中6〖不倫の代償〗第2章3話 11
中6〖不倫の代償〗第2章3話 11
その後も、篠田千遥(ちはる:35歳)のバッグからタバコ,ライターのセットがなくなる事はありません。妻の不貞が確実になる前は、私達夫婦の間にはそれなりの夫婦の営みは週に1度程度はあったと思いますが、それが妻の日帰り添乗の日から営みは皆無となりました。たまに妻から求めてくることはありますが、私(篠田隆弘:38歳)の体がそれを受け付けません。
そんなある日、私はメーカーの新車発表会の為、1泊の予定で東京に出張することになりました。各販売会社から数名が代表で出席をして、一般発表する前の新車を内覧するという内容のものです。
会場には千人を超える販売店の人間にメーカーの職員、それは盛大なものでした。一次会が終わり、地域別の分科会が開かれました。一次会とは一転して、分科会はこじんまりした感じでした。人数も百人足らず、当然地域別ですから知った顔も多く、その中には深田宏美(ひろみ:27歳)さんもいたのです。メーカーの職員と私が会話をしているところに、一人の女性が割り込んできましたが、それは宏美さんでした。
〚お久しぶりです。〛
「お久しぶり。」
前回のことがあるので、少し躊躇している私に宏美さんは、屈託の無い表情で親しげに会話を進めてくれます。今日の新車のことや、営業に関する話など、さすがにお互い営業の仕事柄、仕事の話にはこと欠きません。そのうちメーカーの人間が中座すると、宏美さんがこう切り出しました。
〚この間は、大丈夫でしたか?〛
「本当に失礼しました、醜態を見せてしまって。」
〚そんな事ないですよ。辛いときはお互い様です。〛
「そういって貰えると、少し気が楽になります。」
そうこうするうちに、分科会もおひらきとなり、人も減り始め宏美さんと二人ホテルのラウンジで、コーヒーでもと言うことになり二人で、ラウンジに向かいました。内覧会は、
東京のベイサイドの大型ホテルを借り切り行われたため、同じホテル内の移動で済すむのです。ラウンジは、同じような考えの人間で満席状態でした。それではと、最上階のレストラン,バーと行ってはみたものの、ことごとく満席です。
その時、宏美さんから提案がありました。
〚仕方ありませんから、部屋で飲みなおししませんか?今日はお互い個室ですし、気兼ねなくお話が出来ますよ!〛
「独身女性と二人は、不味くないですか?」
〚何かまずい事でも?篠田さんは下心有りですか?〛
「そんなことはないですよ。それじゃどっちの部屋にしますか?」
さすがに若い女性、じゃんけんで負けた方の部屋、冷蔵庫とルームサービスも、負けた方が持つという提案です。その場でじゃんけんです、負けたのは私でした。(勝負運がありません。)クロークから荷物を受け取ると、各自の部屋の鍵を受け取り私の部屋へ向かいました。
その日初めて入った部屋は、10階に有るオーシャンビューの部屋です。宏美さんは、窓際に駆け寄り海に漂う船の明かりを見て感激していました。この場の雰囲気に照れた私は、宏美さんを茶化します。
「夜の海なんて地元で見慣れているでしょ。」
〚だって、こんな見晴らしのいいところ無いもん。〛
そういえば、岸壁から見る漁火とは大分雰囲気が違うのは事実です。
「宏美さん、なんにする?ビール,日本酒?ワインも有るけど。」
〚何でも、篠田さんは?〛
「ビールかな。」
〚私も同じでいい!〛
缶ビールを二つ持って窓際の応接セットに近付き、1つを宏美さんに渡すと、籐製の椅子に腰を下ろしました。何を話しするでもなく、宏美さんは海を見ているだけでした。私は妻(千遥)のことを考えて、視点の定まらない目で宏美さんの方を見ていました。今思えば、メロドラマの世界です。妻帯者の私が、心に傷を負い自暴自棄の状態で、家を離れ偶然とはいえ高級ホテルの一室で若い女性と飲んでいます。それも二人きり、何も無い方がおかしい状態です。
2015/11/11
