中14〖恋に恋した妻〗PART18
中14〖恋に恋した妻〗PART18
もう妻の咲希(さき:29歳)と河野哲平(てっぺい:27歳)は会っていない。しかし、僕(波戸真一:はと しんいち29歳)がPCで取得したフリーメールで哲平を騙(かた)って咲希とメールをしていた。≪なんでPCからのメールなの?≫といいう咲希の問いからは、僕(偽の哲平)が、≪携帯のメールだと彼女にばれそうなので。≫といった感じの返答をする。その説明で咲希も特に疑う様子はなく、僕が扮する偽哲平とメール交換を応じてくれた。
哲平はこの事を了承してくれてはいるものの、内容には一切ノータッチです。万が一に僕が居ないところで、咲希と哲平がばったり街中で出くわしても、「適当に誤魔化してくれ」と言ってある。実際、哲平は哲平で例の気になる娘と順調に親密になれているようで、この件とはもう関わりたくは無いそうだから利害は一致している。僕と哲平の友人関係については、以前と変わらぬままだ。
結果からいうと、他人の立場から咲希とメールをするというのは物凄く新鮮で、そして刺激的だった。メール交換を繰り返す内に、自分がまるで本当に哲平になったかのように感じる時もあり、こっちの≪また会いたい。≫という誘いに対し、咲希が拒否をすると咲希の夫(すなわち僕のことだが)に対して凄まじい嫉妬を覚え、咲希をやっきになって口説こうと熱くもなる。要はまるで付き合う前の片思い状態を思い出す。
その逆に咲希が哲平(本物)を褒(ほ)めるような事があれば、哲平の役になりきっている僕は、僕自身に対して寝取ってやったと優越感も抱くこともあるし、さらには本来の僕の立場としては、《咲希を取り戻したい》という強い思いに駆られ、それがまるで結婚前に恋愛をしていた頃のように、咲希への気持ちを募らせることになる。
自分で書いていて分裂病というか、サイコホラーな感じがするが、別にそんな危うい精神状態では無いということだけは一応きちんと記しておきたい。要するに、この遊びに真剣にのめり込んでいたということ。他人の立場で咲希を口説くというのは、まさに自作自演だが、本当に楽しかった。実際咲希を抱かせることに比べると、リスクは無いと言ってもいいし、色々な興奮を楽しめる。でも、それももう終わりにしようと思っている。
それにはいくつか理由があって、まず一つは咲希が思っていた以上に哲平を男性として気に入っていたことがわかったからだ。その他には、前述した通り、自分も少々のめり込みすぎた部分があるので、《そろそろ自制を利かさないと不味い》と思い始めたからである。
最初はせいぜい2~3往復くらいの他愛の無いメールだった。はじめから≪やっぱりまた会いたい。≫と咲希に送って、引かれては元も子もない。(と言いつつも)実際に試すつもりで一度そのようなメールを送ったが、咲希ははっきりと断ってくれた。
とはいえ以前もそんな感じの対応だったのに、結局顔を合わしてしまうと、最後までしてしまっているので、咲希の拒絶は決して見せ掛けだけ、とまでは言わないものの、そこまで絶対的なものではないのだろう。なにより他の男の立場から咲希とメールをするという状況は、特に突っ込んだ会話じゃなくとも、とても刺激的で面白かった。また色々と本音も聞けた・・・。
その内容の多くは、やはり共通の話題になりやすい僕(真一)に関することで、最初は家と会社での違いなんかを冗談交じりに言い合った。当たり前だが咲希は僕に対して好意的な意見(というかぶっちゃけノロケ)を送ってくれていたし、それが照れくさい僕は、真一自身を腐すような返信をすると、少し怒ったような文面が届いたりもしたが、それは素直に嬉しかった。
咲希は長々とメールをするのが好きじゃない。しかし、その辺りも、メール交換を続ける内に変化をしていった。もしかしたら、本来はそんなこともなかったのかもしれない。そんな他愛の無いメール交換を続けるうちに、咲希の中でも浮気をした罪悪感が徐々に薄れていったのだろう。メールの内容は少しずつ、僕と咲希の夜の生活や、哲平との比較に話が及ぶようになっていった。
2015/09/14
