長Y〖彼女の恋〗パート55
パート54 2019/01/25
[あっ、すみません。孝信くん勝手に席替えしちゃいました。七海ちゃんともう少し分かり合いたいとおもって・・。]
「あぁ、なるほど。いいですよ。僕のことは気にしないで下さい。」
と言って、僕(柴崎孝信:しばさき・たかのぶ)は2人の向かい側に座りました。
松嶋(晃司:まつしま・こうじ:46歳)さんはカラダを新島七海(にいじま・ななみ)の方に向けて話しています。まるで、僕はそこに居ないかのようでした。そんな僕を気づかって七海がたまに僕に話しを振ってくれるのが逆にせつなかったのです。
僕が七海の表情に気づいたのはしばらく経ってからでした。松嶋さんは相変わらず話し続けていますが、七海は口数少なく笑顔が固い気がします。しかし、お酒のせいか顔も赤く、目を見ると潤んでいて・・それが綺麗でした。
七海が僕を見つめるので、僕と七海の視線が絡まった時です。松嶋さんが僕の方を向いて、
[いやぁ、孝信くん。七海ちゃんは本当に綺麗ですねぇ♪ あまり酔い過ぎてもダメだし、七海ちゃんももう準備万端みたいだから、そろそろ行きますか?]
《準備万端?》
僕はその意味がよくわかりませんでした。
「・・はい。そうしますか・・。」
いよいよという事もあり、僕はあまり深く考える余裕はありません。
居酒屋のお会計は松嶋さんがしてくれました。そして、僕達は複数人で入れるラブホテルのドアをくぐったのです。三人は松嶋さんの選んでくれた部屋に入りました。部屋の中は赤を基調にした、いかにもラブホテルという妖しい雰囲気です。ドアが開いた瞬間、七海が僕の手をギュッと握ったことで七海の緊張が伝わりました。僕は不安と期待と後戻り出来ない焦りで心臓が喉まで上がって来ているような気持ちになります。
松嶋さんは笑顔でテキパキと動き、冷蔵庫からお茶を出して用意してくれたり、お風呂を見に行ってくれたりと、不慣れな僕達を常にリードしてくれました。僕はソファでお茶を口に運び一息つきます。
[それじゃあ、心の準備も兼ねまして、お二人でお風呂行っちゃって下さい。]
僕と七海は借りてきた猫のように従いました。
「そ、それじゃあ・・お言葉に甘えて・・。」
と、言って、いそいそとお風呂場へ2人で移動します。そこに脱衣場があり、ドアを閉めた途端に七海が僕に抱きついて来ました。 パート56へ続く
- 関連記事
-
- 長Y〖彼女の恋〗パート48 (2016/10/04)
- 長Y〖彼女の恋〗パート49 (2016/10/11)
- 長Y〖彼女の恋〗パート50 (2016/10/31)
- 長Y〖彼女の恋〗パート51 (2016/12/08)
- 長Y〖彼女の恋〗パート52 (2017/04/15)
- 長Y〖彼女の恋〗パート53 (2017/12/22)
- 長Y〖彼女の恋〗パート54 (2019/01/25)
- 長Y〖彼女の恋〗パート55 (2019/01/26)
- 長Y〖彼女の恋〗パート56 (2019/02/14)
- 長Y〖彼女の恋〗パート57 (2019/03/10)
- 長Y〖彼女の恋〗パート58 (2019/04/05)
- 長Y〖彼女の恋〗パート59 (2019/04/28)
- 長Y〖彼女の恋〗パート60 (2019/07/12)
- 長Y〖彼女の恋〗パート61 (2019/07/20)
- 長Y〖彼女の恋〗パート62 (2019/07/31)