短Ⅲ5〖あなた。よく見ていてね!〗第7回
短Ⅲ5〖あなた。よく見ていてね!〗第7回
第6回 20181211
妻(青葉沙織:あおば・さおり:28歳)の白い肌とセクシーなボディラインはますます色っぽさに磨きをかけ、男性の目を引きつけるのには十分です。そんな身体を、沙織は僕(青葉博史:あおば・ひろし:29歳)に見せつけていました。
『どう?』
僕以外の男(坂口省吾:さかぐち・しょうご:25歳)に会う為に着た服の感想を、夫である僕に求めてきたのです。
「あ・・ああ・・・ 綺麗だよ・・・。」
僕はそう言うしか無かった自分に興奮した。
『ふふ・・ありがとう。』
ノースリーブのシャツに包まれた豊かな乳房が、沙織の歩調に合わせて上下に揺れます。この身体が他の男のものになった事実。そして、これからまた他の男のものになる事実。昨日までの夫婦関係からは考えられない事でした。
『じゃあ、行ってくるわね。』
そう言うと、妻はハンドバッグを掴み、玄関へと歩き始めます。そんな沙織の後ろ姿を見
送る夫・・・。堪らない気持ちがこみ上げて来ました。
「待ってくれ!」
僕は思わず、沙織の後ろ姿に声をかけます。
『え?』
沙織が振り向きました。
「あのさ・・もう、こんな事止めよう・・・謝るから。俺が悪かったから・・・。俺、俺・・・ 沙織の後ろ姿見送るなんて・・・辛くて、出来ないよ。」
僕は顔を顰めながら告白します。
しかし、妻の沙織は僕が苦しそうな表情をすればするほど嬉しそうでした。
『うん、でも約束しちゃったから仕方ないでしょ? 諦めてね。もともとあなたが悪いん
だからね・・。』
「あ、あの・・。」
『約束の時間に遅れちゃうわ。じゃあいってきまーす。』
沙織は僕が次の言葉をかける前に、玄関から出て行きました。そこには、閉じられた後のドアを呆然と見つめる僕が立っているだけです。
時刻は午後9時。妻が出ていってからの数時間が、僕にとってとてつもなく長い時間に感じました。室内が異様に静かに感じ、時計の秒針の音だけが聞こえます。僕は椅子に腰掛け、テーブルの上で両手を組み、色んな想像を巡らせていました。《今ごろ沙織は・・・。》と想像するだけでいてもたってもいられない気分になります。 第8回へ続く
20190628
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