短Ⅲ21《交わり》8回
短Ⅲ21《交わり》8回
7回 20190325
妻(南野佐智子:みなみの・さちこ:36歳)はリビングで寝たのか朝まで寝室には戻りません。その日は休日だったので昼近くに起きると、すでに姿は見えませんでした。私(南野孝之:みなみの・たかゆき:36歳)は、《佐智子を他人に抱かせたい・・。》と考えます。しかし妻に嫌な思いをさせて、夫婦仲を険悪にしてまでする事ではないと思いました。
《佐智子には二度と、他人に抱かせる話はしない・・。》そんな事を考えていた夕方、妻が帰宅します。私は佐智子に謝ろうと出迎えました。
「佐智子・・あのさ・・。」
言いかけると、妻は私の顔を見て口を開きます。
『タカくん・・他の人とするって話だけど・・してもいいよ・・。』
予想外の佐智子の言葉に私が戸惑ってしまいました。妻は続けて言います。
『昨日の夜、あれからずっと考えてたのね・・タカくんがどうしてそんなに他の人とさせたがるのかな・・とか。私が他の人としても嫌じゃないのかな・・って。でもタカくんがそれで興奮できて、何かの刺激になるんだったらそれもいいのかな・・。正直、私もタカくんしか知らないわけでしょ・・ 不倫とか浮気するのは嫌だけど、タカくんが望んでする事だったら一度くらいは良いかなって・・。』
佐智子の言葉に、何も返せませんでした。
予想外な妻の答えと、佐智子の健気な思いに、感傷的な気持ちになります。それもし
妻の承諾が得られた事で、森下聡史(もりした・さとし:37歳)との連絡も頻繁に取るようになります。決行は9月の最後の土曜日としました。その前の週の土曜日、森下と最終打ち合わせの為に、二人で会います。佐智子も誘ったのですが、『事前に会うのは恥ずかしい。』って言うので、森下との対面は当日まで持ち越しとなりました。
初めて森下に、妻を抱いて欲しいと打ち明けた居酒屋で会います。決行を翌週に控えて、私は少し緊張していました。森下にしても、他人の妻をその夫公認で抱く、そんな経験は初めてでしょうから、それまでとは違う緊張した雰囲気を感じます。
酒を酌み交わしながら、森下と打ち合わせを進めました。場所は妻の唯一の希望で、自宅は避けます。佐智子としては、夫婦の寝室で他人に抱かれるのは嫌だという思いがあるようでした。自宅から車で一時間半くらい走った所に温泉地があり、私と妻が年に何回かデートをする馴染みの場所です。そこの旅館に一泊する事にしました。 9回に続く
20190327
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