中9〖妻の写真集〗 Vol.10
中9〖妻の写真集〗 Vol.10
はじめは妻の杏璃(あんり)から言い出した30歳を記念するヌード写真集の話だったが、いつしか、それに対する情熱は、妻よりはるかに私(水沢修平31歳)の方が大きく上回ってきていました。私は揺れ動く杏璃の心を思うと、締め付けられるほどせつない思いが込み上げてきて、今すぐにでも妻を抱きしめたい気持ちにかられました。
いつもの時間に寝室に入ると、私は自分の興奮を鎮めるようにベッドで静かに目をつむり
ました。《広田君の筋肉質な裸体の前に立つ全裸の妻。なぜか二人は立ったまま向かい合い、唇を重ねる。杏璃の口からは甘い吐息が漏れ、恍惚の表情を見せていく。広田君の手は妻の乳房をつかむと、その先端のつぼみを摘む。それに反応した杏璃は大きな吐息を漏らして天を仰ぐ。広田君はそのつぼみを舌で転がしながらその手を妻の秘部に差し込む。》
そこで私は目が覚めました。隣のベッドには静かに寝息をたてている妻の杏璃がいます。私は今すぐにも杏璃のベッドに入り込みたい気持ちで一杯でした。寝ている妻を起こし、私の性欲を果たしたい。我慢できず、私は自分のベッドから出ようとしました。しかし、その瞬間、別のことが私の頭をよぎったのです。
《私はやはり今回のことを自分の性的欲求に使っているだけなのか?妻の純粋な気持ちを踏みにじって。今ここで杏璃と交われば、さっき言った言葉(「杏璃の30歳という節目の歳に作るこの世でたった一つの写真集なんだよ。だったら出来るだけ良いものにしようよ。」)は全て虚になってしまう。)》私は踏みとどまります。そして、撮影が終わるまでは決して妻の身体には触れないと、心に誓いました。
いよいよ撮影の当日になりました。その日は汗ばむ陽気でした。身支度を整え、午前9時に写真館に向かうとすでに浜崎美佳(みか)さんや満(みつる)さん夫妻も来ています。妻の杏璃は緊張のせいか朝からほとんど言葉を出す事はありませんでした。こころなしか上気したように見える妻の顔は、はりつめたような美しさが漂っています。写真館に到着し、挨拶もそこそこに私たちはスタジオに通されました。
〔それじゃ奥様はあちらで仕度してきましょう。僕はこれでもスタイリストの勉強もしていますから。〕
広田君はそう言うと妻をエスコートして奥の控え室に入っていきます。プロのカメラマンを目指し働きながら専門学校に通い、自らもモデルをしたり、またスタイリストの勉強までしている。私は自分よりも若い広田君の引き出しの多さにただ感心するだけでした。
「ちょっと、満は無理言って見学させてもらってる身なんだから、興奮しすぎて変な事しないでよね!」と美佳さんがご主人の満さんに注意をしている。
「わかってるって!いちいちうるせーなー。」
私たちはスタジオの後ろに置かれていたパイプイスに腰をおろして、これから行われる撮影を静かに待つだけでした。
〚今日は私も助手の広田くんも気合が入っています。電話でもお伝えしましたが、今日は衣装などの撮影は予定していません。ヌードメインで行きますが、奥さんの気持ちがのるまでは今日の洋服のままスナップを撮ります。それでは準備が出来るまでもう少しそのままでお待ちください。〛
小松氏は私たち三人にそう言うと、妻のいる控え室に入っていきました。
「ちょっと!満(みつる)どこ押えているのよ!もう興奮してるの?今朝2回もしてきたくせに!」
「うるせーなー美佳!これは男のさがなんだからしかたねーだろー!」
言いたい事を本気で言い合える浜崎夫婦は、傍目にはコミカルに見えるでしょうが、やはり私にとってはうらやましいご夫婦でした。
ほどなくすると広田君が妻の杏璃を連れて控え室から出てきました。広田君の手によってヘアースタイルや薄化粧が整えられ、さらに杏璃の美しさが強調されています。例えるなら、女優の平愛梨(たいら・あいり)に似ていました。
2015/06/09
