普通に楽しいなぁ・・。》なんて思いながらトイレに立ちました。
「ちょっとすみません。トイレに行ってきます。」
〔はいはい七海ちゃんはわたしに任せてごゆっくりぃ。〕
七海は松嶋さんと楽しそうに僕を見送ります。
トイレは混んでいて、そのため少し経ってから席に戻りました。すると・・松嶋さんが僕の居た席に座っていたのです。それも七海の隣でした・・・。僕がどうしたものかと考えていると、七海が僕に気づきます。
『・・あっ♪ 孝信くん、お帰りなさぁい♪』
それで松嶋さんも気がつきました。
〔あっ、すみません。孝信くん勝手に席替えしちゃいました。七海ちゃんともう少し分かり合いたいとおもって・・。〕
「あぁ、なるほど。いいですよ。僕のことは気にしないで下さい。」
と言って、僕は2人の向かい側に座ります。 パート55に続く
2019/01/25
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