もう妻の咲希(さき:29歳)と河野哲平(てっぺい:27歳)は会っていない。しかし、僕(波戸真一:はと しんいち29歳)がPCで取得したフリーメールで哲平を騙(かた)って咲希とメールをしていた。≪なんでPCからのメールなの?≫といいう咲希の問いからは、僕(偽の哲平)が、≪携帯のメールだと彼女にばれそうなので。≫といった感じの返答をする。その説明で咲希も特に疑う様子はなく、僕が扮する偽哲平とメール交換を応じてくれた。
哲平はこの事を了承してくれてはいるものの、内容には一切ノータッチです。万が一に僕が居ないところで、咲希と哲平がばったり街中で出くわしても、「適当に誤魔化してくれ」と言ってある。実際、哲平は哲平で例の気になる娘と順調に親密になれているようで、この件とはもう関わりたくは無いそうだから利害は一致している。僕と哲平の友人関係については、以前と変わらぬままだ。
結果からいうと、他人の立場から咲希とメールをするというのは物凄く新鮮で、そして刺激的だった。メール交換を繰り返す内に、自分がまるで本当に哲平になったかのように感じる時もあり、こっちの≪また会いたい。≫という誘いに対し、咲希が拒否をすると咲希の夫(すなわち僕のことだが)に対して凄まじい嫉妬を覚え、咲希をやっきになって口説こうと熱くもなる。要はまるで付き合う前の片思い状態を思い出す。
その逆に咲希が哲平(本物)を褒(ほ)めるような事があれば、哲平の役になりきっている僕は、僕自身に対して寝取ってやったと優越感も抱くこともあるし、さらには本来の僕の立場としては、《咲希を取り戻したい》という強い思いに駆られ、それがまるで結婚前に恋愛をしていた頃のように、咲希への気持ちを募らせることになる。
自分で書いていて分裂病というか、サイコホラーな感じがするが、別にそんな危うい精神状態では無いということだけは一応きちんと記しておきたい。要するに、この遊びに真剣にのめり込んでいたということ。他人の立場で咲希を口説くというのは、まさに自作自演だが、本当に楽しかった。実際咲希を抱かせることに比べると、リスクは無いと言ってもいいし、色々な興奮を楽しめる。でも、それももう終わりにしようと思っている。
それにはいくつか理由があって、まず一つは咲希が思っていた以上に哲平を男性として気に入っていたことがわかったからだ。その他には、前述した通り、自分も少々のめり込みすぎた部分があるので、《そろそろ自制を利かさないと不味い》と思い始めたからである。
最初はせいぜい2~3往復くらいの他愛の無いメールだった。はじめから≪やっぱりまた会いたい。≫と咲希に送って、引かれては元も子もない。(と言いつつも)実際に試すつもりで一度そのようなメールを送ったが、咲希ははっきりと断ってくれた。
とはいえ以前もそんな感じの対応だったのに、結局顔を合わしてしまうと、最後までしてしまっているので、咲希の拒絶は決して見せ掛けだけ、とまでは言わないものの、そこまで絶対的なものではないのだろう。なにより他の男の立場から咲希とメールをするという状況は、特に突っ込んだ会話じゃなくとも、とても刺激的で面白かった。また色々と本音も聞けた・・・。
その内容の多くは、やはり共通の話題になりやすい僕(真一)に関することで、最初は家と会社での違いなんかを冗談交じりに言い合った。当たり前だが咲希は僕に対して好意的な意見(というかぶっちゃけノロケ)を送ってくれていたし、それが照れくさい僕は、真一自身を腐すような返信をすると、少し怒ったような文面が届いたりもしたが、それは素直に嬉しかった。
咲希は長々とメールをするのが好きじゃない。しかし、その辺りも、メール交換を続ける内に変化をしていった。もしかしたら、本来はそんなこともなかったのかもしれない。そんな他愛の無いメール交換を続けるうちに、咲希の中でも浮気をした罪悪感が徐々に薄れていったのだろう。メールの内容は少しずつ、僕と咲希の夜の生活や、哲平との比較に話が及ぶようになっていった。
2015/09/14
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