はじめは妻の杏璃(あんり)から言い出した30歳を記念するヌード写真集の話だったが、いつしか、それに対する情熱は、妻よりはるかに私(水沢修平31歳)の方が大きく上回ってきていました。私は揺れ動く杏璃の心を思うと、締め付けられるほどせつない思いが込み上げてきて、今すぐにでも妻を抱きしめたい気持ちにかられました。
いつもの時間に寝室に入ると、私は自分の興奮を鎮めるようにベッドで静かに目をつむり
ました。《広田君の筋肉質な裸体の前に立つ全裸の妻。なぜか二人は立ったまま向かい合い、唇を重ねる。杏璃の口からは甘い吐息が漏れ、恍惚の表情を見せていく。広田君の手は妻の乳房をつかむと、その先端のつぼみを摘む。それに反応した杏璃は大きな吐息を漏らして天を仰ぐ。広田君はそのつぼみを舌で転がしながらその手を妻の秘部に差し込む。》
そこで私は目が覚めました。隣のベッドには静かに寝息をたてている妻の杏璃がいます。私は今すぐにも杏璃のベッドに入り込みたい気持ちで一杯でした。寝ている妻を起こし、私の性欲を果たしたい。我慢できず、私は自分のベッドから出ようとしました。しかし、その瞬間、別のことが私の頭をよぎったのです。
《私はやはり今回のことを自分の性的欲求に使っているだけなのか?妻の純粋な気持ちを踏みにじって。今ここで杏璃と交われば、さっき言った言葉(「杏璃の30歳という節目の歳に作るこの世でたった一つの写真集なんだよ。だったら出来るだけ良いものにしようよ。」)は全て虚になってしまう。)》私は踏みとどまります。そして、撮影が終わるまでは決して妻の身体には触れないと、心に誓いました。
いよいよ撮影の当日になりました。その日は汗ばむ陽気でした。身支度を整え、午前9時に写真館に向かうとすでに浜崎美佳(みか)さんや満(みつる)さん夫妻も来ています。妻の杏璃は緊張のせいか朝からほとんど言葉を出す事はありませんでした。こころなしか上気したように見える妻の顔は、はりつめたような美しさが漂っています。写真館に到着し、挨拶もそこそこに私たちはスタジオに通されました。
〔それじゃ奥様はあちらで仕度してきましょう。僕はこれでもスタイリストの勉強もしていますから。〕
広田君はそう言うと妻をエスコートして奥の控え室に入っていきます。プロのカメラマンを目指し働きながら専門学校に通い、自らもモデルをしたり、またスタイリストの勉強までしている。私は自分よりも若い広田君の引き出しの多さにただ感心するだけでした。
「ちょっと、満は無理言って見学させてもらってる身なんだから、興奮しすぎて変な事しないでよね!」と美佳さんがご主人の満さんに注意をしている。
「わかってるって!いちいちうるせーなー。」
私たちはスタジオの後ろに置かれていたパイプイスに腰をおろして、これから行われる撮影を静かに待つだけでした。
〚今日は私も助手の広田くんも気合が入っています。電話でもお伝えしましたが、今日は衣装などの撮影は予定していません。ヌードメインで行きますが、奥さんの気持ちがのるまでは今日の洋服のままスナップを撮ります。それでは準備が出来るまでもう少しそのままでお待ちください。〛
小松氏は私たち三人にそう言うと、妻のいる控え室に入っていきました。
「ちょっと!満(みつる)どこ押えているのよ!もう興奮してるの?今朝2回もしてきたくせに!」
「うるせーなー美佳!これは男のさがなんだからしかたねーだろー!」
言いたい事を本気で言い合える浜崎夫婦は、傍目にはコミカルに見えるでしょうが、やはり私にとってはうらやましいご夫婦でした。
ほどなくすると広田君が妻の杏璃を連れて控え室から出てきました。広田君の手によってヘアースタイルや薄化粧が整えられ、さらに杏璃の美しさが強調されています。例えるなら、女優の平愛梨(たいら・あいり)に似ていました。
2015/06/09
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