短Ⅳ15〚情婦〛第11話
第10話 20190203
「明日、あいつ(石井卓司:いしい・たくじ:41歳)にこんな風に抱いてもらえるんだぞ。ほら、あいつに、こうして・・・。」私(服部則之:はっとり・のりゆき:41歳)はそう言いながら妻(服部有紀子:はっとり・ゆきこ:37歳)の体の中に噴き出すように精液を放出する。さらに腰を強く押しつけ、精液を放出しながら私は言った。「こうやって、中に出してもらえるぞ、うれしいだろ?」有紀子はその瞬間に云う。そして、とうとう『うん、うれしい。』って答える。
終えたあと、私は冷静に戻ったが気持ちは変わらなかった。もしかしたら今日で私たち夫婦のセックスは最後になるかもしれない。石井に抱かれたら、妻は石井について行ってしまいかもしれないからだ。だから、石井が離婚したことは妻には言いたくなかったが、妻の心を動かすにはそれしかない。最悪の場合は私が捨てられることになるが、それよりも興奮への期待の方が大きかった。有紀子も『たとえ石井さんに抱かれてもそんなことは絶対にないわ。』って言う。しかし、私たち夫婦には子供がいなかったし、女の気持ちなど変わりやすいものだ。万一、石井とのセックスで妊娠すれば、妻は石井のもとに行ってしまうものと覚悟する。
翌日、午後6時過ぎ、石井が訪ねてきた。手にはワインを持っている。自分が送別されるくせにワインを持参でくるところは、やはり妻にとって後ろめたいところがあるからか、私に対する気づかいか。それで始めのうちぎこちなかった会話も、昔話をするうちに和み始めた。まだ会社が合併する前の、それぞれの会社の内輪話などで盛り上がる。有紀子の料理は評判がよく、石井も遠慮なく箸を延ばした。
〔有紀子ちゃん、料理が上手になったね。〕と、石井は妻を下の名前で呼ぶ。『そう? じゃあ昔は下手だったってこと?(笑)』そんな2人だけの会話があった。2人はつき合っていたのだから、妻の手料理を石井が食べたことがあっても不思議ではない。若い頃の有紀子が、慣れない手つきで石井のために料理を作っている姿を想像した。
〔有紀子ちゃんは昔と変わらないな。すごく綺麗だよ。〕
「おいおい、今は俺の女房なんだ。お世辞を言ってもだめだぞ。」
〔いやいや、本当に綺麗だ。君が羨ましいよ。〕
『だったらどうして捨てたのよ・・・。連絡もくれなかったくせに・・・。』
〔あ、それを言われると辛いな・・・。〕
「まあまあ、そういう意味も含めて送別会なんだけど、恨み話はやめような。」
妻もワインがかなり入って、愚痴っぽいことを言い出した。有紀子には席を外させて、私と石井で話を続ける。石井の転勤先の自然環境、取引先の名物社長の悪口、今の若者のだらしなさ、いろんな話で盛り上がった。妻もキッチンから時々口を挟んだりする。石井が持参したワインも残り少なくなったころに私がこう言った。 第12話へ続く
20190216
- 関連記事
-
- 短Ⅳ7〖性の相性〗第5話 (2018/12/02)
- 短Ⅳ22《うちの妻は大丈夫?》第2回 (2018/12/03)
- 短Ⅳ22《うちの妻は大丈夫?》第3回 (2018/12/04)
- 短Ⅳ8[嫁を抱かせる]その10回 (2018/12/12)
- 短Ⅳ1「写真を撮りたいな」パート17 (2018/12/15)
- 短Ⅳ1「写真を撮りたいな」パート18 (2019/01/24)
- 短Ⅳ15〚情婦〛第10話 (2019/02/03)
- 短Ⅳ15〚情婦〛第11話 (2019/02/16)
- 短Ⅳ15〚情婦〛第12話 (2019/02/22)
- 短Ⅳ15〚情婦〛第13話 (2019/02/24)
- 短Ⅳ8[嫁を抱かせる]その11回 (2019/03/16)
- 短Ⅳ22《うちの妻は大丈夫?》第4回 (2019/03/17)
- 短Ⅳ21『あなたが望むことなら。』8話 (2019/04/01)
- 短Ⅳ21『あなたが望むことなら。』9話 (2019/04/03)
- 短Ⅳ21『あなたが望むことなら。』10話 (2019/05/13)