その後も、篠田千遥(ちはる:35歳)のバッグからタバコ,ライターのセットがなくなる事はありません。妻の不貞が確実になる前は、私達夫婦の間にはそれなりの夫婦の営みは週に1度程度はあったと思いますが、それが妻の日帰り添乗の日から営みは皆無となりました。たまに妻から求めてくることはありますが、私(篠田隆弘:38歳)の体がそれを受け付けません。
そんなある日、私はメーカーの新車発表会の為、1泊の予定で東京に出張することになりました。各販売会社から数名が代表で出席をして、一般発表する前の新車を内覧するという内容のものです。
会場には千人を超える販売店の人間にメーカーの職員、それは盛大なものでした。一次会が終わり、地域別の分科会が開かれました。一次会とは一転して、分科会はこじんまりした感じでした。人数も百人足らず、当然地域別ですから知った顔も多く、その中には深田宏美(ひろみ:27歳)さんもいたのです。メーカーの職員と私が会話をしているところに、一人の女性が割り込んできましたが、それは宏美さんでした。
〚お久しぶりです。〛
「お久しぶり。」
前回のことがあるので、少し躊躇している私に宏美さんは、屈託の無い表情で親しげに会話を進めてくれます。今日の新車のことや、営業に関する話など、さすがにお互い営業の仕事柄、仕事の話にはこと欠きません。そのうちメーカーの人間が中座すると、宏美さんがこう切り出しました。
〚この間は、大丈夫でしたか?〛
「本当に失礼しました、醜態を見せてしまって。」
〚そんな事ないですよ。辛いときはお互い様です。〛
「そういって貰えると、少し気が楽になります。」
そうこうするうちに、分科会もおひらきとなり、人も減り始め宏美さんと二人ホテルのラウンジで、コーヒーでもと言うことになり二人で、ラウンジに向かいました。内覧会は、
東京のベイサイドの大型ホテルを借り切り行われたため、同じホテル内の移動で済すむのです。ラウンジは、同じような考えの人間で満席状態でした。それではと、最上階のレストラン,バーと行ってはみたものの、ことごとく満席です。
その時、宏美さんから提案がありました。
〚仕方ありませんから、部屋で飲みなおししませんか?今日はお互い個室ですし、気兼ねなくお話が出来ますよ!〛
「独身女性と二人は、不味くないですか?」
〚何かまずい事でも?篠田さんは下心有りですか?〛
「そんなことはないですよ。それじゃどっちの部屋にしますか?」
さすがに若い女性、じゃんけんで負けた方の部屋、冷蔵庫とルームサービスも、負けた方が持つという提案です。その場でじゃんけんです、負けたのは私でした。(勝負運がありません。)クロークから荷物を受け取ると、各自の部屋の鍵を受け取り私の部屋へ向かいました。
その日初めて入った部屋は、10階に有るオーシャンビューの部屋です。宏美さんは、窓際に駆け寄り海に漂う船の明かりを見て感激していました。この場の雰囲気に照れた私は、宏美さんを茶化します。
「夜の海なんて地元で見慣れているでしょ。」
〚だって、こんな見晴らしのいいところ無いもん。〛
そういえば、岸壁から見る漁火とは大分雰囲気が違うのは事実です。
「宏美さん、なんにする?ビール,日本酒?ワインも有るけど。」
〚何でも、篠田さんは?〛
「ビールかな。」
〚私も同じでいい!〛
缶ビールを二つ持って窓際の応接セットに近付き、1つを宏美さんに渡すと、籐製の椅子に腰を下ろしました。何を話しするでもなく、宏美さんは海を見ているだけでした。私は妻(千遥)のことを考えて、視点の定まらない目で宏美さんの方を見ていました。今思えば、メロドラマの世界です。妻帯者の私が、心に傷を負い自暴自棄の状態で、家を離れ偶然とはいえ高級ホテルの一室で若い女性と飲んでいます。それも二人きり、何も無い方がおかしい状態です。
2015/11/11
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