中23<気持ち>第6回
中23<気持ち>第6回
彼女(一色亜希40歳)と過ごした時間を思い出しながら私(来栖正敏:くるす・まさとし43歳)が車を運転していると、妻の有紀(ゆき39歳)から電話が掛かってきました。
『貴方、今何処?ごめんなさい。急に打ち合わせが入っちゃって携帯の電源を切っちゃたの。こんなに時間が掛かると思わなかったものだから。本当にごめんね。これからなにか食べにいく?』
《何が打ち合わせだ!》心の奥深くから怒りがこみ上げてきます。
「もう食ったよ。帰っている途中だ。お前も直ぐ帰ってこい。話があるんでな。」
私の言葉に怒気が含まれていたのでしょう。
『・・・そう・・・急いで帰る・・・ごめんなさいね・・・。』
何かを感じたようです。嘘を見破られたと思ったかもしれません。そうなら色々な言い訳
を考えて帰ってくるのでしょう。私は正面からぶつかってみるつもりです。
私がマンションの駐車場に車を止めていると妻が迎えに出てきました。亜希のアパートは中心地から離れているので、妻の方が帰りは早かったのです。
『お帰りなさい。せっかく誘ってくれたのに本当にごめんね。』
「まあ、いい。中に入ろう。」
有紀は何を言われるのかと、緊張しているようです。後ろめたいと全てにビクビクしなければなりません。私も単身赴任中に亜希と関係があった時はそうでした。着替えもしないで居間のソファーに座ると、言い訳がましい話を立て続けに話すのです。語るに落ちると言いますが、こんな状態を言うのでしょう。
「そうか。会社って勝手だからな。でも今日は違うだろう?俺さぁ、見ちゃったんだよ。会議なんてなかったよな?あるとすれば個人的なミーティングだろう?あの男は誰だい?俺、見ていたんだよ。」
『・・・・・・・』
「嘘は何ればれるものだ。嘘をつくと嘘を重ねなければならなくなる。実はな、何度か電話があったんだ。有紀との事を詳しく話していたよ。名乗らないし、非通知で掛けてくる非常識な奴だ。だけど話の内容から、お前の会社の人間だろう。悪戯かと思いもしたけど、
今日あの場面を見て、ミーティングなんて嘘を吐かれたら、さすがにな・・・。」
『・・・そう・・・ごめんなさい・・・あの子、私の部下なの・・・個人的に問題があって・・・如何して
も話があるっていうもんだから。誤解しないで。あくまでも仕事の話なのよ。立場上断る
訳にはいかないし・・・貴方には悪いと思ったけど変に思われたらいやだから。でも、その電話は違う人だと思う。あの子はそんな事しないわ・・。』
言葉を選びながら話していました。妻はおそらく電話の相手は、その男だと思っているのでしょうが、突然の話に戸惑い庇ってしまったのでしょうか?男から聞かされた、妻らしき女の悶え声の話もしようかと迷いましたが、如何しても言えないでいます。そんな事を言っても『違う』と否定されたなら、くつがえす証拠がありませんし、何よりも私が臆病風に吹かれで話せないのです。
「仕事をしていれば色々あるだろう。それでも嘘を吐くな。何度も言うけれど嘘は次の嘘を呼ぶ。今まで築いてきた信頼が台無しになってしまう。」
『・・・ごめんなさい・・・。』
「次はごめんじゃ済ませないぞ。」
男と関係があるなら、これからも嘘を吐くのでしょう。妻の返答が思っていた通りの展開になったので、次の手を考えるのがベストだと気分を入れ変えたのでした。しかし、不信感を持ったままでいるのは辛いので、真剣に考えなければなりません。
2015/09/29
彼女(一色亜希40歳)と過ごした時間を思い出しながら私(来栖正敏:くるす・まさとし43歳)が車を運転していると、妻の有紀(ゆき39歳)から電話が掛かってきました。
『貴方、今何処?ごめんなさい。急に打ち合わせが入っちゃって携帯の電源を切っちゃたの。こんなに時間が掛かると思わなかったものだから。本当にごめんね。これからなにか食べにいく?』
《何が打ち合わせだ!》心の奥深くから怒りがこみ上げてきます。
「もう食ったよ。帰っている途中だ。お前も直ぐ帰ってこい。話があるんでな。」
私の言葉に怒気が含まれていたのでしょう。
『・・・そう・・・急いで帰る・・・ごめんなさいね・・・。』
何かを感じたようです。嘘を見破られたと思ったかもしれません。そうなら色々な言い訳
を考えて帰ってくるのでしょう。私は正面からぶつかってみるつもりです。
私がマンションの駐車場に車を止めていると妻が迎えに出てきました。亜希のアパートは中心地から離れているので、妻の方が帰りは早かったのです。
『お帰りなさい。せっかく誘ってくれたのに本当にごめんね。』
「まあ、いい。中に入ろう。」
有紀は何を言われるのかと、緊張しているようです。後ろめたいと全てにビクビクしなければなりません。私も単身赴任中に亜希と関係があった時はそうでした。着替えもしないで居間のソファーに座ると、言い訳がましい話を立て続けに話すのです。語るに落ちると言いますが、こんな状態を言うのでしょう。
「そうか。会社って勝手だからな。でも今日は違うだろう?俺さぁ、見ちゃったんだよ。会議なんてなかったよな?あるとすれば個人的なミーティングだろう?あの男は誰だい?俺、見ていたんだよ。」
『・・・・・・・』
「嘘は何ればれるものだ。嘘をつくと嘘を重ねなければならなくなる。実はな、何度か電話があったんだ。有紀との事を詳しく話していたよ。名乗らないし、非通知で掛けてくる非常識な奴だ。だけど話の内容から、お前の会社の人間だろう。悪戯かと思いもしたけど、
今日あの場面を見て、ミーティングなんて嘘を吐かれたら、さすがにな・・・。」
『・・・そう・・・ごめんなさい・・・あの子、私の部下なの・・・個人的に問題があって・・・如何して
も話があるっていうもんだから。誤解しないで。あくまでも仕事の話なのよ。立場上断る
訳にはいかないし・・・貴方には悪いと思ったけど変に思われたらいやだから。でも、その電話は違う人だと思う。あの子はそんな事しないわ・・。』
言葉を選びながら話していました。妻はおそらく電話の相手は、その男だと思っているのでしょうが、突然の話に戸惑い庇ってしまったのでしょうか?男から聞かされた、妻らしき女の悶え声の話もしようかと迷いましたが、如何しても言えないでいます。そんな事を言っても『違う』と否定されたなら、くつがえす証拠がありませんし、何よりも私が臆病風に吹かれで話せないのです。
「仕事をしていれば色々あるだろう。それでも嘘を吐くな。何度も言うけれど嘘は次の嘘を呼ぶ。今まで築いてきた信頼が台無しになってしまう。」
『・・・ごめんなさい・・・。』
「次はごめんじゃ済ませないぞ。」
男と関係があるなら、これからも嘘を吐くのでしょう。妻の返答が思っていた通りの展開になったので、次の手を考えるのがベストだと気分を入れ変えたのでした。しかし、不信感を持ったままでいるのは辛いので、真剣に考えなければなりません。
2015/09/29
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